ファーランの弟が生きるためにどうにか頑張るお話。   作:霜月@

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第十話

同時刻。

民家の屋根の上では、訓練兵たちが集まっていた。

 

ガスが少なく、補給所に行こうとするも、本部はすでに巨人が群がっていて、太刀打ちができない状態である。本部にいる補給班が戦意喪失し、本部に立て籠もったそうだ。

 

サシャやコニーが他の訓練兵に声をかけるも、その言葉に立ち上がる者はいなかった。

 

 

 

 

「…ライナー、どうする?」

 

「まだだ…やるならもっと集まってからだ」

 

「ダメだよ……このままじゃもう…」

 

 

 

ライナーがマルコを見る。マルコの顔は絶望しきっていた。

ここは訓練兵が沢山集まっており、巨人が来るのも時間の問題である。

 

 

 

 

 

「…ヴィーネは何処にいる?早く探さねぇと__」

 

「ライナー!!」

 

 

他の班が沢山集まってきているというのに、ヴィーネの班が見当たらず、ライナーが探しに行こうとするが、ベルトルトはそれを慌てて制した。

 

 

 

「何故だベルトルト!心配じゃないのか!?」

 

「心配だよ!だけど…僕達はっ………!」

 

「っ!……クソッ……」

 

「…気持ちは分かるけど。見失うんじゃないよ」

 

 

 

 

ベルトルトとアニの言葉に、ライナーやり場のない気持ちを拳に力を込める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この子達は俺達に任せろ、お前達は他の班と合流してくれ」

 

「了解しました」

 

 

 

 

子供達を駐屯兵に任せ、ヴィーネ達は合流するため他の班を探す。

 

 

 

 

「本当に寄せ付けなかったな……」

 

「ええ……どうしてヴィーネは10番以内に入れなかったのか不思議だわ…」

 

「…さぁ。そんなことより、他の班を見つけた。行こう。」

 

 

 

 

どうしてあそこまで兵士が集まっているのか疑問に思ったヴィーネだったが、とりあえずそこに向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!ライナー!ベルトルト!」

 

「ヴィーネ!心配したんだぞ!」

 

 

 

ヴィーネに気づいたライナー達は、生きていることを確認すると、ホッと一安心する。

 

 

 

「…今は一体どうなってるの?」

 

「…補給班が本部に立て籠もった。巨人が群がって、ガスの補給が出来ないんだ。」

 

 

 

補給が出来なきゃ、壁が登れない。とライナーから聞く。

状況は察しがついていたが、やはり現状は深刻であった。

 

 

 

 

 

「アニ!」

 

 

後衛に行ったはずのミカサが、アニの名前を呼ぶ。

 

 

「なんとなく状況は分かっている。その上で私情を挟んで申し訳ないのだけれど…エレンはどこ?」

 

「さぁ…私は見てないけど」

 

「そういえばあっちにアルミンがいたぞ」

 

 

 

ライナーがそう言うと、ミカサは急いでアルミンの元へ走っていった。

アルミンはエレンと同じ班である。ヴィーネは辺りを見回すが、エレンの姿は何処にも見当たらない。嫌な予感がよぎる。

 

 

 

 

「エレンは、いや…僕達、訓練兵34班、トーマス・ワグナー、ミリウスゼルムスキー、ナック・ティアス、ミーナ・カロライナ……エレン・イェーガー!!」

 

 

 

アルミンの同班の者の名前が挙げられる。

 

 

 

「__以上4名は自分の使命を全うし、壮絶な戦死を遂げました!!」

 

 

 

アルミンは泣きながら叫んだ。

きっと目の前で自分以外の仲間が死ぬのを見たのだろう。ヴィーネは眉間にしわを寄せる。あのエレンもか、とライナーが呟く。

 

 

 

 

アルミンから唯一家族であるエレンの死を聞きつける結果となったミカサ。

しかしミカサは思いの外冷静であった。

逆にミカサはアルミンに今感傷的になってはいけないと諭すが、その目に光はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マルコ」

 

 

戦意喪失になっている訓練兵に、ミカサは口を開いた。

 

 

「本部に群がる巨人を排除すればガスの補給ができてみんなは壁を登れる、違わない?」

 

 

「ああ、そうだけど、でもいくらお前がいてもあれだけの数の…」

 

 

「できる」

 

 

ミカサは力強く言い切った。

 

 

 

 

「私は…強い。あなた達より、強い。すごく強い!……ので、私はあそこにいる巨人共を蹴散らすことができる!…例えば一人でも」

 

 

 

いきなり何を言い出すのかと、周りは問いかけるが、ミカサは構わず話を続ける。

 

 

 

「あなた達は腕がたたないばかりか、臆病で腰抜けだ。とても残念だ。ここで指を加えたりしてればいい。くわえて見てろ。」

 

 

 

周りの兵士から反感や無謀とされながら、ミカサはその場を起ち一人本部に向かう。

 

 

 

「残念なのはお前の言語力だ…あれで発破かけたつもりでいやがる。………おい!俺達は仲間を1人で戦わせろと学んだか!」

 

 

ジャンが決意したように叫ぶ。確かにミカサの言葉は鼓舞するには極端な言い回しである。だが、周りに火をつけるのには十分だった。

 

 

 

「お前ら本当に腰抜けになっちまうぞ!」

 

 

 

そう言ってジャンは、立体機動に移る。

心外だと言って、ライナーも続いた。

 

 

 

「…腰抜けだなんて、僕はごめんだね」

 

 

ヴィーネやベルトルト、アニもそれに続く。

サシャも腰抜け呼ばわりしながら、立体機動に移っていった。

 

 

 

 

「くっそ……やってやるよ……!」

 

 

それに感化され、その場にいた兵士全員がやる気を見せ、雄叫びを上げる。

 

 

 

兵士の心が、一つになった瞬間であった。

 

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