デュエルの詳細を記述し、カード名を《》で閉じてみました。
【追記 6月9日】
カードの名称と効果を修正。重ね重ねすみません……。
1
「ゆ、遊一~居る~?」
オシリスレッドの寮のある一部屋の前にオベリスクブルーの制服の着た金髪の美人さんが立っていた。このような貧相なアパートのような寮に、まったくもって不釣り合いな存在。そのような存在に気付いたオシリスレッドの男子たちがざわついている。
――おいっ! ナンだよあの金髪美人は?
――シラネ~ヨ……あの部屋……確か輝司たちの部屋だったよな?
――な、何っ!? なんだ!? 遊一なのか? あんなかわいい彼女持ってんのか!?
――何ぃ!? 彼女だと!? あんやろ~……クロノス先生を負かしたからって、いい気になりやがって~!!
――お!?降りてくるぞ……。
と、男子共が期待しながら彼女が来るのを待つが、一向に来る気配がない。だが困っている様子だったので、このオシリスレッドの男子たちは彼女を助けてあげて会話をしてみようということになった。
「あの……もしかして、遊一君に御用で?」
するとその金髪の女性はびっくりして、
「え? ……は、はい。遊一に会いにきたのですが、居ないみたいなんで……。ゆ、遊一が何処に行ったのか知ってます?」
男子が黙り込んだ。男子たちの中で何かが通じ合ったようだ。
「あ、あの! お名前は!?」
数人の男子共が一斉に聞いた。
「ひぇ!?」
突然の大声に身がたじろぐ野郎ども。こんなところで変態扱いされるなんて絶対に嫌である。彼らは必死に理由を説明する。
「い、いや、遊一君が戻ってきたら、あなたの名前を伝えておこうと思いまして!」
またもや、男子どもはそろってその言葉を発した。
「あ、そうですね……。えっと、私はキャシー・ケネディーといいます。えとぉ……遊一が帰ってきたら、私が来たことと……連絡を入れるようにと伝えてくれますか?」
と少し赤面しながら首をこれまた少し傾げて、お願いをした。
男子はその顔にノックダウンしてしまう。
「は、はいぃ……。分かりましたぁ……」
男子はもうトロトロです。これがブロンド美女の力だというのだろうか。
そしてキャシーはその場を立ち去る。
――おい。
――ああ、分かってる。
『……
2
さて、その頃の遊一はというと、物凄い気まずい状況に遭遇していた。
これも、暇だから島を散歩しようなんて思ったのが始まりだ。ブルー寮付近の湖の近くを通りがかったところ、男女の告白らしき場面に遭遇してしまったのだ。しかも、タイミング的にここから逃げられない。動いたらその男女たちに気付かれてしまう。彼はそんな気まずい状況になるのは嫌だった。
「なぁ……なんでよ? 俺じゃ駄目だっていうのか? 朝倉さん」
どうやら、女子生徒の方があの男子を嫌がっているようだった。告白は断ったらしい。
「なんでかって? あなたは私のナイトにはふさわしくないもの……」
「……はぁ? ナ、ナイト? で、でも、俺は成績だって良いし、オベリスクブルーなんだぜ? それに、男女問わず結構人気者だ……デュエルだって結構強いんだぜ?」
彼女の発言に対して男の速攻魔法「自己アピール」を発動した。この効果により、相手に自分の事を印象付けることができる。さらに、特技等を知ってもらうことができる。
「ふふ……デュエルだって結構強い? あなたより強い人だったらいっぱい居るわよ? オベリスクブルーだけなら桜井要……とかね」
しかし、女の方がすかさずカウンタートラップ。この効果により、男に混乱状態にすることができる。
ここで遊一は彼女が出した名前に疑問を持った。桜井要、それはたしか、中等部から編入してきた人だったはずだ。しかも、デュエルの腕も一年生の中ではトップクラスだって話だ。それが本当なら、デュエルしてみたい。彼の実力に触れてみたいと思った。
「桜井? なんだ……あいつのことが好きなのか?」
「いいえ、そんなことはないわ……ただ、私よりデュエルが強くて、私をしっかりと守ってくれる方……そんな人が私と付き合う条件なの」
「……じゃぁ、デュエルして、勝てばいいんだな?」
「デュエルして勝っても……さらに強い人はいるわよ? まぁ……するだけしましょうか……」
彼女は少しかったるい感じでデュエルディスクにデッキを装着した。そこまで面倒くさいのだろうか。まぁ、興味ない男からそんなこと言われたらそう思うのも仕方がないのだろうけども。
(なんか、デュエルするみたいだ……。よし、隙をうかがってここから脱出だ……っ!)
