SAO『罪と罰』 〜何故彼は力を手にしながら表舞台に現れないのか?〜   作:トアール凡人

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さて、他のキャラクターをどう出そう……


今回はなんだか久しぶりに原作を引っ張って執筆しました

ご覧ください。


Third section②〜キリトは昼寝する〜

 

 

人間は常に労力というものを減らしてきた動物である。食べ物ひとつ作るにしても、人力であったのを牛や馬を用いたり、品種を改良して一年に収穫する量そのものを増やしたり、最近じゃ工場で野菜を作れるようになった。他に、移動の手段、情報伝達、家事、どれをとっても人間は常に効率化をはかってきた。むろん、それによる弊害もあるが、それでもなお人間は楽をしようとする。では、その結果生まれたものはなんだ?それは余暇だ。これは人間が文化、芸術あらゆる学問を発展させるのに大きく貢献した。いやいや、それ以外にも余暇の使い道はある。遊びがそれにあたるだろうか。だが、俺は人間が生んだ余った時間をもっと有効に使いたい。それこそが、寝るという行為だろう。俺は今日は攻略に行く気はさらさらない。ならば、先祖に深く感謝して、昼寝をしようじゃないか。というわけで、俺は今草原の中で仰向けになってうたた寝をはじめている。なんて、すばらしいのだろう!こんな快楽を生んでくれた神様、仏様、その他精霊様ありがとう。きっと、彼らはそんな堕落を望んでいないが、どんなものでも怠けたくなるのだ。だから、今日は昼寝するのだ。

そういうわけで、あと少しで夢の世界に行けそうなくらいウトウトしだしたのだが、急にまぶたの向こう側の光が小さくなった。誰かが太陽光を遮るように俺の前に立っているのだろうか。面倒ながらも、薄く目を開けると、おどろくなかれ。あの副団長様がいたのだ。いつも通り、厳しい表情でこちらをにらんでいる。

 

「攻略組のみんなが必死に迷宮区に挑んでいるのに、何ノンビリと昼寝してるのよ」

 

キツイ声が俺を問い詰める。まぶたをほぼ閉じたまま答えた。

 

「今日は最高の気候設定だぞ。こんな日に光の当たらない迷宮区に引きこもるなんて不健康そのものじゃないか」

 

「天候なんていつも同じじゃない」

 

「キミも横になってみればわかるよ」

 

そう言い終えると、俺は完全に目を閉じて、気づけば夢の世界だった。たしか、ここに来て横になったのが朝の10時くらいだったのだが、目が覚めた時は既に時計の短針は2を指していた。うーん、よく寝た。それと同時に、腹の虫が鳴きだし、昼食を抜いて胃袋の中は空っぽになっていた。何か軽いものでもつまみに行こうかと、勢いよく飛び上がって、首を回していると、「スーー」という寝息が足元で聞こえた。俺はまさかと思ってそちらを眺めると、あの副団長様が幸せそうに横になってお休みになっていた。おいおい、たしかに横になってみろとは言った覚えはあるが、無防備に寝ろとまでは言ってないぞ。

 

「おい、見ろよ」

 

「ハハハハハ、昼間っから爆睡だなんてどこのやつだ?」

 

ちょうど通りかかった通行人はこちらを指さながら笑っていた。俺はなんとなく居心地が悪くなり、今すぐにでもここを立ち去りたかったが、この女の子を放置することはできない。ここは59層の主街区の広場であり、《圏内》ではあるため、攻撃を食らって体力が削られることはない。しかし、世の中どんなものにも抜け道はある。一般に安全とされる《圏内》でも意図的にPKされる危険はあるのだ。例えば、眠っているプレイヤーの指を勝手に動かしてカーソルを操作してデュエルを申し込む。そうすれば、圏内であっても例外的にHPを削ることが可能になり、悪質なレッドギルドを中心にこの方法によるPKが現にあったのである。そのため、圏内にいたとしても、プレイヤーは宿屋の自分の部屋以外では枕を高くして眠れないのである。本当に、レッドプレイヤーというのは、PKのためなら驚愕するような手段を次々に生み出す。おそらく、レッドギルドの筆頭であるラフコフの首領が頭の切れることも関係しているのだろう。というわけで、そんなことも考えずに寝ているアスナをほっとけない俺はその場にとどまることにした。…………もう、日が沈みかけている。夕焼けが綺麗だなぁ、って寝すぎだろ!ったく、あいかわらず睡眠時間を削って無茶な狩りでもしてるんじゃないだろうな……少しは自分の体を気遣ってほしいものだ。俺はあいかわらず夢の中にいるアスナの寝顔をこっそり眺めた。絹のように透き通った白い肌が沈みゆく夕陽の光を浴びて、少し火照っている。なんだかいつもの端正な顔にさらに妖艶さがプラスされているようにみえ、思わず見入ってしまった。と、その時に「くしゅん」と可愛いクシャミをした彼女はゆっくりとまぶたをあけると、まだ、半分眠っているような顔のまま、上体を起こした。その顔は普段の氷のように冷たい視線とは対照的に、ホワホワとしていて、俺はクスリと笑ってしまった。しかし、俺の顔を見つけた彼女は5秒の間に顔を真っ赤にして、プルプルと肩を震わせて身体を隠すように腕を組んだ。ま、まずい、このままでは殺される……アスナはすぐさま腰に手をやってレイピアを引き抜こうとした。俺も瞬時に臨戦態勢にはいろうとしたが、彼女はグッと腹の底に怒りを落として、手をかけた剣を引き抜くのを止めた。末代までの恥をかいたような様子の彼女はゆっくり口を開いた。

 

「ごはん、一回……」

 

