希望と絶望のアポカリプス√r   作:桜彩(さや)

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先週末の土曜日、ジャンフェス行ってきました。
ミレパ3箱買ったんですが、シクレアが全部『ガイヤ』って・・・
俺、『ガイヤ』に選ばれすぎぃっ!!www

まあ、羽根帚やら破壊輪やらタートルやらがそこそこ手に入ったし、命削りや真実の名、左腕の代償やらが2枚ずつ手に入ったのでよしとします。

では本編をどうぞ。


Turn16

姫と、セブンシンスの1人・ベルブの双子の姉・ルぜのデュエルから数時間後。

 

「着いたー!!」

 

飛行船は、とある田舎町に着陸した。

 

「さてと、っと」

 

飛行船を町から離れた丘に着陸させると、ぞろぞろとメンバーは飛行船から下船する。

そして全員が降りると、遊馬は飛行船に皇の鍵をかざした。

すると、飛行船はあっという間に鍵の中へと消えて言った。

遊馬曰く、鍵の中に飛行船をしまったらしい。

 

「なんでししまっちゃうの?」

「あんな巨大な飛行船があったら驚いちゃうだろ?」

 

小鳥が聞くと、遊馬はそういって、下を見下ろす。

 

「人形で栄える町、か」

 

ぽつりと遊馬がこぼす。 

 

 

姫たちがいるのは、町外れにある丘。

下には広がる町は、遠目から見ても賑やかだ。

 

「じゃあ、とりあえずあの町に行ってみようぜ」

「そうだね。この町にLNo.があるなら、もしかしたらそれらしき話があるかも知れないしね」

「そうだな。みんな、行こう」

 

こくりとうなずき、町へと向かう一行。

 

 

ーーーその中で。

 

 

(なんだ?)

 

ふとなにかに呼ばれているような感覚を感じて、ひとり周りを見回している人物がいた。

 

「なんだ・・・?」

(誰かが…俺を、呼んでる?)

 

LNo.04。

ハニエル。

 

その言葉を飛行船で聞いてから、どこか落ち着かない自分がいることに、『彼』は気づいていた。

 

(一体なんだ?この落ち着かねえ感覚は…)

 

落ち着かず、イライラする。

 

 

ーーーそれなのに。

 

 

(懐かしいような気がするなんて…)

 

馬鹿げてる、と『彼』は息を吐いた。

 

「おい」

「…!」

 

ふいに後ろから声をかけられ、彼はびくっと後ろを振り向いた。

 

「何やってんだ?お前」

 

声をかけてきたのは、かつては互いの命をかけた相手。

いまは、好敵手と呼べる相手だ。

 

「いや……なんでもねぇ」

「…?そうかよ」

「ああ」

 

そう言葉を返し、『彼』は目の前の少年ににやりと笑ってみせた。

 

「てめえに心配されるほど俺は落ちぶれちゃいねえよーーー凌牙」

 

その言葉に、少年ーーー凌牙は、小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

 

「はっ…俺に2回負けといてよく言えるぜーーーⅣ」

 

その言葉に、『彼』ーーーⅣはぴきっと眉間に皺を寄せた。

 

「あれはちょっと油断してただけだ!本気だしゃ、お前なんてあっという間にイチコロだ!!」

「はっ、負け犬の遠吠えか?極東チャンピオンが聞いて呆れるぜ」

 

鼻で笑い、黒のズボンのポケットに手を突っ込んだまま、凌牙は肩をすくめた。

そして、導火線の短いIVがそれに耐えられるわけもなく。

 

「てめえっ…表でろ凌牙ぁっ!俺様のファンサービスをたっぷりくれてやる!!」

 

叫びながら、IVはどこから取り出したのか、じゃこんっとデュエルディスクを構えた。

 

「バカか、もう外でてるだろ」

 

だが、と凌牙もまた懐からDゲイザーとDパットを取り出した。

 

「売られたデュエルは買うぜ!」

「おーし!今日こそ俺のファンサービスでてめえに吠え面かかせてやるぜ!」

「やってみろよ、返り討ちにしてやるぜIV!!」

 

まさに一触即発。

犬猿の仲のふたりは、デュテルディスクを構えて向き合う。

 

「に、兄様!?」

「シャーク!?」

 

向かい合ってデュテルディスクを構える2人の間に、遊馬とⅢが間に入る。

 

