SAO『罪と罰』 〜何故彼は力を手にしながら表舞台に現れないのか?〜   作:トアール凡人

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今回、駆け足ぎみになりすぎたため
先にお詫びします。

SAO劇場化ですね!
前回と前々回の投稿は先週に終えていたためタイムラグがありますが、この場でお祝い申し上げます!

では、ご覧ください。


Third section⑤〜忍び寄る影〜

「じゃあ、あれはカインズさんとヨルコさんたちの自作自演だったんですか!」

 

「そういうことになるな」

 

俺はシリカに今回の圏内事件のあらましを説明した。どうして俺たちもまた黒の剣士と副団長様のようにこの事件に関わることになったのかを言っておいた方が良いだろう。

 

第1の事件、カインズの「殺害」のときに、俺とシリカはたまたま57層に買い出しに来ていた。

 

「やれやれ、夕方になると混むなあ。どうしてわざわざここによってたかって人が来るんだよ」

 

俺は1日の活動を終えてフィールドや他の層からやってくるプレイヤーたちで賑わう街をダラダラ歩きながらグチを言っていた。シリカは苦笑した表情であった。

 

「仕方ありませんよ。みんな考えることは同じなんですよ」

 

「そうなのか?ああ、面倒だな〜」

 

正直、人が多いところは苦手なのだ。どうも群衆の中にいると自分の声は通りにくくなるし、耳に響いてくるザワザワとした同じような調子の雑音が不快に感じるのだ。だから、わざわざ人里離れたようなところにホームを構えたのだ。別に、高級住宅街に家を買ってもよかったのだが、そこはそこで、変に人工的に落ち着いていて違和感を感じ、なによりブルジョア的なのがいけない。そんなつまらないごたくを並べているのに俺の話をシリカは相づちをうちながら、聞いていてくれる。ほんとよくできたお嬢さんだこと。

 

「アルトさん、普段はとってもめんどくさいですけど、そうゆうところが逆にいいところなんじゃないですか。あたしは好きですよお話聞くの」

 

短所も見方を変えれば長所になるとでもいうのだろうか。

 

「まあまあ、今日の夕食はアルトさんのリクエストにしてあげますから、もうちょっと歩くのを早くしてください」

 

む、なんだか母親にあやされている小学生みたいな感じだな。そうだな、ウサギ肉のビーフシチューが食べたいな。ウサギを食べたのはこの世界が初めてだが、意外にうまいんだよな。狩りをするときは決して獲物の目を見てはいけない。なぜなら、そのつぶらな瞳を見てしまったら、仕留めるためのナイフを投げれなくなってしまうからだ。

 

「キャーーーーーーー!!」

 

俺が、シリカにリクエストメニューを言おうと思った矢先に広場の方で女性の叫び声が響いた。俺とシリカは直ちに群衆に紛れながらふところから仕事道具を取り出して顔につけた。なぜつけたかって?そうゆう雰囲気だったからだ、特に意味はない。そうして広場で起こった光景を眺めながら俺は絶句していた。だがそこで口を開けているだけでは芸がない。俺はすぐさま、シリカと共に事件について調べはじめた。

 

後になって知ったのだったが、現場には攻略組の重鎮のあの二人がいて、彼らもこの事件に関わっているとアルゴから聞いた。それで、彼らが得た情報をなんとか知りたかったのだが、実は俺はあの二人には顔が割れている。それは、思い出したくもないような無茶を昔したからなのだが……仮面をはめて行くなんてこともナンセンスだ。

 

「アルトさんができないなら、あたしがやります!」

 

「大丈夫か?あの二人かなりのやり手だぞ」

 

「うーん、それはそうですけど、あたし実は聞き耳スキルも結構上げているんですよ。がんばればバレずに済むかもしれません」

 

いったい、この子はこの短い間にどれだけスキル上げたんだろう。まあ、レベリングには散々付き合わされているからな。短期間で偏差値30から60に!みたいな、胡散臭い宣伝みたいなことが現に起こっているのだ。結局情報収集をシリカに任せることにした俺は、その間にずっと考えごとをしていた。どうやったら、圏内で人を殺せるかの問答だ。散々考えたが思いつかなかった。だが、ちょっと視点を広くぼんやりさせると、一つのことに帰着した。どうすれば圏内であのエフェクトを出せるかだ。プレイヤーは死ぬときに必ず青いエフェクトに包まれてポリゴンとなる。ならば、逆にそうなるための条件を探っていけばいい。すると、一つだけ思いついたのだった。そのアイディア自体は、昔あるヤツが言っていたことなのだがな。くだらないことだと思っていたが脳の片隅で眠っていたようだ。記憶力が人並みにあってよかった。

それで、問答が終わった頃になると偵察に行っていたシリカが帰ってきた。

 

「おかえり、成果は?」

 

「ば、ばっちしです!」

 

「……何かあったのか」

 

