気が付けば間欠泉の異変もUFO騒動も終わっていた、晩夏の頃。
里にお寺を建てたのでとほんわかした雰囲気をたたえたグラデ髪の女の人が挨拶に来たけれど、あの女性をして尼僧というのは正直詐欺だと思う。
能力持ちや妖怪を筆頭にカラフルな頭髪も多数ある幻想郷だけど、何気にグラデーション入りの人と出会ったの初めてだ。
勝手ながら親近感を感じてしまったので是非ともがんばっていただきたいものである。
いい加減、能力を使わない歩行法にも慣れ、転ぶことは少なくなってきた。
代わりに、ふと気を緩めたときに全身の力が抜けて倒れこむという事態が増えた。原因は不明。
静葉さまと穣子さまにもご心配をおかけしている。御二方も私の不調の理由は分からないそうだ。
むしろ巫女としての力は増しているくらいで、それなのにどうして体調を崩すのかはさっぱりなのだという。
あっきゅんの調査もなしのつぶてに終わり、申し訳なさそうにしていたのを見てこっちが申し訳なくなったりもした。
ある日、奉納に訪れた咲夜ちゃんが珍しく愚痴を吐いて来た。何でも門番の人がサボってどこかに出かけてしまうらしい。
そんなパーフェクトメイドの人間味を見て気が抜けたのか、それとも倒れないようにと気を張り続けた結果そこで途切れてしまったのかは定かではない。
結果として、私は談笑している最中、彼女の目の前でぶっ倒れたのである。
大慌ての咲夜ちゃんが私を名医のいるという病院に運ぼうとしてくれたけど、意識はあったのでさすがに拒否する。
というかそれって迷いの竹林の奥にあるっていう永遠亭のことだよね。迷子体質の咲夜ちゃんに連れてってもらうとか遭難する未来しか見えない。
すぐに立ち上がれるくらいには回復したので大丈夫だと告げるけれど、人材管理も行うメイド長のチェックを抜けることはできなかった。
どこからともなく薬売りのウサギさんを拉致してきた咲夜ちゃん。いつも思うけど、ちゃんと了解を得てから連れてきているのだろうか。それだけが心配である。
医師見習いでもあるウサギさんが診察してくれた結果、今まで見たことないくらい波長がこんがらがってて訳が分からない状態らしい。
つまり間違いなく不調であるという認識でいいのだろうか。
そんなこんなでウサギさんに案内されて永遠亭へ。
咲夜ちゃんも付き添いで一緒である。友人の中でもとび抜けて儚いから心配なんだそうだ。なんかじーんときて涙が出てきた。
待合室に通されてウサギさんが先生を呼んでくるのを待っていると、何故か絶世の美女が現れる。
私の友人知人にも美人さんは多いけれど、なんというかこのお方は次元が違う。大和撫子はこれであるという実例を見せつけられたような気分である。
絶世の美女は誰かを探しているのか部屋の中を見回した後、私のほうを流し見て、貴女には解けない難題だけど精々頑張りなさい、と意味深なことを仰られてどこかに行ってしまった。
ぽかんとしながら待つことしばし、ウサギさんと先生らしき人が現れる。
検査には邪魔だということで巫女服から用意された病院着に着替え、検査と問診を繰り返す。
途中、姫様に何か言われたかという質問もあったが、特に気にすることもなくそのまま答える。
それにしても姫様である。無駄にしっくり来る呼称だ。
そして診察も終わって巫女服を着なおしたところで、先生からあっさりと病名が告げられる。
妊娠してるわね。
え?