キセキの忠臣蔵   作:あるく天然記念物

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第十六話 いざ、三度目の江戸へ

 

 

 大学様の閉門が解かれる知らせと共に、俺たちを取り巻く環境は一気に加速していった。

 今後の仇討ちを行うに当たっていつ行うかを決める円山会議に始まり、俺個人はせっせと呪いについて決定的な内容を明らかにしたりしていったなど。

 ちなみに円山会議に俺は出席していない。

 なんでも内蔵助がここから先は赤穂の問題とかなんとかの一点張りで、会議に参加するどころか、仇討ちすら参加させないって言ってきたんだ。

 たく、そんな事しても俺を巻き込みたくないって顔にでていたから更にたちが悪いぜ。

 だが、そんな内蔵助対して俺はあることを種に説得し、仇討ちに参加できるようにした。

 その種とは、神籤の呪いだ。

 ここで、俺が調べた呪いについて教えておこう。

 神籤の呪い。

 これは荻生徂徠が吉良にかけた物で、特定の条件で発動するものだ。

 それでどう操って浅野内匠頭を辱めたかは分からんが、なんでもこの呪いにかかったら目が紅くなり、物の怪になるそうだ。それは、神籤には神が宿る、なんて言われてきたかららしい。呪い存在が本当なのが確実なので、吉良を打つということは神、もしくは物の怪を相手取るってことになる。当然俺の知っている忠臣蔵じゃそんな御伽話みたいな展開が合ったわけがない。つまり、これは俺が入ることのイレギュラーということだ。そして呪いの解き方もついでに分かった。面白いことに解き方は凄く簡単で、ただ、呪いかかった者を殺す、それだけだ。

 さて、ここでキーポイントなのは殺すこと。つまり、呪いを解くためには吉良を打つ必要があるってことだ。さらに言えば、物の怪なんか出てくるのだって何割かは俺のいるせい。なら、参加しないわけにはいかないだろ?

 かくして俺は無事に仇討ちに参加する事に成功したのだ。

 

 それからは仇討ちに参加する者を篩にかけるたりして過ごし、つつがなく仇討ちの為に江戸に行く日を迎えた。

 役人に悟られないよう、主税が先に向かい、俺や内蔵助、数右衛門は後から行く手はずになっている。

 

「さてと、荷物はこれくらいか」

 

 出発前に最後の荷物確認をする。忘れ物はなさそうだ。

 

「うむ。では行こうか?」

 

「あぁ」

 

「わかりました」

 

 最後に住み慣れた屋敷みて思う。

 これが最後だと思うと、なんか感慨深いもんがあるな。

 よく考えたら、この山科での生活がこの時代で一番長かったんだよな。

 じゃあな。たくさんの思い出をありがとうよ。できることなら、今後も生活したかったぜ。

 

「んじゃ、サクッと江戸に向かうか」

 

 こうして俺たちは、江戸へと向かった。

 

 その旅の途中。

 

「すぐは~」

 

「………なんだ?」

 

「おんぶ~♪」

 

 いつもの調子で内蔵助は甘えてくるが、たまには趣味至高を変えてみようと思う。

 

「…………たまには歩いたらどうだ?」

 

「あっ、ご城代? なんなら、オレが背負いましょうか?」

 

 そこですかさず数右衛門が提案するも、

 

「しゃーっ!」

 

 そっけなく断られ───って、威嚇かよ。

 

「ひっ!?」

 

 思わぬ内蔵助の行動に数右衛門は涙目になる。さすがの俺でも、ここまで邪険に扱うのはどうかと思うぜ。

 まっ、主税が江戸に向かってから数右衛門が屋敷に住み着いていたから無理もないがな。

 

「たく、威嚇するなよ。ほら、さっさと乗れ」

 

 とりあえずこのままだと数右衛門が本気で泣きかねないので、内蔵助を背に乗るように促し、機嫌良くさせる。

 

「わーい!」

 

 勢いよく飛びついてくる内蔵助。

 まったく、この調子で仇討ちとか本気で大丈夫なのだろうか。

 

……………

 

………

 

 十一月五日

 ついに、

 

「ついたー───あーしんど」

 

 三度目となる江戸に到着した。

 途中身元が割れかけたりしたが、周りの人々が仇討ちを支持してくれて乗り切れたことがちらほらあったりしながらも、俺たちは遂に江戸にやってきた。

 さすがに今回はみんなとペースを合わせてやったぜ。おかけで体中がギシギシしてヤになっちまうがな。

 

「いやー。緩く歩くってのも思った以上にしんどいな」

 

「直刃、さすがの俺でも偶にお前が化け物と思う事があるんだが、気のせいか?」

 

