遊戯王GX 2nd Generation   作:加藤あきら

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昔に書いたものを手直しして投稿しました。
手直ししてもミスがあるかもしれないのでそういうときは遠慮なく言ってください。
では、どうぞ!

【追記 1月16日】
早々申し訳ありませんが、遊一のオリカの名称をすべて変更しました。
なんだか申し訳ありません。

【追記 5月27日】
色々と修正。
《武装解除》の効果を間違っていたため、装備カードをバウンスするカードに変更。
ただ、そのようなカードはOCG及びTCGには存在していなかったのでオリカにしました。ご了承ください。

【追記 6月9日】
カードの名称と効果を修正。重ね重ねすみません……。


TURN1 『あなたの後ろを追いかけて』

  1

 

 

 デュエルアカデミア。

 活火山を持つ太平洋の孤島に設立された、全寮・寄宿制のデュエリスト養成学校で、オーナーは海馬コーポレーション社長であるあの海馬瀬人である。

 倍率がすごく、ほんの一握りの受験生がその島の地を踏むことができるのだ。

 そして、その一握りの生徒となった男女がこの、デュエルアカデミアの地を着々と踏んでいく。その新たな人生の一歩を噛みしめていく生徒もいれば、特に感動を覚えることもなくスタスタと歩いていく生徒もいる。友達同士で入学した生徒は友達同士でワイワイ楽しくやっているし、友達がいない生徒は一人ぼっちにならないように友達を作ろうとする生徒。それぞれ違う行動をしている。

 さて、輝司(きし)遊一(ゆういち)という男は……。

 

「ねえねえ、遊一。なんでオシリスレッドなのか、いい加減教えてよぉ。遊一ほどの実力ならラーイエローに入れるはずなのに」

 

 幼馴染のキャシー・ケネディに問い詰められていた。

 彼女はアメリカ生まれの日本育ち。親はアメリカ人と日本人の間に生まれた子供だ。そのため、顔はアメリカ人の白い肌と金髪が特徴的だが、日本語がペラペラ……というか、ほとんど英語を話せない。だって、物心付くころにはすでに日本に住んでいて日本語で過ごしてきたのだから。

 それでもって、彼女の父はデュエルモンスターズの生みの親、インダストリアル・イリュージョン社に務めているカードデザイナーである。

 彼女は幼いころは病弱であまり外で遊ばない子だった。入院も多くした。だからこそだろうか。彼女の大好きなものは父の作っているデュエルモンスターズである。相手は遊一が良くやってくれたものだ。遊一は最初はとっても弱かったのに、気が付けばキャシーがなかなか勝てない存在になっていた。

 

「まぁ……その、あれだ。色々とダメだったんじゃないの? 筆記とか筆記とか、筆記とか。アハハハハ……」

 

「もう、誤魔化さないでよ。このデュエルアカデミアは一流デュエリストを育成する学校なのよ? 一次試験の筆記試験は最低限の学力があるかどうかを調べるだけであって、何の寮に入るのかとは関係ないんだから」

 

「あ……。まぁ、決めるのは先生なんだから、そこらへんの理由は分からんよ」

 

 このとき、自分から進んでオシリスレッドに入っただなんて口が裂けても言えなかった。キャシーにボコボコにされそうで怖かったからだ。

 そもそも、なぜ遊一が自分からオシリスレッドに入ったのか。

 それは彼が中学二年生の頃。アメリカに旅行に行っていたときに出会った青年が原因だ。

 遊城十代。

 彼との出会いが、遊一にデュエルアカデミアへの進学をより意識させ、オシリスレッドに行こうと決意させた人物だ。

 

――君はとてもセンスがあるな。きちんと腕を磨けば、次デュエルしたとき俺は負けてるかもしれない。ははは、ガッチャ!! 楽しいデュエルだったぜ!

