SAO『罪と罰』 〜何故彼は力を手にしながら表舞台に現れないのか?〜   作:トアール凡人

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ごちうさ教の布教が本格化
年末に発生予定の難民はどうなるのでしょうか?

ようやく、オリ主は原作主人公とまともに会話

ご覧あれ



Third section⑧〜共同戦線〜

 

突然登場した《仮面》の男はアスナに精一杯の謝罪をした後、話をしようと言い、主街区の路地裏にある、隠れ家のような喫茶店に俺たちを連れて行った。

 

「ここは人が少なくてね、でもお茶の味は保証するよ」

 

かなり気さくな話ぶりに俺たちは戸惑っていたが当の本人は何も注文しなかった。

 

「悪いけど、仮面は外せないんだな。こればっかりは勘弁してくれ」

 

まあ別に話ができるのならいいだろうと思い納得した。アスナが頼んだ蓮茶に口をつけると「おいしい……」と感動していた。

 

「お気に召していただいてよかったよ」

 

「別に許したわけではないからね」

 

「厳しい人だな」

 

アスナは口ではきついことを言っていたが、お気に入りにありつけて少し機嫌を直したようだった。あれ、そういえば。

 

「今日は相棒の子がいないじゃないか、……ええと、仮面さん?」

 

「αと呼んでくれ。あの子はSと呼んでいるけど、彼女は別件でね。本当は来たかったらしいけど……それよりも本題に移ろうじゃないか」

 

そうだったな。俺は背筋を伸ばして彼の話に耳を傾けた。

 

「いやよかったよ。君たちが攻略組の代表でね」

 

「どうしてそれを?」

 

「傍聴席から見ていたんだが、気づかなかったか?」

 

いったいどれだけ隠蔽スキルがあるんだ。それに加えて、もともとの才能で気配を消していたのだろうか。なにはともあれそれなら話が早い。

 

「一応俺とアスナに委任された…ってまだ俺たちも名乗ってなかったな」

 

「ああ、気にするな。キミら二人の名前は道を歩いてれば嫌でも耳に入ってくるからね」

 

そんなに有名なのか。アスナはともかくとして、俺はただのソロだぜ。

すると、アスナがゴホンと咳払いをすると話を元に戻した

 

「率直に聞くけれど、あなたは攻略組に協力する気はあるの?」

 

αは口を濁して言う。

 

「協力ねえ……それは条件次第だな」

 

「条件?」

 

仮面の男は右指でテーブルを所在なげにこすりながら

 

「多分あなたは俺たちに攻略に参加しろと言うつもりだけれど、それはヤダ。俺はあくまでも《仮面》でいる」

 

アスナは眉をひそめる。

 

「たしかにあなたは犯罪者摘発に真剣だわ。私たちも認める。……正直なところ、攻略に目がいって犯罪者たちを野放しにしてきたところはあるわ。けれど、あなたは強いのでしょう。だったら、この世界を早く終わらせるためにも、犯罪をこれ以上広めないためにも、攻略に参加してほしいの」

 

アスナにしてはかなり下手に出た構えだ。いや、彼女なりの戦略なのだろう。

 

「さすがだなぁ、さすが攻略組筆頭だ」

 

おいおいあんまりはぐらかすようなこと言うと、お嬢様の堪忍袋が黙っちゃいないぞ。ほらみてみろ、だんだん血管が浮き出ている……

 

「あなたねえ……」

 

ヤバイ、ここはなんとか取り繕わないと。

 

「ま、まあ待てアスナ……α、どうして攻略に参加したくないんだ、理由を聞かせてほしい」

 

きっとここまで固辞するんだから何か理由があるのだろう。

 

「そんなの決まってる。面倒だ。どうしてわざわざ迷宮に行って、わけのわからないモンスターの親玉を倒さなきゃならないんだよ。命がいくつあっても足りない、そういうのは君たちのような『勇敢』な人に任せておきたい」

 

な、なんて勝手な……

見てみろもう知らないぞ!

アスナはバンっとテーブルを叩いてはずみでカップのお茶が少しこぼれた。

 

「いい加減にして!あまりにも勝手すぎるわ。あなたモンスターはいやでもプレイヤー相手には命かけてるじゃないの!」

 

まあ、たしかに

すると、αは歯に何かひっかかたようなはっきりしない言い方で

 

「そうはいっても……面倒なのに変わりないだろ?」

 

「じゃあ、どうして犯罪者を襲っているのよ!まさか、趣味とか言うんじゃないんでしょうね」

 

「バカなことをいうな、俺の趣味はお茶とコーヒーだ!」

 

「そこ問題なのか??」

 

なんだか噛み合っていないなぁ。

というよりこいつはわざとやっているんじゃないか。故意に人を怒らせて、腹の中でケラケラ笑ってるみたいだ。表情は読めないから定かじゃないが……そうじゃなきゃ、こんなおっかない女性にケンカを売らないだろ。

 