「なにやってんだよ2人とも!」

「兄様、いまは凌牙とケンカしている場合ではありません!!」

 

そして遊馬が凌牙を、ⅢがⅣを説得する。

凌牙とⅣはさすがに我に返ったのか、互いに構えたデュテルディスクをおろした。

 

「…やる気が失せたな」

「だな」

 

そしてデュテルディスクをしまうと、「行くぞ」と町へすたすたと歩き出す。

 

「帰ったらデュエルだ凌牙」

「はん、その時こそお前の最後だぜIV」

「言ったなこのサメ野郎」

「何弁でも言ってやるよこのファンサービス野郎」

 

並んで歩きながらも、互いにけなし合っている姿をみて、遊馬とⅢは顔を見合わせ、笑いあう。

 

「まったくもう・・・ほんと、兄様は素直じゃないなぁ」

「まあ、素直じゃないのはシャークもだけどな」

「確かに」

《…?シャークとⅣは大丈夫なのか?》

 

笑っている遊馬とⅢに、アストラルが聞く。

 

「ん?ああ、まあ大丈夫だろ」

《私にはとてもそうは見えないが…》

「大丈夫だよ。ね、遊馬」

「ああ。喧嘩するほど仲が良いって言うしな」

《仲が良い?ケンカとは仲が悪いからするのではないのか?》

 

アルトラルは、尚も互いに罵倒しあっている凌牙とIVを見て、腕を組んで遊馬に問いかけた。

 

「まあな。けど、仲が良いからこそするケンカもあるんだよ」

《ふむ、そうなのか。人間とは難しいのだな》

「ははは…」

 

遊馬とⅢは苦笑しなかがら、凌牙とⅣのあとを追いかけた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「ルゼ!」

 

薄暗い通路で呼び止められ、ルゼは足を止めた。

 

「これはこれはルシファー様…ご機嫌麗しゅう」

 

ぺこりと頭をさげるルゼ。

が、ルシファーはそれを無視して本題に入る。

 

「お前、いままで何処にいた?」

「…何処にいようとわたくしの自由ですわ」

「まさか、希望光神の所に行っていたのではあるまいな」

「……」

 

ルシファーの言い方は、まるで確信があるかのような言い方だった。

しかし、ルゼはそれにも表情を崩さず、ルシファーを見やる。

 

「もう一度申し上げますわ。わたくしが何処で何をしようと、あなたには預かり知らぬことです」

「そうはいかん。お前の身勝手な行動ひとつで、我らの身が危なくなるやもしれんのだぞ」

「あら、それは心外ですわ」

 

にこりとした表情は崩さずーーーしかし、目だけはルシファーをきつく睨みながら、ルゼは言った。

 

「自分の立場を勘違いするな。セブンシンスでないお前には

「ならば、そのセブンシンスでないわたくしの『身勝手な行動』で危険が及ぶほどに、セブンシンスの腕は衰えたのですか?」

 

ひたりとルシファーに視線をやりながら、冷たく言うルゼ。

 

「ルゼ、口が過ぎるぞ」

「あら、それは失礼」

 

ルゼは着物の袖を口元に当て、くすくす笑う。

 

「ベルブと同じく、たかが人間の小娘に負けそうになっていたお前に、大口を叩く資格はない」

「ーーー!」

 

ルシファーの言葉に、ルゼは先程までの笑みとは一変して表情を変えた。

 

「あれは仮にもセブンシンスであるベルブを負かした人間が、いったいどれほどの者なのかを見極めるために様子をみていただけ。決して本気ではありませんわ!!勘違いなさらないで!不愉快ですわ!」

「・・・ほう?」

 

心外だと怒りを顕わにするルゼに、ルシファーは自分よりも頭一つ分低いルゼを見下ろした。

 

「なんですの?」

「ならばルゼ。お前にこれをくれてやろう」

「なにを…」

 

ルシファーは何処からか取り出した物を、ルゼに向かって放った。

 

「…?カード?」

 

ルシファーが放ったのは、2枚のカード。 

 

「これがいったい…」

 

言いかけて、言葉を止める。

 

「これは…DNo.!?」

 

くるりとひっくり返し、表面をみたルゼは目を見開いた。

 

「あなた・・・これはいったい、どういうつもりですの」

「ふ・・・なに、簡単なことだ」

 

ルゼの言葉に、ルシファーはにやりと笑みを浮かべる。

 

