ある日の朝、いつも通り学校に行くと、掲示板のところに人だかりができていた。
しかし今回は喜んでいる人もおり、何が貼られているのか気になった。
意を決して人ごみの中に行こうとした時、誰かに肩を叩かれた。
振り返ってみると、そこには親友である煉馬がいた。
「煉馬、おはよう」
「おはよう、透。どうしたんだ?」
「いや、それはこっちのセリフなんだが……」
すると煉馬は何か思い出したかのように手を叩き、俺の手を掴んで教室へと急がせた。
「お、おい!?」
「あの人だかりがなんなのか教えてやるから、ひとまず教室に行くぞ!」
「あ、ああ、わかった!」
俺は煉馬にされるがまま、あとをついて行った。
「チーム対抗お宝争奪オリエンテーリング大会?」
「ああ。ずっと前から授業をなくす代わりにやろうと企画していたらしい」
煉馬はそう言うと、掲示板に貼ってあったものと同じ紙を見せてきた。
【ルール】
1.これは、チーム内で行うこと。
2.配布された紙に書いてある問題をきちんと解くこと。
3.見つけた賞品はチーム内で分けること。
4.他のチームと賞品を交換しても良いが、必ずチーム内の全員が合意しないといけない。
5.無理やり賞品を奪ったチームは反則とし、失格とする。
その場合、賞品はすべて没収される。
ほうほう、なるほどなぁ……。
「要するに、ちょっとしたゲームか……」
「そんなところだな」
それなら掲示板の前で喜んでいる人がいたのも頷ける。
まぁ確かに、授業をやるよりはそういう事をやりたいしな。
そう思っていると、先生が教室に入ってきた。
「はーい、皆さんも知っていると思いますが、今日はチーム対抗お宝争奪オリエンテーリング大会がありまーす」
先生がそう言うと、1部の人は叫びながら喜んだり、まるで呪文のようにブツブツ言っていたりしていた。
そんな時でも先生はにこやかにルールの説明をしており、なんというか……
「やっぱりマイペースだな、このクラス……」
「さすがの俺でもすごいと思うよ」
「はーい、チームを発表しますので、よく聞いてくださいねー」
そう言うと先生は順にチームを発表していった。
その途中で「よっしゃぁぁぁぁぁっ!!」とか「そ、そんなぁ……」とか言っている人がいたのは言うまでもない。
「………ム、小鳥遊・霧谷・不動院チーム、宮野・山………」
「あ、俺達一緒だ。透、よろしくな」
「よろしく」
チームが一緒だということがわかり、俺達は互いの手を叩いた。
その後席を立ち、今本を読んでいる男子生徒のところに行った。
「不動院、よろしく」
「よろしくな」
「……よろしく」
少し無口な彼は
彼がいれば、他のチームより有利かもしれない。
「それじゃあ、問題用紙を配りますねー」
先生はそう言うと、それぞれのチームに束になった問題用紙を配り始めた。
問題解くのか……めんどくさいなぁ……。
そう思っていると、煉馬が親指を立てて俺と不動院に向かって言った。
「問題解くの、よろしく!」
「「……………」」
忘れてた……。煉馬は下から数えた方が早いくらいバカなんだった……。
なんか、始める前から疲労がたまってきたぞ……。
けどまぁ、せっかくのイベントだし……楽しむか!
こうして、たった1日のチーム対抗お宝争奪オリエンテーリング大会が開催されたのだった。