3度目の人生は静かに暮らしたい 作:ルーニー
難産でした。思い付きでヤバい生物出すもんじゃないですね。処理方法がホント、もう、ホント……。
オリジナル設定と自分の都合のために出したオリジナルキャラがでますのでご注意ください。
追記
殺傷設定にしないと→非殺傷設定を解除しないと
に変更しました。
・追記
ティンダロスの猟犬の設定を少し変更しました。
臭いを忘れて追跡できない➡臭いが混ざって追跡が難しくなる
ポタリ、ポタリと気持ちの悪い液体が地面に滴り落ちる。形状で言えば、強いて言うのであれば痩せこけた犬の姿をしているそれは吐き気のする臭いを発しながら、あらゆる不浄を、邪悪をかき集めたような気配を放ちながら獲物を見定めるかのようにジッとその場から動かずにいた。
「……なん、だ?なんなんだこれは!?」
そこにいたのは液体を滴らせている化け物だけで、これを出した少年と使い魔である火の玉はすでにどこにもいない。
母艦であるアースラに行方を探させてはいるが、森の中で突然姿を消したことに動揺が走っていた。魔法を使った形跡もなく、消えたことに。
「エイミィ!あれはなんだ!?いったいなんの生物なんだ!?」
『わ、わからない!あんな出現のしかたなんて、見たことも聞いたこともないよ!』
クロノは目の前の見たこともない化け物に驚きを隠さず、むしろ嫌悪感を押し出していた。エイミィと呼ばれた少女も、連続してありえないことが起こったこと、そしていきなり現れた化け物に恐怖を感じていたが、しかし分からないと連呼するだけだった。
そんな中、オレンジの髪の女性、アルフがハッとしたようにフェイトのところまで走り、その腕を掴んだ。
「逃げるよ!」
「っ!」
アルフの言葉に、顔を青くしたフェイトは身体を震わせながら頷き、その場から飛び立とうとした。それに気が付いたのか、化け物は動きだした存在に顔を向け、ガバリと口のような場所を開ける。その中は舌のようなものがある口のような空間をしていたが、黒くその中を見るだけで見てはいけないものを見ているような、そんな恐怖が背筋を撫でた。
そして、その口からズルリという音を立てて舌がデロリと出され、それはフェイトに向かって弾丸のように発射された。
「くッ!?」
それを魔法で防いだが、その舌はダラダラと汚らしい液体を垂れ流し、ズルズルと防がれたそれを口の中に戻そうとしていた。
「汚いものをフェイトに飛ばすんじゃないよ!」
そのタイミングを見計らい、アルフは化け物の胴体に蹴りを入れる。通常ではありえない威力を持つそれは、普通ならば骨を砕き、内臓を傷つけ、その身体を蹴り飛ばす威力はあった。そう。普通ならば。
「なっ!?」
粘度の高いヘドロに突き入れたような、気持ちの悪い音を立てて足が化け物の身体に飲み込まれる。化け物の方も攻撃を受けたような様子を見せず、ぐるりと顔をアルフの方へと向ける。
「クッ!」
咄嗟に逃げようとするが、飲み込まれそうになっていた足に予想以上の力が必要だったせいで足は抜けたが体勢を崩し、すぐに動くことができない状態となってしまった。
そして、化け物は口を開け、舌をアルフへと発射した。
「ディバインシューター、シュート!」
瞬間、化け物の顔にピンク色の魔法の弾が連続で当たり、明後日の方を向いた顔から舌が発射された。それを確認したアルフはすぐに体勢を整え、誰もいない場所へと放たれた舌を回収していた化け物を睨みつけた。
「大丈夫ですか!?」
そのすぐ後ろから少女の声が聞こえる。それを確認するまでもなく、そこには自分の主人であるフェイトと相対している少女、なのはが杖を構えていた。
「……正直、助かったよガキンチョ……」
その言葉に笑みを浮かべるなのはだったが、現状わずかな油断も許されない状況にある。それを証明するかのように化け物はまるで液体のように、煙のように姿を変えて徐々にその姿を小さくした。
「待て!」
クロノの言葉など聞いていないのか、それとも理解しようともしていないのか。ガラス破片のある場所まで移動した化け物はゆらりと身体を揺らしたかと思えばズプンッと、まるで煙に巻いたかのように消えていった。
「……どこに行った?」
化け物がいなくなった。それだけなら転移したり姿を隠す魔法生物がいるためなにも不思議なことではない。だが、目の前で起きたことは今までで確認してきたどの生物にも当てはまらないもので、本当に消えてしまったのでは、というクロノの脳裏に浮かんだバカげている考えすらありえてしまうのではとすら思えるほどだった。