「あのデュエルが本気ではないと、お前は言ったな」

「…えぇ。それがどうかしまして?」

 

カードを手にしたまま、ルゼは頷いた。

 

「ならば、本気のデュエルをし、希望光神の仲間を何人でも良い。葬ってこい」

「なっ・・・!?」

 

ルシファーの言葉に、ルゼは目を見開く。

 

「わたくしに…敵を葬れと?」

「そうだ」

 

冷たく、ルシファーは言葉を返した。 

 

「葬ることができれば良し。出来なければ…」

「……出来なければ?」

「わかっているだろう」

 

腕を組んで、ルシファーはルぜを見下ろした。

 

「ドメス世界にお前の居場所はない。ただそれだけだ」

 

冷たく放たれた、ルシファーの言葉。

ルぜは、ぞっと背筋が凍るのを感じた。

 

 

ルシファーは本気だ。

役にたたなければ、見切りをつける。

 

 

ーーーそれがたとえ、仲間(セブンシンス)の肉親だとしても。

 

 

「…いいですわ」

 

ならば、ルゼに残された道はたったひとつ。

 

「わたくしが、敵をひとりと言わず殲滅させてご覧にいれますわ」

 

生きるために。

肉親(ベルブ)のそばにいるためにも。

 

(わたくしに負けは許されない…!)

 

敵を…希望光神たちを殲滅すれば、ルシファーとて自分の力を認めざるを得ない。

 

「っ…」

 

ルゼは、ルシファーから渡されたカードをエクストラデッキにいれ、人間世界へと向かった。

 

 

「ずいぶんと底意地の悪いことをするんだね、ルシファー?」

「・・・レーヴィンか」

 

物陰から姿を現したのは、セブンシンスのひとりのレーヴィン。

ルシファーはレーヴィンの存在に気付いていたが、ルゼは全く気づかなかったらしい。

 

「底意地の悪いとはどういう意味だ?」

「そのままだよ。ベルブと違って、ルゼが好戦的な性格じゃ無いこと、きみだって分かってるだろ?」

 

レーヴィンのいうとおりだ。

弟のベルブのことで頭に血が上ったり、言われれば戦いはするが、ルゼは本来あまり好戦的な性格でないのだ。

 

「彼女のデュエルの詰めが甘いのも、そんな性格からじゃないか」

「ふっ…だからこそだ」

 

ルシファーは腕を組み、壁に寄りかかる。

 

「勝ったならいざ知らず、勝手な行動をしたあげく、たかが人間の小娘に負けてすごすごと帰ってきた奴に、ドメス世界にはじめから居場所はない」

「ねえ、ちょっと……きみ、まさかはじめからルゼを?」

 

レーヴィンの問いに、ルシファーは冷たい笑みで答えた。

 

「あーら、ら…」

 

あとでベルブが怒ってもしらないよ?っとばかりに、レーヴィンは肩をすくめた。

 

 

* * *

 

 

一方で、姫たちはというと・・・

 

「おお~…」

 

町にきた遊馬たち一行は、目の前の光景にぽかん、とした。

 

「可愛い~!」

「とてもファンシーな町ですわね」

「ほんと、かっわいー!」

 

小鳥と璃緒、姫は歓喜の声。

しかし、遊馬たち男性は、若干顔をひきつられている。

 

「・・・なんなんだ、ここは」

「・・・帰っていいか?」

 

カイトやミザエルにいたってはわなわなと震え。

ベクターは不機嫌さを隠そうともせず、ぶつくさとなにか呟きながら、眉間に皺を寄せている。

 

遊馬たちがきたのは、前述したとおり、人形で栄えている田舎町だ。

そしてこの町では来週から、その人形のお祭りを行うらしく、町のあちこちに祭りの飾りつけがされている。

 

 

では、なぜ男性メンバーが顔をひきつられているのかというと…

 

 

「それにしても、あちこちに人形が飾られているのだな」

 

 

ーーーこれだ。

 

 

人形のための祭り。

そのため、町のあちらこちらに、可愛らしい人形が飾られているのだ。

 

(まあ確かに、年頃といい年した大人にとって、これは入りづらいよなぁ)

 

カイトたちを見ながら、姫は内心で苦笑する。

 

「へえ、さすが人形の町だな!」

「おお、すげえな」

 

アリトとギラグだけは唯一、楽しそうに街を眺めている。

 

「おい遊馬…ほんとにこんなとこにLNo.があるのか?」

「ああ、間違いない」

 

