希望と絶望のアポカリプス√r   作:桜彩(さや)

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みなさんウィング・レイダースは買いましたか?
私は3箱買いましたが、結果は・・・orz

まあなんとパーツ揃ったので、幻影騎士団デッキ組みましたが、なんかしっくりこない・・・
たぶん、マスチェンセカンドやエッジインプシザー、ガンナーを入れたせいなんですよね。

レジスタンスのデッキに融合を使うデュエリストのカード入れるとか・・・
もう、鉄の意思も鋼の強さも感じられないよユート・・・




「愛」の守護神官
Turn14


Ⅲが守護神官のひとりだと分かり、飛行船に戻ると、Ⅲは葉月に熱烈な歓迎をうけた。

それに若干気圧されながらも、会話は進んでいく。

 

結果、ⅢのLNo.の力も借り、次のLNo.の在処がすぐに割り出された。

場所は、そう遠くない島だった。

一行は、ここまできたのと同じように、異空間を使いその島へと向かった。

 

「この感じは…」

「うん、LNo.4だね」

「ああ。ハニエルのLNo.だ」

 

遊馬、Ⅲ、葉月の三人は顔を見合わせて頷きあう。

 

「ハニエル?」

「ああ。愛の称号を持つ守護神官だ」

「…?Ⅲはなんだか嬉しそうだが…」

 

Ⅲの様子に気づいたドルベがそういうと、Ⅲは「そうかな?」と照れくさそうに笑った。

 

「俺ら神官の中で、メルデクが一番ハニエルと仲良かったもんな」

「そ、そんなことないよ?」

「いーや!お前めちゃくちゃハニエルに懐いてたじゃんか。ハニエルも、俺のことはかなり邪険にしてたけど、お前にそんな態度とったのみたことねーぞ」

「…それは君がしつこいからじゃ…」

「……だな」

「おい、いま俺すっげー傷ついたからな?」

 

ひくり、と頬をひきつらせる遊馬とⅢ。

そのふたりの言葉にすねる葉月。

 

 

ーーーその片隅で。

 

 

(LNo.、4・・・?)

 

ひとり、座標を映し出された画面をじっとみている者がいた。

 

(…なんで、引っかかるんだ?一体なにが…)

 

LNo.なんていうものは、いままで聞いたことはなかった。

それなのに、なぜか妙に心に引っかかる。

 

(…あー、やめだやめ!!)

 

が、ややあってその人物は頭を振った。

 

(なんだかしらねーが、考えるだけ無駄だ)

 

そして、無理矢理画面から目をはなした。

 

 

ーーードゴン!!

 

 

「!?」

「うわっ」

「何だ!?」

 

突然、飛行船が大きく揺れた。

全員が近くにある物に捕まるなか、カイトが「オービタル!」と大声を上げる。

 

「どうなっている!」

「少々お待ち下サイ、カイト様!」

 

ぴぴぴっとオービタルが飛行船のメイン画面を操作する。

 

「カイト様!現在、飛行船ハ謎ノモンスターノ襲撃ヲ受ケテイマス!」

「なんだと!?」

「っ、オービタル!外の様子を画面に出せるか?!」

「カシコマリ!」

 

遊馬の言葉に、オービタルがまた画面を操作する。

と、すぐに大画面で外の様子が映し出された。

 

「これは…」

「なんつーモンスターの数だよっ!?」

 

画面に映し出されたのは、数十体のモンスターたち。

そのモンスターたちが、飛行船めがけて攻撃をしている様子だった。

 

「…デジャヴでしょうか。これと同じ光景を前にも見たような気がしますわ」

 

璃緒がぽつりともらす。

 

「同じ光景?…ああ、あの時か」

「ええ。私たちをサルガッソにおびき出すためにどこかの誰かさんがしたのと同じ光景ですわ」

 

神代兄妹の会話に、作戦を考えたベクターは「うっ」とふたりから目を逸らし。

その作戦にのったドルベとミザエルも、ぎくりと顔を強ばらせた。

 

「シャークにいもシャ、いまは「いい加減そのいもシャはやめて下さる?」・・・璃緒も、いまはそれどころじゃねーだろ?」

 

顔は笑ってるのに、目は笑ってない璃緒。

遊馬は若干顔をひきつらせながら、言葉を訂正した。

 