 

 彼とのデュエルがとても胸を熱くさせたものだったのは今でも鮮明に覚えている。HEROを操るテクニックは、どうしても忘れられない。それに憧れて自分もHEROのデッキを組み上げ、一時期使っていたこともあるが、今ではそのデッキを封印している。やはり、HEROデッキは遊城十代が使ってこそだと思ったからだ。

 

「さて、これからすぐに入学式だし、急ごうよ遊一」

 

「そうだな。そうするか」

 

 二人はちょっと小走りになって校舎を目指したのだった。

 

 

  2

 

 

「次に、本日ご入学した生徒に向けて挨拶です。在校生代表、早乙女レイさん」

 

「はい!」

 

 スッと立ち上がる一人の女性と。長い髪とその艶、そしてその可愛らしい表情にはどんな男性も惹きつけられるものがあった。

 少し幼さを感じさせる彼女はまだ一四歳である。なぜこの年齢で三年生なのかというと、当然、編入したということがある。このことは、記録が残っている。三年前にここ、デュエルアカデミアで行われた大会、ジェネックスを準優勝し、その功績を称えて編入することになったらしい。

 しかも、まだまだ情報が足りなくて遊一たちにとっては噂でしかないが、デュエルアカデミアで最強の女である。いや、少女と言った方がいいか。

 レイはステージに上がると、可憐に、滑らかにスピーチを読み上げていく。

 

「――これから三年間頑張って、楽しい学園生活を送ってください。在校生代表、早乙女レイ」

 

 レイがステージから降りて入学式を進める。偉い人の話を長々と聞き、次に偉い人の話を長々と聞く羽目になった遊一たち生徒一同は睡魔との戦いがなにより厳しかったのである。

 入学式を終えた生徒一同は今日一日はフリーとなるため、友達同士で島を回ろうとか言っている人もいれば、友達を作ろうとしている人もいる。

 キャシーは早速友達作りに入ったようだ。

 

(ってことは、早速ぼっちじゃねえかよ俺! 友達作らんとなぁ……まずは同じ寮の人かな)

 

 と、遊一は赤い制服を探していると、後ろから声をかけられる。

 

「ちょっとそこのオシリスレッドの君」

 

 結城は自分の事かな、と思って振り向くと、目の前に黄色い制服を着たラーイエローの男子生徒が目の前にいた。目線的に自分に話しているかと思った遊一は、自分に指をさして自分か? とアピールする。

 

「そうそう、君だよ君。俺は野上鷹って言うんだけど、君は?」

 

「ああ、輝司(きし)遊一(ゆういち)

 

「遊一か。ところでなんだ、早速で悪いが、友達になろう。俺、知り合いがいなくて困ってたんだ。見たところ、君も一人だったようだからね。声をかけてみたんだよ」

 

「そうなんだ。それはちょうどよかった。俺も今ひとりでさぁ、これからどうしようかと思ってたんだ」

 

「そうか、それはよかった! じゃあ、早速食堂でお昼でも食べながら互いを知っていこうじゃないか」

 

「そうだね。それがいいかも。よし、行くか!」

 

 それから、遊一は鷹と友情を深めていったそうだ。寮は違えど所詮同い年なのだ。それに、デュエルモンスターズという共通の話題もある。話しには困らなかった。

 

 

  3

 

 

 そして、次の日。入学直後の準備をもろもろと終えた生徒たちは待ちに待った実技授業を受けていた。

 

「みなサーン。ワタクシーは実技担当のクロノス・デ・メディチなノーネ。この学校に来たというコトーは、皆さん一流のデュエリストになることが夢でショウ。ワタクシーは先生なノーネ。分からないことがアレーバ、気軽に聞くノーネ。どの色の制服デーモ、気にせずに質問するノーネ」

 

 制服の色を気にしない。つまり、それは底辺のオシリスレッドだからこそ、分からないことがあれば先生に聞いてすぐに知識をつけていこうという事だろう。寮の作りの違いから結構な差別を食らうのかと思えば、これだ。とてもいい先生なのだろうと遊一は思う。

 

「では早速授業を始めるノーネ。まずはデュエルモンスターズの基礎の復習を――と行きたいところデスーガ。この学校に来たということはそれなりの実力を持っているということなノーネ。まずは先生にその実力を見せてくだサーイ。そして、オシリスレッドの輝司遊一(きしゆういち)

 

「は、はい! 何ですかクロノス先生」

 

「あなたはワタシとデュエルをするノーネ」

 

「え!? 先生とですか?」

 

「あなたはワタシの良く知っている生徒と同じ匂いがするノーネ。だからあなたの実力、この手でしっかりと知っておきたいノーネ」

 