「じゃあ、いくよ。朝倉さん」
「ふふ……。どうせ、私にも勝てないと思うわよ?」
「な、何だと!?」
なかなかデュエル始まらない。しかも口ゲンカが始まりだした。
この隙にこの場を立ち去ろうとする遊一。だが、その瞬間、遊一の足元の木の根につまずいてしまう。遊一は思いっきり前に倒れていく……。
「あ……」
情けない声をあげて、ズサズサと音を立ててすっ転ぶ遊一であった。
その二人から離れてはいるが、思いっきり目立つところに転んだもんだからものすごい勢いで見つかってしまった遊一。冷や汗が流れだす。
(おいおい、何の冗談ですかこれは? 何処のドジっ子だよ? ……なんか、男と女の子がこっち見てるんですけど……。なんか、気まずいなぁ……。って、女の子の方近づいてくるし……最悪だぁぁぁぁぁ!!)
「アナタは、クロノス先生に勝ったっていう
「は?」
「たしか、彼は珍しいカードを使うって聞いたわ……。《武装融合》だったかしら?」
遊一は立ち上がりながらこう言った。
「ああ、はい。俺が輝司遊一です」
「じゃぁ……その、《武装融合》ってカード見せてくれないかしら?」
「え? ああ、いいですけど……」
と言ってデッキケースから《武装融合》を取り出した。
「へぇ……珍しいカード持ってるのね?」
「はい、まだ俺しか持ってませんよ、そのカードは」
「え、どういうこと?」
衝撃の事実に驚いた顔をする少女。
「俺の幼馴染のお父さんがカードデザイナーで、俺がそのカードのアイディアを考えて、それでカード化してくれたんです。まぁ、今後しっかりと販売されますけどね……。テストプレイヤーとしていまやっています」
彼女はカードを遊一に返して、こう言った。
「ふーん……ああ、申し遅れました、私は朝倉
朝倉楓と名乗った彼女は、黒髪ロングでとても清楚な感じがあり、なおかつ年上を思わせる雰囲気だった。とても余裕があるような、そんな彼女。さきほど告白されているだけあってとても可愛い。いや、美人である。
「ああ、はい……よ、よろしくお願いします。わかってると思いますけど、俺も一年生です」
少しの沈黙、とても気まずい。なんでこうなってしまったのか、やっぱり、けさ散歩しようだなんて思ったのが運の尽きだったようだ。
そんな空気の中、最初に口を開いたのは楓だった。
「そうだ! 私とデュエルしない?」
「え? ……あの人は?」
「ああ、あの人とデュエルするより、クロノス先生を倒しちゃった人とデュエルした方が面白いじゃない?」
「え……?」
と、彼女は振り向き男性に向かって言い張った。
「ああ、あの~国木田君?帰っていいわ。私、輝司君とデュエルするから」
彼女は本当に言い張ってしまった。
(おいおい、いいのかよ……。なんか睨まれた様な気がするんですけど……?)
すると、さっきまでのかったるい雰囲気を醸し出していた彼女が一転してキリッとした大人の女性を思わせる雰囲気を醸し出し始めた。先ほど同い年とは言われていても、とても同い年には感じられない。
「じゃあ、さっそくデュエルしましょうか?」
「え……あぁ……良いですけど」
広いところへ二人で歩いていく。池の隣に行き、お互いにデッキを丁寧にシャッフル。デュエルディスクにセットし、適度な距離を取る。
「じゃあ、いきますよ?」
「ええ、良いわよ~」
『デュエル!!』
遊一:LP 4000
楓:LP 4000
「私のターン……カードドロー。私は《ウィンドマジシャン コモーション》を守備表示で召喚」
《ウィンドマジシャン コモーション》
モンスター・星2・風
魔法使い族・効果
攻撃力 700/守備力 700
このカードがフィールド上から墓地に送られたとき、「ウィンドマジック」と名のついた魔法カードをデッキから手札に加える。
そこに現れたのは、白い生地に緑のラインが入ったローブを着た男性だった。ただ、杖のようなものは持っておらず、掌には何かが渦巻いているのが分かる。あれは風であろう。
「そして、《ウインドマジック―ウィンド・ドロー―》を発動。“ウィンドマジック”は、自分の場に“ウィンドマジシャン”が存在しないと発動できないの。そして、手札から“ウィンドマジシャン”と名のつくカードを一枚デッキに戻し……シャッフル。そして二枚ドロー」
《ウィンドマジック‐ウィンド・ドロー‐》
魔法カード
このカードは自分フィールド上に「ウィンドマジシャン」と名のついたモンスターが存在しなければ発動できない。「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに2度までしか発動できない。手札から「ウィンドマジシャン」と名のついたカードをデッキに戻し、カードを2枚ドローする。
