東方弱霊夢   作:こまつな

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#12

紅葉の秋である。実りの秋である。収穫の秋である。

秋が深まるにつれて私の髪の紅色も次第に強みが増している気がする。

グラデーションも豊かになった。

これ冬になったら抜け落ちたりしないよね? 大丈夫だよね?

 

先代巫女さまに教えを請うこと二ヶ月。

まだまだ駆け出しどころか見習い巫女程度の私だけれど、収穫祭で大役を担うことになった。

神楽の奉納である。

穣子さまからみんなに私達の巫女をお披露目するのと言われれば否とは言えはしまい。

静葉さまからも、私の選択が間違いじゃないと知らしめてやりなさいとのお言葉をもらっている。

 

とはいえ私は誰はばかることない凡人である。

いきなりやれといわれたことが出来るようならそれはもはや超人の一種だろう。

先代博麗の巫女さまからも、物覚えは悪くないが収穫祭には間に合わないと太鼓判を頂いている。

なので手段はただ一つ。カンペの作成である。

更に咲夜ちゃんに頼み込んで神楽を覚えてもらい、私が間違えたりしたらちゃちなもんじゃない超スピードで外から修正をかけてもらうようにお願いした。

プライドはないのかとジト目で言われてしまったが、そんなものを切り売りするだけで成功が買えるのならいくらでも投売りするに決まっている。

これが失敗したら恥をかくのことになってしまうのは私ではないのだ。

それを防ぐためにできることを全部やって何が悪いというのか。

 

巫女になったことで大きく変わったことの一つに、咲夜ちゃんと毎日顔を合わせるようになったことが上げられる。

お社で寝泊りする私と、毎日参拝に来る咲夜ちゃん。むしろ顔を合わせないほうが難しい。

その影響もあって友達以上親友未満くらいには仲良くなれたと勝手に思っていたのだけど、正直こうなるとはカケラも予想していなかった。

何かが咲夜ちゃんの琴線に触れたのか、気付けば景色は入れ替わり、どことも知れない真っ赤な部屋の一室でブートキャンプが始まった。

咲夜ちゃん曰く、仕えることにプライドを持ちなさい。是と答えたのなら完璧にこなす以外の選択肢は存在しない。

足りなかった時間は咲夜ちゃんが能力で無理やり作り出し、一部の隙もない完璧な神楽が踊れるようになるまでひたすら練習する事になった。

ついでとばかりに家事もひたすらに仕込まれる。

精神と時の部屋ってホントにあるんだね。私びっくりしたよ。

 

そして収穫祭当日。

必死に練習した神楽は問題なく成功を収め、私を微妙と称したNOUMINたちでも納得のいくものに仕上げることができた。ドヤ顔である。

そして舞台裏で静葉さまに怒られる。結果的にできたのと、できるのとでは違う。できないならできないってちゃんと言いなさい。

咲夜ちゃんにも同じようなことを言われている。これに関しては本当に反省するしかない。

穣子さまは成功したからいいじゃないと楽観的である。

そして並んで正座させられお説教が続くことになる。

こういうところでお二人はバランスが取れているのだなぁと改めて思うのだ。

 

収穫祭の終わり頃、天狗の文屋がやってきて私のことを取材して行った。

幻想郷の歴史の中でも博麗以外の巫女の誕生は過去に例のないことであるらしい。

ふんぞり返る穣子さまと穏やかに笑みを浮かべる静葉さまに挟まれて一面を飾る写真をぱしゃり。

対照的なお二人の姿だけど、考えていることはたぶん一緒だろう。つまり、してやったり。

 

文屋の人にお願いして焼き増しした写真をもらえることになった。

これはきっと、我が家の家宝になるだろう。

 

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