キセキの忠臣蔵   作:あるく天然記念物

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初戦闘
ぶっちゃけあんまり敵が強くないから無双


第六話 そうだ、山科に行こう

 

「いやー。空気がうまいねぇ~」

 

 森林の中にて、一人寝転がりながら空を見上げる。

 木々の間から差し込む木漏れ日が、何ともいえない幻想的な風景を生み出している光景に何とも言えない感動を覚えるな。

 

 内蔵助たちととの山科で生活は、数日どころか二ヶ月が過ぎようとしていた。

 ついた当初は大評定での取り仕切りや、その後のお家再興に尽力した無理が語ったのか、内蔵助は倒れたりした。

 まっ、バスケの一環でスポーツ病対策として現代医学書を丸暗記していたから、俺がなんとかしてやれたがな。

 その時の内蔵助や松之丞、さらには町医者までも度肝を抜かせた事はいい思い出だ。

 それと山科での生活なんだが、大石家は元々名家であったことから生活は非常に安定していてほぼやることが無く、日課の鍛錬という名の地獄を涼しい夜更けに行い、それ以外の時間をこうやって森林浴するのが日課になりつつある。

 俺自身も地獄級の特訓の成果もあり、もやし同然だったこの時代の直刃の肉体は、俺の現代での全盛期とまでは言えないが、それなりの肉体に進化できた。

 他の出来事と言えば、赤穂の情報は瞬く間に全国に広まり、至る所の浪士が仇討ちに参加したいと訪ねに来ることが頻繁あったな。

 無論全て断ったが。大方仇討ちによる売名行為を目的とした連中だ。本気で赤穂の事など考えていない連中に参加させるわけにはいかないし、そもそもこれは赤穂の問題なのだ。他人に干渉させるわけにはいかんだろうし、何より内蔵助が望んでないからな。

 しかし、その浪士たちだったが、中には一癖もふた癖もある奴もいた。

 中でも一番驚いたのは正稟藩ってところの浪士たちで、黒子って奴と火神って奴の二人組だった。顔もどっかで見たことあるバスケコンビで普通にビビったわ。なんかパチモン臭が酷すぎたから《天帝の目》を使用した急所攻撃でお帰り願った。もう二度と会いたくない。負ける気はさらさらないが、なんか会いたくない。

 マジでこの世界は何なのだろうか。

 あ、討ち入りなんかの情報で進展があった。

 それは、吉良邸が屋敷替えを幕府から命じられた。つまりは場所を幕府の城から遠ざけられたのだ。これは幕府が町人不満やら赤穂の藩士が反抗してくるのを恐れて吉良を切り捨てたということになる。自らがやっておいて分が悪くなると手のひらを返す。全く持って将軍は暗君としか言えねーな。こんなのが一番偉いとは反吐が出るぜ。

 

「ふぁ~……」

 

 過去を振り返って若干疲れた心であったが、幻想的な光景に癒やされ、どうでもよくなってしまう。

 むしろだんだんと瞼が下がっていき、まどろみに身を任せたくなってしまう。

 

「こんなに気持ちいいと、眠くてしょうがねぇ~」

 

「そうじゃのぉ~」

 

 ん?

 明らかに第三者の声に驚きかけるも、見知った人物なので気にしない。

 が、よく考えたらこの場にいるわけがないと思いだしたので、視線を向けて質問することにした。

 

「てか、なんで内蔵助がここにいるんだ。部屋の掃除はどうしたよ」

 

 そう。この隣にいる内蔵助は松之丞と共に部屋の掃除をしていたはずだ。

 ちなみに俺は山科について早々に掃除等を済ませてある。

 それに引き替え内蔵助は全くと言っていいほどに掃除や荷解きをやっていなかったのだ。その事に呆れた俺も内蔵助に頼まれて手伝おうと思ったが、乙女部屋に男子は禁制と松之丞が断固として反対してきたので断念し、日課の森林浴をしていたのだ。

