ファーランの弟が生きるためにどうにか頑張るお話。   作:霜月@

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第二十六話

ウトガルド城へ向かうべく、ヴィーネ達は再び荷馬車に乗った。

現在分かっていることは、アニ・レオンハートが女型の巨人であること、壁の中に大型巨人が生き埋められていること、そして、ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバーがアニと同じ出身地であったことから、巨人または共謀者ではないかと疑いが出てきたことである。

 

 

 

「きっと、たまたまアニと同郷だっただけだ…ライナーとベルトルトが敵なわけねぇよ」

 

「アニの時も同じことを言って、結局巨人だった」

 

「…次は違うかもしれないだろ」

 

 

 

アニのことがあったとしても、やはりかつての仲間を信じたい気持ちが強く、エレンは信じることをやめなかった。

訓練兵団に入団し3年間仲間と過ごすとなると、やはり親しみがわく。他人と関わらず生きるというのは、案外難しいものである。

それはアニも例外ではない。彼女にも、ミーナ・カロライナという友人がいた。親友と呼べる仲であったが、ミーナはトロスト区襲撃時に壮絶な死を遂げた。アニは親友が戦死したことに呆然と立ち尽くした。しかしこの状況を生み出したのは紛れもなく自身である為、アニは彼女の遺体を前に、「ごめんなさい」と呟くことしか出来なかった。

 

アニには、仲間を捨ててまで果たさなければならない使命があるのだろうか。それと、あの2人も。ヴィーネはそんな事を考えながら、なにも見えない真っ暗な景色を眺めていた。

 

 

 

「ヴィーネ…大丈夫?」

 

 

 

 

荷馬車に乗り込んでから今まで一言も喋らないヴィーネに、アルミンが心配そうな声をかけた。

 

 

 

 

「……考え事してただけだよ。心配ない」

 

「考え事って…やっぱり、ライナーとベルトルトのこと?」

 

「……うん」

 

 

 

 

サシャもだが、ヴィーネにとって、ライナーとベルトルトは大切な人であった。今でもそうだ。エレン以上に、彼等が敵だとは思いたくなかった。

 

 

 

(…今はまだ疑いだけど…きっとすぐに分かるんだろうな)

 

 

 

思い出すのは、訓練兵時代の日々。今思えばあの時が一番平穏だった。

巨人を殺す技術を磨いていたはずなのに、それが、殺す対象がかつての仲間になるだなんて。

 

 

 

「……アルミン。訓練、楽しかったね」

 

「!…うん、すごく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウトガルド城に到着し、巨人達を討伐していく。

 

 

 

 

「っ…!」

 

 

 

クリスタに襲いかかる巨人を見つけ、ヴィーネは素早く切り掛かった。ヴィーネの姿に、同期達は驚きと、安心の色を見せていた。

 

 

 

「ヴィーネ…!」

 

「…お疲れ。……ねぇ、あの襲われてる巨人はなに?」

 

 

 

巨人の群れの中に、一体だけ襲われている巨人を見つけた。巨人にしては小柄な、5m級が他の巨人に食われていた。そのことについてヴィーネが問いただすと、クリスタが答えた。

 

 

 

 

「あの巨人はユミルなの……だからお願い…ユミルを助けて!」

 

「……分かった。あとは僕らに任せてよ」

 

 

 

そう言って、再び討伐に向かう。

ハンジにあの小柄の巨人はユミルであることを告げ、それを聞いたハンジはユミル以外の巨人を討伐する命令を出した。

ヴィーネ達によって巨人の群れはすぐに一掃された。そしてエレンの時と同じように、小柄な巨人のうなじからユミルを引きずり出した。

ユミルは一命を取り留め、右腕と右脚を欠損しながらも、意識はあるようだった。

 

 

 

 

(…君は、つくづく分からない奴だね、ユミル)

 

 

 

 

ヴィーネは静かに見つめた。

そこにクリスタも駆けつけ、まだ巨人と融合していた時のケロイドが残り、横たわっているユミルを抱きかかえ、こう告げた。

 

