インフィニット・ストラトス[IFルート]   作:駄菓子

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アーマードコアを久々にプレイして湧き上がった
妄想から生まれた作品です。
至らないところはあると思いますが、よろしくお願いします。
感想やアドバイスをお待ちしています。


1話

ーーーこの世界はあまりにも醜く、そして汚れていた。

 

俺を裏の世界から表の世界へと引きずり戻されたあの日。

3年ぶりの再会でなりふり構わず俺に抱きつきながら泣きじゃくる姉さんとたったひとつだけ約束を交わした。

姉さんは全部わかっているのだろう。

きっと遠くはない未来で俺がーーーー

 

「..........くん。織斑くん?」

 

「...............?」

 

不意にかけられた知らない誰かからの声は、思考の渦に沈んだ俺の意識を現実に引き戻す。

声の主を探すものの大した苦労をするとこもなく見つかる。

なんせ目の前にいるのだ。

わからないほうがおかしい。

 

「すみません、ちょっとぼーっとしちゃってました。えっと、なにか?」

 

「え、えっとですね。皆さんで自己紹介をしているんですけれど、次は織斑くんにお願いしてもいいですか?」

 

「あぁ、はい」

 

とにかく俺は立ち上がり後ろを向いた。

俺の席は教室中央最前列。

詰まる所クラス全員の視線をもろに受けるためにすごく居心地が悪いのだけど、こうして向き合うとより一層キツイ。

何故ならそのクラス全員が女だから。

なんで男の俺がここIS学園にいるのかというと単純な話であり、女しか動かせないISを男でありながら動かしたから。

取り敢えず処遇が決まるまではここにぶち込まれたというわけだ。

どこの国にも属さない機関である以上、干渉される心配は取り敢えずない。

 

「えっと、ニュースとかで知ってるかもしれないけど一応。俺は織斑一夏です」

 

ぺこりと取り敢えず会釈程度に頭をさげるものの、帰ってきたのはそんな事は知ってるよと言わんばかりの無言の圧力。

続きを期待するその視線に心の中で乾いた笑いをするだけ。

...............俺のどこに期待しているんだか。

 

「つまらないやつだと思うかもしれないけど、これといった趣味とか特技はない。強いて言うなら体を動かすことかな」

 

以外と言葉は出てくるものだった。

何を話せばいいんだかと悩むのもほんのわずかな間だけで、最初さえできれば何てことはないらしい。

 

「あぁ、最後にひとつだけ。俺が専用機持ちで、首輪付きって言われてるのは知ってると思う。それを踏まえて俺のお願い。あまりそういうことの話題は避けてくれると嬉しい」

 

それだけを言うと俺は自分の席にへと座る。

男だからという理由で注目される分には対して気にならない。

首輪という枷をつけられ自由を奪われた存在、俺がそれを自虐的に行ったのが原因なのだが、いつしかそれがペットや奴隷という風に解釈する奴らが現れせいだ。

女尊男卑と呼ばれる女性至上主義が蔓延するこの世の中で男の扱いはあまりにも酷い。小間使い、もしくは奴隷や家畜以下という奴もいる。

昔女性の地位が低くともそんな扱いはなかったというのにも関わらず。

とは言え、俺にとってはどうってこともないのだからどうでもいいのだけど。

 

「すまないな山田先生。1人で任せてしまって」

 

「あ、いえ。そんなことないです...........」

 

聞きなれたというか、見慣れたというか、いつの間にか教室にいた長身の女性。

ていうか俺の姉がいた。

織斑千冬。

世界最強のISパイロットと呼ばれていて、剣とISの高等技術瞬時加速だけで世界の頂点に立った人。

週末にしか帰って来ず、どんな仕事をしているのかと聞いてもはぐらかされ、世間に疎い俺でも言葉を失うような額の給料を稼ぐため、何かいけないことをしているのではと思ったけどまさか教師をしていたとは。

...............教師ってあまり給料を貰えないはずじゃ?

