自殺願望の錬金術師が幻想入りするそうです。   作:クレシアン

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作戦、作戦と僕はそればかりだ。

力づくで物を言わせる。

僕にもそういう時代が確かにあった。

幽香さんを見ているとどうしても思い出してしまう。



決着、そして。

〜今朝〜

 

「遠距離高火力魔法でなくとも、動きを封じれたならアブソリュート=ゼロ一発で勝負を決めた方が良いのでは?

妖怪は基本的丈夫ですし傷の治りも割とすぐですし。」

 

 

 

ウロボロスがウォーミングアップをしている僕に聞く。

 

 

「たぶん凍らせる前にあのレーザーでドン!だろうなあ。」

 

 

「なるほど……」

 

 

「でも万が一高火力魔法でも仕留めきれなかったら採用はあるかもしれないな。」

 

「そうしたらより一層やり辛くなりません?」

 

 

「だから昨日からあの拝借魔法の下準備はしてるさ。」

 

「……本当に可能なんです?」

 

「おいおい僕の親友の能力だぜ?

まあ本人は絶対に使用しない様な用途で使う事になるけどな。」

 

「でも……」

 

「もちろんそれだけじゃあ足りない、少しずつだけど状況を運んで(・・・)いく。」

 

 

どんな攻撃だろうと行動だろうと必ず()へ活かす鍵とする事を意識する。

 

勝負はシステムだ。

全ては勝利という一瞬の為に動いている。

 

 

〜〜

 

 

 

「ふっ‼︎」

 

僕は振り回される傘を手刀で受ける。

 

(なんてパワーだ、ダメージを負ってるのは確実に相手の筈なのに!)

 

「近接戦もしっかりとできる様になったわね……でも所詮は付け焼刃‼︎」

 

 

「ぐっ…」

 

 

 

回し蹴りで飛ばされる。

イタタタ…

 

 

(挑発に乗るな、慌てるな……チャンスは必ず来る。)

 

「すばしっこい…!」

 

「よっと!」

 

(太刀捌きは妖夢さんのが速いか?

でもさすがに遠距離攻撃させてもらえないか。)

 

身体が縮んだのもこういう場面では悪くない。

 

「ならば……力で押し込む‼︎」

 

「っ‼︎」

 

来た、今だ。

 

 

 

「<秘剣>刀……狩り‼︎」

 

「なっ……⁉︎」

 

よし、傘飛ばした‼︎

これで防御力は落ちる。

 

「3等級……」

 

「させるか!」

 

幽香はすぐさま拳を振り下ろす。

 

「魔法錬金‼︎」

 

「っ⁉︎」

 

爆発が彼女を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

「…アリスさん、今のは⁉︎」

 

(魔法、いや、でも錬金術にしてもああ速くは攻撃できない…)

 

「魔法と錬金術を合成した……?」

 

 

 

 

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

 

 

 

「考えてみれば滑稽な話だった。

どうして作り出す魔法と変化させる錬金術が相反する存在だと思ってしまったのだろうかと。」

 

 

(こいつ……この土壇場で未知の発想を⁉︎)

 

 

「僕の錬金術は変化させる物すら調整するからどうも効率が悪かった。

今迄は。

でも…魔力なら錬金できる。」

 

「くっ……‼︎」

 

幽香は拳をすかさず叩きつけようとしたが、ルーカスはそれを両手で受け止める。

 

 

「そしてもう一つ頭突きした時に気づいた。

幽香さんはその強大な力の反動を抑える為に自身の身体に防御魔法を掛けている。

故に……テレポート‼︎」

 

「⁉ ぐっ……あっ⁉︎」

 

(右手が……⁉︎)

 

 

 

 

ルーカスがいたはずの空気を空振り、

地面に拳が叩きつけられた。

 

 

「貴方の防御魔法を直接錬金したらその反動は全て身体へと響く‼︎」

 

 

「っ!上か‼︎」

 

刀狩りにより振り上がった傘を痛みが襲う右手で掴み、レーザーを撃つ。

 

 

