元2話を強引にきってしまった結果、なんかよく分からないことに…。
それでは、新5話、どうぞ。
そのまま、待つこと20秒ほどだろうか。
画面の「Now roading」の文字が、ゆっくりと消える。
「―――お、来たかこれ?」
俺は身構える。
これでニセモノだったら、メモ書いた奴をぶちのめしに行くこと決定。
《
(なにやら物騒な決意ね、と
そして、待つことさらに5秒。
「Now roading」の文字が完全に消えうせ、
俺の目の前の画面に、膨大な量の情報が、提示された。
まるで、VRMMORPGのメニュー画面のような画面が、俺の前で、存在感を主張する。
画面の右側には俺の…なんだろ、アバター?みたいなもんが表示されており、左側には【能力値】【装備一覧】【尊号】【
呆然としてしまうような情報量。まるで、ハードディスクだ。
「―――こーいうことか、女神様。
俺はここに来てようやく、このふざけた能力の名前に納得がいった。
俺のステータス画面のサイトに。
「そんじゃ、ちょっと見てみるとするか」
俺は画面に目を走らせる。
名前は俺の真名、『
ま、どーでもいいけどな。名前とか別に変わっててもいーし。
次に【能力値】。
もしあの麗しき女神様がチートを与えてくれたのなら、ここは全部カンストしてるはずなんだが…。
レベル1とか勘弁してくれよ、と祈りながら画面を開く。
名前:
性別:
うん、ここまでは変更はないな。というか、見たら分かるし。
問題はこっからだ。
種族:人
うん、分かってる。次だ次。
LV:716
HP:7593
MP:999999
LUC:22
…あれー?おかしいなー、バグが見えるよー?
なんで、
ほかが微妙な数値ってのも解せないしー…。なんだ運の22って。
というか、何でレベル716なん?7月16日にかけてんの?こんなところでそういう同情いらないよ?上限の1000でよかったんだよ?
はぁ…。まぁいいや、次だ次。
驚きすぎて逆に驚かなくなってきた。メンタルが強くなってきたなぁ俺。
肝が据わるとはまさにこのことか。
んで【尊号】。画面とにらめっこするのにちょっと疲れてきたぜ。
書いてあるのはただ1つ。ぶっ飛んだことなど何も書かれていない―――。
【尊号】
・ 世界を1度またいだ者。
・ 能力値を、任意で2倍にすることが出来る。
・ 一切の行動の自由を阻害されない。
―――ちょっと待てオイ。
何でしょうかこのマジのチート。女神様、チートってこんな意味不明なもんなんですかね。
任意で2倍?運試しのときは運が22から44にできんのか?
実用的で強すぎて怖い。
あと、一切の行動の自由を阻害されないって、それ状態異常俺に効かないってことでしょ?
普通に最強じゃん。レベル差ほぼ関係ないじゃん。
転生ってやっぱすげぇわ。
最後は、【
クライシス、なんて仰々しいルビふらんでもええのに。普通にスキル、でええやん。
寒さの中、精一杯目を凝らして、俺は【
【
《
・ データ閲覧可能
・ 桐生勝馬の固有秘術。
《
・ 桐生勝馬の固有秘術。
・ 火水雷風闇の5種類の能力を扱える。
・ それぞれ、第1から第20くらいまでが存在
・
―――はい、仰々しいとかナマ言ってマジすんませんした。
仰々しいどころか崇め奉れるよこれ。強力すぎてあいた口がふさがらない。
寒い空気が口から侵入してくるが構いやしない。それよりもこっちが先。
上の
下の
これをチートと呼ばずして何をチートと呼ぶのか!