凌牙の言葉に、遊馬は頷く。

 

「それにしても、『あの子』らしいよね」

「確かにな」

 

苦笑するⅢに、遊馬と葉月もこの町に眠るであろうLNo.を思い浮かべる。

 

《遊馬、この町にいるのはどんなLNo.なのだ?》

「確かハニエルっつー守護神官のLNo.なんだろ?」

 

どんな守護神官なんだ?とベクター。

 

「ああ、ハニエルは愛の守護神官」

「そしてハニエルのエースモンスター・エクシーズが…」

「『LNo.4 フェアリー・トゥルー・マペット』。可愛い女の子の姿をしてるモンスター・エクシーズだよ」

「女の子・・・そっか、それならこういう可愛い町にいるのも分かるかも」

「そうですわね」

 

うんうん、と頷く小鳥と璃緒。

 

「とりあえずどうするよ、ユーマ」

「うーん・・・『マペット』を探すにしても、なにか手がかりがないと…」

「ん~…なんかこう、それ特有の現象でもあればすぐ分かるんだけどなぁ…」

「おんや、お前さんたち」

 

そこへ、ひとりの老人が声をかけてきた。

 

「見たことのない顔じゃの」

「あ、えっと…」

「あの、私たちは世界各地の不思議な現象を調査しているんです。この町にも、そういった摩訶不思議な出来事があると聞いて来たのですが…」

 

姫がどうしようと返答に困って口ごもると、ドルベが助け舟をだした。

少々(いや、かなり?)話は違うが、『捜し物』があるのはあながち嘘ではない。

すると老人が、「ほう」と嬉しそうに顔を緩めた。

 

「お前さんたちが言っとるのは、『慈愛の人形』のことかのぉ」

「慈愛の人形?」

 

遊馬がオウム返しにたずねると、老人は頷いた。

 

「そうじゃ。昔、ひとりの幼い少女を救った、そしてこの祭りのきっかけとなった人形じゃ」

「その話を詳しく聞かせてもらえことは出来るか?」

「おお、構わんよ。そしたらワシの家にくるといい」

「え、で、でもこんな大人数…」

「ああ、大丈夫じゃ。構わんよ、みんなでおいで」

 

その老人の言葉に甘え、全員がその老人のあとについていく。

 

『ああ…』

 

その様子をじっと見ていた、ひとりの少女がいた。

 

『ハニエル様…ハニエル様の気配を感じますぅ…ハニエル様が近くにいらっしゃる…!』

 

透き通る翡翠の瞳を潤ませ、少女はひとりの人物をじっと見つめていた。

 

 

* * *

 

 

老人に案内された姫や遊馬たちは、この町に伝わる『慈愛の人形』の話を聞かされた。 

 

 

 

昔、ひとりの幼い少女がいた。

その少女には友達はおらず、毎日自分が作った人形を友達として、遊んでいたそうだ。

 

毎日、人形を綺麗にして、そしてそれぞれに名前をつけた。

けれど、少女は寂しかった。

 

 

「友達が欲しい」

 

 

そう思っていたある日、少女は金髪の小さな女の子を見かけた。

着ている服はボロボロで、顔や髪は泥か何かで汚れていた。

 

少女はその女の子を自宅に連れて帰った。

そして綺麗にしてあげ、パンとスープを与えたそうだ。

 

女の子はとても喜んだ。

それからというもの、女の子は少女と暮らすようになった。

女の子は少女にとって、はじめての『友達』になった。

そしてそれからというもの、少女の身の回りでは不思議なことが起き始めた。

 

「不思議なこと?」

「そうじゃ。ことあるごとに、少女に幸運が舞い降りるようになったのじゃ」

 

はじめはとても小さな幸運だった。

しかしそれは、だんだんと大きな幸運へとかわっていった。

 

やがてその幸運は、女の子の力によって引き起こされていたことが分かった。

女の子はただ、自分を助けてくれた少女への恩返しをしたかったのだという。

けれど少女は、そんなことはもうしなくてもいい、と断った。

友達ができた、それだけで自分はもう幸せだから、と。

 

「しかし、そうもいかなかったのじゃ」

 

老人は悲しそうに目を伏せていった。

 

「?」

「いったい、なにがあったんだ?」

「町人に、女の子の力のことが知られたのじゃ」

 