『クロノくん!アンノウンが、アンノウンが消えちゃった!』
これまでのことを見てきたはずのエイミィが、ありえないものを確認したかのような焦った声を出してクロノに報告する。今までに感じたことのないプレッシャーを感じているクロノはそれに苛立つような表情を浮かべる。
「見ればわかる!どうやって消えた!?」
『それが、転移魔法の形跡も科学技術の形跡すらもなし!映像を見る限り、本当に忽然と消えちゃったんだよ!空中で霧散したみたいに!』
その言葉に、この場で魔法を理解している人たち全員が絶句した。通常転移をする場合、何かしらの魔法を使うのがこの世の理と言ってもいいほどのことだ。それが全くないということはありえないのだ。
にもかかわらず、目の前でソレが実現された。まるで歩くかのように、息をするかのように理解の範囲外の現象が起きた。ありえない、それを理解したくない、理解してはならないと、今まで培ってきた常識が考えることを否定した。
強い風が吹いた。その風でとれた花弁や葉、折れていた枝が風に飛ばされて辺りに散らばっていた。
どこから来るのか、敵だった5人が正体不明の化け物から身を守るために円陣を組む。カサリと、風に乗った葉が円陣の中に入り込んだ。その時だった。
「っ!」
「この、感じ……!」
「くっ!?」
強烈な悪意が背後に充満した。弾けるように円陣を解いて悪意の中心にあるものを確認すると、そこには葉しかない。いや、葉からそれが現れるかのように、化け物はガラス瓶から現れた時と同じように出現した。
ベチャリ、ズチャッっという生理的嫌悪すら感じる音を立てて液体を滴らせ、怒り妬み嫉み殺意憎しみといった負の感情を凝縮したような悪意が放たれ、鼻がもげるのではとすら思うほどの悪臭を放つそれは、まるで獲物を選ぶかのようにその場から動かずにいた。
『……っ!?そんな、ありえない!?』
「どうしたエイミィ!?」
『あのアンノウン、単体で次元を越えているわ!魔法も、科学も、なにも使わずに!空間の歪みもほとんどなく!』
「なんだって!?」
その真実に、そこにいた全員が、魔法を知るすべての人間がありえないと驚愕をあらわにする。
通常、ワープをするにしても違う世界に入るにしても大なり小なり歪みは存在する。通常ない場所にものを出現させるのだから当たり前のことなのだ。にもかかわらず、目の前の化け物はそれすらなく、出現を可能にしている。エイミィの言葉通り、魔法も、科学も、
「ぐっ……!」
絶対にありえない存在を目の前にした、いや、それに対峙していると知った魔導士たちは理解の範囲外にいる目の前の化け物に再び顔を青くするが、若くしていくつもの修羅場を潜り抜けてきた者達にはそれがどうしたと言わんばかりの、一種の自己暗示にも似た表情を浮かべて目の前の化け物を睨みつける。
『クロノくん!新人だけど、戦える魔導師を1人送るよ!手が空いている人がいなくてその人しか送れないけど、さすがに民間人と被疑者だけじゃどう転ぶかわからないでしょ!?』
「っ。了解した!」
突然の増援に、クロノはわずかに驚きを露にする。が、小型とはいえ常識ではありえない化け物を相手にするのだ。味方は多くいた方が有利になるのも事実だ。
そう判断したクロノは増援の旨を了承し、すぐにクロノの近くに魔法陣が現れる。
「加勢に来ました!」
そう言ってクロノの隣に少年が現れた。少年、エミルは杖を握りしめて化け物がいた場所を睨み付ける。しかし、いつのまにか化け物は姿を消しており、そこには化け物がいたという証拠になるであろう悪臭を放つ液体だけが落ちていた。
「気を付けろエミル!やつはどこからでも現れるぞ!」
「了解しました!」
クロノの助言に気合いをいれるように返事をする。杖を今一度強く握りしめ、かつて自分が憧れた化け物を倒す英雄となれる今をわずかにではあるが嬉しさすら感じていた。
さぁ来い化け物。絶対に倒してやる。
エミルの中で化け物を倒すイメージを固め、近くにいるクロノ執務官の隣に立つんだと、憧れの人を隣にいる喜びで気が緩んだ、その時。再び、世界に強烈な悪意が溢れ出した。
「ヒッ!?」