 女扱いしたら怒るのに乙女の部屋とはこれ如何に。

 そう言や、この前もそうだったな。

 少し前になるのだが、内蔵助たちと生活する上で、風呂に入るときだった。

 その時は内蔵助のテンションがあえないくらいにあがっていて、真っ裸で飛び出してきたんだ。そしたらついでに松之丞も内蔵助を止めるために出てきたんだが、何を思ったのか松之丞も真っ裸だった。それを目撃した俺は松之丞から羞恥という名の張り手を飛ばされたが、生憎興奮したわけでもないのに喰らういわれはない。軽くあしらってからその場を後にした。

 その時内蔵助がなにやらつまらなさそうな顔をしていたな。残念ながら俺は女性の裸体はすでに見たことがあるし、こっちではチェリーだが、前世ではバリバリの経験者だ。今更取り乱すこともない。

 まあそれは置いておくとして、そんな風に時には乙女、時には男を気取ると、マジで松之丞は何なのか、理解するのには時間が掛かりそうだ。

 とまぁそんな訳なんだが、今は掃除に関してなんだがな。

 

「で、どうなんだ?」

 

「それに関しては大丈夫じゃ。松之丞に任せてあるからのぉ」

 

 内蔵助はいつものほわんとした雰囲気で、何か悪い事した? といった風にサラッと答えてきた。まるで子供だ。

 丸投げされたわけか……松之丞………頑張れよ。

 俺は心の中で松之丞に手を合わせておく。

 それにしても、

 

「ほんと、いい天気だぜ」

 

「そうじゃのぉ~」

 

……………

 

………

 

 

 夜

 

「ハッ!」

 

 俺は一人で刀を振るっていた。

 この時代は普通に刀で戦う事ができ、現代では御法度で扱うことすらなかったに刀に馴れようと思ったからだ。

 といっても、俺個人素手の戦闘が魂に染み着いているから、未だに馴れん。

 

「シッ!」

 

 ヒュッ!

 空気を裂く音が辺りに響く。

 

「──ふぅ、やっぱ馴れねぇなぁ」

 

 刀を二三度ふって一息つく。

 振るってみて分かる。まだ微妙なところで完璧には程遠い。

 バスケットボールのように自在に操るには、もう少し時間が掛かりそうだ。

 繊細なコントロールが未だに足りない。

 まっそれでも達人レベルで扱えるがな。

 海斗くんや赤司様の万能さが凄すぎです。

 

「さて、もう帰────む……」

 

 今日の稽古はしまいにして帰ろうとした俺だったが、何かしらの気配を感じ、その場に止まる。

 気配は微妙に薄く、動物ではなさそうだ。動物ならもう少しマシに気配を消す。そして一般人のらそもそも気配を消さない。ならば──

 

「いい加減でてこいよ。そこにいるのは分かってんだぜ?」

 

 気配の方向に向けて刀を向ける。するとそこから、

 

「あら? 良く気がついたじゃない」

 

 緑の髪をした女性が出てきた。

 雰囲気や気配の消し方でわかる。こいつは敵だ。

 だが、俺はこの空気は嫌いじゃない。なぜなら、ここしばらく──いや、現代から感じる事がめったに無くなった明確な殺意だ。

 思わず口角が上がりそうなのをなんとか堪える。

 

「ところでぇ、突然でで悪いけど───お兄さんには死んで貰うわね」

 

 そう言うと女性は刀に手をかけ、抜刀して俺に向けてきた。

 ふむ。俺と殺り合う気か?