「はい?」

 

「ごはん、一回!一度だけあなたにごはんを奢る……それでチャラ……」

 

精一杯の抵抗だったのだろう。その潔さに俺は感銘した。しかし鬼の副団長の寝顔を拝見できたなんて貴重な体験をしたもんだ。

 

「何ニヤニヤしているのよ。ほら、さっさと行くわよ!」

 

そう言うアスナの後をついていく。彼女の足取りは早く、堂々とした歩く姿は、男顔負けの風格を出していた。すれちがうプレイヤーも彼女の圧倒される雰囲気に根負けしながらも

 

「おい、《閃光》だぜ」

 

「おーやっぱり美人だなー」

 

「素敵ね〜」

 

「後ろ歩いてるのって《黒の剣士》じゃないか?」

 

「ほんとだ、どうして一緒にいるんだろう」

 

「まさか、ストーカー!目立つわね……」

 

おい、待て待て誰がストーキングしてるって?たしかに、全身黒ずくめで、いそいそとアスナの後をついていっていて……これってストーカーみたいだな。

すると、周りの声に彼女も反応して少し顔を赤くしてこちらを振り返った。

 

「あなた、どうして後ろを歩いているのよ」

 

「今の時代、男性は女性の一歩後ろを歩くのが流儀らしいぞ」

 

「わけよわからないごたくはいいから!」

 

アスナは手招きをして、自分の隣を歩けと暗にほのめかす。仕方がないので俺は僭越ながら並んで歩くことにした。

 

「最初からそうすればいいのよ……」

 

どうしていつもよりも声のトーンが低かったのかはわからないが、彼女は少しきまりが悪そうだけれども、まんざらでもないような顔であったので、俺はまあいいだろうということにした。

 

彼女オススメの店は57層の主街区にあるNPCレストランだった。ここは俺も来たことがあるので意外にも味覚の趣味は合ってるのだなと感慨深さを感じつつ、店のドアを開けた。そこそこプレイヤーで混み合う中でも、アスナへの視線は止むことはなかったが、今度は彼女も気にすることなく、店の奥に進む。窓際のテーブル席に案内され、俺はせめてもの気遣いをと、慣れない手つきで椅子を引き、彼女は滑らかに腰をかけた。うーん、この女性は立ち居振る舞いに隙がないな。俺はせっかくのおごりだということなので、遠慮なくフルコースを注文したが、アスナは別に嫌な顔をすることなく、「ぶどう酒もいけるわよ」なんて言って高価なお酒をオーダーしてくれた。ああ、この世界ではアルコール飲んでもOKなのだ。なぜなら健康うんぬんなんて関係ないからだ。そうして次々に出される料理に舌鼓をしていると、彼女はいつもよりもやはりトーンを下げて話した。

 

「ま……なんていうか。今日は……ありがと」

 

「へっ!?」

 

予想だにしていなかった言葉に俺は驚愕する。彼女はじろっと俺の方を見て繰り返した。

 

「ありがとう、って言ったの。ガードしてくれて」

 

「あ……いや、その、ど、どういたしまして」

 

俺は普段とはガラリと雰囲気が変わった彼女の語りに戸惑いを隠せなかった。そんな俺を見て彼女はクスリと笑って、穏やかな瞳を向けた。

 

「あんなにたっぷり寝たの、ここに来て初めてかも……」

 

「やっぱり、寝てないのか」

 

「ええ、あなたに言われてから寝ようとしているんだけどね…」

 

昔、彼女と出会ったときのことだ。洞窟でただひたすら敵を切り続けていた彼女は眠ることをせずに半日以上狩りをしていた。その時の彼女の目をおもいだすと、今のアスナは冷たさもあるが、大部分は暖かいオーラで包まれていた。

 

「まあ、なんだ……昼寝をしたくなったら言ってくれ」

 

もう少し言葉を選べよ俺!そんな台詞にあきれることなく、彼女は微笑んで頷いた。

 

「そうね。昼寝日和のお天気だったら、お願いするわ」

 

その時の彼女の笑顔を、どうして残せないのだろうと俺は後悔した。不覚にもアインクラッド1の美人の貴重な表情をみて、ドキッとしてしまった。いかんいかん久しぶりとはいえ、彼女の長いまつげとまっすぐに俺をみつめる瞳に引き込まれそうになってしまった。それで、言葉が詰まったところへちょうど料理が運ばれてきたため、なんとか話題を変えることができた。

 

「し、しかし不思議なもんだよな。健康なんて気遣わなくていいのに野菜を食べるなんて」

 

「あら?あなたがそれを言うのね。野菜だって美味しくたべられたら幸せよ。例えば、このドレッシングなんて食欲をそそるのに十分だわ」

 

「調味料ね……俺はどちらかというと」

 

どうやら、彼女も同じモノを思い浮かべたようだ。せーのと心のなかで音頭をとると

 

「「しょうゆ!」」

 

ビンゴ、見事にそろった声に、プッと吹き出してしまった。だが、その時だった。

 

「キャーーーーーー!」

 

俺とアスナは一斉にその声に反応して立ち上がった。

 

「外の……広場からだわ」

 

「ああ、行くか?」

 

「あたりまえよ!」

 

そう言って同時に声のした方向に走り去るのであった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「聞いたか?」

 

「はい」

 

「念のため《仮面》をつけるぞ」

 

「わかりました」

 

時同じくして、もう一つの男女のペアも動き出したのだった。

 

 

 

 




そういえば、昼間から眠るなんてあんまり経験がないです。皆さんはありますか?私は昼ごはんの後はあんまり眠くならないので学校とかで寝ないんですね。これは人間的にまずいような……

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