ファーランの弟が生きるためにどうにか頑張るお話。   作:霜月@

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第三話

「!!」

 

 

 

ナイフが喉に当たる。

 

しくじった、何も考えずに開けてしまった。

 

 

 

 

「おい、大人しくしろよ?」

 

 

 

 

 

相手は二人。体が大きいけど、不意打ちすれば勝てない相手じゃない。

 

多分一人ぐらいはやれるはずだ。

 

殺さなくていい、気絶させて逃げ回れば……

 

 

 

僕は後ろに走って近くにあった棒を取り、相手に体当たりする。

 

 

 

 

 

「!?ぐぁっ……」

 

「なっ……」

 

 

 

 

 

打ち所が悪かったのか、ナイフを落として一発で沈んでくれた。

 

…ナイフが一本だけで良かった。

 

 

 

 

「っのクソガキィ…!」

 

「…!うっ…ぐ、…」

 

 

 

 

逃げようとした矢先に首を掴まれた。…やっぱり無茶か…

 

でもまだ勝機はある。このままどこか急所をつけば…

 

 

 

 

 

 

「…お前、あの有名なゴロツキと一緒にいた奴だろ」

 

「!?っは……」

 

「いい事教えてやるよ、リーダーを取り巻いてたあの二人、巨人に喰われたらしいぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

動きが止まった。

 

 

 

兄さん達が………死んだ?

 

 

 

その瞬間、周りが全部雑音に聞こえた。

 

 

 

男が喋る

 

 

 

 

 

「馬鹿だよなぁ、わざわざ壁の外に行くなんてよ!」

 

 

 

 

……うるさい

 

 

 

 

 

「地下街にいた方がよっぽど安全なのにな、」

 

 

 

 

 

うるさい

 

 

 

 

 

 

「まぁ、ゴロツキがいない方が、俺は好都合だけどよ」

 

 

 

 

 

うるさい…!!

 

 

 

 

 

「あんな馬鹿にはなりたくないよな」

 

 

 

「っう、るさ……いっ…!!」

 

 

 

 

 

衝動に任せて僕は持っていたナイフで、相手の首を掻き切る。

 

首を掻き切られた男は当然即死だった。

 

 

 

 

「……あ、僕…」

 

 

 

ふらふらになりながらドアを開けようとするが、首を締められていたのもあって、僕は力尽きて気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リヴァイside

 

 

 

 

 

ヴィーネを迎えに行くのに2年もかかった。本当はもっと早く行きたかったが、一年前の惨劇のおかげでかなり遅れてしまった。

 

 

 

 

「…別にお前までついて来なくてもいいんだが、エルヴィン。」

 

「いいじゃないか。リヴァイ達が大切にしてきた子が、どんな子か見てみたくてね。」

 

 

 

 

 

ヴィーネは怒っているだろうか。それならば大変だ、そう思い足を急がせる。

 

 

 

「その子はどんな子なんだ?」

 

 

エルヴィンが俺に問いかけた。

 

 

「…彼奴は賢い。一度覚えたことは忘れないからな。だが生きるために手段を選ばない…性格が歪んでないといいが。」

 

「ははは、あり得ない話ではないかもな。」

 

 

 

 

 

 

そんな話をしていると、丁度家に着いた。

 

 

 

「ヴィーネ、入るぞ。」

 

 

 

開けようとした瞬間、最悪な光景が広がった。

 

 

 

「なんだ、これは……」

 

「…!?っ、ヴィーネ!!」

 

 

 

 

そこには倒れている男二人と、ヴィーネがいた。

 

 

………俺は…また仲間を失うのか……?

 

呆然としていると、エルヴィンが叫ぶ。

 

 

「リヴァイ、大丈夫だ!まだ息がある!俺は憲兵団を呼ぶ、お前は運んでくれないか?」

 

「っあ、ああ……」

 

 

 

生きていたことに安心し、少し冷静になった俺は、ヴィーネを地上へ運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、…?」

 

 

 

目が覚めると、僕はベットの上にいた。

 

 

たしか…ドアを開けたら知らない人が来て…………ああそうだ、僕は人を殺したんだった。やけに冷静な僕が心底気持ち悪いとおもう。

 

 

…ここ、どこだろう。

 

 

 

 

「ヴィーネ」

 

 

聞き慣れた声にハッとする。

 

 

「リ、ヴァイさ……?」

 

「起きたか。どこか痛いところはないかい?」

 

「…!!」

 

 

 

金髪の人が話しかけてきた。僕はこの人を知っている。2年前、兄さん達を捕まえていた人だ。

 

 

 

「おや、」

 

「言っただろう、ヴィーネは一度覚えたことは忘れない。」

 

「…ああ、なるほど。」

 

 

 

すると、金髪の人はまた話しかけてきた。

 

 

「私はエルヴィン・スミス。名前は聞いているよ、ヴィーネであっているかな。」

 

 

その言葉に僕は頷く。

 

 

「単刀直入に言う、あの場所で何があったんだ?」

 

「……」

 

 

 

言われた通りに全て話した。

 

ドアを開けたら見知らぬ男がナイフを持って入ってきたこと。

 

それを気絶させて逃げようとしたこと。

 

………ある話を聞いて、誤って殺してしまったこと。

 

 

 

 

 

「ある話、とは?」

 

「……兄さんと、イザベル姉さんが巨人に食べられたって。」

 

「!!」

 

 

 

リヴァイさんが固まった。…話は本当らしい。

 

 

 

 

「…やっぱり本当なんだ……」

 

「っ……約束、守れなくてすまなかった。」

 

 

 

 

 

沈黙が流れる。

 

 

 

 

 

「リヴァイさんは……後悔してる?」

 

「…いや、していない。結果は誰にも分からないからな。お前は怒るかもしれないが。」

 

「怒らないよ。…いいんだ。リヴァイさん、迎えに来てくれてありがとう。」

 

「!…ああ…」

 

 

 

 

 

兄さんは僕の憧れだった。強くて、頭が良くて、かっこ良くて。

 

 

 

誰よりも地上に行くことを望んでいた。

 

 

 

そんな兄さんが兵士になって、壁の外に行った。

 

 

 

 

 

…生きていたら、壁の外の話、聞けたのかもしれないな。

 

 

 

 

 

「…リヴァイさん、僕、兵士になりたいんだ。」

 

 

 

兵士になれば、きっと自由になれる。

 

 

 

「ファーラン達の仇を打つつもりか?」

 

「…それもある。でも、この世界のことを知りたいんだ。」

 

 

 

 

 

 

兄さん達が兵士になって、巨人と戦ったように。

 

 

いつも僕を守っていてくれたように。

 

 

 

僕も今度は大切な人を守ってあげられるようになりたい。

 

 

 

 

 

「…お前が決めたなら、それでいい。」

 

「それじゃあ私から兵士を申請しておこう。訓練兵団に行くのは来年になるが、それでもいいかい?」

 

「はい…!」

 

 

 

 

 

 

見ててね兄さん、イザベル姉さん。

 

 

今度は僕がリヴァイさんを守れるようになるから。

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