 教室がざわめく。それもそうだ。先生から直々にデュエルの申し込みを受けたのだ。しかもオシリスレッドの生徒にだ。特にオベリスクブルーの生徒が目を見開いて驚いていた。それも、この学校で成績優秀者が良く奴らだからだろう。まぁ、女子は成績に関係なくオベリスクブルーなのだが。

 

「分かりました。先生、俺と良いデュエルをしましょう!」

 

 生徒全員でデュエル場へと向かう。広い空間にどでかいステージがどーんと立っている。遊一とクロノスはそこに立ち、向かい合う。

 

「じゃあ、行きますよクロノス先生!」

 

『デュエル!!』

 

 二人の声が重なる。

 

 遊一:LP 4000

 クロノス:LP 4000

 

 先行はデュエルディスクの機能により自動的に、かつ公平的に決められる。今回はクロノスが先行を取ったようだ。

 

「ワタクシのターン。ドローニョ」

 

 さて、クロノスのデッキはご存知の通り暗黒の中世――アンティークギアデッキである。その特徴として、主力モンスターには攻撃時に魔法・罠を発動できなくなる効果がある。つまり、攻撃反応系の魔法や罠はこのデッキにとって無力に等しい。

 

「ワタークシは……《古代の機械城(アンティーク・ギアキャッスル)》を発動し、《古代の機械騎士(アンティーク・ギアナイト)》を召喚!」

 

 

古代の機械騎士(アンティークギア・ナイト)

デュアルモンスター・星4・地

機械族・効果

攻撃力1800/守備力500

このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、

通常モンスターとして扱う。

フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、

このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●このカードが攻撃する場合、

相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

 

「これによりアンティーク・ギアキャッスルにカウンターが一つ乗り、アンティーク・ギアと名のついたモンスターは攻撃力が300ポイントアップスルーノ!」

 

 

 《古代の機械騎士(アンティーク・ギアナイト)》:攻撃力2100

 

 

「カードを一枚伏せて、ターンエンドなノーネ」

 

 クロノスの場には、攻撃力2100のアンティーク・ギアナイトと、アンティーク・ギアキャッスル、伏せカードが一枚の状況でターンを渡す。 遊一が気を付けなくてはいけないのは、攻撃力が2100もあるアンティーク・ギアナイトではない。気を付けるべきは伏せカードとアンティーク・ギアキャッスルである。

 アンティーク・ギアキャッスルは攻撃力アップの効果だけでなく、アンティーク・ギアの生贄召喚コストにすることができる点である。通常召喚するたびにカウンターが一つ乗り、そのカウンターの数が生贄に必要なモンスターの数以上であれば、アンティーク・ギアキャッスルを生贄に上級モンスターを召喚することができる。

 つまり、次の遊一のターンで破壊できなければ、少なくともレベル6までの上級モンスターをフィールドのモンスターを減らすことなく召喚してきてしまう。だが、そればかりに気を取られている訳にもいかない。クロノスのフィールドには伏せカードもあるのだ。あれがなにかしらのトラップなら、何の対策もなしに突っ込んだものなら遊一は一気に窮地に叩き落されてしまうだろう。それだけは防ぎたい。

 

「俺のターン。ドロー!」

 

 引いたカードを見た瞬間、遊一はニヤリと微笑む。どうやら、この状況を突破することができる札を引いたようだ。

 

「俺は、《円卓の騎士 ペデゥヴィア》を召喚! こいつは相手フィールド上にモンスターが居て、自分フィールド上にモンスターが居ないとき、生贄なしで召喚することが出来る!」

 

 

《円卓の騎士 ペデゥヴィア》

モンスター・星5・炎

戦士族・効果

攻撃力2100/守備力 200

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、生贄なしでこのモンスターを召喚できる。

このカードが召喚に成功したとき、デッキから「炎の剣‐アレミラ」を手札に加える。

 

 

 ソリッドビジョンとして現れたのは、甲冑に身を包み、剣に炎を渦巻かせる騎士だった。

 

「ナルホード、条件ありで生贄なしで召喚することが出来るモンスターナノーネ……。では、《古代の機械城(アンティーク・ギアキャッスル)》の効果発動。カウンターが一つ乗ルーノ」

 

