反応を頼りにやってきたのは、人里離れたところにある洞窟。
しかし、ある人の様子が可笑しくてーーー?
*今回はデュエルないです。
Turn10
「すっごーい…」
皇の鍵の中にある巨大な飛行船にはじめて乗った姫は、驚きの声しか出なかった。
何せ飛行船の中が広い。とにかく広い。
(アニメでみてはいたけど…思ってたよりも広いし大きい…)
「それで遊馬、《LNo.》は何処にあるの?」
「1つがここだな」
写し出された画面を、遊馬がとんっと指差した。
《
それが、今回の目的だ。
「でも、どうやって他のLNo.をみつけたの?」
「俺のLNo.を使ったんだ」
「どういうこと?」
「『No.とNo.は引き合う』。その性質を使ったのさ」
小鳥の疑問に、葉月が答える。
どうやら、この飛行船を使って葉月のLNo.の力と引き合う力を探したらしい。
「へえ、そんなことが出来るんだ…」
「早速行こう。ついたらもうセブンシンスに取られてました、なんてシャレにならないしな」
「我らが神の仰せのままに」
《LNo.》。それは、コスモ世界の光の力が宿った守護神官のカード。
(セブンシンスよりも先にカードを手にいれなきゃ…!!)
飛行船の行き先。そこに、1枚目のLNo.がある!!
* * *
「そういえばさ、姫っていろんなデッキもってんだな」
「へ?」
く葉月の言葉に、姫はきょとんっとした。
「だって昨日俺とやったときは、神代…ああ、シャークと同じモンスター使ってたじゃん?けどベルブのときは《E・HERO》だったろ?」
「ああ、うん。他にもいくつかデッキあるよ?」
「へえ」
「さっき私とデュエルしたときはシンクロ召喚もしましたしね」
「お前ら…どうりで来るの遅いと思ったらデュエルしてたのかよ」
「あはは、ちょっと色々あってね…」
ってか葉月くん。君はいつの間に私を呼び捨てするようになった。
(まあ別にいいけどね…)
「凌牙」
「ちょっといいか?」
そこへ、カイトとVがやってきた。
「お、ナッシュこんなとこにいたのかよ」
「メラグも一緒か」
「あら。どうしたんですの?」
その後ろには、ドルベたち七皇も一緒だった。
「昨日彼女から借りたカードの複製が出来たから、それを渡そうと思ってな」
「え、一晩で終わらせたの!?」
「これくらい、俺とクリスの手に掛かれば朝飯前だ」
カイトはしれっとそういうと、各々にカードを渡して、姫にカードを返した。
姫が複製のために渡したのは、オーバーハンドレッド・ナンバーズに、カオス・オーバーハンドレッド・ナンバーズ、そして各種RUMカード。
「おし、これでだいぶデッキも強化されるな!」
「でも、みんなが使ってたのとは少し効果が違うから、テキストよく読んでおいてね」
そう促すと、みんな渡されたカードに目を通し始めた。
「…確かに若干効果が変わってるな」
「確かに・・・でも、《ラグナ・ゼロ》の効果が強化されているわね」
「俺の《セスタス》もだ!」
「ふむ・・・《
「あー・・・その効果、みんながバリアンズ・カオス・ドローでそのカード引いてそのまま発動することが多かったから、そんな効果になったんだと思う…」
オーバーハンドレッド・ナンバーズに限った話ではないが、ほぼ全てのカードが、OCG化されるにあたり、大幅に弱体化されてしまっている。
それでも、神代兄妹のオーバーハンドレッド・ナンバーズはレベル4が2体の素材しばりなしのためかなり出しやすく、効果も強力なため、エクストラに入れやすいんだけど。
「ド、ドルベ?」
ふとドルベを見ると、複製されたカードを片手に、わなわなと震えていた。
「どうした?ドルベ」
「わ…私の《グローリアス・ヘイロー》が…!」
どれどれ、とみんなが《グローリアス・ヘイロー》のテキストを読んでいく。と同時に、なんとも言えない表情になる。
「こ、これは…」
「なんとも言えないですわね…」
《グローリアス・ヘイロー》は、OCG化にあたってアニメ効果のそれとくらべて、かなり弱体化している。それはもう、調整とはいえないほどの酷さである。
耐性こそ強化されたものの、同じ光属性縛りのランク4ならば、カイトのもつ《パラディオス》のほうが素材を揃えやすく、また効果も強力なため、《パラディオス》の下位互換にあたってしまう。
アニメ効果と比べてかなり強化されたアリトの《セスタス》や
「ド、ドルベ」
さすがに気の毒になった姫は、もってきていたカードファイルから数枚のカードを取り出してドルベに手渡した。
「ま、まあ、効果は弱くなっちゃったけどさ。でも、その代わり《