「カードを1枚セットして、ターンエンドよ」
相手のデッキは“ウィンドマジック”というカードを使った魔法カードを中心として扱っていくとてもテクニカルなデッキの様だ。ただし、デメリットがある。先ほど彼女が言ったように、その強力な効果故、『一ターンに二回まで』しか唱えることが出来ない。
現状では、いったいどんな魔法カードを握っているのかわからない。迂闊な事をすれば、一瞬で再起不可能なほどに追い詰められてしまうだろう。
「俺のターンドロー! 風を味方にする魔術師が相手なら、俺はこれだ!! 俺は、《円卓の騎士 エクター》を召喚!」
《円卓の騎士 エクター》
モンスター・星4・風
戦士族・効果
攻撃力1700/守備力1000
「風の剣‐ブルーノ」が装備されたこのモンスターが攻撃したとき、フィールド上のカードを1枚持ち主の手札に戻すことができる。
「風属性のナイト……ね」
「そうです、風の騎士がこのエクターだ。 エクターに《風の剣‐ブルーノ》を装備。これにより攻撃力が400ポイントアップ! そして、このカードがモンスターに装備された時、フィールドの魔法、またはトラップ一枚を手札に戻すことが出来る。俺はその伏せカードを手札に戻す!」
《風の剣‐ブルーノ》
魔法カード・装備
このカードを装備したモンスターは400ポイントアップ。このカードがモンスターに装備されたとき、魔法・罠カードを1枚手札に戻す。
《円卓の騎士 エクター》:攻撃力1700⇒2100
エクターが持つ券剣から竜巻が発生し、伏せカードに向かってく。伏せカードはその竜巻に巻き込まれ、手札に戻った。
楓は少しばかり、悔しそうな顔をしたのを遊一は見逃さなかった。その顔から想像するに、あの伏せカードはおそらくとても強力な罠に違いない。しかし、手札に戻してしまえばどうしようもできない。ここは攻撃あるのみだ。
「いくぜ! エクターで《ウィンドマジシャン コモーション》に攻撃! サイクロン・ブレード!」
エクターによる攻撃で、《ウィンドマジシャン コモーション》は貫かれ破壊された。だが、表示形式は守備表示、ライフを削られることは無い。
「くっ! 《ウィンドマジシャン コモーション》の効果発動! 戦闘により破壊されたとき、デッキから“ウィンドマジック”と名のついたカードを一枚手札に加える」
彼女の手札に“ウィンドマジック”のカードが加わった。一体何を加えたのか、それが分からずとても不安になる。しかし、とてもテクニカルのデッキのようだ。そのようなデッキを使うということは、あの朝倉楓というデュエリストは只者ではない。
「とりあえず、リバースカードを一枚セット。ターンエンドだ」
輝司遊一 LP4000 手札3枚
場 《円卓の騎士 エクター》
魔法・罠 《風の剣―ブルーノ》
セット 1枚
朝倉楓 LP4000 手札5枚
場 なし
楓のターン。カードを引くと、彼女は微笑んだ。何やら良いカードを引いたようだが、どう動くのか……。
「私は《ウィンドマジシャン ゲイル》を攻撃表示で召喚。効果発動。デッキから、魔法カードを三枚選び、相手プレイヤーはその中からランダムに一枚選び、そのカードをセットする。私はこの三枚を選ぶわ。さぁ、この中から一枚を選んで?」
《ウィンドマジシャン ゲイル》
モンスター・星4・風
魔法使い族・効果
攻撃力1700/守備力1000
このモンスターが召喚に成功したとき、デッキから3枚の魔法カードを選択肢する。相手はランダムに1枚選択し、そのカードを場にセットする。そのカードは次のターンにならなければ使用できない。
楓が提示した三枚のカードは《強欲な壺》、《ウィンドマジック‐エネミー・コントロール‐》、そして先ほど発動した魔法カードと同じ《ウィンドマジック‐ウィンド・ドロー‐》である。
まったくもって、どれを選んだとしても当然ながら相手が有利になるカードばかりだ。
ちなみに楓が提示した三枚のカードの内の一枚。《ウィンドマジック‐エネミー・コントロール‐》とは、相手のモンスターのコントロールをそのターン中奪うという洗脳系の魔法カードである。
迷っていてもしょうがないと思った遊一は自分の勘を信じて一枚のカードを選択する。
「俺は……その真ん中のカードだ」
「じゃあ、このカードをセットして、残りはデッキに戻す。ちなみにこのセットされたカードは次の私のターンまで使えないわ。安心してね。そして私は手札から永続魔法カード、《ウィンドマジック‐パワー・ブースト‐》を発動。“ウィンドマジシャン”一体の攻撃力をこのターンの終わりまで1500ポイントアップさせる。ゲイルの攻撃力を1500ポイントアップ!」
