SAO『罪と罰』 〜何故彼は力を手にしながら表舞台に現れないのか?〜 作:トアール凡人
「・・・・きて・・!」
声が聞こえる聞きなれた女の子の声だ。
「・・・・レット・・・・て・・・」
でも、それは決して決して物語的展開は期待できないようなヒロインとは到底言えない少女であって
「・・・・おきて!!・・・」
暗い。まぶたの裏が真っ暗だわずかな色も感じられないくらい暗闇。
「もう〜起きてってば〜レット!!!」
目の前にはやはり人を馬鹿にしたような顔ででも、少し悲しそうな顔をしている
女の子が彼の身体を揺すっていた。
「少しはまともにできないのかなぁ」
「私にそれを期待しちゃうの〜?」
その少女はクスクスと人を小馬鹿にしたように笑っているだが、これが彼女なのだ。起き上がって自分のパラメーターに目をやるとカーソルが黄色になっていた
「……HPが大分削られたな」
「ほいっ」
ハニーがポーションを渡してきたそれを一気に飲み干して空になった入れ物がポリゴンとなった。
「……ここは?どこなんだ?」
「ん〜私もついさっき気がついたからよくわかんないな〜」
そう言って、彼の方に近づいて耳元でささやいた。
「君が、私を支えてくれたおかげで
乙女の身体に傷はないよ♪」
「そもそも、この世界にケガの概念なんてないだろ」
「ふふふ〜今のは私的に意識したセリフなのになぁ〜〜♪」
その計算つくされたような言葉に少しでも心が込められているとしたらそれは言葉と本心という語の定義を変えなくてはならないではないか。
「……でも」
「なんだよ?」
「かばってくれてありがとう
ダーリン♪」
「その名前で呼ぶな勘違いされる」
あいかわらず人をからかうのがうまいものだ。
「んーでも勘違いする人間どころか
モンスターの姿もないようだよ」
辺りは真っ暗そのものでハニーのもつカンテラの火がなければ、前を進むのも危険だ。だが、幸いにも辺りにはまがまがしいモンスターの気配もしない。
「……ともかく進んでみるか」
「Yes!!なんか面白くなってきたね〜」
まったくおもしろみは感じられない。でもこうゆう時はこんなお気楽娘がいたほうが、悔しいが、安心してしまう。それが彼女の良いところ、いや、悪いところなのだろう。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「……」「……」
沈黙が続く火の灯りを頼りながら歩き続けてどれくらい経ったのだろうか隣を歩く少女をみると初めの勇ましいほどの興奮はとうに尽き、暗くて表情がよく読み取れないが、足取りが先ほどから遅くなっている。おそらく不安に感じているのが筋だと思うが、
「アーーーーーー!!!もうっ、つまんない‼︎つまんない‼︎」
彼女はどうやら退屈らしい。
「普通の女の子だったら、もう少しこの状況に絶望して不安におもうものじゃないのか?」
「うーん……私って普通?」
「ぜんぜん」
「即答なの〜〜〜?女の子に対するひどい仕打ちだね〜」
表情は読めないがほほがいつもよりもフグのように膨らんでいる。
「しかし、困ったな……この暗さだと
どうしてもペースが落ちるし」
「だって、レットがすごくゆっくり歩くんだもん。私だったら目を瞑って走れるよ〜」
そうゆうと目を閉じてゆうゆうと駆け出す。
「ふふふ〜つかまえてごらーーん♪」
おい、そっちには……
ドテーーン!!
ハニーはやはり壁にぶつかった。
「うーーーー、どうして教えてくれないのかなぁ…………」
イテテといいながらこちらを恨めしそうに見る。そうゆうのを先人は言った、自業自得であると
「はぁー……何やってんだよ」
「あー痛かった〜〜」
ヘラヘラしながらハニーが立ち上がるが
その時、彼女が突っ込んで崩れた小岩の
中がほのかに視界を奪った。
「んー目が〜〜〜」
某大佐のマネをしているのは彼女彼も最初は何が起きたかはわからなかったが、数秒経つと目が慣れたらしく視界が正常になった。その根源を改めてみると、そこには微かに光を放つ何かがあった。
「なんだこれ?ホタル?それとも……」
ハニーも目が治ったらしくその発生源を調べる。
「んーなんだろう?なんかの藻みたい?