幸運をもたらす不思議な力を知った町人たちは、こぞって女の子を我が物にしようとした。

しかし、女の子と少女が頑として力を使うことを断ると、今度は町人たちは女の子を「人を誑かす魔女だ」と連行した。

 

「なるほどな・・・所謂、魔女狩りか」

 

カイトの呟きに、老人は「そうじゃ」と頷いた。

 

「そんな・・・」

「じゃが、その女の子を少女は庇った。そのせいで、少女までもが魔女だと言われてしまったのじゃ」

 

そして女の子は、少女を助けるために最後の幸運をもたらした。

少女は助かったが、女の子は忽然と姿を消し…

 

「その場に残ったのは、1体の人形じゃった」

「あ・・・!まさかそれが、『慈愛の人形』・・・?」

「そうじゃ。言い伝えでは、幸運をもたらし力を使い果たした女の子が、その人形に姿を変えたとされておる」

 

人を助けるために、力を使った人形。

 

「あの・・・その人形はいまどこに?」

「さての…いま生きてる人間の中では、行方をしっとる者はおらんだろうて」

「そうですか…」

「ただし、その少女と女の子を祀った社ならある」

 

この祭りでの主役じゃ、と老人は笑った。

 

「そういえばさっきも言ってたな…その『慈愛の人形』が、この祭りのきっかけだって」

「おお、そうじゃ。いつまでもふたりのように、誰かを助けたいと願う気持ち…それを忘れないための祭りじゃからの」

 

そういって、老人は朗らかに笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが社?」

「みたいだな」

 

Ⅲの言葉に、遊馬が頷く。

 

いま、一行がいるのは、LNo.があるであろう社の前。

老人に社までの地図を書いてもらい、社の前まで来ていた。

 

「『マペット』はここにいると思うんだけど・・・」

 

キョロキョロとあたりを見回す遊馬。

そんな遊馬に、アストラルが《少し聞きたいのだが・・・》と呼びかけた。

 

「? なんだよ、アストラル」

《何故この社にいるLNo.が、その『マペット』だと断定出来るのだ?》

「そうよ遊馬…違うLNo.かも知れないし、そもそも外れかもしれないのに…」

「いや、それはない」

 

アルトラルと小鳥の言葉を、遊馬はきっぱりと否定した。

 

「アストラル。No.の性質は覚えてるだろ?」

「…そうか!No.とNo.は引き合う!!」

《確かにNo.とNo.は引き合う。だがそれだけでは、No.があるというのが分かるだけで、どのカードがあるのかまではわからない》

「ああ。けど、俺の神の力を使えば、どこにどのLNo.があるのか分かる。まあ、とはいっても、まだ完全に力は戻っていないから、近くのもので、かつ大まかな場所までしかわからねぇけど」

 

それにさっきのじいちゃんの話。

あれは本当に『マペット』らしいと遊馬が言えば、Ⅲと葉月はうんうん、と頷いた。

 

「『マペット』には確かに不思議な力があったんだ。そしてハニエルと同じく、誰かのために自分を犠牲にするほどの博愛の心を持ってる」

「『マペット』はきっと、自分のせいで女の子が町人から追われないようにするために、力を使い果たしちゃったんだよ」

「ほんと、『マペット』らしいぜまったく」

 

やれやれと葉月は肩をすくめた。

 

「質問は以上か?ならさっそく『マペット』のカードを探しに…」

“希望光神さま”

 

鈴が鳴るような、可愛らしい声が鼓膜をくすぐる。

 

“お久しぶりです、希望光神さま”

「お前は…」

「マ、『マペット』!!」

「本当にいた!!」

 

姫たちの目の前に現れたのは、金髪のウェービーのロングヘアーに、真っ白なドレスを着た、ひとりの小さな女の子。

 

「この子が…」

「『LNo.4』?」

「ああ。『LNo.4』・・・博愛の称号の守護神官、ハニエルのNo.、『フェアリー・トゥルー・マペット』だ」

 

少女…『マペット』は、数メートル手前まで近づいてくると、ドレスの裾をもちあげ、恭しく頭をさげた。

 

“お会い出来て嬉しいですぅ、希望光神さま!それにメルデク様にゼルク様!!”