「では、ペデゥヴィアの効果発動! デッキから《炎の剣‐アレミラ》を手札に加える!」

 

「そ、装備魔法?」

 

「そう! 先生見てください。これが……俺のデッキです! 《武装融合》発動!! 手札の《炎の剣‐アレミラ》と《光の剣‐カルンウェナン》を武装融合!!」

 

 

《武装融合》

魔法カード

手札・自分フィールド上から融合装備魔法カードによって決められた、装備魔法を墓地へ送り、その融合装備魔法をエクストラデッキから手札に加える。

 

 

「な、何なノーネ!?」

 

 先生も、もちろん生徒も驚きを隠せないでいる。それもそうだ。装備魔法カードを融合させるだなんて見たことも聞いたこともない。

 実はこのカード。まだ一般に流通していないカードなのだ。

 キャシーの父親はインダストリアル・イリュージョン社でカードデザイナーをやっている。

 遊一やキャシーに新しいギミックを考えて欲しいと言われたとき、遊一は提案したのだ。モンスターだけでなく。魔法カードとかも融合して強力な魔法カードとかにできたらいいのに、と。

 それで生まれたのが融合装備カードである。

 

「いきますよ先生! 《爆炎の双剣‐パロミデス》を手札に加えて、そのままペデゥヴィアに装備します!」

 

 

《爆炎の双剣-パロミデス》

融合魔法カード・装備

炎の剣‐アレミラ+それ以外の装備魔法

装備モンスターの攻撃力が500ポイントアップし、炎属性としても扱う。

装備モンスターは1ターンに2度攻撃することが出来る。

また水属性モンスターと戦うとき、攻撃力が500ポイントダウンする。

 

 

「双剣……ナノーネ?」

 

「はい。《炎爆の双剣‐パロミデス》。このカードの効果は、装備モンスターの攻撃力を500ポイントアップし、一度のバトルフェイズで二回攻撃することができる!」

 

「ななな、ナンデス~ト!?」

 

 

 《円卓の騎士 ペデゥヴィア》:攻撃力2600

 

 

 ペデゥヴィアが持っていた剣が、真っ赤に燃え盛る双剣へと変わる。

 これで2600という強大な攻撃力で二回攻撃が可能になった。これが通ればクロノスは瀕死状態に陥るだろう。ただ、やはり気になるのはあの伏せカードであるが……。

 

(俺の手札にはあの伏せカードを処理するカードがない。ここは一か八か……!)

 

 遊一は意を決して宣言する。

 

「ペデゥヴィアの攻撃! ツイン・フレイム・スラッシュ!」

 

「トラップカード発動ナノーネ! 《攻撃の無力化》! 攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させるノーネ」

 

 攻撃宣言した時のリバースカード発動宣言にはヒヤッとしたが、あれが攻撃の無力化という、自分には害がないカードで心底よかったと思う遊一。しかも、こういった攻撃を無力化するカードは後半に残っていれば残っているほど厄介な存在になるもの。こういった序盤にそれを使わせたことに意味があるだろう。

 だが、これがミラーフォースなどの攻撃に対応して発動するモンスター破壊系統カードだったら大変なことになっていた。こちらは手札を三枚使って装備カードを作ったのだ。これを破壊されてしまえば、ろくな仕事をしないまま、相手のたった一枚のカードでこちらはペデゥヴィアを含めて四枚ものカードを損することになってしまう。

 

「俺はカードを1枚セットし、ターンエンド」

 

 

クロノス LP4000 手札3枚

場 《古代の機械騎士(アンティーク・ギアナイト)

魔法・罠 《古代の機械城(アンティーク・ギアキャッスル)

セット なし

 

輝司遊一 LP4000 手札2枚

場 《円卓の騎士 ペデゥヴィア》

魔法・罠 《炎爆の双剣‐パロミデス》

セット 1枚

 

 

 これで二人の第一ターン目が終了した。両者にダメージが入ることはなかったが、いきなり攻撃力2000を超えるモンスターが飛び出してきたのには舌を巻く生徒も多いようだった。

 これより二巡目が始まる。クロノスのターンだ。

 

