ルーカスの魔力量は幻想郷の誰よりも高いです。
しかし魔法を使う上手さは………
彼はどうするのでしょうね。(適当)
朝、目が覚めて見慣れない天井に少し驚いてしまう。
(そうか…アリスさんの家だった。)
アリスさんはまだ寝ているようだ。
人形も動作していない。
いろいろとお世話になってしまったし、これからもお世話になるだろう。
(台所、借りますよーっと。)
僕はおなじみのリュックから食材を取り出す。
この手提げ(今はリュック)も変換能力である、簡単に言えば兄ちゃんが作った固有の空間に繋がっていて腐る事も酸化することもなく、なんと鮮度も落ちない。
さすがはアリスさんだ、台所も上手くまとめてあり使いやすい。
雰囲気的に洋風で良いだろう。
僕はシナモンをふりかけたフレンチトーストと人里に滞在した際に作った自家製のベーコンを軽めに焼く。
(ここに置いていいのかな。)
昨日本を読んだ机に皿を置き、盛り付ける。
(アリスさーん、起きてください)
昨日はよっぽど疲れてしまったのだろうか、何か申し訳ない……起こしてしまうのも失礼かな。
しかしフレンチトーストは冷めないうちに食べた方が美味しいのだ、たぶん。
アリスさんの頬をつついてみる。
「う……ん…」
あ、起きそう。
妹紅さんにこれやって起こした時黒焦げにされたからやり過ぎは禁物だ。
「……あ、ルーカス君。おはよう。」
<おはようございますアリスさん、朝食を作ったので一緒に食べましょう>
「そうね………って、え⁉︎」
アリスさんは驚き、机へと移動して眺めている。
「おいしそう…‼︎ルーカス君、料理できたのね。」
<錬金術は料理と似て(以下略)>
「じゃあ、お言葉に甘えて頂くわ。」
(いただきます。)
「あ〜‼︎やっぱり美味しいっ!」
アリスさんは美味しそうに食べている、やっぱり女の人は甘い物だよね。(偏見)
<お詫びと言ってはなんですが、これからは僕がご飯を作りますね。>
「いいわ、私より上手いもの。でも……なんだか悔しいわね…」
そりゃあ僕だって伊達に長生きしてないぞ。
<「ごちそうさまでした。」>
流し台でアリスさんと並んで皿洗いをする。
「ふふっ……なんだか弟ができたみたいね。」
既に姉がいる僕からしたら複雑な気持ちなのですが。
まあなんだかんだで上手くやっていけそうだ。
「魔法の特訓を始める前に、少し寄りたい場所があるのだけどいいわよね?」
<気まずいので人里以外なら大丈夫です。>
アリスさんに着いて行く。
どうやら森の外へ向かう様だ。
(僕も魔法が巧みに使える様になったら浮けたりするのかなあ。)
ふよふよと低空飛行して行くアリスさんを見ながら羨ましかったりもする。
「着いたわ。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
うーん?なんだか奇妙な建物だな。
周りにガラク…じゃなくていろいろあるし。
地球でも面白いセンスの親友はそこそこいたから此処の家主とは仲良くできそうだな。
「やあ、アリスじゃないか。
そちらが例の子かい?」
「ええ、頼んだ物はできたかしら?」
例の子…?どうして僕を知ってるのだろう。
「昨日あなたが寝た後に此処に来て頼み事をしておいたのよ、あなたの声を出す為のマジックアイテムを作る様にと。」
声を…⁉︎そんな事が可能なのか…?
というよりアリスさん狸寝入りだったんすか……
「初めまして、僕は森近霖之助。
君の事は慧音から聞いていたよ、素晴らしい活躍じゃないか。」
白髪で眼鏡で、優しそうな男性と握手をする。
慧音先生から?仲良いのかな。
<初めまして、ルーカス・ローゼンベルグです。……御謙遜はなさらず、あれは活躍ではなく失態ですから。>
「…それは申し訳ない。しかし本当にストイックと言うか…慧音の言う印象の通りだな…」
ぐぬぬぬ…仕方ないでしょ、そういう性なもんで。
というよりさっきからジロジロと見られる、どうかしたのかな?
「……いや、まさか本当に
なるほど、道具屋?かは知らないけどその為かも知らないけど人工物である僕に興味があるみたいだね。
「話が脱線してしまったね、……これがマジックアイテムだ。」
霖之助さんはBluetoothイヤホンの様な物とチョーカーを取り出す。
「本当に昨日の今日で作れるなんて、さすがじゃない。」
「本物のホムンクルスが見れると聞いたら眠れなくてね…作業が捗ってしまったよ。」
なんて優しい人?達なんだ。
ほぼ初対面の僕に対してここまでしてくれるなんて、感謝してもしきれないぞ。
「しかし……本当に大丈夫なのか?これの魔力消費量は常識レベルじゃない、この子が心配だ。」
「大丈夫よ、本当に心配なら測ってみればいいじゃない。」
「それもそうだね、少し待ってくれ。」
霖之助さんは店の奥へ行ってしまう。
しかし改めて見るとある意味凄い店だなあ……
うおっ⁉︎妖怪らしき子が本を読んでる…気づかなかった…
「お待たせ、少し手を出してくれ。」
帰ってきた霖之助さんが持ってるのは…ん?血圧計?んなわけないか。
指示通り手を出し、手首にゴムの様な線が巻かれる。
「………‼︎‼︎‼︎」
どうしたのだろう。
「信じられない…というよりこんな事が起きていいものなのか…」
「…改めて数値にすると本っ当にとんでもない魔力量ね……笑えないわよ…」
…よくわからないけど頑張り過ぎじゃない?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「それじゃあ取り付けてみるよ。」
耳と首にマジックアイテムを取り付けられる、…?少し違和感があるけど気にしない。
『あー、あー⁉︎凄い!本当に話せる‼︎』
「ふぅ…今迄にないマジックアイテムだったけどどうやら成功したみたいだね。」
『でもどうやって声が…?』
喉が完全に潰れている筈じゃあ…
「耳が骨伝導を察知し、そのチョーカーが喉の肩代わりをしてくれる作りさ、代わりに魔力を常に持っていかれるけど君だと問題ないだろう。」
『本当にありがとうございます、どう感謝したら良いものか…』
「テストも含めた開発だったからね、ホムンクルスに会えたし安いものさ。…アリスとの修業、応援しているよ。」
聖人かこの人。
しかし声を取り戻したのは大きい、いち早く修業に戻らねば。
「あ、あと妖怪の山という所に知り合いの河童の女の子がいる、彼女の手を借りたい時は僕の名前を出すといい。」
なるほど、妖怪の山か。
文さん元気にしてるかな。
もっと強くなったら借りを返しに行かなくてはならないね。
僕の親友の話をしよう。
彼は極東の島の侍である。
彼は正義を語らなかった。
彼は正義を見据えなかった。
彼は正義を聞かなかった。
それでも彼はとても強かった。
彼はいつしか独眼竜と呼ばれた。