「とりあえず、外のモンスター追っ払おうぜ」

「おう!あ、葉月、おまえはここで小鳥たち頼むわ」

「わーった!気をつけろよ!」

「大丈夫だって!行くぜⅢ!!」

 

揺れる船内を、遊馬とⅢが浮いて外へと移動する。

その後をカイト、凌牙に璃緒、そして七皇たちが追いかける。 

 

「お前ら、」

「あれだけのモンスター、お前らふたりだけにやらせるわけにいかねーよ」

「俺もやるぜ、遊馬!」

「微力ながら助太刀しますわ」

 

シャークが言えば、璃緒やアリトも力強く言う。

ドルベたちも、なにも言わないが頷いたのが遊馬に見えた。

 

 

* * *

 

 

「いっけぇ『ホープ』!ホープ剣・スラッシュ!!」

「吠えろ『シャーク・ドレイク』!デプス・バイト!!」

「舞い上がれ、『シルフィーネ』!アイス・レイ!!」

「さあ行くよ、『プロミネンス・オブ・スヴェード』!ホーリーフレア・ライトニング!!」

 

遊馬の『ホープ』、凌牙の『シャーク・ドレイク』、璃緒の『シルフィーネ』、そしてⅢの『プロミネンス・オブ・スヴェード』の攻撃が、モンスターたちに放たれる。

すこし離れたところでは、ドルベ、ミザエル、アリト、ギラグ、ベクター、カイトが、自分のエースモンスターたちを召喚し、手当たり次第モンスターを破壊している。

 

「みんなっ!」

「! ひ、姫っ!?」

「Ⅳ兄様っ」

 

そして遅れて、姫とⅣが駆けつける。

 

「なんで・・・」

「えへへ、やっぱそのまんまにしとけなくって来ちゃった」

「来ちゃった、って・・・」

「おいおい、映像でみたがとんでもねぇ数だな」

 

呟きながら、Ⅳは腕のデュエルディスクを起動させる。

 

「こうなったらいっちょ派手にやってやろうじゃないの」

 

いいながら、姫もまたデュエルディスクを起動させた。

 

「たっぷりと俺様のファンサービスをくれてやるよ…来い、『No.15ギミック・パペットージャイアント・キラー』!!」

「現れなさい!漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!」

 

2人もまた、飛行船を攻撃しているモンスターを殲滅すべく、モンスターを召喚した。

 

「いけ、『ジャイアント・キラー』!ファイナルダンス!!」

「『ダーク・リベリオン』!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」 

 

攻撃の指示を出すと、2体もまた遊馬たちのモンスターに混ざり、他のモンスターたちを次々に殲滅いく。

 

「くっそ!倒してもどんどん湧いてきやがる!これじゃきりがねぇよ!」

 

『セスタス』に指示しながら、アリトが声を上げる。

その声には、タフなアリトにしては珍しく、僅かにだが疲労の色が見えた。

 

「アリト!文句言ってねえでとっとと倒せ!」

「うっせえ!そんくらい分かってんだよベクター!!」

「言い争っている場合ではないだろう! 」

 

一触即発なアリトとベクターに、ドルベが一喝する。

 

「ここで飛行船がモンスターたちに破壊されれば、我らはどうなるかも分からんのだぞ!私は『スカイ・ペガサス』を召喚!!」

 

ドルベが言い放つと、場に新たなモンスターが現れる。

白く美しい翼を持つそのモンスターは、かつてのドルベの相棒だ。

 

「マッハ!飛行船を守るため、私に力を貸してくれ!!」

 

ドルベの叫びに答えたのだろう。

『No.44白天馬スカイ・ペガサス』は、気高く一声鳴くと、モンスターの群れへと向かっていく。

 

 

『No.44白天馬スカイ・ペガサス』。

遊馬たちがはじめて手に入れた、遺跡のNo.。

そしてその遺跡は、ドルベの記憶の遺跡だ。

 

かつてはドルベの愛馬として彼と戦場をかけていたマッハ。

いまはNo.として、アストラルからドルベの手に渡り、彼の力となっている。

 

「おっしゃあ!ならオレも『ライオン・ハート』を召喚だ!」

 

ドルベに続きアリトもまた、遺跡のNo.を召喚する。

その横では、ギラグは『三太夫』を、ミザエルは『ドラッグ・ルーオン』、ベクターは『ジャッジ・バスター』と、各々の遺跡のNo.を召喚する。

 