 

「諸君、私が織斑千冬だ」

 

だがしかし、混乱の極みに達してわけわかめになっている俺には目もくれず、姉さんは元々鋭い目つきの目を更に細め堂々と話し始める。

 

「私の仕事は弱冠15のお前たちを16まで育て上げることだ。出来ないものには出来るようになるまで指導するが、やる気のない者はそれ以降一切の指導を取りやめる。上に上り詰める意思のない者が勝ち残れるほどぬるい世界ではないのを理解しろ。わかったなら返事をしろ。はい以外は認めん」

 

まるでどこぞの軍人やら暴君だよと言いたくなるくらいきつい言葉の羅列。

15の女子たちに対して少しばかり辛辣...............

 

「キャァァァァァァァァ!!本物の千冬様よ!」

 

...............というわけでもないらしい。

むしろ喜んでいるようにしか思えないのは俺が疲れているからなのかな。

 

「私お姉様の大ファンなんですっ!サインください!」

 

「私お姉様のためだったら死ねます!」

 

クラス中に響き渡る音響兵器にも等しい黄色い悲鳴。

姉さんの人気っぷりは理解していたはずだけど、面と向かってここまでとなると予想以上だった。

津波のように押し寄せる声にうんざりとした表情を姉さんは浮かべているけど、さすがにこれはしょうがない。

俺だって騒がしいのは苦手だ。

 

「よくもまぁ、毎年これだけの馬鹿者どもが集まるのだ。こうもあからさまだと仕組まれているとしか思えんな」

 

「きゃぁぁぁぁっ!もっと叱って、罵って!」

 

「踏んでくださいっ!」

 

「でも時には優しく!」

 

「そして付け上がらないように躾けて!」

 

...............物凄く耳が痛い。

とにかくここの女子生徒はまともじゃない。

そうじゃなきゃこんなことは言わないし、多分マゾなのだろう。

しかもとびっきりの。

いろんな意味でこれからやっていけるのかと机に突っ伏すほかない姉さんはただ一言、ここでは織斑先生と呼べよと言って教室を出て行ってしまう。

どうやらホームルームはいつの間にか終わっていたようだった。

 

 

 

 

 

事前に参考書を読んでいたためにかろうじて付いて行けた一時間目の授業。

やっぱりと言うべきか基礎の出来が全くない俺には、所詮付け焼き刃のようなもので非常に苦しいものだった。

元々望んで入ったわけじゃないというのは言い訳かもしれないけれど、ここの女子生徒と比べて“知識だけ”はだいぶ劣っていると言わざるを得ない。

睡眠時間を減らしてまでもべんきょうしないといけないかと思い始めている頃。

俺を呼び止める声が。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「...............ん?」

 

気がつけば金髪縦ロールの明らかな育ちのいいと思わせる素振りと身のこなしの少女が目の前にいた。

そしてその俺に向ける目つきもまた今時のと変わらない。

 

「躾がなっていないのではなくて?下劣で誰からも必要とされないというのに気が利きませんわねわたくしに話しかけられたのだからそれ相応の態度というものがあるんではないかしら。椅子の一つくらい用意したらどうなんです?」

 

予想通りと言うべきなのか、その性格は最悪だった。

女尊男卑。

ISが女にしか使えないためにここ数年で急激に発達した思想。

男の立場や権利などなきに等しく、小間使いにされるのは当たり前でひどい場合だと奴隷のように扱われる。

数の限られた代替え不可能で個人の実力に起因する個々のIS戦力の差という、とてつもない兵器としては致命的なデメリットを持つそれを使える程度でよくここまでできるものだと思う。

いくら使い手によっては優秀だとはいえ、代換え可能な凡人の集団で構成される兵士と、それによって運用される兵器群のほうが俺からすればよっぽどマシだと思える。

とは言っても俺が言える立場ではないのだけども。

少なくともここでは穏便に済ませたいところ。

 

「気が利かなくて申し訳ない。これでよければ座ってくれ」

 

そう言って俺の座っていた椅子を差し出すものの、手を思いっきり叩かれ拒絶された。

椅子用意しろって言ったのあんたじゃん。

 

「なぜわたくしがあなたの椅子に座らなければならないんです?汚れるのでお断りですわ。それに今のはあくまで言葉のあやですわ。そんな程度の事もわからないのですか?」

 

「...............悪かったな。能無しで」

 