「…!こ、これは…!」
差し出されたカードをみて、ドルベが目を見開く。なぜなら、差し出されたカードはドルベも知らない、未知なる《光天使》モンスターだったからだ。
「私のとこじゃ、かなり大暴れしてその内の一枚は制限くらっちゃってるくらいのカードなの。うまく組み合わせれば、その《グローリアス・ヘイロー》でも戦えるよ」
はい、と差し出されたカード…《光天使スローネ》、《光天使セプター》、《光天使スケール》を、ドルベは礼を言って受け取った。
遊馬たちも、どんなカードなんだ?とドルベの手元を覗き込む。
「へえ、確かに効果は強力だな」
「だな・・・おお、この《スローネ》ってやつ、ドロー効果まであんのか」
など、わいわいとドルベに渡されたカードを始め、各々のカードを見せ合う。
「なあ、効果ちょっと違うし、デュエルしてみねえ?」
「おお!いいな!!」
「私の《
アリトが切り出し、なぜか七皇は卓上デュエルを始めた。
「初戦はドルベとミザエルか」
「ミザエルのデッキは、『時空竜』召喚に特化したデッキ…」
「それをどう阻止するのか見物だな」
凌牙、璃緒、ベクターは脇で観戦。アリトとギラグは、現在デッキ調整中だ。
「いくぞドルベ!」
「全力で行く!!」
「「デュエル!!」」
ーーーーー
ーーー
ー
「いくぞドルベ!私は《
デュエルもとうとう終盤。ライフはドルベが500、ミザエルが800だ。
「《
ベクターの呟きに、璃緒が「ええ、でも」と返す。
「あの目…ドルベはまだ諦めてませんわね」
「ああ」
はたしてその言葉通り、ドルベは手札から1枚のカードを抜き取った。
「ふっ、甘いぞミザエル!私はダメージステップ時、手札から《オネスト》の効果を発動!!」
「なっ、」
「ここで《オネスト》だと!?」
あー…なるほど。ドルベ、手札に《オネスト》持ってたのか。
「チェーンはあるかミザエル」
「くっ…」
悔しそうに顔を歪めるミザエル。
「…ないのね」
「ないんだな」
「ありませんのね」
「ねぇんだな」
と、見てた姫たちの声がハモった。ちなみに上から姫、凌牙、璃緒、ベクターだ。
「くっ、貴様等が脇で五月蝿いからだ!!」
「おいおい俺らのせいにするなよミザちゃん」
にやにやと笑うベクター。ミザエルはまるで射殺さんばかりに眼光を鋭くして、ベクターを睨みつけた。
「貴様っ・・・そのミザちゃんは止めろベクター!」
「負けて八つ当たりなんて、ちょーっとイケてないんじゃなぁい、ミザちゃ~ん。俺らはよかれと思って応援してたんだぜぇ?よ・か・れ・と思ってな!!」
ああ…
(ベクター…面白がってる)
ミザエル、かなり沸点ひくいからなぁ…
「みんなそろってなにやってんだ?」
「あら。遊馬、アストラル」
そこへ、遊馬とアストラルがやってきた。
「もうすぐ着くから呼びに来たんだけど…」
『…ミザエルとベクターはなにをしているのだ?』
怒るミザエルと、それをのらりくらりとかわすベクター。
「…いつものことだから気にしないでくれ」
眉間を押さえていうドルベの言葉に、「いつものって…」と遊馬が顔を引きつかせる。
「あれが?」
「ああ」
『いつものことだと?』
「…そうだ」
ああ、頭が痛い。
ドルベは内心で大きなため息をついた。
* * *
そして姫たちがたどり着いたのは、ひとつの小さな島だった。
「こんなとこにLNo.が?」
「ああ、地図はここを指してる」
葉月の言葉にモニターをみると、確かに座標はあっていた。
「でも、どこに…」
「さあな…そこまではわからねぇ」
と、葉月は肩をすくめた。 そして、結果としてまずは手分けして捜してみるということになった。
Vとカイト、ナンバーズクラブは飛行船に残り、次のLNo.を探すことに。
探索するのは姫と遊馬に葉月。そして七皇にⅢとⅣの12人だ。
チームは、姫と遊馬にシャークと璃緒、ⅢとⅣ。そして葉月
ドルベたち七皇の5人という、6人2チームに分けることに。
「俺らはこっち探すわ」
「わかった。じゃあ俺たちはこっちを探す。なにかあったら連絡してくれ」
「おう、気をつけろよユーマ」
「そっちもな」
背を向けて、遠ざかっていく葉月たち。
いまこの瞬間にも、セブンシンスが現れるかもしれない…そう思うと怖いけど…
「大丈夫?」
「!」
気遣わしげに姫に声をかけたのは…
「Ⅲ…」
自分で決めたんだ。いまはこの世界で、やれることをやるって。
(そうだ、自分で決めたんだ)
誰かに無理強いされたわけじゃない。ここにいるのは、自分の意志。
(なら、最後までやり通すだけ!!)
