週3も夢じゃないかもです。
結論。
基本系…加減が上手くいかない。
属性系…喉が潰れてた為詠唱不可。
人形…上海人形ちゃんに同情されました。
身体強化…肩脱臼しました。
召喚…だから詠唱できないって。
「これ程の魔力がありながらそれを活かせない、もったいないものね……」
アリスさんにも同情されました。
あーもー、嫌になってしまうね。
「常人だったらこれが普通よ、落ち込む事はないわ。
今日はもう遅いから休みましょう?」
僕は溜息をつき、頷く。
「先にお風呂に入るから、ここにある本は読んで構わないわ。」
アリスさんに言われ本棚を見上げる。なかなかの量の本だが僕が見たことのある物が一つもない、なるほど、さすが幻想郷だ。
上の段は背が届かない為下の本を2冊取り出し、パラパラと捲っていく。
脱臼した左肩が痛い。
「………………」
なるほど、理屈はわかる。
しかし実際に魔力を動かすという感覚はイメージするだけではダメだ。
僕は変換能力で作成された日記を取り出す。
この日記は表紙の錬成陣により字が記憶され自分が求めているページを映し出してくれる。
僕が求めたページ、2度と忘れる事はない人里の惨事。妹紅との約束。
…行き詰まった事なんて今迄何回もあった。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
「アルトラスとシルトエットに敵わない?
…相談があると聞いたがそんな事か。」
「そんな事って……!もう喧嘩で兄ちゃん姉ちゃんに負けるのはたくさんなんだ……」
僕は御主人様の向かいの机で膨れっ面を見せる。
「そうだ、喜びや愛しみを餌にするお前は1番弱い。」
「解答になってないよ!」
「落ち着け、先ずお前は何を以ってして兄姉に敵わないと思った?」
「…もう根本的な事で。」
「お前はその根本的な何かに抗う術を充分に考えたか?」
「え…?そ、それは……」
「…
それは無限の可能性を秘め、それはとても残酷な事でもある。」
「………」
「兄姉には敵わない、そう匙を投げ、諦めた地点でお前の成長はそこで終わる。」
「だ、だけども……」
「見誤る事なかれよ、努力を覚え苦しみを覚える事は決して恥ではない。お前は確かに弱いが1番の最高傑作だ。」
「だったら僕に錬金術を教えてよ‼︎」
御主人様に食いつく。
「…良く言った。しかし錬金術は並大抵の知識では得られない、それは重く深く辛い極道だ。」
「関係ないよ、僕は御主人様の最高傑作だから。
そうでしょ?」
「…ああ。
成長を止めるなよ、ルーカス。」
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
御主人様の言葉の意味なんて当時は深く考えてなんかいなかった。
今でも理解してないのかもしれない。けれども。
(諦めた地点で僕の成長はそこで終わる。)
僕は日記に本の内容を書き写す。
才能がなんだ、センスがなんだ。
関係ない。
僕は2度と戻れないあの日の覆水を盆に返すだけだ。
絶対に、なんとしてでも。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
本棚から取り出した本を日記に書き写す姿を見た私は声を掛けようとしたが圧倒されてしまう。
飢えた獣の如く力強く、しかし凍りつく様な静かな眼。
初めてだった。
ごく日常的な動作に恐怖と、それ以上に美しいと思ったのは。
…私はルーカス君を少し見くびっていたのかもしれない。
幻想郷の誰よりも多い魔力量、でもそれを活かせない『作られた』男の子……
認識を変えなければならない。
想定以上の弟子だ。
「……!」
ルーカス君が私に気づく。
一瞬で穏やかな眼差しに変わり、
なんだ、出ていたのですかと目が語る。
「ええ、着替えは錬成できるわよね?」
<大丈夫、ですが僕がお風呂を借りていいのですか?>
「森でいろいろやらかしてきたそのままの姿でいられても困るわよ。」
<それもそうですね。>
僕は風呂に入りささっと済ませて出る。
脱臼した左肩がめちゃくちゃ痛い。
(5等級錬金術っと……)
衣服を軽やかな寝間着に変え、自分の掌を見た。
(錬金術と魔術、御主人様は双方使えた。僕にもできる筈だ。)
だって最高傑作なのだし。
「今日はいろいろと疲れたわね……さっさと明日に備えて寝ましょう?」
<いや、あの……これは?>
僕は困った様に床に敷かれた布団を指差す。
アリスさんと同じ部屋なんだけど……
「別に師弟だからいいじゃない、それに慶慈の力だっけ?貴方の側にいると心地が良いのよ。」
と、言いながら寝てしまった。
それって結局幽香さんと同じなんじゃ……?
とは思いつつも慣れない魔力の使用のせいか僕も疲れてしまった様だ。
「‼︎」
ふと肩の痛みが再生した事に気づき、咄嗟に肘裏を見る。
残量7…!
(これからもお願いしますね、アリスさん。)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
日記
※和訳
1450年12月25日、僕が制作された。
錬金術?の天才だと多くの人々から慕われていたアルトラス様は人間ではないらしい。
(以下御主人様とする。)
僕は3人目のほむんくるす?とやらで同じく人間ではない、あらかじめ多少の知識が付与された生物らしい。
御主人様は然るべき学習をさせる為に教育者を集めたがアルトラス兄様が皆殺してしまった。
それと同時に力を得て行く兄を見てまずは僕も生きる術を身につけていこうと思った。
愛やら喜びやらを得るのに手っ取り早い方法、つまりは性行為。
僕は夜街を歩き回り売春をしていった。
戦争に出て行った男の妻や子供相手が趣味な女など、相手にはそこまで困らなかった。処理として殺してしまう事もあったが。
人間なんて単純な生物だ。
アルトラス兄様やシルトエット姉様、御主人様は僕をとても良く扱ってくれている。
だから罪悪感なんてこれっぽっちもなかった。
字数が足りない時にはルーカスの日記を載せます。
どのようにして今の彼になったのか…
生まれたてで生きる事しか考えてなかった頃は見境が無くて恐ろしいですよね