《ウィンドマジシャン ゲイル》:攻撃力1700⇒3200
まさかの攻撃力3000超えに遊一は冷や汗を流す。ただ、焦っていてもしっかりと冷静な自分がいて、相手のカード効果をデュエルディスクの機能を使ってしっかりと確認する。
このパワーアップ効果はこのターンだけなのだ。だから、このターンが終わればゲイルは弱体化する。
「バトルよ! ゲイルで《円卓の騎士 エクター》に攻撃!!」
《ウィンドマジシャン ゲイル》の攻撃力は3200、《円卓の騎士 エクター》の攻撃力は2100、その差分の1100ポイントが引かれる。
遊一:LP4000→2900
「カードを一枚伏せて……ターンエンド」
一気に1100ポイントも削られた。相手の場には攻撃力が1700ポイントに戻った《ウィンドマジシャン ゲイル》と、永続魔法である《ウィンドマジック‐パワー・ブースト‐》、そしてリバースカードが一枚。
“ウィンドマジック”の特徴は、そのほとんどが『永続魔法』だということ。効果を使用した後に場に残り、『手札に戻ることによって異なったウィンドマジックを手札に加える』ことができる。
だから、“ウィンドマジシャン”には魔法・罠を手札に戻すカードが多い。それは“ウィンドマジック”を手札に戻して連続でカードを使うためのものだ。
「俺のターン、ドロー。俺は《円卓の騎士 アルトリウス》を攻撃表示で召喚する」
《円卓の騎士 アルトリウス》
モンスター・星4・光
戦士族
攻撃力1800/守備力1000
「そして、魔法カード、《研磨》を発動する! このカードは、墓地の装備カードをデッキに戻し、新たな装備魔法を手札に加えることが出来る魔法カードだ。俺は墓地の《風の剣‐ブルーノ》をデッキに戻し、《光の剣‐カルンウェナン》を手札に加える。これをガラハットに装備だ」
《研磨》
魔法カード
墓地から装備カードを1枚デッキに戻す。戻したカード以外の装備魔法カードをデッキから手札に加える。
《光の剣‐カルンウェナン》
魔法カード・装備
このカードを装備したモンスターの攻撃力は500ポイントアップ。このカードがフィールドから墓地へ送られたとき、「武装融合」をデッキから手札に加える。
《円卓の騎士 アルトリウス》:攻撃力1800⇒2300
「バトルだ。アルトリウスで《ウィンドマジシャン ゲイル》を攻撃! 光の剣!」
「この瞬間にリバースカードオープン! 《サイクロン》よ。このカードの効果によって《光の剣‐カルンウェナン》を破壊する」
《サイクロン》
速攻魔法
フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
《サイクロン》によって《光の剣‐カルンウェナン》が破壊されたことによってガラハットは攻撃力1800に戻る。だが、攻撃力1700の《ウィンドマジシャン ゲイル》は100ポイント攻撃力が及ばなかった。
「だが残念。100ポイント足りないようだな」
楓:LP4000→3900
「ええ、まさかここで攻撃力1800を出してくるとは思わなかったわ。あなたのデッキは強力な装備カードを使ってモンスターの攻撃力や効果を高めるといったもの……。この《サイクロン》なら、上手く奇襲できるかなと思ったんだけど、まさか素でゲイルの攻撃力を超えてくるとは……思った通りに行かないものね、デュエルって」
「まぁ、デュエルってそんなものだよ。実はな、《光の剣‐カルンウェナン》には攻撃力を上げる効果だけじゃないんだ。このカードが墓地に贈られたとき、《武装融合》をデッキから手札に加えることが出来る!」
「なんですって!? そんな効果まで……。《サイクロン》の使用タイミングを間違えたわね。ダメージを減らすためだけに《サイクロン》を使うんじゃなかったわ……」
「目先の事しか考えないプレイングは後々に後悔することになる。まぁ、俺も人の事言えないですけどね。俺はこれでターンエンド」
輝司遊一 LP2900 手札3枚
場 《円卓の騎士 アルトリウス》
魔法・罠 《光の剣‐カルンウェナン》
セット 1枚
朝倉楓 LP3900 手札3枚
場 なし
魔法・罠 《ウィンドマジック‐パワー・ブースト‐》
セット 1枚
彼の場には、《円卓の騎士 アルトリウス》とリバースカードが二枚。楓の場には《ウィンドマジック‐パワー・ブースト‐》と、《ウィンドマジシャン ゲイル》の効果で伏せた魔法カードが伏せられている。
