狂人の闘争記   作:マルコス

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第四話

side侵入者

 

「誰だ?この俺様の楽しい楽しい捕食タイムを邪魔した愚か者は」

 

「な、なんだお前は!」

 

「貴様こそ何者だ。ここは俺様のダンジョンだぞ」

 

一言一言に言霊が込められているかのように気圧され身が竦んでいく。

 

話し方が流暢になっているが、これは紛れもなくコクビャクである。コクビャクは人間を数多く捕食した為、人間に関する情報を大量に吸収し人体構造を正確に把握し、固有スキル《擬態》で一度人間に化けた時からこのようになったのだ。

 

「お前が...ダンジョンマスターなのか、」

 

「如何にも。そしてお前達はーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで死ぬ。」

 

それは一瞬の出来事だった。速さに絶対の自信を持つバルベルでもってしても視認することすらかなわない移動速度で背後へと回られた。

 

そして気づいた時には、捕食され骨が砕ける音が聞こえていたのだ。

 

バキッボキッゴキッ!

 

「あ..ごぁあああああああ!!!ぃいだいいいい!だ、だずげでぇ!」

 

バキバキボキボキゴギゴギ

 

必死の願いも聞き届けられることなく容赦無く噛み砕かれていった。そして遂に足元まで噛み付くされ、バルベルが居た場所にはコクビャクの巨大な口から血が滴っていた。

 

「やはり、男は女に比べると味が落ちるな」

 

「ば、化け物め...!」

 

「そんな事は見ればわかるだろう」

 

「私達は五人いるわ!まだこちらが有利なのよ!諦めないで!」

 

誰もが心が折れかけた時、アリアが鼓舞する。

 

「そ、そうだ!アリアさん、オレ達は人数差で有利なんだ!」

 

他の仲間達も口々にそうだそうだと口にする。

 

「前衛は、後衛に絶対に攻撃がこないように抑えて!私達後衛は上位魔法の詠唱に入る!」

 

「「「「「了解」」」」」

 

すぐさま陣形をとり、各々武器を構えた。

 

「さっきは、奇襲に驚いただけだぜ!掛かって来な!」

 

自分に言い聞かせるように、必要以上に大きな声でそう叫ぶケン。そして、前衛は自己強化を、後衛は上位魔法の詠唱に入った。

 

「...はぁ。その上位魔法とやらを受ければいいのか?どれぐらいかかるんだ?まぁいい、暇だから前衛の人間共を食べるとするか。」

 

少しも怯える様子もなく、ゆっくりと前衛に近づいてくるコクビャク。其れにはじめに対応したのは斧を持った前衛の男だった。

 

「スキル...ハード・スイングゥゥウウ!!」

 

バットを振るように斧を構え、勢い良く振り抜く。そして、コクビャクの体に傷を...つけることはできなかった。

 

コクビャクの体に攻撃が当たった時、金属に攻撃したかのような感覚に襲われ手にかなりの衝撃が伝わり痛さのあまり思わず武器を手放してしまった。そして、自分が窮地に陥ったと気付いた時には時すでに遅し。

 

「いただきます。」

 

バキッゴキッ

 

金属製の防具も関係なく、噛み砕いていく。中は、自分たち人間と同じように唾液が分泌されており、非常に気持ち悪い。斧も気付けば同時に飲み込まれていたので、それを取り必死に振り回そうとするが何分非常に口の中は狭い。

 

巨大海洋生物(クジラ)のように口の中は広くないのだ。その大きさは人一人がなんとか入る大きさである。

 

奥を見ても消化器官のような物は全く見当たらない。牙によって噛みちぎられた左手は、異空間に吸い込まれるように奥の暗闇の中に消えていった。

 

「ぐっ...ぼぁ!!クッソオオオオオオオオ!」

 

バキッ

 

首の骨が折れる大きな音が鳴り、男は絶命した。その間も必死にもう一人の前衛大剣持ちの男が攻撃をしているが、全くと言っていいほどダメージが通らない。

 

よく見れば見える傷ぐらいは入っているかもしれないが、そんなものは《自動回復(極)》ですぐさま回復してしまう。数値にして、13500を十秒毎に回復するコクビャクには彼等は驚異ですらない。

 

たとえ上位魔法を食らったとしても13500を超えることはないだろう。レベル差が圧倒的に劣るコクビャクであるが、そもそも人間と種族不明のコクビャクとではポテンシャルが違う。

 