「頼むぜ、『アビス』!」

「貴女も力を貸して、『クリスタル・ゼロ』!」

「降臨せよ、我が魂!『超銀河眼の光子龍(ネオギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)』!」

 

凌牙たちもまた、遺跡のNo.とエースモンスターたちを出して、飛行船を攻撃するモンスターたちを殲滅していく。

 

《遊馬!》

「ああ!現れろ『No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ』!!」

 

遊馬もまた新たなモンスターを召喚し、モンスターを倒していく。

 

 

が、全員が違和感を感じた。

 

「おい、こいつら…」

「まったく手応えがありませんわ」

「…まさかとは思うが、あの時と同じ展開じゃないだろうな」

 

カイトの言葉に、アリトとギラグ以外の全員がぴしり、と一瞬固まる。

 

「まさか…」

「…あるわけないよな?」

「あってたまるか!」

 

吐き捨てるかのように凌牙がいうと、同意だとばかりに璃緒もまた頷く。

 

「……おい」

 

が、ベクターが一点を見て呟いた。

 

「どうやら予感的中だぜ?」

「は?」

「ああ?おいベクター、どういう…」

 

凌牙が問いただそうと振り返る。

ベクターはなにも答えず、顎で一点をしゃくった。

その先を見た凌牙や遊馬、その場にいた全員が絶句した。

目の前に、巨大な渦のような物が出現していたのだ。

そしてそれは、飛行船を飲み込まんとばかりに強い力を放っていた。

 

「オービタル!出力全開だ!!」

「ヤッテルデアリマス!ガ、重力ガ強スギルデアリマス!!」

「そんなことはどうでもいい!あれに吸い込まれたらどこに飛ばされるのか分か らん!!」

「カ、カシコマリ!!」

 

言われるまでもなく、オービタルも全力でこの事態に対処しているのだろう。

しかし、重力には逆らえない。

 

「うわっ!?」

「くそっ」

 

全員が、飛ばされないように、手近にあったものに手を伸ばし捕まる。

が、ひとりつかみ損ねた者がいた。

 

「っきゃあぁぁっ!?」

「姫!」

 

姫だ。

物に捕まり損ねた姫の身体は浮き上がり、外へ投げ出されそうになっていた。

 

「う、嘘でしょ!?ちょっとっ…!!」

 

何かに捕まろうと精一杯手をのばすが、届かない。

 

「っ、おい、掴まれ!!」

「シャ、シャークっ」

 

とっさに凌牙は、片手を手すりからはなして、飛ばされかけている姫へと手を伸ばす。

 

「っ、てめ、放すなよっ…!」

「う、うんっ…ありがと、」

 

その掴んだ手を思い切り引き寄せると、姫手に手すりを握らせる。

 

「みんな、ひとまず中に戻ろう!」

「そうだね、このまま外にいたら飛ばされちゃうよっ」

 

遊馬の提案にⅢが同意し、全員がそれに賛成する。

そしてなんとか船内へと戻ると、小鳥たちがパニックになっており、それをVが宥めていた。

 

「オービタル!どうなっている!?」

 

カイトが、メインコンピューターをいじっているオービタルへと近づく。

 

「今マデニ感ジタコトノナイパワーデアリマス!シカシ、先日ノセブンシンストノデュエルデ採取シタデータトアワセタトコロ、セブンシンスノチカラニチカイモノヲカンチシタデアリマス!」

 

セブンシンス。

どうやら今度はこの異次元で、戦いを仕掛けてくるつもりらしい。

 

「け、けどなんでこんなところで?」

 

姫が聞くと、ドルベが口を開いた。

 

「この異次元では、大小様々だが、ブラックホールのようなものがそこかしこで出来る。それに飲み込まれれば、どこに飛ばされるかも分からない。それどころか、生きていられるのかどうかも分からない。セブンシンスはあわよくばそれを利用して、邪魔者である私たちを消そうと考えたんだろう」

「な、なるほど…」

 

つまりあのモンスターたちは、こちらの意識を少しでもそっちに向けておくためのカモフラージュ。

 

「せこい真似しやがるな」

 

ぱしん!とアリトが苛ただし気に、左手に自らの右手を打ち付けた。

 

《君の仲間も、以前に似たようなことをしていたが…》

「アストラル」

「へ?そうなのか?」

 

アストラルが言うと、遊馬がそれを咎め、サルガッソでの一件を知らないアリトは首を傾げた。

ベクター、ドルベ、ミザエルが顔を背けたのは、もはや言うまでもないだろう。

 

 

そして、それから起こったことは、今まで姫が経験したことのないことばかりだった。

飛行船は激しく揺れ、まともに立ってはいられないほどだった。

 

(巨大地震の時立ってられないとか思ったけどそれ以上だよこれっ!!)