突然の凄まじい悪意、それもすぐそばから放たれた。見ているだけではわからなかった、初めて感じる今までにない恐怖に身体がすくみ、少しの時間身体が自由に動かなくなった。それを狙って化け物は舌を打ち出し、防御が間に合わなかった首へとそれは吸い込まれていった。
「ガッ!?」
「エミル!」
ズルルという、何かを吸い出すような、けどそれは液体ではない致命的な何かを吸い取っているとすら思えるほどに不気味な音にその場にいた全員が一瞬動きを止める。
しかしクロノはエミルの苦痛な悲鳴によって意識を化け物へと動き、杖を化け物へと向けた。
「スティンガースナイプ!」
杖からいくつもの弾が発射され、全弾命中した衝撃で舌がはがされ再び姿を消した。姿が見えなくなったことを確認したクロノは警戒を解かず、しかし倒れたエミルの様子を確認するために急いでそばに行き、抱きかかえる。
「大丈夫か……ッ!?」
クロノは言葉を失った。加勢に来たエミルは、少年は、歳が近かったはずの少年の顔にありえないほどのしわと皮膚のたるみが増えていた。
それだけではない。その手は老人と見紛うほどにしわが刻まれ、無駄のなかった肉は無くなって細くなっていた。そして、最もおかしいといえる部分が1つ。先ほどまで化け物の舌が突き刺さっていた部分に黒い空洞が出来上がっているのだ。覗き込めば、その中に吸い込まれてしまうのではと恐怖するほどまでに黒く、黒く。
「クロ、ノ、しつ、む、か……」
エミルの声は枯れていた。順調に年老いた老人の声ではなく、まるで無理やりに老化させられたかのように、大切な何かが吸い取られたかのように、無理やりひねり出したかのように、声は、かすれていた。
「~~~~~~~~~~~ッッッッ!!?!?!」
言葉にならない悲鳴を、クロノは上げた。長くはないとはいえ行動を共にしてきた仲間を、才能豊かで将来を期待されていた少年を、原因不明の攻撃により変わり果てた友の姿を見て。
友の未来を奪われたことを悲哀するかのように。
友を変えた化け物に激怒するかのように。
化け物を出した少年を憎悪するかのように。
大まかにも、欠片にも、微塵にもわからない、未知という存在に恐怖するかのように。
「な、なに?なんなの!?何が起きてるの!?」
エミルの様子に気が付いたなのはは顔を真っ青にさせる。ユーノもあまりの状況について行けていないのか、それとも頭が動くことを拒否しているのかただただ呆然とこの状況を見ていた。
再び悪意が空間を支配する。何回も浴びた強烈な悪意に慣れてきたフェイトは、出現するであろう場所に杖を構え、煙のように吹き出てきたそれに向かって魔法を放った。
「サンダースマッシャー!」
バチバチバチィと、なのはが聞いたこともない音を立てて化け物へと飛んでいくそれを化け物は避けることができなかった。
■■■■■■■ッ!
声にもならない悲鳴が、怨念のように公園内に響く。不愉快な音という概念を凝縮したような声を聴いた者全員咄嗟に耳に手を当てる。不愉快になるという程度にもならない音により化け物から目を放してしまい、それを見計るかのように化け物は逃げるようにその場から消える。
慌てて化け物がいた場所を確認したが、そこにあったのは小枝や葉、石だけであり、どうやって姿を消しているのか、法則が全く見えずにいた。
「効いている……?」
今までにない反応に呆然として化け物が消えた場所を見る。
「あれは非殺傷設定を解除しないとダメみたい」
非殺傷設定の解除。それを聞いたクロノは一瞬嫌な顔をしてフェイトを見るが、今までにない化け物を、人の寿命を奪うような恐ろしい化け物を相手にするのなら、そうせざるを得ないのだろうと自分の中で納得しようと考える。
「……協力に感謝する」
苦々しい表情を浮かべながら、しかしそうしなくては現状ではあの化け物に対抗できないと理解できたクロノは辺りを警戒しながら通信を繋げる。
「エイミィ!早く彼を転送するんだ!それと艦長!非殺傷設定の解除の許可を!そうしなければ、あの化け物にダメージを与えられません!」
『りょ、了解!』
『……わかりました。許可します』
エミルの下に現れた魔法陣を確認したクロノはエミルを心配そうに見、杖の設定を変更する。非殺傷設定の解除と聞いてソレをすることに戸惑うなのはだったが、ユーノがそうしないとこれ以上に被害が出ると説得をしてこわごわとしながら設定を変更する。全員の設定が終わり、あとは化け物を迎撃するのみだったのだが。