シリカの癖だが、焦っているときに言葉が微妙に詰まった感じのしゃべりをするのだ。シリカは居心地の悪そうに俺から目を離した

 

「……怒らないからいってごらん」

 

「話をあらかた聞き終わって帰ろうと席を立ったときに、つまずいて転んでしまって……」

 

なんだ、そんなことか。きっとあちら側も小さな子が失敗したぐらいにしか思ってないだろう。シリカは実年齢よりもほんのわずかだが幼い感じなので、この子がドジをしてもなんとなく微笑ましいのだ。むろん、他の奴は許さんがな。

 

「それは、大変だったな。ありがとう、ご苦労様」

 

「はい!」

 

それから、俺はシリカから仕入れた情報を説明された。まったく、店の中で重要な話をペラペラするなんて不用心な奴らだな。……多分、シリカ自身が何も警戒されなかったせいだろうが。そのことは彼女には伏せておこう。

そんな経緯もあって、今日までヨルコの滞在する宿の近くで張り込みを続けていたのだが、見事に予想通りの結果となったというわけだ。まあ、キー坊くんが飛び出してくるとまでは思っていなかったが。

 

「アルトさん、その人と知り合いなんですか?」

 

「いや、これを知り合いといっていいのか。でも、多分知ってるからな。難しい……」

 

「あたし、レストランであの二人の話を聞いてたときに、女性の方がとっても美人でびっくりしました。カッコよかったなぁ。あたしもなれるのかな〜」

 

きっと、シリカは知らないのだろう。副団長様の阿修羅になったときのあの目を。怖かったなぁ、あのときは。

 

そして、現在、事件の種明かしがわかったところで本来なら、めでたしめでたしと言いたいところだが、俺はどうしても無視できないことが一つあった。それは、アルゴにグリムロックについて調べてもらってわかったことだった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「ヨルコ、カインズ!おまえら生きていたのか……」

 

「ええ、シュミット」

 

ここは、19層にある、かつての黄金リンゴのリーダー、グリセルダの墓だ。グリセルダが死ぬ前、シュミットは何者かの指示によって彼女の後をつけるように指示され、言われるがままに彼女の回廊結晶の位置セーブ、つまりグリセルダのいる場所の情報をその何者かに伝えたのだ。結果的に彼女は死んだ。だが、シュミットはただ動かされていただけなのだ。

今、シュミットは墓の前でグリセルダの亡霊に全てを吐いた気でいたが、それは全て、ヨルコとカインズの芝居だったのだ。

 

「あなただけが、ギルド解散後に羽振りが良くなって、装備を強化して上位ギルドに入った。だから、可能性があるとしたらあなただけだったの」

 

「で、でも俺は誰に指示されたのかわからない!ほんとうだ」

 

「そうだとしたら、いったい誰が……」

 

元メンバーの内、カインズ、ヨルコ、シュミットのうち、グリムロック以外のメンバーの容疑はない、彼らは中小ギルドに入っており、特別な動きはまったくなかったからだ。

そう考えるとシュミットはある一つの推測を思いついたのだが、

 

「てことは……犯人って……」

 

そのとき、シュッという音が風を切った。気付いたとき、シュミットの背中には小さなナイフが刺さっていた。

 

「……っ!からだがうごかない」

 

その場に倒れこむ。かなりの強い毒によって身動きはとれなくなっていた。

 

「ククッ……見事に当たったぜ」

 

木々の間から、真っ黒なコートを着た男が出てきた。その男は右手に持ったナイフを振りながらシュミットに近づく。

 

「シュミット!」

 

ヨルコが危険を感じ動こうとするが、その瞬間目の前にギラリと光る剣が振りかざされた。左右から現れた怪しい男が彼女の動きを封じる。見ると、カインズも同じ状態だった。

ナイフを振り回しながら最初の男はシュミットの顔を拝むと喉から絞り出すような不気味な笑い方をした。

 

「ククッ……ほんとうにDDAの幹部様じゃないか。カシラも面白い仕事見つけてくれたな……」

 

「ザザさん、こいつら殺っていいんでしょう?」

 

「あー?カシラがまだ到着してないだろ、まぁ一人くらいはいいだろ……」

 

ザザの視線が、地面に倒れた男に向けられる。

 

「おまえら……何者だ……」

 

ザザは愉快そうに言う。

 

「知る必要はない……なぜならおまえは今日で御臨終だからな」

 

シュミットはもはや万策尽きたと絶望に陥っていた。なんなんだ、こいつらは!攻略組の俺が手も足も出ないなんて……

するとそのとき、どどど、どどっという地面を激しく揺さぶる音が近づいてきていることに気づいた。ザザは周囲に警戒を促し、数歩引き下がった。街のあるほうから近づいてくる影が見えてくる。徐々に実像が明らかになると、黒馬に乗る、これまた黒づくめの少年だと判明した。あっという間に墓石に着くと、馬は遠征に向かうナポレオンが乗る白馬のごとく後ろの二本の足だけで、高々と跳ね上がる。バランスを崩した少年は滑り落ち尻餅をついた。