「本当ですわ。元々期待などしていなかったので問題はありませんけど。デザイントというものはそんな程度なのですかね?実力もないのにも関わらず専用機持ちになり、首輪付きと皮肉る。あなたわたくしたちに喧嘩でも売っているんですの?」

 

「喧嘩を売ったつもりはない。ていうかそういう話題は避けてくれと言ったはずなんだけど?」

 

「だからなんなんです?何故存在価値のないあなたに気を使う必要があるというのですか。それにわたくしは忠告に来ましたの。長々と時間を無駄になんてしたくありませんから」

 

こんな性格の女じゃ適当にあしらったほうがマシだ。

まともに相手するほうが疲れる。

デザイントの話題は避けてくれと言ったはずなのに、堂々と言い放つこいつに限っては。

 

「忠告ね。粗方消えろとでも?」

 

「ふん。物分りがよろしいようで。ですがそう言いたいのはやまやまですが、わたくしも国家代表候補生という立場ですので。自分の立場をわきまえときなさいとだけ言っておきますわ」

 

「ありがた〜い忠告有難う。じゃあ、俺からも一つ言わせてくれ。あんたこのままだとクラスから孤立するぞ?」

 

「下劣な存在のくせに何を偉そうに。ご安心ください。わたくしは極東の猿と仲良くする気など全くありませんの。むしろこちらからお願いしたいくらいですわ」

 

元からそう予想できていたというのは先に言ってた通りなのだけど、ここまで潔いくらいたど流石になんて言えばいいのか分からなくなってくる。

気に入らないから嫌い。そんな子供が癇癪を起こしたやつを相手にする気分だ。

あの日から3ヶ月。

いろんな人間を見てきたつもりだけど、流石にここまでのやつは初めてだ。

こんなやつがたくさんいてたまるかって話でもあるけど。

 

「とにかく忠告はしましたわ。それをどう受け取るかはあなた次第ですけど、まぁ精々足掻くといいですわ」

 

「...............」

 

それだけ言うとそいつは自分の席に戻っていき、丁度休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴る。

そして教室へと入ってくる姉さんと山田先生。

 

(足掻け、か。今さらどう足掻けと言うんだか)

 

どんなものに足掻けば良いのかと教えてくれる程優しくない奴なのは分かるのだが、ひどく心につっかかる。

運命かそれとも世界か。

どっちにしろ足掻いたところで無意味でしかない。

可能性に満ちた未来と、太陽に手さられた明るい世界と言われるそれは果てしなく脆い。

ちょっとしたことでそれぞれが夢も希望ももない絶望へ、光の届かない影に存在する果てしない闇へと変わってしまう。

そんなものに足掻いたところで何になるというのか。

 

(って、いかんいかん。マイナス思考になってんだし)

 

と、そこまで考えが及んだところで無理やり頭を振って止める。

昔から悪いほうへと考えてしまう俺の癖でどうにかしたいとは思うけど、中々変えるのは難しい。

 

「...............織斑くん?凄いつらそうにしてるけど、大丈夫?」

 

「ん?あぁ、心配かけてごめんね。俺は大丈夫だし、むしろ本当そっちが平気か?あんまり良い話じゃなかったから」

 

「私も大丈夫だよ。オルコットさんはあんなこと言ってたけど、私は織斑くんの見方だよ?」

 

「ありがとう」

 

どうやら俺は一人じゃないようだ。

本当に下手なセリフではあるけれど、でもそれだけありふれているからこそ大切なのかもしれない。

それを俺がどう受け取るかは別として。

 

「さて、全員席についたな。それでは実戦で使用する各種装備の特性を説明する」

 

なにやら教壇の前に立ったかと思うといきなり授業に入る姉さん。

さっきまで考え事していたせいで全く準備できていないだけど。

 

「と、言いたいところだが先にクラス代表を決めさせてもらう。クラス代表とは文字通りの意味であり、クラス委員長などと仕事は殆ど変わりがない。あえて言うなら来月のクラスマッチに出場するくらいだがお前たちは初心者、大した差はない。なのでクラスの長として相応しい者に任せようと思う」

 