「……まだ、出てこない……?」
1分経っても、あの化け物は現れなかった。時間差はあっても、1分以上の間隔を開けることなく出現していた。にもかかわらず、今回は
「……どこだ?どこからくる?」
もしかすると逃げ出したのでは?その願望にも似た考えが一瞬頭をよぎり、しかしそれを今考えてはならないとクロノが杖を強く握りしめた。その時だった。
『きゃああああああああ!?』
「エイミィ!?」
通信からエイミィの悲鳴が上がる。それだけでなく艦にいる他の乗務員の悲鳴も上がり、次の瞬間魔法が放たれて何かに当たった音が響いた。
『ア、アンノウンが、アースラに、きゃあ!』
「エイミィ!?エイミィ!!」
何かにぶつかったような、そんな大きな音とともに通信が切れる。急に通信打途絶えた今、アースラに対して通信を試みようとしても繋がることはなく、情報のない現状にただただ不安と恐怖を感じていた。
アースラには戦闘員ではないとはいえ、多少の魔法を使える人が何人かいる。もしもの時を考え、戦闘も可能である人がいるのだから絶望的であるとは言えないが、それでも状況を知る術がない今、不安は募っていくばかりだった。
ピリピリした空気が漂い始めてから数分。時々吹く風に舞い上がる木の葉や転がるゴミにわずかながら反応し、しかし何事もなく時間だけが過ぎていく。
アースラは大丈夫なのか。あの化け物はどうなったのか。みんなは大丈夫なのか。そんな不安がクロノの頭の中でグルグルと回り、それを見たなのはとユーノが心配そうな表情を浮かべ、フェイトとアルフは辺りを警戒する。
カサリと、木の葉が地面にこすれた音が空間に響いた。その時。
「っ!」
悪意が充満する。ガラスの破片から気持ち悪い煙が噴き出し、それが化け物を形造っていく。完全に姿を現して顔らしき部分をクロノたちの方へ向けると、クロノに通信が来た。
『こ、こちらアースラ!何人かやられたけど、なんとか撃退することはできたみたい!』
「……あぁ。そして今、それがこっちに来た」
忌々し気に表情を歪ませる。膿のような液体を滴らせ、いつ襲ってくるかも分からない化け物は口のような場所を開ける。だらりと垂れ出した舌は狙いを定めるかのように先をクロノへと向け、それを発射した。
それを難なく防ぎ、5人は散開して化け物を囲んだ。
「やるぞ!こいつはこの世に存在してはいけないんだ!」
「は、はい!」
「了解しました!」
「指図されるまでもなくやってやるさ!」
「…………」
各々様々な反応を見せ、化け物に対して構えを取る。攻撃を防がれた化け物は、何の反応もなく舌を戻していた。が、それもあまり早くはなく、同時に致命的なスキとなった。
「「バインド!」」
ユーノとアルフの2人の魔法が化け物を拘束する。器用なことに化け物の身体は空に浮き、足が地面についていない状態となった。
「スティンガースナイプ!」
「ディバインシューター!」
そこへ空に縛られた化け物を狙い、下から打ち上げるような軌道を描いたいくつもの魔力弾は液体を散らし、化け物を空へと打ち上げる。
「今だ!」
クロノの言葉が響き、フェイトは杖を構える。
「サンダースマッシャー!」
雷の走る音が辺りに響いた。雷は化け物に当たり、同時に何とも言いようがないものが焼き焦げる臭いが漂った。直撃を受けた化け物は水の飛び散る音とともに地面へと叩きつけられ、その場に倒れるように横たわってピクリとも動く気配を無くしていた。
「……やった、のか?」
恐る恐ると、動かなくなった化け物を確認するように睨みつけて近づく。ジリジリと近づいていき、ついにあと数メートルというところまで近づいた、その時だった。
「っ!?」
それを避けれたのは、運が良かった。もう起き上がらないと警戒をわずかに解いて、しかしあの化け物がそう簡単に倒れるはずがないと再び警戒した瞬間、化け物の口からあの舌が放たれた。
口の中が動いた瞬間に咄嗟にシールドを展開し、ギリギリ間に合って舌を弾く。不意打ちにも失敗した化け物は足を震わせながらゆっくりとその場で立ち上がる。
「そんな……!?」
「バカ、な……!?あれほどの攻撃を受けてまだ生きて……!?」
「くっ……!」
ズルリと、粘着質な音をたてて化け物は起き上がった。しかし、体力の限界が来ているのか全身を震わせ、今にも倒れそうになっている。
■■■■■■……!
