ファーランの弟が生きるためにどうにか頑張るお話。   作:霜月@

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第二話

結構な時間が経ち、イザベル姉さんは、兄さん達に立体機動を教えてもらってかなり上達した。仕事にも加わり、前よりやりやすくなった。憲兵団も追いかけてくるけど、兄さん達が負けるはずがない。

 

 

なのに________

 

 

 

 

「…な、んで……」

 

 

影からこっそり覗くと、兄さん達が捕らえられていた。

憲兵団じゃない。あれは自由の翼。

 

 

「調査兵団…?どうしてここに……」

 

 

壁外で巨人と戦っているのだから、立体機動は憲兵団より慣れているだろう。捕まえるためにそこまでするのか?

 

すると、向こうがこっちに気がついたらしい。僕の方を見ている。

 

 

「っ……!」

 

「あちらの少年はお前たちの仲間か?」

 

「…!?来るな!家に戻ってろ!」

 

 

兄さんが僕に叫んだ。

それと同時に、リーダー格が隣に目配せする。そして一人が僕に近づいてきた。

 

 

「ひっ……」

 

「おい!汚ねえぞ!あいつは関係ないだろ!?」

 

「ヴィーネ!早く行け!」

 

 

 

 

やっと動いた僕の足は、思うようには動かなかったが、とりあえず家まで走ることはできた。僕を本気で捕まえる気は無かったようだ。

 

 

 

 

 

 

「…どうしよう…これから、どうなるのかな…」

 

 

嫌な想像をしながら、兄さん達の帰りを待った。

…捕まったら、もう…地上には行けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ、とドアが開く音がする。

 

「…!兄さんっ…!」

 

「…良かった…無事だったか…」

 

 

兄さんは安心したように言う。

けれど、また顔を暗くした。他の二人も同じような顔だった。

そして、重々しい口調で僕に言った。

 

 

「ヴィーネ、俺達は調査兵団に入ることになった。」

 

「………え、」

 

 

調査兵団に行く?一瞬意味が理解できなかった。

 

 

 

「…お、脅されてるの?」

 

「違う。俺達はある仕事をこなしに行くんだ。仕事が成功すれば、沢山の金と、地上の居住権が手に入る。」

 

 

 

地上の居住権。この上の地上で住むために、必要な権利。

階段の通行料が払えても、居住権がなきゃすぐに地下に戻される。

 

 

「だったら僕もっ……」

 

「お前は危険だ。…仕事が終わったら、俺達は必ずお前を迎えに行く。そしたら4人で地上で住もう。…俺達を、信じてくれ。」

 

「…!」

 

 

 

兄さんが約束をする時にいつも使う言葉。僕はそのまっすぐな目が好きだ。帰ってくる日がいつなのか分からないけど、きっと兄さん達なら、迎えに来てくれるのだろう。

 

 

「…わ、分かった……約束だからね……絶対!」

 

 

僕がそう言った時、兄さんだけでなく、リヴァイさんとイザベル姉さんも笑って、力強く頷いていた。

 

 

 

…早く、地上に出れるといいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リヴァイさんが家に帰ってきたのは、あれから2年後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

846年

 

 

 

 

一人になってから2年が経ち、僕は12歳になった。

そういえば、1年前に超大型巨人と鎧の巨人が出現して壁が壊されたらしい。

…なんでも、超大型巨人は壁を跨ぐほど大きかったとか。

 

 

「…兄さん達、遅いな」

 

 

約束、忘れてしまったのだろうか。そんな事を思いながら家を掃除する。

掃除の習慣がついたのはリヴァイさんの影響だ。潔癖性だからなぁ、あの人は。

 

 

この二年間、僕は色々な事をした。

いつもの仕事という名の盗みも働いたし、体だって使った。使えるものは全部使う。生きるために。

 

 

 

 

 

コンコン。

 

ノック音が聞こえる。きっと兄さん達だ!そう思ってドアを開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けれど、それは兄さん達ではなく、見知らぬ男たちだった。

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