「そちらはハズレだ‼︎」

 

「くっ……人形…⁉︎」

 

僕が生成させた影人形がレーザーにより消滅した。

僕は背後から幽香さんの首に手刀を当てた。

 

 

 

 

 

「貴方の強みは偏屈性では無い純粋な力。

しかし抑える手段さえ見つかればそれは一気に弱みへと化ける。」

 

「…………‼︎」

 

 

「さあ、どうする。

風見幽香さん‼︎」

 

 

 

 

 

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

「ふ……ふふ……

嬉しいわね、貴方がここまで勝利に固執するとは…」

 

 

「…………」

 

 

「でも……貴方はもう既に多数の拝借魔法を使用している。」

 

「知って……いましたか。」

 

 

「ならば私はその抑えさえ、力で押し切るだけ‼︎」

 

「がっ⁉︎」

 

(動かない左手を無理矢理⁉︎)

 

 

幽香はルーカスに馬乗りになる。

傘を開き防御手段を忘れず。

 

「今から数十発の光線がお前を襲う。

それでもまだ手はあるか⁉︎」

 

「もちろん、ありますよ。」

 

 

「⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冷たっ‼︎

これは……雨……?」

 

(さっきまで天気は良かった筈なのに……?)

 

傍観者の2人は空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

「雨……?……っ‼︎」

 

 

幽香はすぐさまルーカスから離れた。

 

 

「素晴らしい判断力だ。」

 

 

 

 

(離れた筈なのに脚が凍り着く…どうして⁉︎)

 

 

 

 

 

「3等級魔法錬金、アブソリュート=ゼロ。

 

けれども、僕はその上を行く。」

 

 

 

 

 

 

 

勝者:ルーカス・ローゼンベルグ

 

 

 

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

 

「僕の勝ちだ幽香さん。」

 

 

「…………‼︎」

 

 

(杭に……錬成陣を仕込んでいたか……)

 

 

 

 

「やりましたよアリスさん、ルーカスさんが勝ちました‼︎」

 

「勝った……けどどうして雨が…」

 

 

 

さあお約束の解説の時間かな。

 

「どうして雨が、ですか。

まあ偶然に頼るのも雨の日を選ぶのもなんですからね。

降らせて貰いました。」

 

 

「降らせた……そんな事が、」

 

 

「できるんですよね、それが。

皆さんはヨウ化銀って知ってますか?」

 

「ヨウ化銀……?」

 

妖夢さんは首を傾げる。

 

「ヨウ化銀の構造は氷に似ていて大気に雲を作る。

気付いてましたか?序盤に撃った爆発弾がヨウ化銀を含んでいた事を。」

 

 

「‼︎」

 

(最初の爆発……やけに煙が出ると思っていたら…)

 

「あとは熱を当てていけば自然に雨は降る。

僕の炎やら貴方のレーザーやらでね。」

 

 

「結局、結局お前は最初から作戦を……」

 

 

「そうだね幽香さん。

小賢しい真似しか僕にはできそうもない。けれどもそれだけじゃ貴方は崩せない。

だから訓練を、いろんな人に協力を求めた。」

 

「っ………‼︎」

 

 

 

「最後に聞きたい、貴方はこの戦いを通して何を感じましたか。」

 

 

「…敗者に何を聞くのよ。」

 

「僕は楽しかったです。

自分の特訓の成果を貴方に見せるのが、全力を出した事が。

貴方は?」

 

 

「………楽しかった。

ええ、確かに、楽しかったわ。」

 

 

 

「そうですか。

それは良かった。」

 

 

僕は自身の胸へ拳を当て、

「原因突破。」

と言った。

 

すると僕の身体が光に包まれ、大きさが元へ戻る。

 

「僕はつまらなさそうに僕を蹂躙する貴方を見てとても無力さを感じた。」

 

幽香さんの氷を解く。

 

「楽しかった。

きっとその言葉を聞きたかったのだろう。」

 

「………」

 

 

「また戦いましょう、まだ1対1です。」

 

 

 

 

 

 