勿論、それだけ強力な力を持つコクビャクは人間と違いレベル2にあげるだけでも大量の経験値が必要とされるのだ。人間が1レベルあげるのに100の経験値が必要ならば、コクビャクは、10000必要なぐらい差がある。

 

つまり、単純計算で人間の100倍強いということになる。今のコクビャクはLevel7。よって、Level700の人間でしかコクビャクの相手にならないのである。

 

そして、そんな人間がこの冒険者たちの中にいる訳もなくこの戦いにおける人間の敗北は必至なのであった。大剣持ちの前衛も食べてしまったコクビャクは奥にある玉座へと向かい、ゆっくりと腰掛けた。

 

「さぁて、魔法の準備はできたかな?早く撃ってくるが良い。」

 

「...後悔するわよ、紅炎の息吹(ブレス・オブ・プロミネンス)!」

 

極寒の嵐(フリジッド・ストーム)!!」

 

アリアの上位炎魔法とケンの上位氷魔法がコクビャクに炸裂した。両サイドから迫る巨大な火の玉にドラゴンのブレスの様に正面から迫る紅炎。三方位からの上位炎魔法が炸裂した後続けざまに、氷の竜巻がコクビャクを襲う。

 

急激に冷えたことにより脆くなった体に襲う極大の氷の矢。並大抵の人間ならばオーバーキルですらある魔法だ。

 

少なくとも、直前まで玉座に座り踏ん反り返っているような奴に防ぎきることができる魔法ではない。二つの上位魔法が直撃し、ようやく終わったかと安堵する二人。

 

「なんとか...やったわね。」

 

「そうだね、アリアさん。どう?地上に戻ったらデートしない?」

 

「考えておk...」

 

全てを言い切ることなくアリアの姿は掻き消えた。文字通り消滅したのだ。

 

まさかと思い、玉座に視線を向けるケン。そこで見たのは、

 

「ぁあ〜、さすがに今のは痛かったぞ。自分で自分の頬を抓るぐらいの痛みはあったぞ。」

 

丸呑みにしたのか、今度は咀嚼音は聞こえなかった。しかし、口が半開き状態でアリアの左手だけが口から出てきた。

 

「これはこれは、失敬」

 

ジュル

 

麺を吸い込む時のようにアリアの左手を啜った。

 

「そ、そんな...バカな。上位魔法をくらって無傷?そんなの、勝てるわけないだろ!」

 

「塵も積もればなんとやら、と言うであろう?お前たちが100程ずついれば勝てるのではないか?」

 

そんな巫山戯たことを言うコクビャクに何も答えることができず、ケンは膝をついてしまう。無理もないだろう、自分たちが最強と思って放った攻撃が傷一つ与えられていないのだから。

 

「ではな」

 

それを最後に、ケンの人生は幕を閉じた。

 

 

sideコクビャク

 

やれやれ、村の娘を食べようとした時に強制帰還とは儘ならないものだな。しかし、アリアという娘は不味かったなあれは人間ではないな。

 

そんなことを考えつつ、コクビャクはダンジョンコアへと向かっていった。冒険者達に攻撃され付いてしまった傷はすでに修復されていた。

 

「全く。まさか、崩壊の巨人を倒してくるとはな、予想外だ」

 

そう言って、メニューを開く。

 

現在所持DP345600P

 

ポイントを全て使ってダンジョンを強化し、自分がダンジョンの外に出ていても冒険者達を退けられるほどに強くしようと考え、早速モンスター召喚に移る。一般モンスターには見向きもせず、特殊モンスター一覧へと目を向ける。

 

特殊 種族不明

 

首切り侍 体長三メートル。刀の柄に穴を開けそこに金属棒を通し、頭の部分に嗤う髑髏が着いている化物。常に体の刀は回転しており冒険者は近づく事も儘ならない、非常に危険なモンスター。攻撃力が非常に高い。必要DP7000

 

怨念の塊 体長三.五メートル。 筋肉質のガタイの良い体をしており、体の至る所に無念そうな人の顔が浮かび上がっている。恨みを晴らすために行動するため、戦闘スタイルは暴れまわるである。必要DP9500

 

崩壊の巨人 体長は八メートルを超える。 上半身が土の中から出てきて、顔と両腕と肋骨あたりまでまでが出現する。体は青銅や鉄などの全金属で出来ているため非常に固く、ダメージは殆ど通らない。その上体が欠けると地面に落ちた金属が欠けた部分に吸い寄せられ再生する。又、巨大な拳を振り下ろして潰すため、攻撃力防御力、共に並外れた高さを持つ。必要DP27000

