真・恋姫✝無双 新たなる外史   作:雷の人

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第十三話:孫呉のちょっとした日常

登用試験より二日後、新人たちの所属が大まかに決定される。

とは言え、まだ経験も少ないという事で、秣陵勤務者の下に付けられる事が決定した。

 

「それではこれが皆さんの人事になります、上司に着く方々はそのまま、皆さんの師として様々な事を教える事となりますので各自、精進してください!」

『はい!』

 

一斉に返事をして、それぞれ人事通達に従い移動を始める。

 

「それで尚様」

 

劉曄、鈴李は尚の下に就く事になったため、その場に残っていた。

 

「はい、なんでしょう?」

「尚様の部下という事は私は軍師候補、という事でしょうか」

「ええ、その通りです」

「何故、私を?」

 

ふむ、と顎に手を当てながら。

 

「先ずは筆記試験、成績が文句無しの一位だったと言うこと、次に面接で、君は家柄に頼らず己が力で道を切り開きたいがためにここに来た、そう言ったね?」

「はい、皇室に連なるというだけで優遇されるのは不本意でしたので」

「その向上心は軍師に最も大切なものです、だから貴女を選びました」

「そう・・・・ですか、ありがとうございます」

 

微笑みながら、「どういたしまして」と返した尚は、早速仕事の話を始めるのだ。

 

:魯粛執務室

白夜と明命、暁は雷刃の下に配属となり、その執務室を訪れていた。

 

「おう、来たな」

 

雷刃の執務室は簡素なものであり、書類をまとめる棚と机と椅子、地図以外は何も置いていないのだ。

 

「まぁ楽にしてくれ・・・・お前ら三人を俺が受け持つ事になった、が・・・・俺は口で語るのぁ苦手だ、一週間程、俺の仕事を見ていろ、そこから学べ」

「はい!」

「はい!」

「了承しました」

「あとお前ら、場所教えるから後で鍛冶屋行ってこい」

『?』

 

その言葉に首を傾げる三人。

 

「お前らには先陣を駆ける武官として成長してもらいたい、そのためにも急造で使ってる武器じゃなくてしっかりした物作ってきな、料金は俺持ちだから好きなもん作って貰って来い」

「・・・・良いのですか?」

「構わん」

「どうして武器を?」

「武器は将にとって大事なものだ、生半可な武器使って途中でぶっ壊しました、とかじゃ洒落にならんからな」

「私、大斧なんですが」

「構わんと言ってる、どうしても気になるやつぁ戦働きでその分稼げ」

 

ゆっくりと、立ち上がり、歩いて外へと向かう。

 

「何時か俺の背ぇ護れる、そんぐらいまで成長してくれや、な?」

 

風格、と言えば良いのか、その背に、三人は不思議な信頼感を抱いていた。

 

:張昭執務室

 

「ふぉっふぉっふぉっ、早速じゃが手伝ってもらえんかのう」

 

張昭の執務室に入った時、美耶、帆、澄の三人は絶句した、高々と積まれる書簡の山、それを想像以上の速度で処理していく氷岐、70代とは思えない元気さ、三人に話しかけながらも、手は止まらない。

 

「美耶はこっちの屯田計画の方を頼むぞ」

「は、はい!」

「帆は治水案の方を」

「御意です!」

「澄は区画整理計画と商業案を」

「心得ました」

「分からぬ事があれば聞くが良い」

 

ニッコリと笑いながら、手は緩めずに書類整理を続けている氷岐、負けてはいられない、と発奮する三人だった。

 

:練兵場

 

「腕立て二百!始めぃ!!」

 

誾の号令で腕立てを始める新兵たち、の中に混じって乱、林士、青河の三人も腕立てをさせられていた。

 

「ねぇ、これってさぁ」

「間違い無く貧乏クジだよなぁ」

「私も、そう思いますー」

「そこ三人!!私語を慎め!!!腕立て百追加だぁ!!!」

『ひぃっ!!?』

 