「大丈夫、ありがと」
「そっか…それならいいんだ」
「心配してくれてありがとね、Ⅲ。じゃ、早く《LNo.》みつけよ!!」
よし、と自分に気合いを入れて歩き出す。
ーーーそれから10分ほど歩いただろうか。
「ミハエル、どうした?」
Ⅳの声に、前を歩いていた姫は振り返った。
「Ⅲ?」
その視線の先にはⅢ。Ⅲはひとり、どこか遠くを見ていた。
「Ⅲっ?」
「……」
そしてひとり、ふらりと歩き出す。
「おいミハエル!!」
「Ⅲ!!」
迷いなく、Ⅲはどんどんと先に進んでいく。
「Ⅲ!」
「誰かが…誰かが僕を呼んでる」
一言呟き、ずんずんと進んでいく。
「呼んでるって…ちょっと待ってよⅢ!一体どこ行くの!?」
姫の声にも耳を貸さずに、Ⅲはひとり進んでいく。
やがて見えてきたのは、洞窟。Ⅲは迷いなく、その洞窟へと入っていった。
「Ⅲ!!」
「どうする遊馬?」
凌牙が遊馬に聞くと、遊馬は数秒考え、「行こう」と口を開いた。
「洞窟の奥に何があるのかは分からない。けど、もしもセブンシンスの罠だとしたら…Ⅲが危ない」
「…だな」
「みんな、いつでも戦えるようにしておいてくれ」
遊馬の言葉に、全員が頷いた。よし、と姫はきあいを入れて、洞窟に入と。
「うわぁ…」
まさか洞窟に入ることになるとは思わなかったな…
(この世界にこなきゃこんなことまずなかったな…)
さて、Ⅲは何処に・・・?
「…いた」
薄暗いけど、あのピンクの髪は間違いなくⅢだ。ーーーと、思ったその瞬間。
「きゃああ!?」
「碧那下がれ!!」
「へ?」
「早く奥にいけ!!」
えええ!?
(な、なに!?)
と思ったのもつかの間、ものすごい大きな地響きのような音と揺れがした。そして、一瞬にして洞窟内が暗くなった。
「ど、土砂崩れ…!?」
なんだってこのタイミングで!!
「姫っ!」
「!ス、スリーッ」
どうやらいまの土砂崩れの衝撃で、目が覚めたらしい。Ⅲが慌てた様子で奥から走ってきた。
「大丈夫かい!?」
「うん、なんとか…Ⅲは?」
「僕も大丈夫。それよりなんで僕、こんなとこに…」
「覚えてないの?」
「なにを?」
「Ⅲってば、誰かが呼んでるっていって洞窟の中に入っていったんだよ?」
「え・・・僕が?」
「覚えてないの?」
もう一度聞くと、Ⅲは「ごめん…」と呟いた。
「覚えてないや…」
「そっか…にしてもどうしよ、遊馬たちとはぐれちゃったな…」
たぶん目の前に積まれてる土砂の向こう側にいるんだろうけど…
「これじゃあここから出られないな…Dゲイザー通じればいいけど…っと、」
連絡を取ろうとDゲイザーを出すと、タイミングよくDゲイザーが着信を知らせた。
「遊馬?」
「みたい。もしもし遊馬?」
「姫、無事か!?」
でると、開口一番大声を出す遊馬。
「ちょ、遊馬落ち着いて!私もⅢもなんともないから!!」
「そ、そうか、良かった…」
ほっと息を吐く遊馬。
「それより、この土砂じゃこっから出入り出来ないし、とりあえず中から出られる場所ないか捜してみるね」
「わかった。こっちも中に入れる道がないか捜してみる」
「オッケー。じゃ、またあとでね」
ぷつりと切って、Dゲイザーをしまう。
「じゃ、とりあえず外にでられないか道を探そっか」
「そうだね。……ん?」
「Ⅲ?」
Ⅲはふっと洞窟の奥をみやった。
「どうしたの?」
「いま…なにか聞こえなかった?」
「え?ううん、特に何も…」
「そう…」
僕の気のせいかな?とⅢは首を傾げた。
「…じゃあ、とりあえず他に出口がないか探そうか」
「うん」
頷くと、Ⅲは私の手を引いた。
「す、スリー?」
「暗くて危ないからね。女の子なんだし、怪我でもしたら大変だろ?」
「あ、ありがと…」
「どういたしまして」
ううう、女の私より可愛い顔してるくせに男としても立派だなⅢってば!!