 

元気いっぱいに応える『マペット』。

そんな『マペット』に、遊馬たちもまた、笑顔で答える。

 

「ああ、久しぶりだな『マペット』」

「元気そうでなによりだよ」

「ほんとにな」

“はいですぅ!ハニエル様亡き後、私はこの世界をさまよい…この町でひとりの少女とお友達になったのですぅ…ハニエル様の力なくしてはコスモ世界に戻ることは出来なくて…だから、ここでハニエル様や希望光神さまたちをお待ちしようと思ったんですぅ”

「そうか…ずいぶんと待たせて悪かったな、『マペット』」

“いいえ、こうしてお会い出来ただけでも、本当に嬉しいのですぅ”

 

にこにこと笑う『マペット』に、遊馬たちも知らず笑みを浮かべる。

 

「よし、じゃあ・・・」

「せっかくの感動の再会を邪魔して申し訳ありませんわね?」

 

そこへ、突如割り込んで来た声。

その声に、全員がばっと身構えた。

 

「ご機嫌よう、みなさん」

「お前は…」

「ルゼ!?」

 

そこには、先日会ったときと様子が変わったルゼが立っていた。

 

「LNo.を、サタン様の…ドメス世界のために!そしてあなた達を、わたくしがいまこの場で消して差し上げますわ!」

 

ルゼはそういうと、どこからか黒い球体を取り出した。

 

「シンセス・フィールド、展開!!」

 

 

ーーーパキンッ

 

 

ルゼがその球体を割ると、中からとてつもない正気が溢れ出してきた。

 

「やばいっ」

 

遊馬がそう呟くと、皇の鍵が光を放つ。

そしてゼアルの姿に変わった遊馬は、手を前にかざした。

やがて巨大な光の球体が出来ると、それは小鳥たちを包み込んだ。

 

「遊馬!?」

「これはっ…」

「このフィールドは、普通の人間にはいるだけで想像を絶するダメージを与えるから…」

「ここから出ない方がいいのね?」

「ああ」

 

遊馬はうなずき、ルゼと向き合う。

 

「ルぜ、お前いったいなにを・・・!」

「ああ、希望光神さま・・・わたくしはまだあなたに用はありませんの」

 

そういい、ルゼはまっすぐに手をかざす。

 

「はじめに用があるのは、あなたですわ!!」

 

ルゼの手のひらから、黒い紐のようなものがのびる。

それは遊馬たちを素通りしーーー…

 

「え!?」

 

まっすぐに姫へと伸びていく。

 

「これは捕まったら最後、デュエルの勝敗がつくまで外すことは出来ませんわよ!」

「はぁぁぁぁぁっ!?」

 

なによそれ!?

つまりそれってデュエルアンカーじゃんかぁぁぁっ!!

 

「姫さんっ!」

「逃げろ姫!!」

「って言ってもっ・・・!」

 

周りはシンセス・フィールド。

逃げようにも、逃げられない。

「っ…」

 

覚悟を決めるしかないのかと構えた瞬間ーーー…

 

「ちっ」

 

どんっと背を押された。

 

「へっ!?」

 

なに!?と振り返るとーーー

 

「そんなにデュエルがしてぇなら、まずは俺が相手してやるよ」

 

そこには、デュエルディスクを構えたⅣが、不適な笑みを浮かべて立っていた。

 

「ちょ、Ⅳ、」

「女ばっかにデュエルさせるわけにいかねぇよ」

「ばっかって…」

 

この間のこと?と姫が聞くと、Ⅳは肩越しに無言で頷く。

 

「こいつはデュエルが終わるまでとれねぇんだろ?ならこいつとデュエルしたきゃ、嫌でも俺とデュエルするしかねえな?」

 

にやにやというⅣに、ルゼは顔を歪めた。

 

「ふん…まあいいですわ。まずはあなたから葬って差し上げます!」

「やれるもんならやってみろよ!」

 

互いに距離をとり、デュエルディスクを構えるⅣとルゼ。

IVが手で自分の左目をなぞるように動かすと、紫の紋章が現れる。

 

「行くぜ!」

「速攻で決めますわ!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

先攻→ルゼ

 

後攻→Ⅳ

 

 

「先攻はわたくしです!」

 

言いながら、ルぜは手札の1枚に手を伸ばす。

 

「わたくしのターン!わたくしはソーダピーチを召喚!!」

 

 

『ソーダピーチ』

地/4/植物/攻撃力1700

 

 

【ルゼ】手札5→4

 

「そして『ソーダピーチ』のモンスター効果発動!このカードが召喚に成功したとき、手札か墓地から『ソーダ』モンスターを1体特殊召喚できます。わたくしは手札の『ソーダインフィニティ』を特殊召喚っ!」

