杏本詩歌
紫さんともう一人の実力者さんに会うため、急いで神社に戻る。霊夢と文さんは飛んで、私は大助君に抱えられて…………、空を飛べるようになりたいなあ。このままだと私、大助君の足手まといだよ。神社に戻ると敷物を強いてお花見をしている紫さんと藍さんと猫又を擬人化したような妖怪(チェン?)と鋭い目つきの美人なお姉さんがいた。あれ?霊夢がお姉さんを見て怪訝そうな顔をしている。
「おかえり、霊夢。勝手に花見しているわよ。もうそろそろ満開ね」
「……幽香?あんたがここで花見をするの、今年はちょっと早いわね」
気配が完全に妖怪なのだけど毎年やってるの?妖怪退治は?
「ふもとでやるにはちょっと問題があるのよ。全く忌々しい」
幽香さんが顔をしかめ毒づく。……美人って得だなあ。あんな顔でも美人なんだから。
「ふーん。まあいいわ。あんたらに手伝って欲しいことがあるのよ」
「珍しいわね。聞いてあげるわ。手伝うかどうかは別だけど」
「霧の湖のほとりに新しく出現した屋敷の主人が妖怪を集めて幻想郷を支配しようとしているのよ。だからそいつを叩きのめさなければならないの」
「………それは一大事ね。他の妖怪は……分かったわ。手伝ってあげる。私の方の問題にも関係有るようだし」
「そう、なら早速」
「待ちなさい、霊夢。出発は明日の朝にするわよ。そうすればあの館の主が眠りについた後に襲撃できるわ」
「明日はどこで集合するんですか?」
「もちろんここよ。それとあなた達二人に必要な装備も用意してあります。確かめなさい」
紫さんが空間に切れ目を作りバックを二つ私達の足元に出した。中に入っていたのは特環の新中央本部(元東中央支部)の装備一式だった。コートとゴーグルを身に着けてみる。サイズに問題は無いようだ。
「サイズや動きやすさに問題は無い。銃弾もこれだけあれば十分だ」
大助君はかっこう君になってる。周りを見て欲しい。皆完全に引いている。
「これは……すごいですね」
「詩歌と同じ服装なのに着る人が違うとここまで違いが出るのね」
「……なるほど、確かに悪魔ですね」
角のように逆立てた髪、顔を覆い隠し、レンズが赤く光る機械式のゴーグル、まるで翼のような漆黒のロングコート。何で大助君だけ他の人と印象が違うんだろう。実はコートは特別製なのだろうか。
「ああ、悪い」
声に出されて周りの視線に気付いた様で素早く脱ぐ。
「さて、用意も大体終わったようだし、このまま花見をしましょう。お酒や肴も用意してあるわよ」
「あっ。いいわね」
「霊夢、お酒を飲んでもいいの?」
「大丈夫よ。もうお酒が飲める年を越えているわ」
「そういえば昔は成人になるのが早かったな。ならオレも試しに飲んでみるか」
「えっ?」
「詩歌もどう?何事も経験よ」
「ちょっと飲むだけだ。物は試しだ。……まあまあだな」
私にも枡に注がれたお酒を渡される。大助君も飲んでいるし私も久しぶりに飲んでみる。……まあまあおいしいかな?
「もう一杯飲む?」
「飲みます」
何事も経験。料理を食べながら飲む。その後ちょっと酔った状態で花見を終わりにして皆帰った。