「だが、犯罪者…ラフコフを追う理由はあるぞ」

 

「……どういうこと」

 

「……君たちが義理のある人たちだとは、風の噂で聞いている。だから、話してもいいと思っているのだが」

 

そういうと彼は俺の方を見た。

俺はおそるおそるうなずいた。

続いてアスナにも同じことをしてアスナはしぶしぶ首を縦に振った。

 

「……ならばお話しよう、無論すべては語れないけどね」

 

仮面は周りに他の客がいないことを確認すると、改めて席に座りなおした。

その場の空気はピーンと張り詰めて、俺とアスナの視線はまっすぐに仮面の男の目に向けられた。わずかな隙間から見えた彼の目は閉じられて、一呼吸置いてゆっくりと開くと、彼の語りが始まった。

 

「正直なところ、あの殺人ギルド、ラフィンコフィン。……あれができたのは俺の責任だ」

 

アスナが口元に手を添えて目を見開く。

 

「ラフコフがいつできたか知ってるか?おそらく誰も知らないだろうな本人以外は。だけど、俺はたしかに覚えている。あれは第三層が攻略されてすぐだった。初の犠牲者はたまたま洞窟に迷い込んだ冒険者だった。彼らの悲鳴が闇の中で響いた時、同時に最悪のレッドギルドもまた産声を上げたんだ。」

 

そんなに早くから存在していたのか……

俺は彼の言葉の一つ一つが衝撃的だった。

 

「……経緯はいえないが、ラフコフの親玉と俺は因縁がある。たぶん……いや、俺のせいであの女は凶行に走った。それを止められたのは俺だけだった。……だから、これは俺の義務だ。ラフコフが壊滅するまで《仮面》は存在し続ける」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

仮面の話が終わり、彼は俺たちに飲み物をすすめた。だが、何となくのどを通らなかった。アスナも眉間にしわを寄せたままだった。

 

「……今聞いたことは、内緒にほしい。このことを知っているのは相棒と君たち、それとあと一人ぐらいだ。紳士としてはあまりにも格好がつかない話だからね」

 

なんでもないように取り繕っているが、本当はどうなのだろう。仮面の下の彼の目はそれをごまかしているようだった。

 

「ごめんなさい、あなたの事情も知らないのに……」

 

「アスナさん、あなたの立場、トッププレイヤーとしての大変な苦労はよくわかっている……つもりだ。けれど、俺たちは未だに所在も掴めない奴らと戦う覚悟だ。下手に、攻略に出て君たちにも迷惑をかけるわけにはいかない……勝手で悪い」

 

さっきまで言い争っていたとは思えないようなシンミリとした空気に置いてきぼりにされる俺。こ、ここは少し和ませなければ。

 

「あ、あのさー、αとしては犯罪者の摘発に関しては攻略組と、俺たちと協力してもいいと思ってるのか?俺たちもできればラフコフは早くなんとかしなくちゃいけないと思ってるしさ」

 

男はうなずきながら返してくれた。

 

「ああ、もちろん、その点ではできると思う。特に君たちはすごいからね」

 

「すごい?」

 

「心強いよ、とっても」

 

仮面はその場でおもむろに立ち上がると

 

「どうか、ラフコフ討伐のために俺たちに力を貸してほしい。君たち二人にね、

この通り……」

 

彼は深々と頭を下げた。綺麗に直立から腰を曲げる姿に俺は圧倒されて、戸惑う。

 

「わ、わかった。だから、顔を上げて……」

 

ようやく顔を上げて彼はクスリと笑った。それに合わせて、アスナも小さく笑みを浮かべていた。なんだかわからないが、アスナも了承してくれたのだろう。

 

「助かるよ……」

 

仮面は少し遠くを見ているような感じで、静かな口調であった。

 

こうして、俺たちと仮面との間で連携関係が築かれたのであった。

それを受けて解散となったのだが、アスナが先に店を出て行くのを確認すると、男は少年のようないたずらめいた口調で俺に声をかけた。

 

「なぁ、キミはあの子のことどう思ってるんだ?」

 

「あの子?」

 

「とぼけるなよ、副団長さまだよ」

 

「んなっ!!」

 

そんな俺を見てクスクスと笑っている。

 

「余計なお世話と思うけど、才色兼備の子なんてそうそういないぞ。他の男に取られる前に、覚悟を決めるのだぞ、少年!」

 

「ま、まて、俺はそんなこと……」

 

アスナは俺の中ではまだ……

た、たしかに最近ちょっと柔らかなったところがあって、ドキッとするときもあるけど……

俺が自問自答していると、気づいたら男は消えていた。テーブルを見ると一切れのメモ書きがあり、連絡先と俺への伝言が書かれていた。

 

『ご祝儀ははずむよ!』

 

ますます、わけのわからない男だ……

 

 

 

 




次回からは少し箸休めを挟もうと思います。

アルゴ成分が足りないし、リズにも会いたい。

次回、「ガールズトーク」お楽しみに
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