薬屋大助
「へえ、あいつも意外にやるな」
霊夢の戦いぶりは見ていて安心できるものだった。投げつけられるナイフを危なげなくかわす、もしくはお払い棒ではじき返し、反撃に札を投げつけている。一応俺も確実な援護できるように片目だけ成虫化しておいたが必要なさそうだ。余談だが目を成虫化すると夜目がきき、スローモーションで周りを見れたり相手の次の動きを予測できたりする。格闘戦ではありがたい能力だ。
「この事件が解決したら格闘の訓練に付き合ってもらおうかな。詩歌じゃ相手にならないし」
「それはいいわね。あの子のだらけきった生活を少しでも改善したいし」
「ただ運動するとどうしても大量に食べる必要があるからな。配給を増やしてもらうと助かる」
幻想郷に来てから体を動かす機会が減ったため俺と詩歌の食事量はかなり減った。俺は茶碗二杯分の米と三品のおかずを、詩歌は茶椀一杯分の米と二品のおかずを食べていたのに、いまや茶椀一杯分の米とおかず一品でも空腹と感じたことが無い。
「まあ仕方ないわね。その代わりしっかり訓練をつけてね」
博麗霊夢
後ろで紫と大助が今後私をどうするかで話し合っている。今度格闘の訓練をやらせるつもりらしい。あいつは戦闘技術に関しては一切妥協しないから厳しい訓練になりそうだ。
「あんた、その力で手品師でもやったら?絶対当たるわよ」
「今の仕事に満足しているからいいわ。それよりおしゃべりしていてもいいの?」
だんだんナイフの量が増えてきて危なくなってきた。一本防ぎきれなくて当たりそうになるがバンという音と共に弾き飛ばされる。見れば大助の銃から煙が出ていた。どうやら助けられたらしい。
「素晴らしい腕前ね。部下に欲しいわ。でもこの数からかばいきれるかしら」
今の援護で目の前のメイドが本気になったようだ。一度に投げつけてくるナイフの数が倍以上になった。そろそろ終わらせないと危ない。札を数枚上に投げ咲夜の視線を誘導して光らせる。
薬屋大助
「目晦ましか。視線の誘導もうまいな」
霊夢は戦闘に関してはかなりの才能があるようだ。今の一手で状況を一気に自分に有利にした。ここまで来たらまず負けないだろう。
「なあ、今回の事件で妖怪も無気力のままだとまずいと思うようになると思う。妖怪が人間を襲えるルールを作り広めるチャンスだと思うんだが何か良い意見は無いか?」
「今の戦いで概ね出来たわ。後日細かい所を一緒にうめていきましょう」
「俺達の頭がどれだけ役立つか分からないが出来る限りの協力はする。……おっ、そろそろ決着だな」
目がくらんだ状態で霊夢の猛攻受けていた咲夜がようやく視力が回復したようでエプロンの下から取り出したナイフを霊夢に至近距離で投げつけ、霊夢がひるんだスキに能力を使って距離をとる。今ので分かったがあいつの時間停止はある程度の集中力がいるようだ。まあ、人間には過ぎた能力だからな。何かしらの欠点はあるだろう。
「博麗の巫女はだらけきっていると聞いていたけどそうでもないみたいね。これを凌げたらあなたの勝ちよ」
懐から懐中時計を取り出し顔の前に掲げる。かなり集中しているな。とうとう大技を使うようだ。
次の瞬間、俺の目でも数え切れないほどのナイフが出現し、驚いた霊夢に突き刺さる。
「あっ!霊夢が!大助君、なんで!?」
「さすがにこの数は無理だったみたいね。それにしても案外あっけなく終わったわね」
「ああ、お前がな」
「えっ?」
咲夜が霊夢の方を見るのと霊夢の姿が大量の札に代わり咲夜に襲い掛かるのが同時だった。