異世界転生『ノー』レム無双   作:M崎

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 世界なんて関係ない、俺は俺の道を往く。

 そんな主人公で俺は幸せです!!


Vol.4 Awaken

 

 光洋暦(こうようれき)3717年、12月14日。

 

 

 俺が最初に感じたのは、雪の冷たさだった。

 

 「―――ん…?なんだ…?冷たいなぁ…」

 

 自分の体が柔らかいものに沈み込んでいく感触と、雪の日特有の湿気の香りが、俺の意識を徐々に復活させていく。

 ゆっくりと目を開けて、視界に表示される情報を感じ取る。

 

 「…あり?………ここは…どこだ?」

 

 俺の目には、どこまでも広がる一面の銀世界が映っていた。

 地平線までがはっきりと見えるほど広い平原に、際限なく積もる雪。

 命の危険を感じるのに、綺麗だと感じてしまう雪景色。

 俺の背中に感じた柔らかい感触は、どうやら雪に沈む感触だったらしい。

 

 ここはどこなのだろうか。意識がなくなる前は、時計塗れの通路にいたはずなのに…。

 

 頭を強制的に働かせ、疑問の答えを探し出す。

 

 (確か、蛍光ピンクに塗りつぶされた後は…)

 

 俺が最後に見た、時計塗れの通路での光景。それは…

 

 

 「―――女神様に、平手打ちされてたな」

 

 

 あ、そうそうそれだった、といった感じでぽん、と手を叩く俺。

 ―――うん、意味分からへんがな。

 

 「ぶたれただけで、なんで失神してるんだよ、俺。弱すぎないかねぇ?」

 

 ぶたれた理由は分かっているのだ。俺が女神様のパンツガン見しちゃったから。

 でも、それでされた平手打ち1発で、意識を失うってどーいうことやねん。

 

 「それに、ここはどこだよ…」

 

 辺り一面の銀世界しか、俺の視界には映っていない。

 こんな景色なんて、三原で見たことないんだけど…。

 

 「―――あ、もしかして俺、転生しちゃった系?」

 

 一番最高の結論が、俺の頭の中にぽやっと浮かんできた。

 おお、あの女神様がマジで転生さしてくれたのなら、ここは異世界ってことになるな。

 っていうか、そんな感じしかしなくなってきたぜ。異世界ってすげー。

 

 「…ん?」

 

 異世界を隅々まで見るために立ち上がろうとした俺の左手が、何かに触れた。

 それは俺の手が触れると、かさっという小さな音を立てる。

 

 「―――紙、かこれ?」

 

 それを拾い上げると、それは確かに紙のようなものだった。

 しかし何故か雪に濡れておらず、皺一つない。

 

 「んじゃこら?」

 

 紙ならざる紙ってところか。じゃぁなんなんだよって話になるんだが。

 

 「駄目だ、何にも書いてねーし………ん?」

 

 俺がその紙を捨てようとすると、突如文字が浮かんでくる。

 それだけで「異世界っ!!」と感じてしまう俺はバカなのだろうか。

 

 いつの間にか、紙には達筆な文字で、

 

 

 ―――詠め

       《慧眼(インサイト)

       《世界(エレメント)

 

 

 とだけ、描かれている。

 実にシンプルな文言。たった6文字。

 

 正直、気味が悪い。

 

 「―――まぁ、詠めって書いてあるから、これを読みゃいいんだろうけど…」

 

 なんとなく怖い。人外生物になっちゃいそうで怖い。

 異世界初っ端がこれかいって、苦笑してしまう。

 

 「ま、いいや。どうなっても知らね」

 

 そんな迷いを3秒で断ち切った俺は、すっくと立ち上がる。

 そして、書かれていた文字を、唐突に詠んだ。

 

 「―――そんじゃ行くぞ…慧眼(インサイト)ッ!!!」

 

 指を上に上げて、びしっとポーズをとる。

 ―――しかし…、

 

 

 「…おいこら何も起こらんぞ。いきなりバグですかコラ」

 

 

 何も起こらない。

 何回叫んでも、何回ポーズを決めても、何も起こらないのだ。

 千里眼が使えるようになるわけでもなく、ただ普通に、雪の上に俺がいるだけだった。

 視力も前の俺と同じ。むしろなんか悪くなってないか?見通しが悪い。

 

 「…あー、なんだよホントに。慧眼とか書いときながら近眼が進行したんですけど。あの女神様、俺飛ばす世界間違ったのか?」

 

 まるで半透明の物体を間に挟んだかのように、遠くのものほどぼやけて見える。

 うーむ、俺近視になってしまったのか…艦こ○やりすぎたかな…。

 

 「…?およ」

 

 しかし、依然半透明のままの視界に、少し違和感を抱く。

 この視界、俺の前には出ているが、俺の後ろには出ていない。

 後ろははっきりと、綺麗な雪景色が見える。

 ―――うん?おかしくないか?

 

 それに、なんか…文字が…右下の方に見えてきたぞ?しかも英語。俺らの良く知るイングリッシュ。

 

 なんて書いてあるんだ?ええと………「Now roading」?ゲームとかで、よく見るあれか?

 でも、それが何でここに。

 

 「え?俺、ゲームの世界きちゃったの?ノーゲーム・ノー○イフ的な?」

 

 仮説を立てるとするなら、俺の迷い込んでしまった世界の問題だろう。

 俺が機凱種(エクスマキナ)に転生しちゃったという説もある。というか、そうであって欲しいねぇ。シュヴィちゃんを生で見てみたいぞな。

 

 あとは………あの、慧眼(インサイト)っつーのがなんか影響してるのかもしれん。

 わからんけど…。

 

 「―――同期完了まで、あと2分15秒?だいぶかかるな…」

 

 とりあえず、この画面(?)に何か表示されないとなんにも始まらないので、俺は同期が完了するまで、気長に待つことにする。

 気長に…気長に…。

 

 ―――あ、凍え死ぬわこれ。待ってるヒマなんてねぇな、見る前に俺が死んじまうよ。

 

 気長に待つことを速攻で諦めた俺は、一先ず情報と食料を探すことにする。

 …あー、歩くの辛いわ。雪のせいで一歩一歩が重いし、第一目の前の半透明物体のせいで前が(ロク)に見えない。これ、同期中じゃなかったら即刻解除してるとこだ。

 鬱陶しいことこの上なっしんぐ!

 

 というか、いろいろありすぎて、俺の精神が疲弊しきってる。休憩が欲しい。

 

 「お、同期完了したみたいだ」

 

 そうやって歩いているうちに、2分15秒が経過していたらしい。

 また、なんとなくイラッとくる「Now roading」画面に戻る。

 

 「さぁて、とりあえずは、これが出るのを待ってみようか。いーい情報も出るかもしんねぇし」

 

 俺は再び、気長に待つことに決める。

 凍え死にそうなくれー寒いけど、情報がないことには動きようがないしな。こいつを信じて待ってみるか。

 ごろんと雪の上に大の字で寝転がる。不思議と、冷たさは感じない。

 ガラにもなく興奮してるからだろうか。異世界というものに。いやー異世界転生ってマジ凄ぇわ。大好きです女神様!

 

 俺は心中で叫び、ロードが終了するのを寒風吹きすさぶ中待ち続けた。

 

 

 

 




 はい斬っちゃいました!
 このくらいがちょうどいいと判断しました。まる。

 それでは、また5話で!!

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