遊一が選んだあの魔法カードが何かによっては一気にピンチになる。特に洗脳する《ウィンドマジック‐エネミー・コントロール‐》だったら、彼の場は丸裸だ。彼の場に伏せられているカードは《納刀》。しかし、装備カードすらない現状では何の意味も持たない。
先ほど《納刀》で《光の剣‐カルンウェナン》を手札に戻さなかった理由は二つ。まず一つは《武装融合》を手札に加えたかったこと。そして二つ目は回収して再び装備したところで、洗脳されてコントロールを奪われれば、攻撃力2300のモンスターが自分を襲うことになる。
それならば、破壊させて《武装融合》を手札に回収し、強力な装備魔法につなげた方が良いはずだ。
「私のターン。ドローして、リバースカードオープン。ありがとね、遊一君♪ 私は《強欲な壺》の効果でカードを二枚ドロー」
《強欲な壺》
通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
楓はその効果でカードを二枚引き、彼女の手札は五枚まで増えた。
彼は緊張によって肺に溜め込んだ空気を一気に外に出す。洗脳カードじゃなくて本当に良かったと。たしかに、《強欲な壺》は発動しただけでアドバンテージを得られる強力なカード。だからこそ制限カードとなている。それを選んでしまった事は変わりないのだが、自分が敗北する可能性が最も高くなる悪手を回避できたのだ。
「ふふ……。私は《ウィンドマジシャン ブリーズ》を召喚」
《ウィンドマジシャン ブリーズ》
モンスター・星4・風
魔法使い族・効果
攻撃力1000/守備力 500
魔法カードが発動されたとき、このカードにウィンドカウンターを1つ乗せる。ウィンドカウンターを2つ取り除くことで自分フィールド上の魔法・罠ゾーンのカードをすべて手札に加える。
「そして……、私はこのフィールド魔法、《ウィンド・フォース・フィールド》を発動!!」
《ウィンド・フォース・フィールド》
魔法カード・フィールド
「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに何回でも発動することができる。
二人の周りには不思議な風が吹き荒れ、周囲の木が不規則にザワザワと音を立てる。
「この《ウィンド・フォース・フィールド》は、“ウィンドマジシャン”の魔力が無限にある空間。その効果によって、私は“ウィンドマジック”を一ターンに何回でも発動することが出来る!」
「な!?」
思いもよらないカードが出てきたことによって、遊一は思わず声をあげてしまった。
(マジかよ……。ただでさえ強力な効果を持つ魔法カードが、このフィールド魔法の効果によって使い放題だと!? 強力だから二回までの規制があるんじゃねえのかよ、クソッ!! どう動いてくる?)
楓の手が手札に伸びる。それはそうだ。このようなフィールド魔法を発動したのだ。“ウィンドマジック”を発動しないわけがない。
「そして、《ウィンドマジシャン ブリーズ》の効果発動! 魔法カードを発動した時、このカードに“ウィンドカウンター”を一つ乗せる。そして、手札から永続魔法カード、《ウィンドマジック‐ウインド・ブレイク‐》を発動。手札を一枚捨て、相手の魔法・罠カードを二枚まで破壊することが出来る!」
《ウィンドマジック‐ウインド・ブレイク‐》
魔法カード・永続
このカードは自分フィールド上に「ウィンドマジシャン」と名のついたモンスターが存在しなければ発動できない。「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに2度までしか発動できない。このカードの発動に成功したとき、手札を1枚捨てる。相手の魔法・罠ゾーンのカードを2枚まで破壊する。このカードがフィールドから手札に戻ったとき、このカードをデッキに戻すことで他の「ウィンドマジック」と名のついたカードをデッキから手札に加えることができる。
だが、遊一の伏せていたカードは《納刀》。特に破壊されたところで痛くは無い。だが、これで終わるわけはない。魔法カードを使う度にあの《ウィンドマジシャン ブリーズ》にカウンターが乗っていく。つまり、何らかの効果があるということ。
「《納刀》かぁ、そんな良いカードではなかったけど、私の目的は“ウィンドマジック”を発動すること。魔法カードを使ったことによって更に《ウィンドマジシャン ブリーズ》にカウンターが乗る。これでカウンターは二つ。効果を発動! このカウンターを取り除くことによって、自分フィールド上の魔法・罠カードを手札に戻す」