 

人喰い箱 体長は宝箱と同じで外見も全く同じ。相手が宝箱に手をかけた時に飛び掛かり喰いちぎり、貪る凶悪な設置型モンスター。しかし、他の特殊モンスターに比べるとそこまで強くはなく、中級冒険者に深手を負わせる程度。必要DP500

 

new蛸魔人 体長は2.5メートル。頭部が蛸のようになっており、上半身下半身は共に人型。外見はP・O・Cのデイヴィ・ジョ◯ンズ。頭部の蛸の足には猛毒を持つ針が内包されており、接近戦においては脅威となる。火に弱い。又、このモンスターを召喚した時自動的に配下の蛸兵士が召喚されるが、並みの兵士より強い程度である。水辺ではステータスが上昇する。又、海藻類を餌に必要とする。 必要DP14500

 

new海魔・クラーケン 体長約20メートル。水の中でしか召喚できない。嘗て船乗りたちが島と間違えて上陸してしまいそのまま海に引きずり込まれるように消えてしまうという伝承が伝わっているほどである。蛸なのか烏賊なのかは定かではない。小魚や大きな魚、魚全般を餌に必要とする。 必要DP100000

 

new魔界の鬼将軍 体長は蛸魔人と同じくらいかそれ以上の2.5メートル。魔法を一切使うことができないが、近接戦においては最強クラス。自動的に中位の魔物達が召喚されるが餌は必要ない。一度死んでいる鬼のため、食事を必要としない。嘗て、人間に騙され鬼のツノを掠め取られた鬼の王。その復讐をするために立ち上がった将軍。人間を非常に憎んでいる。 必要DP15000

 

※DP10000以上必要のモンスターは、一階層につき一匹しか召喚できません。

 

 

コクビャクは今回新たに召喚することができるようになったモンスターを全部召喚し戦力を増強しようと考えた。そして、三回層追加30000DP消費。

 

第四階層に魔界の鬼将軍を配置、第五階層に蛸魔人を配置、第六階層にクラーケンを配置。

 

〜各階層詳細〜

 

第一階層 スライムがうじゃうじゃと湧いており、部屋は初期のまま。

 

第二階層 (グリル )部屋は以前と何も変わらないが、部屋の四隅に人食い箱を設置。(計2000DP消費)

 

第三階層 (グラシス) 部屋の端には瓦礫の山が積んであり、更に自動回復の速度を上昇させた。(計100DP消費)

 

第四階層 魔界の鬼将軍(百鬼の将軍) 奥に指揮官の座る玉座を設置。そして、玉座の隣に宝物庫の中の装備やアイテムがランダムで一個出現する宝箱を設置。又、首切り侍、怨念の塊を召喚。(計19500DP消費)

 

第五階層 蛸魔人 (タコス) 足首まで隠れる程度の水を張る。部屋の壁には無限沸き海藻を設置。(計3000DP消費)

 

第六階層 海魔・クラーケン (大先生) 部屋は完全に水で満たされており、水面に浮かぶことができる魔法、もしくは水中でも息ができるようになる魔法など、水をどうにかする手段がなければ攻略不可。海中には無限沸き大小魚を設置。そして、一定数の魚の配置によりチルド・クラーケンが自然発生。(計50000DP消費)

 

第七階層 宝物庫 侵入して来た冒険者達の装備が全て集められている財宝の山。どの階層で冒険者が死んでも、装備は自動的にダンジョンが飲み込んでこの階層に吐き出す仕組みになっている。(計8500DP)

 

第八階層 コクビャク(コクビャク様) 赤い絨毯がダンジョンコアの前にある玉座の元まで敷かれており、天井には3つのシャンデリア。基本居ないのに無駄にポイントを費やした。(計15000DP)

 

 

・各階層は、グラシスの第三階層と同じぐらいの広さであるが、唯一、大先生の階層だけは他の部屋の5倍ぐらいの広さになっている。

 

・各階層は、グラシスの階層と同じような作りになっており、ボスラッシュを意識した作りになっている。又、それぞれの部屋には部屋全体が見渡せるぐらいの明るさがある。

 

・()内の名前は魔物達の間での呼び名であり、コクビャクは知らない。

 

・言わずもがな全ての魔物はコクビャクに対し忠誠心MAXである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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