新章入りました!
『魔法使いの弟子』編、もうタイトルでバレバレだとは思いますがお楽しみください。
三十六計逃げるに如かず
また迷った……
僕はがっくしとする。
慧音さんに地図でも作ってもらえば良かったのか、土地勘の無い人間が歩けばまあこうなる。
だがしかし修業するだの言って出てしまったからには後には戻れない、適当に歩くかな。
生暖かい風が僕が追い打ちをかける様に吹く。
ああ、誰か人通らないかな。
その直後僕は深く後悔した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一瞬だった、
強化された聴力を完全にすり抜け、
突如背後に現れた彼女が振り回す傘により僕は吹き飛ぶ、
牛鬼より力あるじゃないか。
折れた肋骨とそれにより突き刺さった肺が再生される。
彼女が僕の前に立つ。
「やはり再生した……面白い。」
<風見幽香さん?ですよね。あまり良い初対面ではないですが。>
「……話せないの?そんな情報聞いてないのだけど。」
そう、風見幽香さんだ、阿求さんに見せてもらった情報がある。
危険度も人間友好度も印象的、高い魔力だの妖力だの。
…昨日?
ああ、そりゃあ禁忌を犯して喉を潰したからね。
「単刀直入言うわ、貴方の力が欲しい。
貴方と出会った妖怪や人間、妖精は貴方程共にいて気持ちの良い存在はいない、まるで力がみなぎる様だと。」
ああ〜慶慈の力かあ。
やはり幽香さんは思った通り、特殊な力を持つ僕と接触してきたか。
思ったより少し早かったけどね。
こりゃまずい。
何がまずいかというと勝ち筋がない。
予知で見据えても何一つ勝てる未来がなく、さらに何故か僕の残量について知っている。
<ちなみに抵抗すれば?>
「半殺しにしてでも連れて行くわ。」
ですよね〜
残量も今の不意打ちと予知でもう僅かだ。
しかし幽香さんに着いて行って僕が強くなる未来は視えない、
しかし戦いは勝利が全てではない。
<すみません、僕も修業をしたいので貴方に力を貸す事はできない。>
「そう……残念ね。」
「っ‼︎」
すごい殺気だ。
そう思ったのが先か後か、僕はまた打撃に吹き飛ばされる。
「再生数残り2。」
幽香さんに再生数を確認された、
暑いからって袖を捲るのは失敗だったかな?
そこからはもう凄いもんだ、某格ゲーの必殺技の如く攻撃が叩きこまれる。
「残り1、早く再生しなさい?」
僕にレーザーの様な物が直撃する。
「……っ‼︎」
「残り0。」
幽香さんは僕の首を掴む。
いや、無理だな。近距離戦しんどいです。
「何か言う事は?……って話せないか。」
そうだなあ、言うならば。
油断してくれてありがとう。
「こいつ、まだ残量が⁉︎」
幽香さんは驚く、
そりゃあそうだ、突然目の前の僕に錬成反応が起きてミイラ化したらね。
今度はこちらの番だ。
僕の身体に煙草が落ちる。
全てを灰燼と化せ、
リターンオブ=ゼロ
「‼︎‼︎‼︎」
僕達の身体が爆炎に包まれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
……
僕は木を背にして目が覚める。
目の前に幽香さんがいない事を確認して作戦の成功を確信した。
きっと幽香さんはわけがわからないだろう。
さあネタばらしをしよう。
まず僕は逃げる方法を考えていた、まともに戦っては勝ち目がないからだ。
最初の不意打ちの際、僕は少し人体錬成をした。
それも身体に刺青を付ける程の。
しかしそれで僕は肘の裏の数を3に書き換える。
これは未来視後の数より1つだけ少ない数で、幽香さんはその数字を確認した。
背後からじゃ確認できないからね。
幽香さんの性格上残量0の僕に手荒な事はしない、
それ故に隙を作り出した。
人間の体の60%は水分でできている。
僕はその水分を全て酸素と水素に分解し、ミイラ化。
後は煙草の火で水素爆発を起こして目くらまし+攻撃をしながらミイラ化して体重が軽くなった僕は爆風で吹っ飛んでたちまち戦闘離脱ってわけだ。
だけどまあ残量0だ。
「ぐっ………あ……」
僕の全身が酸で溶ける様な痛みに襲われる。
身体の退化、僕は筋力も五感も元に戻ってしまい、身体が縮んでしまう。
外見は10歳くらいだろうか、目線がかなり低くなってしまった。
それだけじゃない、錬金術による質量保存の法則も変換能力も使えない、つまり今の僕は人間の子供とほぼ変わらない。
「………」
後ろの森を見る。
いかにも危険な雰囲気だが幽香さんが追ってくる可能性も捨てきれないので隠れるしかない。
僕はぶかぶかのスーツを錬成し、
こんな時でも無事な特殊なスーツケースをリュックサックに錬成する。
さあ楽しいピクニックといこうか。
僕は足を進める。
ルーカスの新外見
身長は145程
白いTシャツの上に灰色のフード付きパーカー、七部丈のズボン、赤いリュックサック。
普通に少年っぽいです。
簡単に戻ってはリスクが少ないので二章はこの姿で行います。