最近咲夜ちゃんの言動が若干うざい。
会うたび会うたびに下着のサイズが合わなくなったとか肩こりがどうこうとか嬉々として語られてもいい加減反応に困るのだ。
気持ちは分かるし、恩義もあるから邪険に扱うことができないのも困り事の一因である。
今日も今日とて同僚に、もしかして胸大きくなりました? と聞かれたのだという。
すっごい嬉しそうだ。
あの日以来、咲夜ちゃんとの遭遇頻度は劇的に増加している。
毎日静葉さまと穣子さまのお社にお供え物を持って祈りを捧げに来ているのだから、当然といえば当然といえる。
未だにテンションの覚めないNOUMIN達は三日に一度のペースでお社の周りで宴会をしているけど、そこには参加していないようだ。
お社を建立した日は真夜中まで宴会に参加していたので、さすがに仕えているお嬢様にこってり絞られたらしい。
休憩も終わり、咲夜ちゃんとも分かれて田んぼに向かうと、なにやら不穏な空気が漂っていた。
空から静かにお社を見下ろす紅白の巫女装束。武器こそ向けていないが警戒と困惑をあらわにするNOUMINと、その先頭に立って巫女さんをにらみつける姉妹神。
正直状況が分からない。
唐突に巫女さんが振り返り、私を見下ろして言葉を紡ぐ。曰く、あの社は何時建ったのか。
特に隠すようなことでもないだろうし覚えている限りのことを伝えると、すぐに納得したらしく、邪魔したわねと告げて飛んでいってしまった。
結局何も分からないままなのでNOUMIN部隊と合流し、話を聞くことにする。
どうも静葉さまが指揮して警戒を高めたらしいが、その理由はお社を壊されるかと思ったから、とのこと。
要するに勘違いということだろうか。頭の隅にクエスチョンを浮かべながらもひとまずそう思っておくことにしよう。
しばらくして、紅白の衣装が再び飛んでくるのが見えた。何故か芋焼酎を担いでいる。
静葉さまはまだ警戒しているけどあちらはそんなことは全く気にしていないようで、流れるような仕草でそれを奉納すると、今度こそ本当に去って行った。
去り際に、異変が起きてるから里から余り離れないように、と爆弾を投下して。
NOUMINと自警団はイコールで繋がる。
即座に緊急時用の警邏の周知が行われ、足の速い私は陰陽衆への伝言に走る。
陰陽衆の詰め所は普段どおりのゆるい空気だ。そこに博麗の巫女から異変の発生を告げられたことを伝えると、場の空気は一瞬で切り替わった。
そして私はたらいまわしに長者屋敷への書面を受け取り、里長の方々にそれを配達して回る。
私は警邏のローテからは外れていたけれど、配達が終わったところでホウレンソウの為に自警団の寄り合い所と化している姉妹神のお社に戻ることにする。
そうしたら何故か宴会が始まっていた件について。
NOUMINに混じって見慣れない妖怪も何人かいる。おい、警備はどうしたお前ら。
宴の中心では穣子さまが奉納された芋焼酎をかっくらい、角の生えた幼女が張り合うように一抱えもある瓢箪をひっくり返している。
見覚えのない翼の生えた幼女もワインを嗜んでいたり、何故か咲夜ちゃんがお酌をしているけど気にしないほうがいいのだろう。
静葉さまは騒乱を肴に羽幼女と談笑しながら優雅に葡萄酒を傾けていた。
うん、もう考えるのをやめよう。どうせ非番だ。
宴会の場で素面でいるのはさすがに失礼だが巻き込まれてはたまらない。
私も静葉さまサイドでちびちびと果実酒を舐めることにしよう。
ちなみに角幼女は博麗の巫女が回収していき、翌日には異変が収束したことを告げられた。
それを燃料に再び宴会が開かれたりするのだけれど、結局異変とは一体なんのことだったのか。
幼女の正体も謎のままである。