飛行島は、今回ダグラス達の目的の村がある島に着く。
沿岸に着き、ダグラス達は島へ乗り込む。4人を島に下ろすと、飛行島は飛び立っていく。
冒険者派遣会社をしてから、一つの島へ滞在するといったことがしにくくなってしまった。
赤毛の船長の目的である、世界の果てへ行く手がかりのある島以外では、こうやって事件が
解決したら、独自の連絡手段で報告して迎えに来てもらうのだ。
「さて・・・」
剣を担ぎ、ダグラスは当りを見渡している。それを真似するかのように妖精ダリアも
でこに手を当てて見渡す。
「森だね」
「森だな」
ダリアがそう言うと、ダグラスも同じように返す。その兄弟のような愛らしい会話を見て
後ろにいたスズネとタイキがくすくすと笑っている。
「仲良し、いいことだ」
「ふふっ、そうですね」
この森の先に目的の村があるらしい。魔物の気配もあるが、この4人の相手ではなさそうな
気配である。
「よし、行こうぜ皆」
「おー!」
ダグラスの掛け声に答えるかのようにダリアは元気よく返事し大きく拳を上げる。
二人が歩き出して、その後ろを風鈴少女と農家の青年も共に歩き出した。
村にたどり着く。一見自然が豊かで森に囲まれた普通の村。
《デンノ村》と書かれた看板を見て、ここで間違いなさそうだ。
村人達は、来客が珍しいのか、4人を見に大勢の人が集まってきた。
「こりゃ、俺達歓迎されてるってことかね」
ダグラスは少し引き気味な顔をしている。ダリアは鼻が高いのか堂々と歩いている。
そうしていると、村長の家にたどり着き、扉をノックする。
はいはい。という声が返ってきて、扉から老人が顔を出す。
「どうも、冒険者派遣会社 飛行島です」
ダグラスはそう言って、ヘレナから貰った依頼承諾証を老人に見せた。
「おぉ!来てくれたか!ささ、こちらへ」
老人は扉を開けてはダグラスたちを歓迎した。一番乗りしたのはダリアで、それに続いて
ダグラス、スズネ、タイキが中に入っていった。
中のリビングのソファーに座って、今回の依頼の内容を詳しく聞かされる。
「今回の依頼は申請したときにある程度説明したと思うが・・・もう少し詳しく説明しよう」
「はい、お願いします」
スズネがそう丁寧に言葉を返す。こういう人との依頼契約の話術は、風鈴売りの彼女が
一番適任だろう。
「村の近くに湖があるんじゃが、とにかく変なんじゃ」
「変・・・ですか。魔物が住み着いた、とかではないのですか?」
そう言うと老人は口をもがもがしだす。
「魔物が住み着いた・・・のとはちょっと違うのじゃ」
そう言っては口を歪ませる。
「んじゃ、何が住み着いたって言うんだよ」
ダグラスはそう尋ねると、老人はこくりと頷いた。
「・・・蛙じゃ」
その言葉を聞いて、一同は沈黙した。
「・・・蛙って・・・あの蛙?」
「俺、それしか知らんだぁ」
ダリアとタイキは向かい合って首を傾げあう。だが、ダリアはハッと我に返るとタイキから
そっぽ向いてしまう。少しタイキは落ち込む。
「あぁ・・・あの蛙なんじゃ」
・・・皆の知ってる蛙で間違いないそうだ。だが、それが異変になるのだろうか
「実際行ってみるのが速いじゃろ。付いてきてくれ」
老人は椅子から立ち上がり、家の外へ出た。ダグラス達も外へ出ては老人達の後を付けた。
湖まで来た。だが、その湖の光景に、ダグラス達は息を飲んだ。
「こ、これは・・・」
「確かに・・・」
「蛙だぁ」
ダグラス、ダリア、タイキは感嘆の音を上げる。その蛙というのは
小さな湖であるものの、その湖全体にすっぽりと嵌まった超巨大な蛙だったのだ。
高さだけでも20mはあるだろう。とにかく巨大すぎる。
その巨大な体型が見事に湖にフィットしてしまい、抜け出せなくなっているようだ。
「この蛙が湖に嵌まってしまってから、水の確保が困難になっておるんです」
「こりゃ確かに・・・この水は飲めないよな」
湖から溢れる水は、茶色く濁っている。予想ではあるがこの巨大な蛙の糞便も
混じっているのだろう。
「退治するのでも構わん。どうにかこの件を解決してくださらんか?」
老人はそう言って頭を下げる。
「村長さん、どうかお顔を上げてください」
スズネは前に出て、村長の頭と同じ位置までしゃがむ。
「安心してください。私達が、この蛙さんを何とかしてみせます」
そう言って微笑むスズネ。その言葉を聞いて老人の顔は少し明るくなる。
「そう言って下さると助かるわい・・・」
感無量といわんばかりにまた頭を下げる老人
「では、わしは家に戻る。何かあったら尋ねてきてくだされ」
「はい。わかりました」
老人はそのまま村の家に戻った。
ダグラス達は一旦話し合うことにした。
「これは確かに・・・20万ゴールドの価値はありそうだ」
「難関強敵だべ」
「もし倒すとしても、こいつ滅茶苦茶強そうだよね・・・」
そういった会話がずっと続いた。だが、そういった会話をしていても一向に結論がまとまらない。
「・・・村人さん達に話を聞きに行きましょうか」
スズネがそう提案すると、一同は頷く。方針が決定し、一度村に戻って蛙のこと、
湖のこと、ここ最近起きたことなど、情報を集めることにした。
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