これぞ、俺の夢、「異世界転生チーレム無双」への、新たなる切符。
それを、あの女神様々は、こうもたやすく、俺にお与えになったのだ。
―――女神様本当にありがとうございます…このご恩は一生忘れません…。
涙を流しながら雪の上で土下座する。
このくらいしないと、彼女に対する感謝なぞ返せない。本当に感謝感激ですわ。
と、そこまで考えて、俺は1つ、思い立つ。
―――あれ?まずそもそも、ここは何処なのか分からないわけ?と。
もう一度言うが、今俺がいるのは
家屋や人なぞ何一つ見つからないのだ。
これでは情報収集も全く出来ない。
こんなチートを与えられて、俺は思い上がっていたんだろう。
チートにだって、出来ることと出来ないことがあるではないか。
すべてをカヴァーできるチートなど、この世に存在しない。
つまり、何が言いたいのかというと、
―――やべぇ寒すぎて死んじまう誰か助けて、だ。
…うん、リアルで死にそう。なんか吹雪が強くなってきたんだ。
人間は無力ないきものですねぇ…。
このチートで火でもおこせたらいいんだけど、なんか威力の調節が出来そうにない。
全部なんか焼き尽くしそう。
ローソクとかに仮に火を点けたとしても、この吹雪ではそれもすぐに消えてしまう。
暖はとれそうにない。
さぁ、いきなり詰んだぞ。2話めにして詰んだぞ。
女神様やっぱり俺の行く世界間違ったと思いますよ…。
とりあえず町を探すことにした俺は、方向も分からず歩き始めた。
★
「―――ハァ、ハァ、ハァ………―――」
歩き始めてから15分、俺は力尽きかけていた。
極寒の吹雪の中を歩くのって辛いわー…。思考が停止しかかってるぜ…。
風景は先ほどから全く変わっていない。
息は白いを通り越して、吐いたそばから凍っていっている。
凍傷とか低温火傷とかで、体の至る所がヒリヒリしている。が、痛覚が大分消えてきている今の俺がヒリヒリ感じているんだから、多分思っている以上に不味いと思う。
関節が動かなくなってくる。
これ以上は動くな、と悪魔が耳で囁く。
でも、俺は動き続ける。
―――吹雪の中で1人寂しく死ぬとか絶対に嫌だ。というか転生チートもらったのにすぐお陀仏とか最悪の宣告だろ。俺はまだ死ねない!
あまりにもゆっくりと、あまりにものろく、でもあまりにも強い。
そんな風に、俺は歩いていた。
しかし―――。
(―――え、ウソだろ?ここで、終わり?)
俺はぐらりと体を傾けると、そのまま雪の上に倒れ伏した。
震える顔でなんとか確認すると、どうやら左足が完全に凍ってしまったらしい。
立ち上がる気力も、状況も、俺には残っていなかった。
そんな絶望的な状況の中で、俺の頭に浮かぶのは、いつも決まってふざけた考え。
死に掛かっている今は、特に酷かった。
―――ラノベだったら、ここで美少女がやってきて俺を介抱してくれるんだけど。
「異世界転生チーレム無双」という夢を、もし女神様がかなえてくれたのなら、きっとそうなるはずなのだ。
なのに、誰も来ない。気配すら感じない。
お、マジで死ぬ前触れじゃね、これ。
あん時とはベクトルがぜんっぜん違う、死。
はは、
なんなら転生なんてしなくて良かったじゃん。
まーでも、短い夢を見れて俺は満足だぜ。
じゃーな、みんな。死ぬんじゃねぇぞ。
―――と、そう易々と神様が
もちろん、救いの手はさし伸べられた。
薄れ行く意識の中、俺のうつろな目は、人影を捉える。
その影は周りを少しウロウロすると、俺の側に近寄ってきた。
―――ん?これはもしや、美少女なのでは?チーレムの『レム』がようやく来たのかな?
今すぐにでも死ぬというのに、俺はその行動を少し喜んでしまう。
そして1つ、本能が叫ぶ。
美少女を最期に拝むのもいいかもしれん。というか、拝まないわけにはいかん!
―――最期までクズだな、俺の本能!まー今回だけは、お前にのっかってやるけどな!!
そう己の中で結論付けると、俺は文字通りの死力を振り絞って立ち上がる。
そこで俺の目にうつったのは、可愛い、世話好きそうな、銀髪の美少女―――、
「―――お前、なんでそこで行き倒れてるんだ?」
「…男かいぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
―――なんてものでは全然なく、ただの、いけ好かないイケメンであった。
ああ、俺の転生、どうしてこうなった…。
俺は切に思いながら、再び、雪に倒れ伏した。
よし、これでようやく本線だぜ!!
それでは!!