 

 

 

「ねぇユミル……私の本当の名前…ヒストリアっていうの…」

 

 

 

本当のクリスタの名前を聞いたユミルは、満足そうに微笑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後ユミルは人類の敵としての扱いが危惧されたが、彼女がいかに危険を顧みず自分たちを救ってくれたかをクリスタが必死に熱弁したおかげで、すぐに殺されることは無かった。

まず、当の本人が話せる状況ではなく気を失っているため、殺さないというのもあるのだが。

 

現在、調査兵団と、生き残った4人の104期兵、それに満身創痍であるユミルは、ウォール・ローゼの壁の上にあがり、新たな巨人から避難しつつ、開いた穴の箇所特定を急いでいた。

そこへ、駐屯兵団先遣隊として出ていたハンネスと合流した。曰く穴がどこにも開いてなく、道中一度も巨人と出くわしてないという。

その報告を受け一同は驚き、一旦トロスト区まで退却する事とした。

 

 

 

 

「……コニー、サシャは一緒じゃないの?」

 

 

 

ウトガルド城にサシャもいるのかと思っていたが、その姿は見当たらず、ヴィーネはコニーに、サシャの居場所を問いかけた。

 

 

 

「ああ、あいつは北班だからな…。そっちの方にあいつの故郷があるんだよ」

 

「故郷…ダウパー村か」

 

「おう。…そういや、なんで俺に聞いたんだ?ライナー達のところに行かなくて良いのかよ」

 

 

 

今度はコニーが問いかけた。

 

 

 

「…今はエレンと話をしてるみたいだし。それに、君はサシャと仲が良いだろ」

 

「そうだけどよ…ま、いいや別に」

 

 

 

サシャの安否が心配なのは仲間であるし本当だ。しかしライナー達に聞かなかったのは、顔を合わせて普通でいられる自信が無いから、というのが本音である。それをコニーに言う事は出来ず、苦し紛れな理由をつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____突如、前にも聞いた事のある大きな爆発と閃光が起こる。

驚いて振り向くと、そこには人類の天敵である超大型巨人の姿があった。壁の下では、巨人となったエレンと鎧の巨人が戦闘を始めていた。

 

 

 

(……まさか、あれが……………ベルトルト…ライナー)

 

 

 

たった今、この場で証明された。ライナー・ブラウン及びベルトルト・フーバーは、人類最大の敵、鎧の巨人と超大型巨人である。

上半身だけの超大型巨人は、近くにいた調査兵と、気を失っているユミルを口に含んだ。

 

 

 

「戦闘用意!人類の敵そのものだ!一斉にかかれ!」

 

 

 

ハンジの命令が下る。他の兵もその指示に従い、攻撃を仕掛ける。

コニーはただ一人、ライナー達の心配をしていた。

 

 

 

「あっちにはライナーとベルトルトが……ヴィーネ!お前も心配だろ!?」

 

「……そのライナーとベルトルトが、人類の敵だよ」

 

「は…!?」

 

 

 

知らされた事実に、コニーは唖然とする。頭がついていかない。

それに驚いてる暇は無い、とヴィーネは一蹴し、そのまま巨人の方へ向かっていった。

 

 

 

(…殺さなきゃ、いけない)

 

 

 

ヴィーネは立体機動装置を使い、鎧の巨人へ近づいた。硬い皮膚では防がれてしまうため、その隙間の皮膚に狙いを定めた。ミカサと共に、弱点を的確に削いでいく。

エレンもアニに教わった格闘術を使い、鎧の巨人を押していった。もう少しで勝てるという所で、突如鎧の巨人が断末魔のような声を上げた。

その声は、アニが発した声を同じである。

 

 

 

「上だ!避けろおお!」

 

 

 

アルミンの声で、ハッと上を見る。ヴィーネの目に、超大型巨人の顔が映る。こちらに落下してきていた。

 

大きな衝撃が、辺りを包んだ。

 




ベルトルト「エレンとユミルは預かった。返して欲しければ1を、それ以外は2を押してください」
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