ファーランの弟が生きるためにどうにか頑張るお話。   作:霜月@

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第十一話

沢山の兵士が立ち上がり本部へ向かおうとするも、巨人は多すぎるため、近づくことさえ難しかった。

一番先に向かっていったミカサの姿が見当たらない。巨人に食われてしまったのだろうか。

すぐ近くにはガス切れの訓練兵が、屋根に登れず地上で逃げ回っていた。そんな彼の友人が、助けようと勇敢に立ち向かうが、他の巨人に捕まってしまう。

 

 

 

 

「(…このままじゃ全滅だ…。早くしないと…)」

 

 

 

とにかく、ライナーとベルトルトだけは死なせるわけにはいかない。上位陣であるため、戦闘力は高いことは分かってはいるが、最優先に考えるのはそれだった。

 

ヴィーネの顔に冷や汗が垂れる。

 

 

 

 

 

 

「……っ、………今だッ!!巨人が少しでもあそこに集中しているスキに本部に突っ込め!!」

 

 

 

ジャンが叫ぶ。その声に全員が振り向いた。

 

 

「どのみちガスが無くなれば終わりだ!全員で突っ込め!!」

 

 

 

そういってジャンは先導する。

仲間が食われているのを利用しろというのだ。だが、それしかない。

 

ジャンに続き、一斉に立体機動へ移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャーンと大きな音を立てて、どうにか本部に入る。

 

 

「…何人だ…?俺の合図で…何人が死んだ…?」

 

 

 

ジャンの先導で成功はできたものの、それまでに巨人の餌食になったものは決して少なくなかった。ジャンがふと下を見る。補給班であろう訓練兵と目があった。

 

 

「お前ら……補給の班だよな…?」

 

「……あ、ああ…」

 

 

 

補給班だと知ると、ジャンが胸倉を掴み、怒鳴り出す。

 

 

 

 

「お、おいジャン!落ち着け!」

 

「こいつらだ!! オレ達を見捨てやがったのは!! てめぇらのせいで余計に人が死んでんだぞ!!」

 

「補給所に巨人が入ってきたの!どうしようも無かったの!」

 

「それを何とかするのがお前らの仕事だろうが!!」

 

 

 

 

マルコが止めようとするも、ジャンは構わず怒鳴り続ける。

ジャンは補給班を責めても仕方ないと分かってはいたが、攻めらずにはいられなかった。

 

 

 

「…!?伏せろ!!」

 

 

 

ライナーがいち早く気づき、声を張り上げるも遅かった。

人が集まりすぎたのか巨人に気づかれた。巨人は本部の壁を壊し、中を覗いている。

 

 

 

 

 

「……?」

 

他が逃げようとしている中、ヴィーネは1人胸騒ぎをする。

______何か、来る。

 

 

 

 

 

 

 

「……何!?」

 

 

ジャンが言ったと同時に、目の前の巨人が何かに吹き飛ばされる。

そして、その何かは大きく雄叫びをあげた。

 

 

 

 

 

「…なんで巨人が巨人を……」

 

 

周りが困惑する中、ガシャンと窓が割れる。

 

 

 

「……やったぞアルミン!お前の作戦は成功だ!」

 

 

コニーがアルミンの背中を叩く。

そして、巨人を指差して言った。

 

 

 

「みんな!あの巨人は巨人を殺しまくる奇行種だ!俺たちには興味を示さない!

