さすがに今回は長過ぎたかなと思います。反省。
慣れないバトルシーンとなります、暖かい目で見守ってください。
またバトルシーンは各キャラの視点を切り替えて表現してます。
ルーカス・ローゼンベルグの視点
炎と氷がぶつかり合う。
僕は周囲に一般人がいない事を確認し、大気の水分量と温度を調整している。
(溶かされてる…というより単純に妹紅さんの火力が半端ないだけかな。)
ルーカスはちらりと足元を見た。
熱せられた冷気による水溜りが靴を濡らす。
「少し攻め手を変えようかな、
3等級錬金術、質量調整!」
僕の身体を中心に水の壁が業火を阻む。
防御だけでは駄目だ、此方からも仕掛ける。
「水に飲まれろ!メイルストロム‼︎」
滝の様な水が妹紅さんを目掛ける。
しかし、
(あれは…炎の翼か?
水が全て蒸発している、これはまずいな、対抗する術が限られてくるな。)
「こりゃ想定の範囲外だなあ、ここまでの炎の使い手は見たことがない。」
戦いに集中しているのか、黙り込んでいるのかよくわからないが妹紅さんに対して僕はそう言った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
藤原妹紅の視点
甘すぎる。
これが私の見たルーカス、彼の印象だ。
人柄が良く、愛想が良く、裏がない。
周囲からの視線も好意的なモノだ。
慧音も彼の事を気にかけているのも良く分かる。
それ故か、彼は優しすぎる。
戦いの最中も常に一般人が被害を受けないか確認し、私の攻撃に対してもぶつけると言うより抑え込むと言う感じだ。
私が不死と知ってこの攻撃か?
「‼︎」
氷結から水流へ切り替えた。
どちらも何かに染まる業では無く、自然そのものを活かした攻撃だ。
ただし美しい白銀の世界も、静かな水流も、相手を傷つける意思が無ければただの玩具でしかない。
妖怪と対峙していくには、妖怪を退治していくには、もっと意思が無ければならない。
私は不死鳥を模した炎の羽を背中に生やす。
「こりゃ想定の範囲外だなあ、ここまでの炎の使い手は見たことがない。」
それは本心か?
不死故の慢心じゃないのか?
どちらにせよ、
ルーカス、お前の牙を存分に尖らせてやる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ルーカス・ローゼンベルグの視点
妹紅さんが攻める様になってきた。
僕は巧みに水流を操り炎を防ぐ、質量保存の法則を無視できる限り防御力もスタミナも自身はある。
しかしまだ妹紅さんは小手調べだろう。
この状況から2〜3分。
僕は押され気味になり、逃げ回りながら水流を炎にぶつける。
火力を徐々に上げている。
水量を増やしたところでも対処しきれない、錬金術は発動から実際に現象が起こるまで時間がかかるのが弱点だ。
たぶん妹紅さんはそれに気づいたのだ。
凄いなあ、全力は想像もつかない程強いんだろうなあ。
「どうした?この程度では暇つぶしにもならないぞ?」
妹紅さんは恐らく僕を挑発したつもりかな?
それとも単純に僕に呆れたのかもしれないね。
何にせよ僕にとって害のある感情が流れてくる。
「仕方ない、そろそろ手札の見えるババ抜きを終わらせようかな。」
「えっ、あ、おい⁉︎」
僕はそう呟いた後、逃げ込んだ先の慧音さんを抱きかかえた。
いきなりの出来事で慧音さんも妹紅さんも驚いているけど仕方ない。
だってこのままじゃ危ないから。
「3等級錬金術、温度操作」
「6等級錬金術、抑魂術」
こうして僕は妹紅さんに勝利した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「えっ、あ、おい⁉︎」
ルーカスは慧音を抱きかかえ、妹紅から距離を置く。
「⁇」
妹紅は少し疑問を抱くがルーカスの性格上慧音を盾にする筈がないので攻撃を止めない。
その直後、妹紅はその行動に深く後悔した。
「3等級錬金術、温度操作。
……全てを白紙と化せ」
「アブソリュート=ゼロ」
「‼︎」
周囲の竹林が氷漬けになるだけでなく、一瞬で妹紅の身体が凍りついた。
そこには『白銀』では表せない、氷結の世界が広がった。
「…………‼︎」
(このタイミングでこの規模の氷結…⁉︎それだけじゃない、身体の内部からも凍りついている…‼︎そのせいで炎が…)
妹紅は氷を溶かし、振り払おうとするがその度にルーカスは身体の内部から氷結させていく。
「錬金術の弱点は錬成によるタイムラグだ。」
ルーカスは慧音を抱えながら話し始めた。
「本当は最初から氷漬けにするつもりだったんだけど、慧音さんが危ないし『氷の元』を増量させるだけの時間を妹紅さんはきっとくれなかっだろう。」
ルーカスは慧音を降ろす。
「まさか……氷結の規模を大きくする為だけに…」