と、僕はその場を離れた。

 

 

 

 

「……まちなさい。」

 

「?」

 

 

「勝者の貴方に耳寄りな情報を教えましょう。」

 

「耳寄りな情報?」

 

「貴方が人里を救ったあの2日、幻想郷の一部の勢力で会議が行われた。

貴方を異変の犯人としてどう対処するかが。」

 

「え⁉︎」

「そんな、ルーカス君が⁉︎」

 

 

2人は驚くが、

「知っていましたよ。

魔理沙さんの未来で視えました。」

 

「なんだ、知っていたか…」

 

「牛鬼が訪れる時期と僕が幻想郷へ来た時期、なにより僕は人々の信頼を得るのが早過ぎた。

僕が全てを仕向けたと勘違いされても不思議じゃない。」

 

 

「まさにその通り、だからこそ私個人の目的はあるけど貴方の始末を頼まれた。」

 

「知ってます。」

 

「……けれども一つ教えましょう。

貴方の対処にもちろん反対している人もいる、人里の教師とかね。」

 

「‼︎」

 

「警戒を怠る事の無いように、

でも貴方には味方がいる。」

 

 

「……忠告、どうもです。」

 

 

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

 

魔法の森

 

 

「まさかこんな事になるなんてルーカス君は不幸ね。

でもどうして妖夢は知らなかったのかしら。」

 

 

「関わりが無いって推測されたんだろうね、しかし……厄介な事になったなぁ。」

 

「ルーカス君は身体も戻ったしどうするの?」

 

「とりあえずは勘違いされる原因を断ち切って無実を証明しなきゃだね。」

 

「アテはあるの?」

 

 

「以前御師匠様が友達の従者に悪魔がいるって言ってましたし。

とりあえずは紅魔館という場所に向かいます。」

 

「……それは今から向かうの?」

 

「はい、幽香さんが負けたと知られた午後には魔理沙さんが僕を捕らえに来ますから。」

 

「そう………」

 

 

「寂しいですか?」

 

「………」

 

 

あ、やべっ。

こりゃ怒られるか。

 

 

 

「……寂しい、そうね。

寂しいわ。とても。

同時に自分の醜さも感じるわ。」

 

「?」

 

「貴方が負ければ私の元を離れる事は無い。そう思っている自分が醜い。」

 

 

「そう……ですか。」

 

 

アリスさんは涙を流しながら下を向いた。

 

そして沈黙が続く。

 

時間にしたらそう長くはないのだろうけど、何故かとてつもなく長く感じた。

 

 

 

 

 

「行きなさい。」

 

「‼︎」

 

「貴方が選んだ道だもの。

師匠がぐずぐずしてられないわ。」

 

「アリス…さん……」

 

 

「でもね、危なくなったら直ぐに私を頼りなさい。

私は絶対に貴方の味方でいるから。」

 

 

「……はい!」

 

 

ルーカスは宙を走り、森を抜けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………?」

 

アリスは木の側に置かれた本に気付く。

 

(これは…ルーカス君の日記?

メモが挟んであるわね。)

 

 

◇◇

 

僕とアリスさんしか見れない情報の産物です。

ホムンクルスについての情報を含まれています。

 

 

 

また色々教えください。

 

 

◇◇

 

 

 

 

「…ええ、まだ教える事はたくさんあるんだから。」

 

 

 

 

 

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

 

「本当についてきてよかったのか?

ウロボロス。」

 

 

「ええ、ルーカス様に仕える事が私の喜びと気付きましたから。」

 

 

「そうか。」

 

 

「……結局ルーカス様の親友の能力とは?」

 

 

 

 

「ああ、確か運命を操るとかなんとか。

原理だけの雨降らしじゃあ不安だから拝借させてもらったよ。」

 

「……なるほど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても元気にしてるかなぁ。

レミリアちゃん、妹ちゃん。」

 

 




彼女は全てを破壊し、
彼女は運命を操る。


僕は目指した。
彼女にも壊されぬものに、
彼女にも捕らえられぬ運命を。


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