あいつをうまく利用できれば、俺たちは助かるかもしれないぞ!」

 

「…巨人に助けてもらう?そんな夢みてぇな話が…」

 

 

 

 

そんな夢みたいな話があるのか、とジャンが言おうとすると、途中でいなくなった筈のミカサが遮った。

 

 

 

「夢じゃない。奇行種でもなんでもいい。今ここであの巨人により長く暴れてもらう。それが、私たちが生き残る最善策。」

 

 

 

そういうミカサの目は、光が戻っていた。

 

 

 

「……最善策ならやるしかない。やろう。」

 

 

ヴィーネが言うと、ジャンは少し考えながらも頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルミンの作戦を聞き、全員が動き出す。

リフトに乗り、巨人がいる補給所へ降りる。数は7体、数は増えていなかった。作戦を続行する。天井には上位陣が構えている。

 

 

 

 

「…っ」

 

 

巨人がこちらを向いた。

近くから怯える声が聞こえる。

 

 

 

「まだだ………まて……」

 

 

一歩二歩と、巨人が近づいてくる。

巨人の顔はニヤニヤと笑ったままだ。銃口が丁度射程圏内に入る。

 

 

 

「用意………」

 

 

 

マルコが合図を送る。

 

 

 

「…………撃て!」

 

 

最後の合図を聞き、巨人の目に銃を打ち続ける。

そして、巨人の動きを止めたところに、天井に待機していた上位陣がうなじへ一斉に斬りかかる。

 

 

 

「やったか………!?」

 

 

 

しかし、斬撃が浅かったのか、2匹だけ蒸発していなかった。

 

 

 

「あの……後ろから………大変………」

 

「ヤバイ…!」

 

「サシャとコニーだ!」

 

「急げ援護!!」

 

 

 

 

取り逃がしたのはサシャとコニーだった。

キラキラとした目を持つ巨人が、サシャに襲いかかる。泣きながら巨人の攻撃を避け、助けを求めた。

すると、ミカサとアニが援護にはいる。

そのおかげで、補給所にいる巨人は全て倒し、すぐにガスを補給する。

それも終えて、全員で壁を登る。

そこで、ヴィーネは屋根の上に登るアルミンとミカサを見つけた。

 

 

 

「ミカサとアルミンは…何してるの?」

 

「分からんが、多分あの巨人の事だろう。…俺たちも行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ、」

 

 

見た先には、あの奇行種が巨人に食われている光景があった。

 

 

 

「どうにかしてあの巨人の謎を解明出来れば…この絶望的な現状を打破することができると思ったのに…」

 

「同感だ」

 

 

ミカサの言葉に、ライナーが賛同する。

 

 

 

「あのまま食い尽くされちゃ何も分からず終いだ。あの巨人にこびりついてる奴らを俺たちで排除して…とりあえずは延命させよう」

 

 

 

「正気かライナー!やっと…この窮地から脱出できるんだぞ!?」

 

 

 

「…もうガスも補給して助かったっていうのに、まだ死にに行くつもりなの?」

 

 

 

ジャンとヴィーネが異議を唱えるが、アニがそれを制した。

 

 

 

「例えば…あの巨人が味方になる可能性があるとしたら…どう?どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」

 

「味方だと…?」

 

 

 

 

話し合っていると、もう一体巨人が近づいてきた。

 

 

 

「あれは…トーマスを食った奇行種…!?」

 

 

その巨人を見つけるや否や、奇行種は腕が無くなっているのにも関わらず、巨人のうなじを噛み砕く。奇行種は、咥えていた巨人を勢いよく他の巨人とともに地面に叩きつけた。

 

 

 

 

 

「……おい、何を助けるって?」

 

 

 

巨人を倒し続ける奇行種は、味方になるとは程遠い、まさに獣のようであった。

だが、力尽きたのか、奇行種はそのまま倒れ込んだ。

 

 

 

「流石に力尽きたみてぇだな。もういいだろ…ずらかるぞ!あんな化け物が味方なわけねぇ。…巨人は巨人なんだ」

 

 

 

ジャンが壁に戻るように急かす。だが、他は動かなかった。

固まって、何かを見ている。

 

 

 

「おい…?」

 

 

 

ジャンもその方向に目を向ける。

奇行種のうなじから、何かが千切れる音がした。

その瞬間、ミカサの顔色が代わり、奇行種に近づいて行った。

 

 

 

「まさか……そんな事が……」

 

 

前代未聞の事だった。今まで聞いたことがない。

 

 

 

巨人のうなじから人間が_______エレンが出てきたのだ。

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