さっきまではきりっ!という言葉が似合う雰囲気だったのにいつの間にか、メンドクセーという心の言葉が聞こえてきそうな物言い。

一見真面目に見えるから余計にタチが悪い。それでもそれなりにこなすのは流石だけど。

て言うか慌ててノートと教科書用意した意味ないじゃん。

 

「自他推薦は構わないぞ」

 

クラス代表、姉さんが言った通りクラス委員長と変わりないなら人とうまくコミュニケーションが取れる真面目な人がやるべきだと思う。

少なくとも俺がこなせるような仕事じゃない。

このクラスの生徒とはまだしも、他のクラスの生徒とまで余計な関わりは持ちたくないというのが本音だ。

 

「はい!私は織斑くんがいいと思います!」

 

「賛成です!」

 

「異議なーし!」

 

「ふむ。このままでは織斑一夏の無投票推薦になるが他に誰かいないのか?」

 

「...............へ?」

 

唐突に挙げられた俺の名前に思わず間抜けな声が漏れる。

数秒の思考ののちそれが俺が推薦されたのだと理解する。

 

「俺?な、なんでさ...............」

 

「私に聞くな織斑。どっちにしろお前は推薦された。それだけのことだ」

 

「...............拒否権とかはわからないンですかね?俺みたいなやつがクラスの長なんていう仕事を完遂できるとは思えません」

 

「仕事ができるかできないかは置いておくとして、あくまでこれは自他推薦だ。推薦された以上その期待に答える義務がある。それにお前一人しか名前が上がってないために取り下げるわけにもいかん」

 

「誰かもう一人いたら辞退していいと?」

 

「屁理屈はいらん。諦めたほうがいい。

気持ちはわからんでもないが」

 

ため息しか出てこない。

俺の性格じゃ務まらないなと思っていたのにこのざま。

ワイワイ盛り上がるクラスメイトたちだが、俺からすればとんだありがた迷惑だ。

どうせ男だからという物珍しさとか、それに隠した面倒くさいというのが含まれているのだろう。

少なくともざっと見て3人ほどは面倒くささからだというのがはっきりとわかった。

 

...............あぁ、本当にくだらない。

 

「さて、他にいないようだな。ではクラス代表は織斑一夏で」

 

「待ってくださいっ!そのような選出は納得がいきませんわ!」

 

唐突に姉さんの声を遮る半ば金切り声とかしたそれ。

視線を向けてみればさっきまで俺に絡んできた金髪縦ロールの女。

その表情には明らかな怒りが読み取れた。

 

男がクラス代表などいい恥さらしですわ!それ以前にその男はデザイントなどという下劣な存在です!そんな男がクラス代表になるのは決して認められません!もっとも優れた者がなるべきです!」

 

なんとまぁ、すごいことをいう奴だなぁと素直に思った。

自己顕示欲が強そうだなとは思っていたが、ありがちな間違いではなくむしろビンゴと言うべきか。

クラス代表になりたいなら自薦すればいいだけのことだけど、どうやら推薦された上でなりたかったようにみえる。

 

「わたくしはイギリス代表候補生セシリア・オルコットです!エリートのみが入学することができるこの学園において何の努力もせずに入学し、挙句実力もないのに専用機を与えられた男と比べればどちらがクラス代表にふさわしいかは一目瞭然ですわ!」

 

凄まじいまでのプライドを持っているようで、今の地位には絶対的な自信があるのだろう。

だけどそれ故にその性格は果てしなく面倒くさい。

 

「わたくしはISの技術を学ぶためにわざわざ誇るべき本国から極東の島国に来たのです!猿のサーカスを見に来たわけではありませんわ!あなたも何か言ったらどうなんです?図星すぎて何も言えないとでも?」

 

「...............」

 

「えぇ、そうでしょうね所詮あなたはデザイント。下賤な男が生み出した下劣な存在。何も言い返せませんわよねぇ?蛙の子は蛙。下賤な男などではエリートなどうみだせませんもの」

 

「...............織斑、何かいうことはあるか?」

 

「んーなんだろうね。一言でいうなら“くだらない”かな?」

 

「なっ!?あなたはデザイントの分際でわたくしを侮辱するのですか!」

 

