スポーツの秋である。読書の秋である。そして収穫の秋である。
農家のおっちゃんたちのテンションがヤバイ。
なんでも山から紅葉と豊穣の神様が降りてきたらしい。
毎年のことらしいのでおばちゃんたちは気にしていないが、初参加の私がドン引きするくらい盛り上がっている。
私を預かってくれている農家が信仰しているのは秋を司る秋静葉さま、穣子さまの姉妹神。
神さまなのだと納得できるような人間離れした容姿と空気をまとっていて、自然と様付けをしてしまうようなお二人である。
ちなみにお姿を見るのは二回目だ。晩夏の頃に紅霧異変で元気をなくした農作物に豊穣の加護をかけていただいたときが初対面になる。
半ばしおれていた作物が見る見る元気になっていくのを見て、神さまの権能というもの本能で理解させられた。
豊穣の神さまは何人かいらっしゃるそうだけど、私が崇めるのは静葉さま、穣子さまのお二方だ。
目の前で権能を見せられるというのは心の芯まで響くものがあった。
信心深いほうではなかったけど我ながら現金なものである。
現在は田んぼで収穫が始まってお祭り騒ぎというか、実際お祭りなんだろう。
何故か静葉さまも混ざって稲刈りをしているし、もはや神事の一環なのかもしれない。
ちなみにこの農家では秋の姉妹神以外に、春野菜と夏野菜の神さまにも信仰をささげている。
幻想郷の農民は結構したたかである。
だからなのか、穣子さまがなんかもうものっそい構ってくださるのだ。
夏の収穫期には異変で里を封鎖していたから私は夏の神さまを知らないし、春にはまだ幻想郷にいなかった。
なので、持ち合わせているなけなしの信仰心が全部お二人に向いているらしい。
気遣っていただけるのは本気で嬉しいのだけど、相手は神さまなので粗相をするわけにもいかないし、正直に言って対応に困るのだ。
というか私、神さまのお相手の仕方なんて知らないよ! これ大丈夫なの? 知らない間に破っちゃいけない作法とか破ったりしてないよね?
穣子さまのマンツーマン指導を受けながらの収穫が終わった。
たった一日でおっちゃんに褒められるくらい様になっているようだけど、こっちは気疲れでそれどころではないのである。
KOUMINを率いた静葉さまがやってきて、お疲れ様と労ってくださった。ちょっと嬉しい。
そして何故か穣子さまに後ろから胸を揉まれる。
更に尻を撫でられる。おっちゃんたちの視線が怖い。
力が抜けて座り込んだら、最後におへそに手を当てられた。
あなたに豊穣の祝福を。
笑顔というよりしてやったりという表情で穣子さまに告げられる。
何故か静葉さまが怒り出し、穣子さまとの喧嘩が始まる。ぶっちゃけ置いてきぼりである。
聞こえてくる怒声から判断するに、せっかくの信仰を独り占めすんなと。
私のために争わないで! と言ってはみたけど聞こえていない。いいんだ、言ってみたかっただけだから。
そして始まる現代版の神遊び。
誰が言ったか祭りの〆に、派手な花火がちょうどいい。
喧嘩と花火は祭りの華で。紅葉の山を背景に、舞い飛び散らすは光の花弁。御心を写す札遊び。
それはいいけど私は何をされたのか、誰か教えてくださいな。