「ワタクシのターン。ドロー。それデーワ、《古代の機械城(アンティーク・ギアキャッスル)》の効果を使うノーネ。このカードに乗っているカウンターは二個、ワタクシーハこのカードを生贄に、《古代の機械巨人(アンティー・クギアゴーレム)》を召喚!」

 

 

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)

モンスター・星8・地

機械族・効果

攻撃力3000/守備力3000

このカードは特殊召喚できない。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、

このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を超えていれば、

その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

このカードが攻撃する場合、

相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

 

 ついに現れたクロノスの切り札。こんなにも早いタイミングで出てもいいものかという言葉がちらほらとみられるが、何もおかしいことではない。クロノスのデッキはアンティーク・ギアの為に組み上げている。このような芸当は容易いものだ。

 

「そしてワタクシは魔法カード《大嵐》を発動! フィールドのすべての魔法・罠をすべて破壊するノーネ」

 

 

《大嵐》

魔法カード

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

「なんだって!?」

 

 このままでは強力な装備カードもろとも消滅してしまう。

 だが、

 

「……なんちゃって。リバースカードオープン! 《納刀》! このカードの効果によって場の装備カードはすべて手札に戻るぜ! 残念だったですね先生。俺の融合装備を破壊できなくて」

 

 

《納刀》

罠カード

フィールド上の装備魔法全てを持ち主の手札に戻す。

 

 

「ですが、これでアナタのフィールドに伏せカードがなくなりました。これで心置きなくバトルフェイズに入れるノーネ! 《古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)》の攻撃、アルティメット・パウンド!」

 

 巨大な拳がペデゥヴィアに飛んでいき、成す術もなくペデゥヴィアは潰されてしまう。

 

「くッ!!」

 

 

 遊一:LP4000→3100

 

 

 遊一のライフポイントが900ポイント下がる。だが、これで終わりじゃない。まだクロノスの場にはモンスターが一体残っている。ただ、《古代の機械城(アンティーク・ギアキャッスル)》はもうないので、攻撃力は1800に戻っている。

 

「さらに、《古代の機械騎士(アンティーク・ギアナイト)》でプレイヤーにダイレクトアタック!」

 

 スピアを握りしめた《古代の機械騎士(アンティーク・ギアナイト)》が遊一の体を貫く。

 

「グハッ!!」

 

 

 遊一:LP3100→1300

 

 

 これがソリッドビジョンだと分かっていても恐ろしい。しかも、このデュエルディスクには多少の衝撃がプレイヤーに襲い掛かるというどこまでもリアルに感じられる機能が付いている。腹部に多少の痛みを感じながら、遊一はクロノスを見つめる。

 

「ワタクシはこれでターンエンドなノーネ」

 

「痛ってぇ……。でも、これでこそ面白いんだよな! 俺のターンドロー! よし、《強欲な壺》を発動。これによりカードを二枚ドロー!」

 

 

《強欲な壺》

魔法カード

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

 

 遊一に顔が一気に明るくなる。どうやら、この状況をひっくり返すカードが来たようだ。攻撃力3000と1800のモンスターがいる。どう考えてもこの状況をひっくり返すことは難しいと思われる。

 だが――。

 

「どうやら、逆転の一手となるカードを引いたようなノーネ。では見せてクダサーイ、アナタの戦術を!」

 

「はい! 俺は《武装回収(ウェポン・リカバリー)》を発動。墓地にある装備カード一枚と、《武装融合》のカードを手札に加える」

 

 

武装回収(ウェポン・リカバリー)

魔法カード

自分の墓地から「武装融合」と融合に使用した装備魔法を手札に加える。

 

 

「そして、手札から《援軍要請》を発動! 手札を一枚捨とライフ半分をコストに、デッキから《円卓の騎士 アルトリウス》を特殊召喚!」

 

 

 遊一:LP1300→650

 

 

《援軍要請》

魔法カード

手札を一枚捨て、ライフを半分支払う。デッキから「円卓の騎士」と名のついた戦士族のモンスターを1体をデッキから特殊召喚する。

 

 

《円卓の騎士 アルトリウス》

モンスター・星4・光

戦士族

攻撃力1800/守備力1000 

 

 

 手札一枚とライフを半分失って現れたのは、なんと攻撃力1800の通常モンスターだった。

 この状況で何を考えているのか分からない戦術に、マジメにやれ、というう罵声がチラホラ聞こえてくるが、遊一はこの後にやろうとしていることがあるので気にしないことにした。この後の事で、きっと罵声を浴びせていた生徒も驚くだろうから。