 

そんな中、遊馬にカイト、Vやオービタルが飛行船を立て直して、なんとかなったのだが…

 

「…何処よここ」

 

あれやこれやとしていたら、何処かも分からないところを飛行船は飛行していた。

 

「なんとか立て直したが…」

「…おい、まさかここ」

 

ベクターが外を覗いて呟く。

 

「おい!いますぐここを抜けろ!!」

 

そして、声を張り上げた。

 

「ベクター?」

「いきなりなんだ」

「ここはマズいんだよ!!サルガッソだ!!!」

「ーーー!?」

 

『サルガッソ』。

その名前に、遊馬たちの顔に戦慄が走る。

 

かつて、ベクターに新月が攫われ、その救出に向かった遊馬たち。

ブラックホールに飲み込まれ、たどり着いたのがこのサルガッソだ。

あちこちに打ち捨てられた戦艦が存在し、突如生まれたブラックホールに吸い込まれる危険性もある、非常に危険な場所だ。

 

「サルガッソのなにがマズいんだよ?」

 

Ⅳが聞くと、遊馬がその説明をするために口を開いた。

 

「サルガッソには、モンスター・エクシーズに関する特殊なフィールド魔法が発動してるんだ」

「それが『異次元の古戦場ーサルガッソ』。モンスター・エクシーズを召喚すると、そのプレイヤーに500ポイント。さらにモンスター・エクシーズをコントロールしているプレイヤーに、エンドフェイズに500ポイントを与えるフィールド魔法だ」

 

ドルベが補足すると、さらにベクターも口を開く。

 

「まあそれも、『サルガッソの灯台』っつう魔法カードがあれば無意味だが、こいつは墓地にあることではじめて効果を発動出来るからな…」

「…なるほどな。厄介な場所だってのはよーく分かった」

「それなら、早くここを出るにこしたことはないね」

「そうだな。オービタル、頼む」

「カシコマリ!」

 

ⅣとⅢの会話にⅤは頷き、カイトが指示を出した。

けれど、そう簡単に行くわけもなく。

 

「そうはさせませんわよ?」

 

突如聞こえた声に、全員が身構える。

 

「こんにちわ。お会いできて嬉しゅうございますわ、希望光神さまとその仲間たち」

 

この声は…

 

「ベルブ!?」

「残念、外れですわ」

 

ブン、と言う音とともに現れたのは、ベルブーーー・・・ではなく。

 

「女…?」

 

ぽつりとⅣが呟いた。

 

「ご機嫌麗しゅうございます、希望光神さま」

 

にこりと遊馬に笑いかけるのは着物を着た、まだ幼い…おそらくか10才くらいの少女。

 

「…君は?」

 

Ⅲが聞くと、少女は笑みを深めた。

 

「お初にお目にかかります。わたくしの名前はルゼ。 …暴食神、ベルブの双子の姉ですわ」

 

ルゼ、と名乗る少女の言葉に、全員が息をのんだ。

 

「ルシファー様と帰ってきたとき、愚弟は息も絶え絶えでしたわ。聞いたところ、あの子は『ただの』人間とデュエルをしていたらしいですわね?」

 

 

ーーーどなたかしら?

 

 

彼女の目が、まるで品定めでもするかのように一人一人をじっくりと舐めていく。

視線があった小鳥とキャットちゃんは、「ひっ」と息をのんだ。

そして、庇うように璃緒が2人を背中に隠した。

 

「……私よ」 

「ーーー!」

「姫っ!」

 

彼女…ルゼの狙いはわからない。

けど、ベルブとデュエルした人間を探すことが目的なら、名乗った方がいい。

そうしなければ、さきほどのモンスターの大群とは非にならないほどの事態になりかねない。 

そう判断し、姫は一歩前にでて名乗り出た。

 

(庇おうしてくれたのは嬉しいけど…ごめん、みんな)

 

 

ーーー心の中で、謝りながら。

 

 

* * *

 

 