(にしても…)
Ⅲ…いったい何が聞こえたんだろう。 さっきの様子といい、いまといい…
(まさか、セブンシンス…?)
さっきまでの行動の記憶がなく、「何か聞こえた?」と聞いてきたⅢ。
Ⅲが嘘をついているようには見えない。
(もしセブンシンスが罠にはめようとしてるなら…)
早くセブンシンスより先にLNo.をみつけなきゃ!!
「ふふ…」
一方、ひとりの男が、その様子を見てほくそ笑んだ。
「これで希望光神は入ってはこれない」
中にいるのは、さぼと力もないだろう男女。捻りつぶすのは造作もない。
「さあ、始めようか…」
男はつぶやいた。
* * *
【Side 遊馬】
「ふたりは?」
「無事みてぇだ」
Dゲイザーをしまった遊馬に、凌牙が姫とⅢの安否を聞く。そして答えた遊馬の言葉に、全員が安堵の息を吐いた。
「それで2人は?」
「外に出られる道がないか探してみるって言ってた。俺たちも中に入れそうな道がないか探そう」
『しかしなぜいきなり入り口が…?』
アストラルの疑問ももっともだ。
「確かにタイミング良すぎるな」
Ⅳが腕組みをしながら頷いた。
「まさかセブンシンスが…?」
「…の、可能性はあるな」
遊馬が肯定すると、全員が眉間にしわを寄せた。
「ずいぶんとフザケた真似しますのね」
「イラッとくるぜ…!」
「みつけたら念入りに俺様のファンサービスをお見舞いしてやる…!」
各々、これを起こしたかもしれないセブンシンスに闘志を燃やす。
「遊馬、早く他の出入り口探してふたりと合流しようぜ」
「セブンシンスが近くにいるかもしれない以上、バラバラは危険ですわ。一刻も早く、姫さんたちを見つけないと…」
「ああ。みんな、急ごう」
『…遊馬』
「なんだ?アストラル」
じっと遊馬を見るアストラル。その様子に、遊馬本人だけでなく凌牙たちもどうした?と首を傾げた。
「どうかしたんですの?」
見かねた璃緒が聞くと、アストラルは『いや…』と煮え切らない回答を口にする。
「なんだよ、アストラル?」
『……やけに冷静だなと思ったのだ』
「は?」
『私が知っている君なら、早く2人を捜そうと躍起になると思ったのだが・・・いまの君は慌てるどころか冷静だ。私がいなかったこの短期間でなにかあったのかとも思ったが、少なくとも昨日、セブンシンスが襲来するまでは私が知っている遊馬そのままだった。だから、私は君のこの急激な変化に多少戸惑っているのだ』
「ああ…」
なるほど、と遊馬はごちた。
「なんていうか…神としての記憶のせいか、やけに頭が冴えるんだよな」
ぐしゃくしゃと遊馬は頭をかいた。
「いまだから言えるけど…今までの俺って、ほんと子供でみんなに迷惑かけてたなぁ…」
ごめん、と謝る遊馬。
「…別に迷惑だなんて思ってねえよ」
「シャーク、」
「お人好しの大馬鹿だとは思ってるけどな」
にやりっと意地悪げに笑っていう凌牙に、遊馬はきょとんとしたあとにむっと唇を尖らせた。
「悪かったな」
「ま、それがお前だしな。それよりとっとと中に入れる場所ねーか探そうぜ」
「おう!!かっとビングだ俺ぇっ!!」
そう叫んだ遊馬の姿は、いつもと変わらない九十九遊馬そのものだった。
...
遊馬役の畠中さんと妹が通っている大学が同じだと分かり、興奮してる今日この頃。
生の「かっとビングだ、俺ぇっ!!」が聞きたいけど、妹は畠中さんと仲が良いわけじやないらしい。
ちぇっ早く仲良くなってくれよ(笑)