ファーランの弟が生きるためにどうにか頑張るお話。 作:霜月@
入隊式から3年後。訓練場では第104期訓練兵団、総勢218名の3年に及ぶ訓練過程が終了し、解散式が行われていた。
訓練兵団を卒業した後、訓練兵には3つの選択が迫られる。
壁の強化に努め各街を守る「駐屯兵団」。
犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む「調査兵団」。
王の元で民を統制し秩序を守る「憲兵団」。
「無論、新兵から憲兵団に志願できるのは成績上位10名だけだ」
先程、その憲兵団に行く権利が言い渡された、成績上位10名が発表された。
首席 ミカサ・アッカーマン
2位 ライナーブラウン
3位 ベルトルト・フーバー
4位 アニ・レオンハート
5位 エレン・イェーガー
6位 ジャン・キルシュタイン
7位 マルコ・ボット
8位 コニー・スプリンガー
9位 サシャ・ブラウス
10位 クリスタ・レンズ
「___後日所属兵科を問う。これにて第104期訓練兵団の解散式を終える!以上!」
「ハッ!」
*
解散式を終えた後、訓練兵達は食堂で宴会を行っていた。
「…10位以内おめでとう。ベルトルト、ライナー」
「ありがとう、ヴィーネ」
ヴィーネは2人が上位に入れたことを心から祝いつつ、クリスタも上位に入れたことにホッとした。
「お前、最初は2位だったじゃないか。どうしてここまで落ちたんだ?」
「……、周りが凄く上達したからじゃない?」
「なんか怪しいな…」
信じられない、という目で見るライナーとベルトルトに、ヴィーネはぎこちなく目をそらす。
解散式を終えたとはいえ、まだ兵団には所属していない。バレるなら兵団に入ってからだ。
「君らは憲兵団に行くの?」
その質問に、ライナー達は「憲兵団」と答えた。
「そう…やっぱり寂しくなるな」
ヴィーネがそうこぼすと、ライナー達はわたわたとして弁解をしはじめた。
「い、いや憲兵団には行くが、お前ともう会わないなんて事は無いぞ!?」
「ちゃんと時間を見つけて会いに行くよ!!」
「……そんな慌てなくても。そうだね、暇があったらみんなで出かけよう。」
ヴィーネは、ライナー、ベルトルト、を大切に思っている。
リヴァイも含めて、この3人は命に代えても守ろうと決めていた。
兵団は異なってしまうが、助けを求められたら必ず飛んでいける自信があった。
同じくライナー、ベルトルトもヴィーネを大切に思っていた
お互いが、お互いを大切だと思っていたのだった。
「勝てっこない!!」
トーマスの声が食堂に大きく響いた。
周りが声のする方向へ注目する。トーマスは周りを気にしながらも、言葉を続けた。
「お前だって知ってるよな…今までどれだけ喰われたか。人口の2割以上失って答えは出たよ……」
人口の2割以上。ヴィーネは宿舎でアルミンの言っていた、ウォール・マリア奪還作戦の話を思い出す。
「人類は、巨人に勝てない」
食堂が一気に暗くなり、沈黙が流れた。
上位に入れ無かった訓練兵は大半が駐屯兵団に行く。
例え調査兵団に憧れていたとしても、入る勇気など出なかった。
「それで……?」
この沈黙を破ったのは、やはりエレンであった。
「勝てないと思うから諦めるのか? 確かに、ここまで人類は敗北してきた。それは巨人に対して無知だったからだ。巨人に対して物量作戦は意味がない。負けはしたが、戦いで得た情報は確実に次の希望につながる」
人類は一度も巨人に勝てたことは無い。しかしエレンはその敗北が次の勝利に繋がるというのだ。
「俺たちは、何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して、大人しく巨人の餌になるのか?俺は巨人を一匹残らず駆逐して、狭い壁の中から出る!人類は、まだ本当に敗北したわけじゃない!」
本当に敗北したというのは、きっと人類が絶滅した時だ。
エレンは母親を目の前で喰われ、その日から巨人を皆殺しにすると誓った。地獄を見てきた彼だからこそ、この言葉を言えるのだろう。
「っ……」
エレンはそのまま走って、外に出てしまった。
それをミカサとアルミンは慌てて追いかけていった。
「…泣いてたね、エレン」
「大丈夫かな」
出て行った後、周りがざわざわとし始める。
エレンの演説が効いたのか、雰囲気の変わった訓練兵が見受けられた。
「確かにエレンの言う通りだが……その前に俺は、目的がある。だから俺は憲兵団に行く。」
「…それでもいいと思うよ。選択は自分で決めるものだ、誰も文句は言わない。」
ベルトルトもか、とヴィーネが聞くと、ベルトルトは頷いていた。
この時、ライナーとベルトルトが悲しい顔をしていたのを、ヴィーネは忘れない。
ヴィーネ・チャーチ
16歳(第104期訓練兵団卒業時)
身長177cm、体重64kg
地下街に住んでいた少年。一足先に地上へ行った兄達を待っている時、人攫いに遭い、その一人から兄とその仲間1人が巨人に喰われ死亡したと聞き、絶望から勢い余って人攫いの一人を殺害。リヴァイが保護した後、冷静になり兵士になることを希望し、第104期訓練兵団へ入団。卒業時は11番で卒業した。
戦闘能力は非常に高いが、表情の変化に乏しい為、誤解を受けやすい。ただ、言葉は比較的素直なので、話せば分かる。
格闘 行動力 頭脳 協調性
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