一方のドメス世界ではーーー・・・

 

「ルゼ?」

 

ルシファーが、城内を歩き回っていた。

 

「ルゼ!何処にいる!?」

 

くまなく探しているのだが、目的の人物は見つからない。

 

「全く…いったい何処にいったのだ、あやつは…」

 

はあ、とルシファーは長く重いため息をついた。

 

「我らがセブンシンスを統べるサタンはまだ目覚めず、ベルブは…」

 

先日のデュエル。

まだ目覚めたばかりで力が完全には覚醒していないのに、ベルブは『あのカード』を使おうとした。

 

(あのカードを使うには、もっと多くのカオスが必要…)

 

しかし残念ながら、カオスが十分にあるとは言えない。

となると、足りないカオスの分を補うため、自らの力を削らねばならない。

その結果、実際に使ってはいないのに、ベルブは命ともいえる自らのカオスを削られてしまった。 

 

(せっかく目覚めたばかりだというのに…)

 

そしてベルブは、いまは眠りについている。

 

ルゼは、そのベルブの双子の姉。

大罪の称号こそ与えられてはいないものの、デュエルの腕は折り紙付きだ。

 

「ベルブは眠りにつき、ルゼは行方不明…」

 

 

はあぁぁぁ。

 

 

ルシファーは再度、長い長いため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

ーーー

 

 

ー

 

 

 

「あなたが?」

 

ひたりと、ルゼは姫を見据えた。

その目を、(まるで蛇みたい)と心の中で思いながら、「そうよ」と、ルゼから目を逸らさずに言う。

 

「確かに普通の人間ですわね」

「…悪かったわね。普通の人間で」

 

言い返すと、ルゼは口元に手を当てて静かに笑った。

 

「あらごめんなさい。気を悪くなさったかしら?」

「…別に」

 

悪びれた様子もないルゼに怒るだけ無駄だと、姫は一言素っ気なく返した。

 

「で?何の用なの?」

「外に出てきて下さいな」

「…は?」

 

 

外に?

 

 

「…なんで?」

「愚弟をあそこまで追いつめたあなたのデュエルの腕…わたくしが見定めて差し上げますわ」

「…」

 

 

つまりデュエルしろってことか。

 

 

「…嫌って言ったら?」

「そうですわね・・・」

 

少し考える素振りをし、にこりとルゼは微笑んだ。

 

「…先ほど以上の数のモンスターに、この飛行船を襲わせる、というのはいかがかしら?」

「…!」

 

デュエルをしなければ、再び飛行船はモンスターの襲撃を受ける。

それも、いまさっきのとは比べものにならない数の。

 

「っルゼ待て!俺が変わ「遊馬」姫、」

 

遊馬の言葉を遮り、姫はルゼを睨み返した。

 

「…わかった、いいわ」

「姫!」

「では、この飛行船の甲板にてお待ちしてますわ」

 

そういうと、ルゼは消える。

次いで姫もくるりとみんなに背を向け、甲板へと向かう。

 

「姫っ待てよ!」

「姫さん!!」

 

それを、遊馬や小鳥たち全員が呼び止める。

 

「なんでルゼとのデュエルを受けたんだよ!?」

「じゃあ遊馬は、飛行船がまたモンスターに奇襲されてもいいの?」

「っだからそれは俺がデュエルして…」

「それは駄目」

「なんでだよ!?」

「・・・・・・あのねぇ」

 

尚も噛みついてくる遊馬に、姫は漸く足を止めて、遊馬と向き合った。

 

「あの子…ルゼは、希望光神である君じゃなくて、ベルブとデュエルした私を指名したの」

「けどセブンシンスとのデュエルはっ」

「分かってるよ。ベルブともやったし」

 

セブンシンスとのデュエルは、初代遊戯王でいう『闇のゲーム』。

痛みがプレイヤーであるデュエリストにも襲いかかる。

 

(そりゃ、卓上デュエルしかないあっちの世界と比べれば怖いけど…)

 

 

でも、それでも。

 

 

「デュエリストなら、挑まれたデュエルから逃げちゃいけない」

「…!」

「そうでしょ?」

 

遊馬はぐっと唇を噛みながら姫を見る。

が、数秒の沈黙のあとに折れたのは、遊馬だった。

 

「……分かった。けど、無茶だけはしないでくれよな」

「…善処はするけど守れるかどうかの保証はない」

「お前なぁ…」

 

まだ何か言い出そうな遊馬だったが、ぐっ…と言葉を飲み込んだ。

 

「頑張れよ!かっとビングだ、姫!」

「らじゃ!」

 

改めて向かうのは、飛行船の甲板。

姫はデッキケースからデッキを取り出し、ぎゅっと両手でデッキを包んだ。

 

(絶対に、負けない!!)

