『鬼人正邪になった者』のお話   作:たぬさわ

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題名で予想がつく人はつくかも。
新章というよりかは、だらだらとした回がちょっと続いていく感じかもですねー。


その出会いは突然に

 紅魔館での一件から、すでに数か月が経過しようとしていた。

 

 すでに身体の方は完治している。今はのんびりと、暇な時間を過ごしているといったところだ。

 事件の前ならば暇すぎて何か起きないかな、と期待もしていたものだが今はこのゆっくりと出来る時間が貴重にすら思えてくる。しばらくあんなハプニングは起こらなくていいです。マジで。

 

 

 

 ……いや、確かに異変のような面白いことは見る分にはいい。だけど、その度に死にかけていては元も子もない。

 

 

 

「……うーん」

 

 

 

 今はのんびりと自己鍛錬中。だけど、最近はどうもしっくりこない部分がある。

 伸び悩みというか、どうすればいいのか自分でもわからないのだ。まあ、独学でここまでやれてこれただけでも頑張ったほうかもしれないが。

 

 

 

『妖力の扱い方に問題ありなんじゃないのか。私のほうがうまく扱えていたぞ』

『うーん、そう言われてもどうすればいいのかよくわからないんだよね』

 

 

 

 これは後から知ったことなのだが、中の正邪が一瞬ではあるが、身体を動かしていたらしい。あのレミリア戦の時、自分が気を失った時だ。

 元々のダメージが多すぎてすぐに力尽き気を失ったらしいが、本人曰くかなり力がみなぎっていたとか。それこそ、自分では出来なかったレミリアに傷を負わせるくらいには。

 

 

 

 あの時レミリアが正邪に切れていたのは、ダメージを喰らうだけ喰らって勝ち逃げされるかのように気を失ったかららしい。

 

 

 

「妖力の保有量はやっぱり多いんだけど、どうすればこれをうまく扱えるか……」

 

 

 

 自分の課題は、まずはここだろう。

 正邪が出来て自分も出来ないということはないはずだ。だって、自分も正邪なんだし。

 

 

 

「……って、雪?もう、そんな季節か」

 

 

 

 突然、ちらほらと雪が降り始めた。最近は寒いとは感じてはいたが、もう冬を迎えようとしていたのか。

 今日の様子だけだったら降り積もるということもないだろうが、近いうちにここら一帯も雪が積もっていくに違いない。

 

 

 

 雪は嫌いでも好きでもないといったところだ。雪を嫌いになる人は大抵、雪かきが面倒くさいからというのが理由だろう。だけど自分は飛べるので問題なし。

 だからといって、雪を見て子供のようにはしゃぐわけでもないので、降っても降らなくてもどっちでもいいといった感じだ。

 

 

 

「日傘のつもりでさしていたのだけれど、まさかの雪避けになるとは思わなかったわ」

 

 

 

 自分の聞き間違えでなければ、本来こんな場所に来ることはあり得ない人物の声が聞こえた気がする。声の聞こえた方に振り向いた。

 ……いや、なんでこんなところにいるんだよ。レミリアさん。

 

 

 

「……え?いや、こっちはこんなところに来るだなんて全く思わなかったけど」

「驚いたかしら?」

「……そもそも、何でこんな場所がわかったのさ」

「適当に飛んでたら、貴方の妖力を察知したのよ。さすがに紅魔館から察知は出来ないけれど、ある程度の距離からなら簡単に出来るわよ?」

「レミリアは結構、館から出なさそうなイメージがあったけどなあ。日傘をさせば大丈夫とはいえ……」

「普段はそこまで出ないわよ。ただ、暇すぎただけって話」

 

 

 

 暇すぎたからってわざわざこんなところに来るとは思わなかったけど。というか、吸血鬼って今の時間家で寝てるもんじゃないのか。

 しかし……ここにレミリアがいることが似合わないというか。仮にもお嬢様が、洞窟近くの草原にいるってのがね。

 

 

 