そう、これが“ウィンドマジシャン”の力だ。“ウィンドマジシャン”がいないと使うことの出来ない“ウィンドマジック”。そのほとんどが『永続魔法』だということは理由がある。いま朝倉さんがやったように、自分の魔法・罠カードを手札に戻す行為。それは決して無駄な事ではなく、ちゃんと理由がある。それは――。
「手札に戻った“ウィンドマジック”二枚の効果を発動! 手札に戻ったこのカードをデッキに戻すことによって、新たなウィンドマジックを手札に加えることが出来る。私は《ウィンドマジック‐ウィンド・ドロー‐》と《ウィンドマジック‐エネミー・コントロール‐》を手札に加えるわ。残念ながら、いま戻したパワー・ブーストは手札に加えることが出来ない。使えればこのターンで私の勝ちだったんだけどね。そして、再び《ウィンド・フォース・フィールド》を発動。これで私は更に“ウィンドマジック”を唱えることが出来る!」
次々と発動されていく“ウィンドマジック”。まずは《ウィンドマジック‐ウィンド・ドロー‐》の効果で手札の“ウィンドマジシャン”をデッキに戻して二枚ドロー。
更に《ウィンドマジック‐エネミー・コントロール‐》の効果によって遊一の《円卓の騎士 アルトリウス》のコントロールを奪われた。
《ウィンドマジック‐エネミー・コントロール‐》
魔法カード・永続
このカードは自分フィールド上に「ウィンドマジシャン」と名のついたモンスターが存在しなければ発動できない。「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに2度までしか発動できない。相手のモンスター1体のコントロールをこのターンのエンドフェイズまで得る。そのモンスターのコントロールが元に戻ったとき、このカードをデッキに戻し、他の「ウインドマジック」と名のついたカードをデッキから手札に加えることができる。
彼は先ほど《納刀》で《光の剣‐サグラモール》を手札に戻して再び装備しなかったことに安堵した。もし、そうしていたら彼の負けだったからだ。《円卓の騎士 ガラハット》の攻撃力は1800。《ウィンドマジシャン ブリーズ》の攻撃力は1000。その合計数値は2800。遊一のライフポイントは――2900――。
「いくわよ。《円卓の騎士 アルトリウス》と《ウィンドマジシャン ブリーズ》でダイレクトアタック!!」
「うわああああああ! くっ……」
遊一:LP2900→100
「はぁ……削りきれなかったか……。まぁ、次のターンが来れば私の勝ちだけどね。リバースカードをセットして私はターン終了を宣言。このエンドフェイズ時にアルトリウスは君のフィールド上に戻る。そして《ウィンドマジック‐エネミー・コントロール‐》の効果により、このカードデッキに戻して新たなウィンドマジックを手札に加える。私が加えるカードはコレ! 《ウィンドマジック‐ダメージ・コントロール‐》。このカードは発動時に500ポイントのダメージをお互いに受ける。つまり、遊一君は次のターンで私を最低でもライフポイントを500以下にしないと一方的に負けてしまうってわけ。さあ、見せて、君のタクティクスを!」
そこまで言われたらこっちとしては勝つしかない。だが、この手札では勝つことはできない。次のドローですべてが決まる。勝敗がつく。その瞬間が刻一刻と迫ってくる。
「俺のターン!!」
ライフポイントは100と風前の灯。そして、楓の場にはリバースカードが一枚。このドローによって俺の勝敗が決まる。さて、何が出るか――。
「君のデッキはちゃんと答えてくれた? 君のそのドローはこの危機的状況を打破できるものだった?」
「はい! その通りですよ。俺のデッキはちゃんと答えてくれた。俺は手札から《援軍要請》を発動! このカードは手札を一枚とライフ半分をコストに、デッキから『円卓の騎士』と名のついたモンスターを特殊召喚することが出来る。俺はデッキから《円卓の騎士 ランスロット》を特殊召喚!」
遊一:LP100→50
《援軍要請》
魔法カード
手札を一枚捨て、ライフを半分支払う。デッキから「円卓の騎士」と名のついた戦士族のモンスターを1体をデッキから特殊召喚する。
《円卓の騎士 ランスロット》
モンスター・星6・闇
戦士族・効果
攻撃力2400/守備力1000
このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから「闇の剣―ディナダン」をこのカードに装備する。
この効果で「闇の剣‐ディナダン」がこのカードに装備されたとき、相手の場のカード1枚を破壊する。