 

甲板に出た姫は、きょろりとあたりを見回した。

一緒に来たのは、遊馬とアストラル、凌牙にカイト、小鳥と璃緒だ。

 

「ルゼ!来たわよ!!」

 

 

ぼこり。

 

 

空間に、穴が出来る。

そこから黒い霧のようなものが霧散し、それは一カ所に集まる。

全員が身構えて警戒する中、やがてそれは人の形へとなっていった。

 

「ルゼ…?」

 

そしてその中から現れたのは、いまさっき姫たちの前に現れたルゼだった。

 

「お越しいただいて嬉しいですわ」

 

にこりとルゼは微笑んだ。

 

「…デュエルする前に、ひとつ聞きたいことがあるんだけどいい?」

「はい、なんでしょう?」

「あなたが飛行船をモンスターに襲わせて、私にデュエルを挑んだのは、ベルブの・・・弟の敵討ちのため?」

 

そう聞くと。

 

「…ぷっ」

 

ルゼは吹き出し。

 

「あはははは、あは、あははははははっ!!」

 

そして、大声てけらけら笑い出した。

 

「か、かた、敵討ち?」

 

まるで可笑しくてたまらないとでも言うように、声をあげてルゼは笑う。

 

「あいつ、なに笑ってやがる…」

「姫さんの言葉がそんなに可笑しかったのかしら…」

 

神代兄妹がつぶやく。

 

「てっきり、この間のことでやり返しにきたのかと思ったんだけど…」

《だが、彼女のあの様子を見るに、どうやらそういう訳ではないようだな》

「ああ…」

 

小鳥の言葉にアストラルが続く。

そしてアストラルの言葉に遊馬は頷いた。

 

「ああ、ごめんなさい」

 

たっぷり数秒は笑っただろう。

ルゼは目尻の涙を指先で拭って、はぁと息を吐いた。

 

「私があなたにデュエルを申し込んだのは、敵討ちでもなんでもありませんわ」

「敵討ちじゃ、ない?」

「ええ、違います。そうですわね…しいていえば、興味がある、とでも言いましょうか」

「興味?」

 

 

興味って…

 

 

「愚弟はね、セブンシンスの中でも最年少。故に無茶、無理、無鉄砲をしでかす」

 

それでもセブンシンスに選ばれただけのことはありますが、とルゼはひたりと姫を見据える。

 

「最年少とはいえ、仮にもあの子はセブンシンス。偉大なるサタン様より、暴食の称号を授かったドメス世界の柱。それを負かしたデュエリストに興味が沸くのは当然のことだと思いません?」

 

 

負かしたって…

 

 

(あのデュエルは乱入があって決着つかないで終わったんだけどなぁ・・・)

 

ベルブとのデュエルは、ルシファーの乱入によって中断という形になった。

 

(まあ、あのまま行けば勝てたかとしれないけど、最後になにかエクシーズ召喚するみたいだったし、どうなったか分からないし・・・)

 

 

でもまあ、ひとまず理由は分かった。

 

 

「貴女が聞きたいのはそれだけかしら?」

「…まあ、ね」

 

ルゼの言葉に、姫はこくりっと頷いた。

 

「それなら、始めましょうか?」

「……分かった」

 

すっとルゼの目つきが変わる。

 

「姫さん、頑張って下さい!」

「絶対勝てよ、姫」

 

応援に、姫は「任せて!」という意味を込めて、ぐっと親指をたてた。

 

「デュエルディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!!」

『ARビジョン、リンク完了』

「「デュエル!!」」

 

 

 

 

【姫】

LP4000

手札×5

先攻

 

 

【ルゼ】

LP4000

手札×5

後攻




15話のお届けでした。
今回から、新章になります。
「愛」の神官は誰か・・・察しの良い方は、気づいているかもしれませんね。

ところで・・・
アニメのアクファは、そろそろ物語は佳境ですかね?
というか、あれは間違いなくあの子は仲間になるフラグだよね!?ねっ??
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