「先に侮辱したのはあんただろ?と言っても俺はさ、日本を侮辱されようがどう言われようがどうでもいいんだよ。あんたでいう愛国心なんざこれっぽっちも日本に抱いてなんかいないし」

 

「...............は?あなたは何を」

 

「どうもこうもない。腐りきったこの日本、つうかこの世界に愛着なんてわくはずもないだろうに。どこもかしこもISは女にしか動かせないからといって偉そうに、自分はISを操縦しているわけでもないのに甘い蜜だけをすする馬鹿どもか、IS乗りでその地位に優越感を抱く奴ら。そしてそれに媚びるゴミ。裏路地に入れば恐喝と暴力。政治家どもは金と権力にしか目がないクソッタレだけしかいない。そんな奴らが死のうがどうなろうが俺には知ったこっちゃないね」

 

姉さんが後ろから声をかけてくるも気にかけてやる余裕はない。

心の奥底からあふれ出してくる黒い感情をぶちまけることしか頭になかった。

 

「頭の腐った有象無象が1人くらい消えてもなんとも思わんし、気にもならん。だから、お前も好きなだけ喚いてろ。俺は気にしないからどうぞ?デザイントの話題は避けろって言ってんのにそれも聞けないようなやつではな」

 

「一夏!」

 

「ーーッ!?ごめん、姉さん...............」

 

怒声にも近い声で呼び止められてようやく我に戻る。

咄嗟に振り返れば辛そうな表情で俺の肩を掴む姉さんが視界に映った。

我に戻って、言ってしまってから後悔した。

やりすぎた、と。

 

「というわけだから。クラス代表になりたいんだったら、俺は何も言わないからどうぞ」

 

それだけ言うと俺は席について前を向く。

周りの視線が痛い。

俺が感情に任せて言ってしまったことは、言い換えればお前らがどうなろうと関係ない。

もっと深く言えば仲良くする気なんてないと言ったのと等しい。

自分の興味ないものに対しては異常なまでに無関心になる束に似てきたと姉さんに言われたことがある。

話しかけられれば答えるあたり、まだ束よりはマシかもしれないがそれも所詮はどんぐりの背比べ。

ああいった以上大した変わりはない。

 

「決闘ですわ」

 

「どこをどうやったら決闘になるんだ...............」

 

「その言葉はわたくしたち全ISパイロットと、それを目指す全員に対する侮辱ですわ。デザイントの分際でそういったのだから仕方ありませんわよね?世界に混乱をもたらした存在なのですから」

 

「否定はしない」

 

「そうでしょう?ここはIS学園ですのでISの試合で白黒つけますわ。わたくしが勝ったら貴方は荷物を纏めて学園を立ち去り今後の研究の材料となりなさい」

 

要するに死ねと、言いたいらしい。

口調こそ落ち着いたものの相変わらず棘が強い。

直接見ているわけじゃないけど、どんな顔をしているのかはっきりと想像できる。

俺を嘲笑うかのような、見下すような笑みに違いない。自分の実力に圧倒的な自信を抱いた。

 

「まぁ、わたくしが負けることはないでしょうが、万が一があった場合は潔く死んで見せますわ」

 

「...............そう簡単に死ぬなんて言わないほうが身のためじゃないか?一応いつ死ぬかわからない世界を生きてきた身として、ちょっとしたアドバイスだけど」

 

「言ったでしょう?わたくしが負けることはないと」

 

もうこれ以上こいつには何を言っても無駄だなと思った俺は姉さんに目配せをした。

相変わらず心配そうに俺を見つめていたが、どうやら俺の言いたいことを理解してくれたらしい。

はっきりとうなづいてくれた。

 

「私はお互いが納得した上であれば何をかけようと、不本意だが目を瞑ろう。試合は来週の月曜日、丁度一週間後の放課後に行う。それまでに私的な争いは一切を禁止する。いいな」

 

「わかりましたわ」

 

「...............分かった」

 

望んでいなかった唐突にやることとなったISの試合。

本当に不本意ではあったけど、俺の失言が直接にしろ間接的にしろ原因なのは変わりない。

一週間後に備えるとしなければならないな。

 

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