「このモンスターの効果により、デッキから《闇の剣‐ディナダン》をランスロットに装備する。これによってランスロットの更なる効果が発動。相手のカードを一枚破壊する。俺はそのリバースカードを破壊する」
「私の《聖なるバリア‐ミラーフォース‐》が……。やるわねあなた。これは私の負けかな」
「そして、俺は《武装融合》を発動。場の《闇の剣‐ディナダン》と手札の《鋼鉄の盾‐ライオネル》を融合。現れる
《闇を支配する剣‐アロンダイト》
融合魔法カード・装備
闇の剣‐ディナダン+それ以外の装備魔法
このカードを装備したモンスターは攻撃力が1000ポイントアップし、闇属性としても扱い、カード効果による破壊を無効にする。
守備モンスターを戦闘によって破壊したとき、攻撃力が相手モンスター守備力を上回っていた場合、その差分相手プレイヤーにダメージを与える。
《円卓騎士 ランスロット》:攻撃力2400⇒3400
「いくぜ! アルトリウスで《ウィンドマジシャン ブリーズ》に攻撃!」
アルトリウスが物凄いスピードで駆けていき、横に一閃。《ウィンドマジシャン ブリーズ》の体は横に真っ二つになる。
「くっ」
楓:LP3900→3100
「そして、《円卓の騎士 ランスロット》でダイレクトアタックだ。ダークネス・カタストロフィ!」
「きゃああああああああ!!」
禍々しい何かを帯びた剣が、彼女の体に突き刺さる。やはりソリッドビジョンだと分かっていてもとても痛そうだ。
楓:LP 0
「よっしゃ、俺の勝ちだ! ありがとうございました、朝倉さん。良いデュエルでしたね」
「…………」
どうしたんだろうか。返事がない、ただの屍のようだ……。いや、小さな声で何か言っているようだ。かすかに口が動いているのが見えた。どうしたんだろうか……?
遊一は彼女の下へと駆け寄った。一体どうしたのだろうかと心配になったからだ。もしかしたら、遊一に負けたことがそんなにショックだったか? まぁ、ライフポイント100まで追い詰めておいて一気に逆転されたんだ。それはショックだろう。
「見つけました。私のナイト……。遊一さん。わ、私のカ、カレシになってください!!」
「え、な、ちょっと……ええええええええええええ!?」
突然の出来事に思わず大声を出してしまう。頭の中が混乱して、こんなときどんな行動を取ればいいのかもわからない。いままで恋人なんかできたことがない彼にとって、未知の体験だった。
(ちょっとまて、何? 何なのこの状況。一体どこに、どこに俺に惚れる要因があった? このデュエルか? このたった一回のデュエルで俺に惚れた? ふざけんなよ、突然すぎて頭の中の整理が追いついてねぇ……)
頭を抱え、下を向いて頭を整理しようと頑張っているところに、楓がしゃがんで遊一の顔を覗いてくる。
「あのぉ……駄目でしょうか?」
「あ、いや、駄目って訳じゃないけど……、いきなりだったから混乱しちゃって……」
「そ、そうですよね。いきなり過ぎでしたよね? じゃあ、その、返事は今すぐでなくてもかまいませんから。あの……とりあえずと、友達からで、いいで、しょうか? あ。あ、あの、その……、えっと……。れ、れ、れ、連絡先を教えていただいても……?」
「あ、ああ。いいけど……」
おもわずOKと言ってしまった遊一。そう言ってしまったからに、遊一はPDAを取り出す。
ちなみにPDAとはこの島で連絡用に使われるスマートフォンのようなものだ。これ一台で普通の通話にテレビ電話、メール、インターネットなど様々な機能がある。
(まてまてまてまて、何なのこの子。最初に会ったときとか、デュエルしていたときの雰囲気とはまるで別人になってねえか? ずいぶんとまあ、シャイな子になってしまって……。ちょっと可愛いじゃねえか……)
とりあえず、この二人は連絡先を交換した。
「あ、あの……! 今後ともよろしくお願いします。一緒に遊んだりしましょうね。で、ではぁ!!」
そう言って楓はどこかに行ってしまった。いったい、彼女はなんだったのか。突然他人との告白シーンに遭遇したと思ったら、彼女とデュエルをすることになって。それでもってデュエルに勝ったと思ったら告白されて。まぁ、今後の学園生活がリア充と化すなら全然問題ないのだが。
とにかく、今後の事を考えてオシリスレッド寮に戻ることにした。なんだかんだで疲れた遊一は、今日はもう部屋でデッキを調整するかな、とも思いながら帰路につく。
このとき、遊一は知らない。オシリスレッドの寮へと戻ったら、より面倒くさいことになることを。
さて、今日の最強カードは……!?
