さて、青焔と紫牙、単の三人が劉備軍に参加して分かった事がある。
ここの連中は荒事には滅法強いが基本、それ以外はさっぱりだ、という事だ。
鈴々と単に関しては論外、二人は完全な武力バカだ。
一刀に関しても同じ、そこそこ教養はあるが異国出身の一刀に高望みは出来ない。
朱里、雛里は大丈夫と思ったが二人とも知識量に経験が追いついていない。
愛紗に関しては多少、他よりマシというぐらい。
盧植先生に学んだという桃香に期待を抱くもそれを無駄な期待だったと思い知るにさほど時間は掛からなかった。
結果、現在九名で運営する劉備軍の基幹的な部分は全て青焔と紫牙がまかなう事になっている。
現状をまとめると立ち位置としては放浪の義勇兵、兵糧に関しては元々評判が良かったせいか、賊を追い払った村からある程度の援助をもらいながら歩いている。
ただし問題なのはその兵士、どうやら今までその時その時に村人たちの力を借りていたらしく、劉備軍としての兵士はゼロなのだ、ではもらった兵糧はどうしてスッカラカンなのだ?と問いかけたなら、無言で鈴々へと視線を写した愛紗の表情から察した。
「さて、こっからどうすりゃ良いと思う?」
今宵は野宿、それでももしもの時のために見晴らしの良い場所へと陣取っている。
「んー・・・どこかの領主に援助を願うのが楽なのですが・・・」
と、呟いたのは紫牙だ。
「ですがそこそこ名の売れた義勇兵、ぐらいで援助を期待するのは・・・」
言い淀む朱里。
「んー・・・あ」
何かを思いついたのか、ポン、と手を叩く桃香。
「何か良い案でも?」
と愛紗が問いかければ。
「そう言えばね、幽州に盧植先生のところで一緒にお勉強した友達が赴任する、って言ってたのを思い出したんだ」
「幽州・・・と言えば公孫賛ですか?」
「そうなの!だからね、そこに行ってみないかなー・・・って」
顔を見合わせたのは紫牙と朱里だ。
「どう思います朱里」
「十分可能性はあるかと、人手不足だ、とも聞きましたし」
ぐるり、と二人が雛里へと視線を向ければ、おずおずと、頭を縦に振っている
「桃香様」
「幽州へと向かいましょう」
「へ?いいの?」
キョトンとした表情で言う桃香。
「ですが・・・このまま行って良いものか・・・」
と、声を上げたのは愛紗だ。
「かつての学友とは言え兵も持たぬ者が訪れたところで会っていただけるでしょうか?」
「んー・・・」
考え始める桃香、そこに青焔が口を挟む。
「公孫賛って白馬長史だろ?ならこのままでも良いさ」
「へ?」
「ありゃあ公明正大な奴だ、俺らが行けば素直に能力を評価した上でそれなりに待遇してくれるさ」
「白れ・・・公孫賛ちゃんの事、知ってるんです?」
「あのな、俺を誰だと思ってやがる」
ビッ、と己の胸元を親指で指せば。
「万能型」
「頼れるお兄さん、って感じかなぁ」
「なんでも出来る人かと」
「強い人なのだ」
「武力バカ」
以上は順に一刀、桃香、愛紗、鈴々、単の解答である。
『・・・・・・』
無言になる紫牙、朱里、雛里の三人。
「・・・・・俺は元洛陽官吏だ、ある程度名の売れた連中なら面識もあるさ」
おぉ、とどこか関心した表情になる5人。
コイツラ本当に大丈夫なんだろうか、そう感じつつ、一路幽州へと向かう一行だった。
青焔はなんでも出来る男なんです。さぁて次回は幽州へとまいります、その前もありますが・・・ね。