…………コケ?かな〜〜」
彼女が手でガリガリとその物体をひっかいて彼に見せる。たしかに、光を放っているのは不思議だが、コケのようだ。
「へえー面白い。ねっ!!レット!!」
コケのおかげでわずかに彼女の顔が見えるようになった。満面の笑みだ。
「他にも、これがあるかもしれないな」
「そだね〜〜ちょっと探してみますか!」
二人は剣を抜いて手当たり次第に小さな岩を叩いて割っていく。それほど多量ではないが辺り一面を照らせるほどのコケを見つけることができ、それを頼りさらに進むことが可能となった。
しばらくすると非常に遠くではあるが
光が見えた。もしかすると出口かもしれないが
「アレ〜〜?でも私たちってかなり地下深くに落ちちゃったんだよね〜?これで出口が見つかるのはオカシイんじゃないなかな〜」
たしかに、暗がりとはいえほとんど傾斜もない道を歩いてきた落下地点から上を見上げても光がまったくなかったということは、少なくともそこが森のなかだったとしても数十メートルは地下に落ちたはずだ。
「……もしかするとモンスターが出てくるかもしれない、戦闘の準備を」
「りょーーかい!」
万全の体制で光の方向へ一歩ずつ進む。やがて、暗闇から解放されてそこの光景が見えた。
長いトンネルを抜けた先は小人の国だった。別に決して脚色も何もなくそこは洞窟の中に作られた集落だった。道行く人々はこの層の主街地を歩くものと
なんら変わりはない。……身長が小学生ほどしかないのを除いて。
「まさかこんな世界が待ってたなんてね〜〜」
隣の少女は今日1番の興奮の様子であった。物珍しそうに洗濯をしている中年の小人を眺めている。コラっキョロキョロしない!田舎者に思われますよ。とりあえず、彼は集落の広場にいた若者に話しかけた。顔はそこらへんにいるような
20代くらいのソコソコ彫りが深い男であるが、8歳くらいの子供くらいしか背がない。小人の若者は彼を見上げて不機嫌そうに言った。
「あんたらだれだ?ここはホビット族の村だよ、よそもんはどっかに行きな」
顔に似合わずかなりキツイことを言ってきた。彼は少々驚いて腹がたったがいかんせん事態が事態なので平静を保ちながら返した。
「俺たちは別にあやしいものではない。
ただ、偶然ここに迷い込んだだけなんだ。地上への出口を教えてほしい」
ホビットはため息をつきながら「族長のところに案内する」と二人についてくるように言う。少し行くと他の集落の住居よりは幾分立派な土作りの屋敷に案内されて、入り口で「待っていろ」と言ったホビットの若者は屋敷の中に姿を消した。
「なんか、感じ悪いな〜〜姿はとっても愛らしい感じなのに〜」
同意だ。いくらよそ者とはいえここはあくまでもゲームの中だNPCにも態度がそっけないものはいるが、ここの集落の住人は目を合わせる度にこちらにいぶかしげに冷たい視線を返してくる。
「まあ、変人科学者が作った世界だし、こんなこともあるだろう」
そう言うや否や、中から先ほどの若者
が出てきて「族長が謁見を許した」とかなんとかいい、屋敷の中に入るようにぶっきらぼうに言うと、彼は元いた広場の方へと戻っていった。中に入るとそこはいかにも偉い人がいそうな仰々しい飾りがなされた大きな広間だった。奥の方には白いひげを胸の辺りまで伸ばして頭には他のホビットとは違う金色のフードを被った翁が座していた背はあいかわらず低いが……すると翁が口を開いた。
「おぬしらは人族のようじゃな
人族はここには近づけないはずだがのう、どうやってこの我が集落に足を踏み入れたのじゃ」
完璧なまでに老人の喋り方をしているため、ハニーは口を押さえながら「じゃだってクスクス」笑っている。今までのあらましを話し出口がないかと尋ねる。
「ほう、それは苦労しただろうのお
……じゃが、地上への道を開くことは一族の掟で固く禁じられているのだ」
「しかし、それでは……」
さっきまでクスクスしていたハニーも
少々ご立腹らしい。
「そうだよ〜〜私たちも困ってるんだから、いいじゃーーん?もうっここの人は不親切だね〜」
おいおい、今そのセリフを言うか。
「村人が無礼をしているのは詫びよう、だが、わしらも理由があるのだ……」
要約するに、さっき彼らが見つけた特殊なコケは『光ゴケ』というもので、このおかげで洞窟のなかでもまるで太陽があるかのように明るい環境を整えているらしい。だが、最近光ゴケの産出場所がモンスターに占拠されてしまい、光ゴケの入手が不可能になってしまい徐々に明かりが弱くなっている現状にホビット族は不安を抱いているらしいのだ。
「ホビット族は先祖代々争いを好まない部族じゃから、マトモに化物を退治する力を持っていないのじゃ……」
そう言う翁の顔は悲痛そのものだった。一族の長として今の事態に何もできないことにやりきれない思いなのだろう。
「ふーーん、じゃあさ!」
静かに聞いていたと思ったらおもむろに口を開いた彼女は
「私たちがその化物を倒してあげるから、その代わりに出口を開けてくれるってのはどうかな〜?」
「倒すって、俺とお前でか?」
「その通り♪」
おいおい見知らぬ敵になんの情報もないまま突っ込むのかよ。
「ほう、人族がそんな力を持っているとは思えんがのお。よいじゃろ。おぬしらの提案に乗ろうでらないか」
ところで、こいつは本当にNPCなのだろうか?さっきから会話が違和感なく続きすぎているぞ。普通はありえないはずなんだが
「じゃあ〜キマリーーー!!さあ行くよ〜レット!!」
どうやら、彼女はそんな疑問は抱いていないらしい、さっそく退治に向かおういうらしい。
「おい、待てまだそいつらのいる場所も聞いてないんだぞ」
「おーーそうだった〜‼︎おじいちゃん何処なの?そこって?」
「集落の東を抜けた先に光ゴケの採掘場がある。門番には話を伝えておくから通れるじゃろう」
毎回思うが、こうゆう時の伝達手段はなんなんだろう。テレパシーでも送って翁から門番に伝わるのだろうか。
「よし!じゃあシュッパーーーツ!!」
そう言って、ハニーは彼の腕を掴んで引きずっていった。せめて、せめてもう少し化物のことをきいていこうよ……あと、少しほのかな膨らみが当たってるのだが……
「当たってるんじゃなくて、当ててるんだよダーリン♪」
お前はエスパーか!
〜ある日常の一コマ〜
ハニー「みなさんこんにちはジャパネットハニーの時間です‼︎」
レット「……」
ハ「今日みなさんにお送りするのはジャジャン‼︎
この『光ゴケライト』です‼︎」
レ「……」
ハ「電気を使わず、地球に優しい明かりがどんな暗闇でもあなたを照らします!お値段はなんと2000コル!!
お安いでしょ〜??」
レ「なあ」
ハ「なーに?」
レ「満足したか?」
ハ「した〜〜〜♪♪」
アルゴ「以上、ジャパネットハニーの時間でした
提供はいつもあなたに届けます安心としんらいの『アルゴ情報事務所』がお送りしましタ」