 

 

『ソーダインフィニティ』

光/4/天使/攻撃力1300

 

 

【ルゼ】手札4→3

 

「わたくしはレベル4の『ソーダピーチ』と『ソーダインフィニティ』でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!可笑しなお菓子な世界より現れ、いまその力を示しなさい!ランク4『ソーダプリンセス』!!」

 

 

『ソーダプリンセス』

地/4/魔法使い/攻撃力2300

 

 

「わたくしは『ソーダプリンセス』の効果を発動します!1ターンに一度、相手のデッキトップを5枚確認し、そのうちの1枚を手札に加えさせ、残りを墓地へ捨てさせます」

「んだと?」

 

Ⅳが眉を吊り上げる。

 

「さあ、5枚確認させて下さいな」

 

『ソーダプリンセス』から放たれたカラフルな球体が、Ⅳへと向かう。

それはデュエルディスクにセットさせたデッキに触れると弾け、Ⅳのデッキから5枚のカードをひらりっと抜き出した。

 

 

デッキトップ↓

『アタック・ギミック』

『ギミック・パペットースケアクロウ』

『リペア・パペット』

『ギミック・パペットーシザー・アーム』

『ギミック・パペットーマグネ・ドール』

 

 

「ちっ…おい、こん中から好きなカードを選んでいいんだな?」

「ええ、どうぞ」

 

その様子をみて、内心で姫は(あーあ…)と溜め息をついた。

 

(しらないとはいえ、『ギミパペ』相手に墓地肥やしさせちゃあかんでしょ…)

 

半端なデッキデス効果は、相手にアドバンテージを与えかねない。

やるならアンデッド系のように徹底的にやらなければ意味がない。

 

「なら俺は『マグネ・ドール』を手札に加えるぜ」

 

 

【Ⅳ】手札5→6

 

 

IVが加えたのは、『ギミック・パペット-マグネ・ドール』。

相手フィールドにモンスターがいて、自分フィールドのモンスターが『ギミック・パペット』のみの場合に、手札から特殊召喚出来る、レベル8のモンスター。

 

「どうぞ。続いて魔法カード、『ソーダの宝玉』を発動。手札のソーダモンスターを1枚墓地へ捨て、デッキから2枚ドローします」

 

【ルゼ】手札3→2→1→3

 

「わたくしが墓地に捨てたのは、『ソーダミント』。ミントは墓地に送られたターン、このカードを除外することで、デッキからソーダモンスターを1体、手札に加えることが出来ます」

 

【ルゼ】手札3→4

 

「わたくしはカードを2枚セットして、ターンエンド」

 

 

 

【ルゼ】

LP4000

手札×2

 

フィールド

『ソーダプリンセス』(攻撃力2300/ORU×1)

 

伏せ×2

 

 

ルぜの場には、エクシーズ・モンスターと伏せカードが2枚。

はじめのターンにしては、まずまずの滑り出しといったところだろうか。

 

そしてIVの手札には、特殊召喚出来る『マグネ・ドール』がある。

手札に他のレベル8の『ギミック・パペット』モンスターがいれば、IVお得意の高ランクエクシーズ召喚が出来るのだがーーー・・・

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ぴっとデッキからカードをドローすると、IVは手札の別のカードを、迷いなく手にした。

 

 

...




次回はⅣvsルゼになります。

実は私、ギミパペ組んだことありません!(ドーンッ
ので、ZEXALみなおしてⅣ様がどんな風にしてるのか勉強せねば…!!

よく見るのは、『マシンナーズ・フォートレス』や『ネジマキシキガミ』を入れるタイプだけど、やっぱⅣだからなー…
できるだけアニメで使ってるカードしか使わせたくないのが本音…てか、ファンサービスさせたい!!(笑)

なにかアドバイスありましたらお願いしますm(_ _)mペコリ


あ、それと。
前回のあとがきにいれ忘れたからここでいっちゃいます。

ルゼの使うソーダモンスターには、一部のモンスターに限って由来のようなものがあります。

ピーチ、ベリー、パイン、パッション、インフィニティ、クローバー。
これだけで気づいたあなたは素晴らしいです(笑)
効果も、それぞれ由来となったキャラをイメージしてます。
わかった方いるかな?

とりあえず今回はここまで。
次回をお楽しみに!
デュエルスタンバイ☆
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