 

「死んでもらう……か。随分と面白いことをいうな、女」

 

「あら? そんなに面白かったかしら? まぁ別にいいけど。お兄さんはここで、死ぬんだからねぇ───ッ!!!?」

 

 刀を抜刀した女は俺に向かって来たが、途中で立ち止まる。いや、動けないでいた。あろうことか刀の構えすら解いてしまっている。

 だが、そればある意味仕方のない事だろう。

 何故って、そりゃぁ──

 

「どうした? 向かってこないのか? 俺はここにいるぞ? さっさと構えてかかってこいよ。と言っても、お前はもう…………どうしようも無いがな。既に賽は投げられたのだから、なぁ?」

 

 俺の野生やら器、技量、殺意、興奮、そして圧倒的王の気質を放出してやったのだ。

 とてもじゃないが、余程の化け物でも無い限りまともに動くことはできん。

 ひさびさの明確な殺意に思わずテンションが上がってやってしまった。

 まぁ反省はしないが。

 

「さて、そんなお前に二つの道をくれてやろう。せめてもの慈悲だ」

 

「は、はぁ………はぁ………」

 

 俺の言葉が理解できているか定かではないが、女はしきりに身体を震わせている。一瞬でも気を失ったらあの世に逝くことを本能で感じ取っているのだろう。

 そんな女に向けて俺は指を二本たてる。

 

「一つは、無様に逃走して俺に殺される。二つは、一塁の可能性にかけて俺に立ち向かってくる、だ。どうだ? 少なくとも片方は生き残れる可能性が零ではないぞ? それにどちらも慈悲でやる選択だ。どんな選択であれ、俺は素手で相手してやろう」

 

「…………あ、あぁ………」

 

 最早生き残る手段がない。

 その事を理解した女は目を見開き、恐怖に顔を歪ませる。

 やがて決意したのか、女は刀を再び構えた。

 そして、

 

「う、う、うぁぁああああああああああッ!!!!」

 

 一心不乱に俺に向けて走り出してきた。

 この動きには多少は驚く。

 ほぉ、さすがは江戸時代。普通なら逃走だが、向かってくるか。まあその逃走すら絶望の道に変えたのは他でもない俺だがな。

 

「まぁその窮鼠猫を噛むを体現した精神はギリギリ赤点レベルで評価してやるよ。だがな」

 

「はぁああああッ!!!!!」

 

 俺の元にたどり着いた女は俺に向けてその刀を突き出してくる。

 刺突。

 この女の持つ最大の技なのだろう。

 が、それが届くことはなかった。

 

 パシッ!

 

 斬られたのとは明らかに違う場違いな音が場に広がった。

 その正体は、

 

「俺相手に勝てると一塁の可能性を抱くのは零点だ。全てに勝つ王者たるこの俺が、貴様ごとき有象無象の輩に負けるわけが無いだろうが。それに俺は言った筈だ。片方には生き残れる可能性があると。お前に残されていたのは無様に逃走する事だけだよ。そっちだったら、腕の一二本は無くなると思うが、生き残れたのになぁ?」

 

 俺が女が突き出した刀を人差し指と中指の二本で白刃どりをしている状態だ。

 何も難しいことはない。例え女がどれだけ早く刀を突き出したとしても、俺の目は余裕で全てを見通せ、予測など朝飯前だ。後は、ようやく本来に近いスペックとなった肉体で予測した場所に手を添え掴み取るだけだ。全く持って児戯にも等しい。

 

「あ、あぁ………………」

 

 防がれると思ってなかった技を軽くねじ伏せられ、女は最早どうすることもできない。

 その事を理解した女は、既に絶望しきった顔をしている。

 そしてこう思っているだろう。

 これから自分に来るのは死しかないと。

 

「一応、最後の言葉ぐらいは武士の情けで聞いてやるが、なにか?」

 

「………こ、この、ば、化け物め……!」

 

 それが女の最後の言葉となった。

 俺は刀を離すと、一瞬で女の顔に手をかけ、力を込めて一気に回す。

 ゴキャッと、いやな音をたて、女は動かなくなった。

 首の骨をへし折ったのだ。それこそ本物の化け物でも無い限り生きてはいない。

 それと、

 

「化け物って失礼だな。これでも生物学上は人科に分類されるというのに」

 

 最も、才能は化け物だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありゃ、これは出遅れちまった感じか?」

 

 ん? 誰か他にもいるのか?

 




相手が紙屑同然のため本家のゲームだと手汗握る戦闘が無双に
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