 数右衛門ひどいな。だからこれでも人科に分類されるっての。

 まあ江戸に来るまでずっと内蔵助をおんぶして来たが。

 

「さて、宿に行くとするか」

 

「そうかのぉ。私も早く腰を落ち着けたいぞ」

 

 内蔵助、お前はいつも疲れる要素があったというのだ。

 

「なら、数右衛門案内頼むわ」

 

「分かったぜ」

 

 数右衛門に案内させて宿に向かう。

 現在同士は全員江戸に集結しており、散り散りに待機し、来たるべき仇討ちの日まで息を潜めてすごしている。

 無論俺たちも同様に過ごすことになる。

 できることなら荻生徂徠とやらに一目会ってぶん殴ってみたかったが、さすがにこの状況だと完璧にヤバいので止めておく。

 まっ気長に過ごすとするか。

 

 そして歩くこと数分。無事宿に着いた俺たちは主税達と合流を果たした。

 

「よぉ主税、元気そうじゃん」

 

「直刃か、久しぶりだな。あれ、母上は?」

 

 現時点いるのは俺と数右衛門の二人。その事に主税は疑問を持つ。

 あぁ、内蔵助かぁ。

 

「いや、別に来てない訳じゃないぞ。ただ───」

 

「ちーかーらー!」

 

「ひゃうっ!?」

 

「───お前を脅かそうと………遅かったみたいだな」

 

 一陣の風を巻き起こしながら内蔵助は主税へ抱きつき、胸を直にもみし抱きだした。

 

「ここか? ここがええんじゃろ?」

 

「ひゃうん! は、母上、やめ、やめて下さい」

 

 主税がふりほどこうともがくも、内蔵助は寄生虫のごとくへばりつきはがれない。

 ふむ。

 

「数右衛門、この後主税がどう反応するか賭けるか?」

 

「おっ! いいねぇ、ならオレはこのまま泣け崩しになるだな」

 

「そうか、なら俺は助けない俺たちに怒りをぶつけてくるだな」

 

「そこっ! そんな賭けする暇があるなら助けてよ!!」

 

「な?」

 

 この後、内蔵助が満足して主税の胸から離れたのは三十分後であった。

 んでもって何故助けなかったのかと怒った主税が俺に対して責任と称し稽古を頼んでくる始末。

 正直面倒だったが、なんか断ったら後々ヤバいと思ったので俺はその要求をのみ、試合をしてやってこの日は過ぎていった。

 しかし、主税も剣筋が鋭くなっていて強くなっていたな。どうやら剣の才能は母譲りみたいだ。まっ俺にはかなわないがな。

 あっ数右衛門との賭けはしっかりと徴収させて貰ったぜ。そこら辺は抜かりはないさ。

 

……………

 

………

 

 

「直刃?」

 

 声が聞こえ────ってぇ、

 

「内蔵助………このネタ三回目だから流石に飽きたぞ」

 

「何を言っておるのじゃ? 直刃?」

 

 それから数日がたったある日の夜中。

 何故か内蔵助が俺の部屋に来ていた。

 あれ? なんかこれデジャヴ。

 

「まぁそんな事はどうでもいいとして、なんか用か?」

 

 内蔵助は何故か終始顔を赤らめモジモジしている。

 なんだ? 発情期か?

 

「その……な、今夜が最後の契りとなるやもしれん。だから、思う存分に私を抱いてはくれぬか?」

 

 フム、なるほどな。よし、

 

「………………幻覚か、お休み」

 

 

 今日は思っていた以上に疲れているから寝ることにする。

 こんな幻覚を見るほど疲れているとは、明日も明日でやる事あるからさっさと深く眠りにつこう。

 

「ね、寝るな!」

 

「あによ?」

 

 寝ようと布団を被り直した俺だったが、内蔵助に剥がされた。

 地味に寒いんだが?

 

「たく、マジで幻覚じゃねぇの?」

 

「そんな訳あるか! それに私がここまで言っておるのに、直刃は何とも思わんのか!」

 

 そうか、幻覚でも夢でもないのか。なら、

 

「………内蔵助」

 

「え? うひゃあっ!?」

 

 俺は内蔵助の腕を掴むと一気に引っ張り込み、布団に寝かせ、覆い被さる。

 

「そんなに俺に抱かれたいのか?」

 

 俺は後少し近づけば唇が重なるところまで顔を近づけながら質問する。

 

「な、何度も言わせるな。私は直刃に抱かれたい……今夜は寝かせぬぞ?」

 

 そこまでが俺の理性が保てたところだった。

 

「内蔵助」

 

「直刃………んふぅっ………くちゅ…」

 

 互いが互いを呼び合い、どちらからともなく着物を脱ぎ捨て、裸になって抱き合っい唇を重ねる。

 

 どうやら今夜は長くなりそうだ。

 




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