「正邪は今、何をしていたのかしら?」

「まあ……特訓というか」

「なるほど、一人で?」

「そうだね、と言っても最近はちょっと伸び悩んでいるかな……」

 

 

 

 独学ってやっぱりきついのだ。何を手本にすればいいのかわからないからというのが一番きつい。

 魔導書もなしに、魔法を勉強するようなものである。

 

 

 

「……そうね、だったら私が協力してあげるわよ?」

「……………………え?」

「ちょっと、何でそんな目で見るのよ。別に、勝負を仕掛けてこっちが思いっきり攻撃をするとかではないわよ」

 

 

 

 びっくりした。まだレミリアと弾幕勝負になったら命がいくつあっても足りない。

 でも、これはいい機会かもしれない。レミリアの教えが上手いか下手かは別として、一人では限界を感じていたのだ。

 

 

 

「……だったら、頼むよ」

「ええ、任せなさい!

 

 

 

 何故だろう、このレミリアのドヤ顔を見ると何故か不安になってしまうのは。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 時間は過ぎ夜になり、レミリアは紅魔館へと帰って行った。

 

 

 

 結論から言うと、レミリアの指導は自分にとってとても斬新であった。

 今日だけで強くなれる、とかそんな甘いわけではないが、もしかしたら止まっていた成長が少しは動くかもしれない。

 

 

 

 行った内容としては、とにかく自分の全力の攻撃を出し続けること。

 レミリア曰く種族が違うので妖力の扱い方等の細かい指導は出来ないが、そんな中で攻撃の最大値とスタミナに関しては、これが手っ取り早いとのことだ。

 

 全力を出し続けると、それがいずれ当たり前となり、前までの全力が今の普通、そしてさらに上の力を出せるようになっていくらしい。

 すぐに効果が出るわけではないが、やり続けていると少しずつ気づかないうちに力がつくみたいだ。

 

 

 

 途中で、レミリアが私に全力で攻撃してみなさいというから、今の自分の全力をぶつけてみた。

 結果は、弾幕を手で弾かれた。今の貴方の実力はこんなものって言ってたけど、それはちょっとレミリアが強すぎるだけなのでは。弾幕を手で弾くってどんな力してるんだ?

 

 

 

 あとは気配の察知が苦手だからどうにかならないかとの相談をしてみたところ、斜め上の返答が来ました。

 気を探るのを教えることは私は出来ないし、生まれ持ったものの要素が強いから努力では難しい部分があるけど、ある身体の部位で補うことが可能だって言ってた。……何でも、耳は鍛えれるらしい。

 

 

 

 気配を探ることは出来なくても、耳で代用はある程度効くとか。まあ確かに、無音で攻撃するというのはほぼ不可能だし、無音での移動というのもなかなかできないだろう。

 

 

 

 特訓方法として、目をつぶって攻撃を避ければいいってレミリアが言ってた。……無理です。いいからやれと言われ、手加減された弾幕を受けた。……無理でした。

 

 

 

 おかげで、今の自分は若干の痛みを抱えている。まあ、流石に手加減してくれたのでそこまでのものではないのだが。

 理屈はすごくわかったが、耳に関しては上手くやれるのかどうか不安である。

 

 

 

 最後には楽しかったわと一言、暇があったら紅魔館に来なさいとの事。一応歓迎はしてくれるらしい。

 確かに特訓をするにしてもレミリアの協力があるほうが効率が良さそうなのは事実。他の面々も、当主であるレミリアが呼んだって言えば何も問題は起こらないだろう。

 

 

 

 ……ただ、一人を除いてだが。そこが無ければ、気軽に足を運べたかもしれない。

 もし出会って、遊ぼうだなんて言われた日にはこの世からさよならを覚悟するレベル。

 

 

 

 ……悩みどころだなあ。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 数か月後、紅魔館へと足を運んだ。何故ここまで時間がかかったのかというと、ぶっちゃけびびってました。

 レミリアからは遅い、とまず最初に文句を言われた。まあ、しょうがないね。

 