降ろされた慧音は寒さに凍えながら話す。
「そ、水流はフェイク。
余興にしてはなかなかのものだったでしょ?」
「で、でも何故よりよって水流を使ってまで氷結に拘ったんだ?」
ルーカスは煙草に火をつけて咥える。
「またまたー慧音さんだってわかってるくせに。」
「!……まさか妹紅の弱点を?」
「そうそう、妹紅さんの『リザレクション』は老いる事も死ぬ事も無い素晴らしい能力だ。
体力が切れさえしなければ。」
「くっ………」
「その慌て様、ビンゴみたいだね。
アブソリュート=ゼロは対象を殺す錬金術じゃない。
対象を疲れさせる錬金術だ。
もちろんこの状況に運ぶ為には妹紅さんの炎を封じる、妹紅さんの内部に錬成陣を書き込まなきゃいけない。」
「しかしルーカスは妹紅に一切触れてなかったぞ⁉︎」
「果たしてそうかな?ほら、例えば触れていなくても錬成陣を体内へ運ぶ、とかね。」
慧音は考える、錬成陣を体内へ運ぶ方法、触れていなくてもできる方法。
長考の末一つの結論へ辿り着いた。
矢。
「……矢か‼︎」
ルーカスは最初に妹紅が立ち、戦う直前に引き抜いた矢を拾う。
「御名答です。
この矢の先端には特殊な錬成陣を刷り込んであるからね。」
「1番最初から既に不死の対策を…」
上白沢慧音は深く納得するが、
(大したものだが、ルーカス。
君はまだ妹紅の恐ろしさの全てに触れていない。)
妹紅は説明を長々と聞いた後、その恐ろしさ、魂の状態からの一方攻撃へ移ろうとした。
その瞬間、
「6等級錬金術、抑魂術」
ルーカスは妹紅の体に触れ錬成する。
「⁉︎」
(魂の状態になれない…⁉︎)
「ホムンクルスは人間の要素と言うガラクタに魂を憑依させた存在でね。」
ルーカスはウロボロスのペンダントの裏を見る。
そこには第6を示す錬成陣が刷られていた。
「魂を抑え込むこの錬金術は存在が安定したルーカスにはもう必要のない物だと思っていた。
しかしこの様な場面で使うことになるとはな。」
腹話術で続ける。
そしてルーカスは妹紅の正面に立ち、内部の氷結を解く。
「投了してください妹紅さん、貴女は小手調べをしすぎた。」
妹紅は苦笑しながら、
「………参った。
既に鋭いじゃないか、お前の牙は」
と呟く。
慧音は驚く事しか出来なかった。
普段から実力を隠し敵を牽制、観察。
しかしそれにより小手調べ入る敵を見据え、長々と戦うのも全ては最後の王手の為。
まるで手品の様な、最初から最後まで私達は『踊らされていた』。
ルーカスは、強い。
周囲の氷が溶け、水も質量保存の法則の無視により消えていく。
ルーカスは氷が溶け倒れこむ妹紅を支えた。
「手荒な真似をしてごめんなさい。」
そして深々と頭を下げて謝る。
「………くくっ、あっはははは‼︎」
「え⁉︎」
その様子を見て妹紅は笑い出した。
「ここまで来るといっそ清々しいね。
殺し合いの後に謝る奴なんて珍しくて新鮮じゃないか。
……本当に参ったよ。」
「言っただろう、ルーカスはそういう男だって。」
慧音も駆け寄り一緒に笑う。
「んん?どこがおかしいの⁇」
ルーカスは何故2人が笑うのか理解できなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「一つ聞いていいか?」
「?」
慧音がルーカスに質問をする。
「何故妹紅の能力とその弱点、そして魂の事までわかったんだ?」
「それは私も気になるな。」
妹紅も同意見の様だ。
「今朝の私が教師だと当てた事もそうだ。
ルーカスにはただの直感ではない、何かがあるんじゃないか?」
「………うーん」
ルーカスは黙り込む。
これは2人に言うべきか、実際にその能力を使用し安全性を確認する。
…どうやら問題なさそうだ。
「僕は慶や慈を糧とする程度の能力で、これは一見喜びや愛情を呼吸の様に吸収して力にした後放出するんだけど…」
「ふむ、」
「それを身体の再生力とかに変換する事ができるんだよね。
ただしその変換能力を使う度に力を失っていっちゃうんだ。」
ルーカスは肘の裏の数字を見せる。
数字は41から34へと減少した。
「…その『変換能力』が勘の良さに繋がるのか?」
妹紅が聞く。
「厳密に言えば多少違うかな。
文さんにも少し捻って教えてしまいましたが。」
ルーカスは変換能力を告げる。
八雲紫の式、妖狐の存在を知り、
射命丸文を新聞記者と当て、
上白沢慧音を教師だと当て、
藤原妹紅の能力と弱点を見破る。
「僕は目の前にいる人物の未来が視えるんだ。」
次第に明かされるルーカスの力…
目の前にいる事と断片的な事に限られますがルーカスは未来視ができます。
とあるサイトによりもこたんの弱点を研究しました。
やや自己解釈もありますが悪しからず。
最初から全力を出されたらもちろんルーカスは負けていたでしょう。