消えるような唸り声を上げ、一歩前に出る。そして口を開け、安定しないまま舌を少し出したがすぐに力を失ったのか地面に落ちた。それと同時に身体も崩れ、全身が液状とって融けるように地面に広がっていく。
公園には、鼻が曲がりそうなどと言うレベルではない悪臭が漂い、物音なく痛い沈黙が支配していた。
「……今度こそ、終わったの?」
液状へと変化した化け物になのはは声を震わせる。
しかし、次の瞬間液体が意思を持ったかのように動き出した。急に動き出したそれを警戒していると、ジュチュルルルル、と粘性の高いものを無理矢理吸い込んだかのような嫌悪感すら感じる音を立てて液体は小さくなっていき、僅かな体液を残してそれは消えた。
「逃がしたか……」
液体が消え、クロノは忌々しげに顔を歪めて化け物がいた場所を睨み付ける。形を失ってもなおどこかに姿を消す術を持つその化け物が恐ろしいのか、それを使役するあの謎の少年がやったのか。今は解明することはできないが、あの少年を捕まえ、犠牲となった少年をもとに戻す方法を探すんだと、そう心の中で誓った。
「ま、まって!」
なのはの声にハッとするようにフェイトのいた場所を見るが、すでにどこかに転移したのかフェイトとアルフの姿はどこにもなかった。
久々の失態に自らに舌打ちをし、なんとか気持ちを切り替えようとなのはの方を向いて声をかけるが、その表情はまだ苛立ちが残っていた。
「……話を聞きたい。僕と一緒に来てくれると嬉しいのだが」
「は、はい……」
その形相に怯えるなのはを見て、エイミィは空気を切り替えようとしてクロノを茶化すように声をかける。
それを聞いてやや怒ったような声でエイミィに注意をするが、その表情には先ほどの苛立ちはなく、やっとのことで普段のクロノへと戻った。
それに安心した艦長のリンディはホッと一息ついたが、先ほどの化け物とそれを召喚したであろう謎の少年、そして化け物にやられたエミルの治療にリンディは軽く頭痛を覚えたのだった。
それがまだ狂気の始まりであると知る由もなく。
いやぁ。わんわんは強敵でしたね(目逸らし)
最近、評価バーの色落ちないかなぁとワクワクしてきている自分がいます。酷評出してもええんやで?(チラッチラッ
ということでどうも。オリキャラを即退場させた作者です。
鋼メンタル原作勢と戦闘はもうこりごりです。ほのぼのな日常が書きたい。
さて。今回出ましたクリーチャーですが、みなさんお察しの通りティンダロスの猟犬です。わんわん相手なんて、もう二度と書きたくない(頭痛感)
鋼メンタル原作勢はもうお約束ということで。まぁ知識として化け物のような存在がいることを知っている人もいるためある程度は抑えられている部分もありますが。
それと、一応ここで宣言しておきますが、私のクトゥルフ神話の情報ソースは確認しやすいという理由で『Call Of Cthulhu』とサプリメント、およびネット上にあるものを使用しています。それを留意しておいていただけると幸いです。
今回のティンダロスの猟犬は、ステータス的に説明しますと、HPが0になった瞬間身体が溶け出し、復活するには鋭角の世界にいなければ身体をもとに戻すことができない、と言った設定としています。
その理由としては、ティンダロスの猟犬の不死性は肉体的なものではなく精神的なものであるというとらえ方をしているからです。しかも肉体が崩壊したので獲物と定めた臭いは他のにおいとが、臭いを覚える器官が崩れたために混じり、以後追跡することが難しくなる、と言ったようにしたいです。さらに復活するのにも多くの時間が必要とする。という設定も考えています。
ティンダロスと同じ存在になる、というのは液体が体に直接触れている、かつ触れている面積と時間は変化する時間と比例するものと考えています。
ですので少しついた程度では変化することはないととらえてください。まぁ腕一本まるまるついているというのなら話は別ですが。
そして忘れてはならないリリなの世界の魔法についてですが、
・非殺傷設定は魔力を固めて理論上魔法ではあるが事実上普遍的な物質と何ら変わりのない状態にとする設定である。
・非殺傷設定を解除した魔法は物理学的攻撃と同時に魔力という力をそのままぶつける設定である。
と考えています。まぁようするに非殺傷設定は通常攻撃、非殺傷設定を解除した魔法は魔力の付与された攻撃ととらえてください。
オチどうしよう(ボソッ