 

 

 まず最初にちょっとだけ特訓。まだまだだけど、それでも伸びはレミリア曰くあるらしい。

 自分だけでは多少の変化は実感できない部分があるので、他者の評価はかなり参考になる。

 

 

 

 その後はメイドから出されたうまいお菓子を食べて、その後いかにも高級そうなワインを出されて、おしゃれなつまみが出てきて、ちょっとした飲み会。

 やはり西洋の建物というか、出身がというか、レミリアはワインだったり洋酒を飲むことが主なのだが、最近は色々な酒を飲んでみたいとのこと。いい店があるらしいから、今度行こうと誘われた。何だこのノリ。

 

 というかレミリア、吸血「鬼」なだけあって酒が大好きである。鬼をはじめとした、鬼とつく種族はどれも酒が大好きなのだろう。

 

 

 

 ……はい、自分も酒は大好きです。だって、天邪「鬼」だもの。

 異変後、身体が治って紅魔館を出る時、お詫びの品でたくさん酒を貰った。それは紅魔館にもともとあったもの、自分が気を失っているときに異変後に行われた宴会の酒の余りだったり、とにかく色々渡された。

 

 

 

 ……まあ、おいしいよねって話である。

 

 

 

 断る理由も無いので、近いうちにと約束を交わし、時間もいいところだったので別れた。悪魔の契約は絶対とかなんか言ってた気がするけど、飲み会の約束で悪魔の契約って面白すぎかよ。たぶんレミリアもかなり酔っていたのだろう。

 

 

 

 気分がいいので、自分の住処の近くの森を歩くことにした。今日は雪も降っていなくて天気がいい。

 雪道は意外にも踏み固められている。恐らく、ここに住む妖怪が何度も通った結果なのだろう。

 

 

 

 

 

 ――――そこにはお椀を被った小さい何かが、雪に埋もれていた。

 

 

 

 

 

 ちょっと意味が分からなかった。いや、最初は見間違いだと思ったのだが、明らかに何かがいた。

 先ほどまで酔いが回っていたが、一瞬で覚めたような気がする。その小さい何かの周りの雪をどかして、それが何者かを確認する。

 

 

 

 

 

 ――――それは、小人であった。しかも、自分はその小人を知っている。

 

 

 

「……マジか。生きてるな、うん。……とりあえず、持って帰ろう」

 

 

 

 気を失ってはいたが、生きてはいるっぽい。

 とりあえず拾って、その場を後にする。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 この人物を見つけてしまった今となっては、色々とやはり考えてしまうことがある。

 何故なら、「鬼人正邪」はこの小人を利用して異変を起こしたのだから。……あくまで、自分の知識の中での話ではあるが。

 

 

 

『……で、どう思う?正邪は』

『なんでこんなちっこいのわざわざ拾ったかと思ったらそういう事か。……あー、そうだな。その異変、楽しそうではある、が……ぶっちゃけ、デメリット大きすぎじゃね?』

『あ、やっぱり?』

 

 

 

 正邪には自分の知識の中の正邪の起こした事を全て教えたし、その上で聞いてみた。うん、言っている通りデメリットが大きすぎるのよ。

 いや、確かに力なきものがひっくり返すとかかなり楽しそうではあるけれど。それでお尋ね者、殺されてもおかしくない状況とか勘弁してくれって話である。中の正邪も、同意見であった。

 

 自分はそんな状況に追い詰められたくないし。とりあえず生きてて、そこそこの楽しみさえあればいいと思う小物妖怪に過ぎない。

 でも別に、それだったらこの小人を拾ってくる必要性も全くなかったわけで。何で拾ってきてしまったのだろうか。

 

 

 

 ……ま、いいか。

 とりあえず、なるようになれ、だ。




あのちっこいの、ついに登場。
書いていてレミリアの登場シーン多いなあ。やっぱ誰かと絡ませると話を書きやすいっていうのはある。

次回、まさかの酒回……?
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