 ワイワイガヤガヤとざわめく生徒たちとは対照的に、黙って遊一の行動を見守るクロノス。逆にこの沈黙が遊一に緊張感を生ませていた。そうだ、どんなときでも緊張感を持って確実なプレイングをすることが何よりも大事なのだ。

 

「そして、《武装融合》を発動。手札の《光の剣‐カルンウェナン》と《爆炎の双剣‐パロミデス》を融合し、現れる剣は《月の力を与えられし剣-カリヌルブス》!! この剣をガラハットに装備!」

 

 

《光の力を与えられし剣-カリヌルブス》

融合魔法カード・装備

光の剣‐カルンウェナン+それ以外の装備魔法カード

このカードを装備したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、光属性としても扱う。

このカードを装備したモンスターが相手モンスターを戦闘によって破壊したとき、破壊したモンスターの守備力の数値だけ相手プレイヤーにダメージを与え、攻撃力の数値だけプレイヤーはライフポイントを回復する。

 

 

 《円卓の騎士 アルトリウス》:攻撃力2800

 

 

 攻撃力が1000ポイント上がったところで状況が変わるわけでもない。だが、遊一は更なるカードを出そうと手札に手を伸ばしている。笑いそうでいる顔を必死に抑え込んでいる様子がはだから見ていて分かる。

 

「そして……俺はアルトリウスとカリヌルブスを生贄に、現れろ! 《円卓の騎士 アーサー・ペンドラゴン》!」

 

 

《円卓の騎士 アーサー・ペンドラゴン》

モンスター・星7・光

戦士族・効果

攻撃力2500/守備力2100

このモンスターは通常召喚できない。このカードはフィールド上の「月の力を与えられし剣-カリヌルブス」と光属性・戦士族のモンスターを墓地に送った場合のみ、

特殊召喚することができる。

1ターンに1度、墓地の「月の力を与えられし剣-カリヌルブス」を装備してもよい。

メインフェイズ2時、装備カードを墓地へ送ってよい。

そうした場合、このターンに破壊したモンスターのレベル×100のダメージを与える。

 

 

 そこに現れたの金髪で中性的な顔立ちの騎士であった。

 だが、まだ足りない。むしろ遠ざかっている。しかし、このような行動を取るということは、遊一に勝利をもたらす何かがあるということだ。

 

「アーサーの効果発動! 一ターンに一度、墓地に存在する《光の力を与えられし剣-カリヌルブス》を装備できる」

 

 

《円卓の騎士 アーサー・ペンドラゴン》:攻撃力3500

 

 

「これで、攻撃力は3500ポイント! 《古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)》を超えたぜ! 行くぜ、バトルフェイズ。アーサーで《古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)》に攻撃! シャイニング・ブレイブ・ブレード!」

 

 アーサーが光り輝く剣を握りしめて、強大な機械巨人に飛び込んでいき、上から下へと真っ二つに切り裂いた。ゴーレムはゆっくりと崩れ去っていく。

 

「この瞬間、カリヌルブスの効果発動! 戦闘破壊したモンスターの攻撃力の数値分を自分のライフポイントに加え、守備力の数値分のダメージを、相手に与える」

 

 

 遊一:LP650→3650

 クロノス:LP4000→500

 

 

 これで遊一とクロノスの立場は逆転した。だが、倒すには一歩及ばず。ライフポイントをわずかに残してしまった。これでターンを渡してしまえば、クロノスに逆転のチャンスを与えてしまうことになるが、遊一は勝利を確信した表情になっていた。

 

「これでワタクシの切り札の《古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)》はなくなったノーネ。ですが、ワタクシのライフはまだ残っていまスーノ。これ以上は何もないノーネ?」

 

「いいや先生。まだ俺の攻撃は終了してないぜ! メインフェイズ2、アーサーの効果を発動! モンスターを戦闘破壊した時、装備カードを墓地に送り、その戦闘破壊したモンスターのレベル×100ポイントのダメージを与える。いけ、シャイニング・レイ!!」

 