 

「いてっ!……ぎりぎりセーフってとこか、危なかったな」

 

キリトは乗ってきた馬の手綱を引くと、馬はばひひーんと威勢のよい鳴き声を残して去っていった。キリトは敵の数を確認する。

 

「三人か、おまえがリーダーか?」

 

キリトは1番危険な雰囲気を醸し出していたザザに問う。男は笑いながら否定した。

 

「おいおい、黒の剣士までいるなんて聞いてないな、カシラはいつ来るんだ?」

 

周りの男たちも突然のことにいささか動揺する。よし、これくらいなら相手にできる。キリトが、威嚇のために、剣を引き抜き、シュミットを庇うように怪しい男たちに刃を見せた。

 

「うふふ〜、まさか攻略組の主力がやってくるなんてね〜」

 

キリトは突然後ろからした声に反射的に背筋に寒気を感じた。得体のしれないものを見るような目で後方に視点を移すと、黒のフードを被り、くりくると少し刃先が短い剣を回しながら近づいてくる影がまた一つ増えた。

 

「……!?誰だ?」

 

キリトは今まで抱いたことのないような感情をはじめてプレイヤー相手に感じていた。生物的本能がこいつはヤバイと脳に信号を送り続けてる、心臓の動きが加速する。キリトは必死に冷静さを取り戻そうとした。

 

「んー、名乗るほどでもないよ〜。君たち攻略組は何も知らないから仕方ないか〜。こっちだって隠してるからね」

 

キリトはその声の主が女であるとわかった。しかし、彼女が常に人を小馬鹿にするような陽気な喋りをすることに、不気味さがますます増した。

 

「さてさて〜、これは大変だよ!敵は4人に増えちゃったわけだし〜。さすがの黒の剣士でも相手するのは無茶だね〜」

 

キリトはなんとか取り繕うとハッタリをかける。

 

「そうだな……だが、俺だって馬鹿じゃない。お前らの攻撃だったら10分は持たせられる。その間にやってくるのは攻略組精鋭30名だ。5人で相手するのは無茶じゃないか?」

 

すると、女はケラケラと腹を抱えて笑いだした。

 

「あはは〜、キミ嘘つくの下手だね。こっちも馬鹿じゃないの。今日、攻略組の主力が迷宮に割かれていて、戦力はスカスカなのは既に把握済みだよ〜」

 

くそっ、思ったよりも厄介だ。このままでは……

 

「おやおや〜もう、諦めちゃうの?つまらないな〜」

 

笑みを浮かべながら女は剣先をキリトに向ける。

 

「特別に教えてあげる。私は《ラフィンコフィン》首領こと《POH》っていうの。以後お見知りおきを〜〜」

 

こいつが、ラフコフの首領だって……くそッ、あれだけ攻略組でも警戒されていて全く足跡を掴めないようなやつらが現れたなんて……

キリトたち攻略組はたしかに、レッドギルド《ラフィンコフィン》の存在自体は把握していた。しかし、やつらは他のオレンジギルドと違って、メンバー、活動、拠点が全く掴めなかった。被害にあった奴らが全員助からなかったということもあるが、こんな状況で遭遇するとは考えてもいなかった。

 

「だから言っただろ。関わらない方がいいってな」

 

またもや新たな声がすると(今日で何回目だよ!)同時にカインズを捉えていたラフコフのメンバーの一人が倒れこんだ。

 

「ぐ……、なんだ、これ、いつのまに」

 

その男の腕には細い鋭利なものが刺さっていた。

 

「ぐわっ!」

 

それに続いて、ヨルコの周囲にいた男も同じように倒れこむ。

 

「二人ともこちらへ」

 

少女の声がして、二人は言われるがままに安全な場所に逃れた。彼らを移動させると、ようやく正体不明の声の正体が判明した。

 

「おまえら……」

 

キリトは先日遭遇した《仮面》の二人組の姿を捉えて、驚愕した。さらに、驚いたのは彼ら二人のそばに、アスナがいたということだった。

 

「キリトくん、加勢に来たよ」

 

「アスナ!どうしてそいつらと」

 

アスナが居心地の悪そうにしながら答えた

 

「その……キリトくんが飛び出して、慌てて後を追っていたら途中で、この人たちに会って『お探しの男はこっちだ』って言うから、ついてきたら……」

 

知らない人についてきちゃったのかよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





圏内事件の概要説明は省きまくったのですが

よく知りたい方は、原作をご覧ください。

結構駆け足だったので、次回はもう少し落ち着くつもりです。

最近、ジワジワとUAが増えており、多くの方にご覧いただき嬉しいかぎりです。これからもよろしくお願いします。
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