薬屋大助
レミリアによる異変『紅霧異変』発生から数日。紅い霧は幻想郷のかなりの部分を覆った。里も当然覆われ、人々は家から出られなくなった。そして買い物や農作業がろくに出来ないため食料に関して問題が出始めているようだ。そんなわけで長時間外に出ていられる俺は買い物代行の仕事とかをしている。当然ただでやっていないが。この異変が終わったら何でも屋でもやろうか。異変解決以外なら大体出来るし。
「入るよ」
「ああ、あなたですか。今日も阿求の依頼で?」
今は里に非常に大きな屋敷を持つ稗田家の現当主、稗田阿求の依頼を受けて貸本屋鈴奈庵に本を借りに来た。出迎えたのはここの娘の本居小鈴、里の人間でよく俺に話しかけてくれる一人だ。
「今日は……………と…………と妖魔本で新しいのが入っていたら借りたいのだけど」
「分かりました」
「しかし、妖魔本って人間の文字で書かれていないから集めても意味が無いと思うんだけど?」
「確かに読めないですからねえ。でも欲しいんです。あっ、親には内緒にしてくださいね」
「危険だからか?」
「いえ、家のお金を勝手に使っているので」
「………なんでそこまでして集めるんだ?」
帳簿をいじってもばれかねないのに。
「大助さんには分からないと思いますけど、強いて言うなら憧れ、ですかね」
「何に憧れているんだ?」
「霊夢さんや魔理沙さんの様な力を持っている人たちですよ。あんなふうになりたいと思って研究のために集めているんです。…………読めないからまったく進んでいませんが」
読めないならそこまで警戒しなくてもいいだろう。ただ釘をさしておく必要はあるだろう。
「そうか。だけどあまりやりすぎると痛い目所じゃ済まないから気をつけてやりなよ」
「ただいま」
依頼された仕事を全て終わらせて帰宅する。
「「「おかえり」」」
迎える声が三つになっていた。
「魔理沙?この霧の中どうしたんだ?」
「そろそろ私の家もやばいから避難してきたんだ。ところで里で何を買ってきたんだ?」
「漬物や茶葉とか。こうなることが分かっていたらもう少し買ってきたんだけど」
「確かに四人だとちょっと少ないわね」
「それと今日の報酬の残りはこっちだ」
「へえ」
霊夢は賽銭を求めるわりに不思議と金自体には執着していない。無くてもあまり困らない生活をしているせいかも知れないが。
「お夕飯は魔理沙の持ってきたキノコを使ったスープとかだから」
「それで霊夢はいつ異変を解決するんだ?」
「そうねえ。紫には最初の異変だからすぐ解決するなといわれているけど、さすがにそろそろしたほうがいいわね」
霧は神社の近くまで迫っていた。このままだと外の世界にまで影響が及ぶだろう。
「明日に全部解決するわ。あんた達はどうするの?」
「俺達は記録のためについて行く」
「私は霊夢と一緒に異変解決だぜ」
「足引っ張らないでよね」
翌日、俺たちは二手(俺と霊夢、詩歌と魔理沙)に別れて出発した。