 アーサーは剣を天高くへと剣を投げ飛ばす。すると、天から一線の光が飛び出し、一直線にクロノスの体を貫いた。

 アンティーク・ギアゴーレムのレベルは8、つまり、800ポイントのダメージがクロノスに与えられる。よって、このデュエルの勝者は遊一に決まった。

 

 

 クロノス:LP500→0

 

 

「よっしゃああああああ!! 良いデュエルでしたよ、先生!」

 

 遊一はとびっきりの笑顔でクロノス先生に言う。

 するとクロノス先生は遊一の顔を見た瞬間に笑い出してしまった。いったいどうしたというのだろうか。

 

「先生、いったい何がおかしいんです?」

 

「ワタクシが教えていたある生徒にそっくりナノーデ、うっかり笑ってしまったノーネ。輝司遊一、良いデュエルだったノーネ。みなサーン、輝司遊一に拍手を!」

 

 大半の生徒が拍手をする中、どうも気に食わない生徒もいるようだった。それこそオベリスクブルーの男子生徒。やはり、あそこは何だか気に好かないな、と思う遊一。だけど、良いデュエルができた。それが何よりもうれしかった。

 その後、一年生だけでなく、二年生と三年生にも、クロノス先生を粉砕・玉砕・大喝采したという噂が広まってしまうのはまた別の話。




今日の最強カードは!?

円卓の騎士 アーサー・ペンドラゴン
モンスター・星7・光
戦士族・効果
攻撃力2500/守備力2100
このモンスターは通常召喚できない。
このカードはフィールド上の「月の力を与えられし剣-カリヌルブス」と光属性・戦士族のモンスターを墓地に送った場合のみ、特殊召喚することができる。
1ターンに1度、墓地の「月の力を与えられし剣-カリヌルブス」を装備してもよい。
メインフェイズ2時、装備カードを墓地へ送ってよい。
そうした場合、このターンに破壊したモンスターのレベル×100のダメージを与える。

円卓の騎士 ペデゥヴィア
モンスター・星5・炎
戦士族・効果
攻撃力2100/守備力 200
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、生贄なしでこのモンスターを召喚できる。
このカードが召喚に成功したとき、デッキから「炎の剣‐アレミラ」を手札に加える。

円卓の騎士 アルトリウス
モンスター・星4・光
戦士族
攻撃力1800/守備力1000 
岩に刺さった剣を抜いたとき、彼は光の力を授かり聖騎士として君臨する。

武装融合
魔法カード
手札・自分フィールド上から融合装備魔法カードによって決められた、装備魔法を墓地へ送り、その融合装備魔法を融合デッキから手札に加える。

援軍要請
魔法カード
手札を一枚捨て、ライフを半分支払う。デッキから「円卓の騎士」と名のついた戦士族のモンスターを1体をデッキから特殊召喚する。

武装回収(ウエポン・リカバリー)
魔法カード
自分の墓地から「武装融合」と融合に使用した装備魔法を手札に加える。

光の力を与えられし剣-カリヌルブス
融合装備魔法
光の剣‐カルンウェナン+それ以外の装備魔法カード
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、光属性としても扱う。
また、装備モンスターが相手モンスターを戦闘によって破壊したとき、破壊したモンスターの守備力の数値だけ相手プレイヤーにダメージを与え、攻撃力の数値だけプレイヤーはライフポイントを回復する。

爆炎の双剣-パロミデス
融合装備魔法
炎の剣‐アレミラ+それ以外の装備魔法
装備モンスターは攻撃力が500ポイントアップし、炎属性としても扱う。
また、装備モンスターは1ターンに2度攻撃することが出来る。
水属性モンスターと戦うとき、装備モンスターの攻撃力が500ポイントダウンする。

以上オリカ紹介でした。
オリキャラたちが使うカードをすべて考えなくちゃいけないから大変です。
バランスを考える方が更に大変。物語を盛り上げるための迫力ある効果にしようとしたらやりすぎたりと、色々と考えて制作中です。

それから、輝司遊一君が使うカードは見ての通り、円卓の騎士をモチーフにしています。ただ、公式から同じテーマカードが現れて大変なことにw
これを考えたときはそんなカードなかったんだ。だから許してw
以上です。
あとがきがこんなに長くてごめんなさい。
では。
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