【輝司遊一】
円卓の騎士 エクター
モンスター・星4・風
戦士族・効果
攻撃力1700/守備力1000
「風の剣‐ブルーノ」が装備されたこのモンスターが攻撃したとき、フィールド上のカードを1枚持ち主の手札に戻すことができる。
円卓の騎士 ランスロット
モンスター・星6・闇
戦士族・効果
攻撃力2400/守備力1000
このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから「闇の剣‐ディナダン」をこのカードに装備する。
この効果で「闇の剣‐ディナダン」がこのカードに装備されたとき、相手の場のカード1枚を破壊する。
風の剣‐ブルーノ
魔法カード・装備
このカードを装備したモンスターは400ポイントアップ。このカードがモンスターに装備されたとき、魔法・罠カードを1枚手札に戻す
研磨
魔法カード
墓地から装備カードを1枚デッキに戻す。戻したカード以外の装備魔法カードをデッキから手札に加える。
光の剣‐カルンウェナン
魔法カード・装備
このカードを装備したモンスターの攻撃力は500ポイントアップ。このカードがフィールドから墓地へ送られたとき、「武装融合」をデッキから手札に加える。
闇の剣‐ディナダン
魔法カード・装備
このカードを装備したモンスターは1ターンに1度、カードの効果による破壊を無効にする。このカードが墓地へ送られたとき、「武装融合」をデッキから手札に加える。
闇を支配する剣‐アロンダイト
融合魔法カード・装備
闇の剣―ディナダン+それ以外の装備魔法:このカードを装備したモンスターは攻撃力が1000ポイントアップし、闇属性としても扱い、カード効果による破壊を無効にする。守備モンスターを戦闘によって破壊したとき、攻撃力が相手モンスター守備力を上回っていた場合、その差分相手プレイヤーにダメージを与える。
【朝倉楓】
ウィンドマジシャン コモーション
モンスター・星2・風
魔法使い族・効果
攻撃力 700/守備力 700
このカードがフィールド上から墓地に送られたとき、「ウィンドマジック」と名のついた魔法カードをデッキから手札に加える。
ウィンドマジシャン ゲイル
モンスター・星4・風
魔法使い族・効果
攻撃力1700/守備力1000
このモンスターが召喚に成功したとき、デッキから3枚の魔法カードを選択肢する。相手はランダムに1枚選択し、そのカードを場にセットする。そのカードは次のターンにならなければ使用できない。
ウィンドマジシャン ブリーズ
モンスター・星4・風
魔法使い族・効果
攻撃力1000/守備力 500
魔法カードが発動されたとき、このカードにウィンドカウンターを1つ乗せる。ウィンドカウンターを2つ取り除くことで自分フィールド上の魔法・罠ゾーンのカードをすべて手札に加える。
ウィンドマジック‐ウィンド・ドロー‐
魔法カード
このカードは自分フィールド上に「ウィンドマジシャン」と名のついたモンスターが存在しなければ発動できない。「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに2度までしか発動できない。手札から「ウィンドマジシャン」と名のついたカードをデッキに戻し、カードを2枚ドローする。
ウィンドマジック‐パワー・ブースト‐
魔法カード・永続
このカードは自分フィールド上に「ウィンドマジシャン」と名のついたモンスターが存在しなければ発動できない。「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに2度までしか発動できない。このカードの発動に成功したとき、「ウィンドマジシャン」と名のついたカードを1体選び、このターンのエンドフェイズまで攻撃力を1500ポイントアップする。このカードがフィールドから手札に戻ったとき、このカードをデッキに戻すことで他の「ウィンドマジック」と名のついたカードをデッキから手札に加えることができる。
ウィンドマジック‐ウインド・ブレイク‐
魔法カード・永続
このカードは自分フィールド上に「ウィンドマジシャン」と名のついたモンスターが存在しなければ発動できない。「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに2度までしか発動できない。このカードの発動に成功したとき、手札を1枚捨てる。相手の魔法・罠ゾーンのカードを2枚まで破壊する。このカードがフィールドから手札に戻ったとき、このカードをデッキに戻すことで他の「ウィンドマジック」と名のついたカードをデッキから手札に加えることができる。
ウィンド・フォース・フィールド
魔法カード・フィールド
「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに何回でも発動することができる。
ウィンドマジック‐エネミー・コントロール‐
魔法カード・永続
このカードは自分フィールド上に「ウィンドマジシャン」と名のついたモンスターが存在しなければ発動できない。「ウィンドマジック」と名のついたカードは1ターンに2度までしか発動できない。相手のモンスター1体のコントロールをこのターンのエンドフェイズまで得る。そのモンスターのコントロールが元に戻ったとき、このカードをデッキに戻し、他の「ウインドマジック」と名のついたカードをデッキから手札に加えることができる。
以上、キャラクターたちが使ったオリカでした。前回に登場済みのカードの解説は前回のあとがきを呼んでください。
なんか、ほぼオリカのせいかデュエル内容が読みにくいものになっていないか不安です。
感想等、待っています。
では。