隻眼鬼のあだ名で敵味方から恐れられる誾は、もう一つ、味方からの呼び名がある・・・・鬼教官、その厳しい鍛錬は、脱落者も多く出すものの、受けきる事が出来たならば、直ぐにでも什長ぐらいならば昇格出来ると言われている程なのだ。

 

今回この三人がここに配属になったのには理由がある、乱は力はあるが脚が妙に遅く、林士は速さは並以上だが膂力が並以下、青河は技量はあるが力も速さも今一歩足らず、中堅部隊を率いて貰うつもりであるこの三人には、均整の取れた能力を身につけてもらわなければならないからだ。

 

『うひぃいいいいっ!!?』

 

三人の叫び声は、まだまだ続く。

 

「ぬぉおおおおおおっ!?」

 

訂正、ずっと誾の副官待遇だった夕姫が混じって四人でした。

 

:一週間後:夜:魯粛屋敷

各指導担当者が集まって経過報告と軽く飲むという話だったのだが・・・・雷刃が机に突っ伏していた。

 

「どうしたのだ、雷刃よ」

「大斧を全部鉄製なんて聞いてねぇー、しかも長刀まで、矢も鉄製で作るなよぉ・・・・」

「・・・・こやつは何があったのだ?」

「明命、白夜、暁の三人に『好きに武器を作れ』って言ったら請求書が物凄い事になったらしく・・・・」

「ああ・・・・鉄製で大斧、成程な」

 

事情説明をする尚、それを聞いて憐れむような表情をする誾。

 

「ふぉっふぉっ、仕方無いのぅ・・・・諸経費で落としてやろうぞ」

「マジですか!?」

 

復活する雷刃。

 

「先ずは報告からじゃのぅ、まぁあの三人は使えるぞい・・・・優秀じゃ、美耶は外交向けじゃとは思うが農耕の方も十分じゃ、鄧芝も外交向けではあるが何をやらせても問題は無い、澄は商才に関してはワシ以上じゃのぅ、許可が下りるならば責任者にしても良いぐらいじゃ」

「鈴李さんはとにかく飲み込みが早いです、こちらが教える事を吸収し、自分で新たに組み直す力もあります、直ぐにでも使い物になるかと」

「こっちの三人はまずまずだな、三人とも根性はある、夕姫と一緒に育てれば互いに伸びるだろう」

「こっちの三人もまぁ悪かねぇな、明命はどっちかっつーと隠密向けかも知れんが将としての力量もまずまずだ、白夜は弓がとにかく凄いな、祭さんに並ぶかもしんねぇ、暁は一対多数だとかなり強いな、一騎でも強いかも知れんが今は将として多数戦闘を重視して教えている」

 

それぞれの新人たちに対する批評が終わり、そろそろ飲み始めようか、と思った頃。

 

「魯粛様、宜しいでしょうか?」

 

雷刃の雇っている従者が、部屋の外から声をかけてきた。

 

「おう、どうした」

「はい、孫策様と黄蓋様が訪ねておいでです」

「・・・・・・分かった、通せ」

 

従者が駆けて行く音が聞こえる。

 

「約束でもしていたのですか?」

「ふぉむ、珍しい事じゃのぅ」

「あの二人と飲むなど、最初で懲りたと思うておったが」

「違う」

『?』

 

「違う」との言葉に首をかしげる三人。

 

「あの二人は何故かここで宴会やると嗅ぎつけて来るんだ」

「・・・・先代の血のなせる技かのぉ」

「かも知れませんな」

 

心当たりがあるらしい誾と氷岐はうんうん、と頷いている。

 

「やっほー♪飲みにきたわよー♪」

「うむ、相伴に預かりに来たぞ」

 

はぁ、とため息をつく四人。

 

翌日、飲みすぎで二日酔いになった雷刃、尚、誾、氷岐、祭と一人だけ元気な雪蓮が、揃って冥琳に説教される姿が秣陵城で目撃されたとか。




初代宴会嗅覚の犠牲者は程普、張昭、朱治です。そろそろ韓当、朱治、祖茂のあたりも出したいなーとか思っております。
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