「俺と手を組まないか?(要約)」と新谷家に話を持ちかけて早一年。この一年は怒涛の年だったと思う。
先ず最初に行なわれたのが、総一郎氏率いる新谷家と帝国重工社長進藤厳馬との面談。
強面の進藤社長に合間見え、如何いう風に話を持ち込むのかと見ていると、いざ話そうとする総一郎氏の前で、円婦人が社長にジャーマンスープレックスを仕掛けたのだ。
唖然とする一同を前に、円婦人進藤社長をプロレス技でフルボッコ。所謂ひとつの「OHANASHI」をやってのけて見せたのだ。
コレにはさすがの帝国重工側も、態度の硬化もいた仕方なしかと考えたのだが。何故か帝国重工側からのクレームは無かった。
何故かその場に居た一同の瞳が恐怖に染まり、円婦人に恐れの視線を向けていたような機がしないでも無いが、きっと気のせいなのだろう。
で、そんなわけで円婦人のOHANASHIにより大体の問題が一気に解決した。
既に崩壊に向かっていた帝国重工は、外側こそ立派なモノだが中身は既にボロボロ。機の微に聡い人間は既に社を発ち、今でも残るのは古参の社員と、進藤社長に拾われたと恩義を感じている人間のみ。
ある意味で大掃除をする必要のない現状は、むしろ此方にとって利用しやすい上京で在ると言えるだろう。
予想以上に危機的状況に在る帝国重工。張子の虎の中身が既に骨と皮しかなかったようなレベルなのだが、寧ろ此方の方が都合がいい。
骨と皮しか残っていない現状は、逆に言えばそれでも残る骨と皮が在るという事だ。この骨をフレームに、皮を外部装甲にして、本来先ずは少し内臓を付け足す必要が在る。のだが、残念ながら今はそれほどの余裕すらない。
先ず進藤社長のコネを使い、政府からISコアを一つ融通してもらう。新たにISの研究を行ないたいから、と言うものだが、如何考えても今から開発したところで既存のIS系企業に追いつくことは不可能。そんなことは国も理解しているので、ただでさえ数の限られたISコアをこれ以上分散させていいものかと悩む。
そこに進藤社長は自分に任せれば大丈夫だと、完全にハリボテだというのに見事なカリスマ口八丁でISコアを一個入手して見せたのだ。
そうして其処からは俺の出番だ。
俺のホーム……俺と共にこの世界に訪れた母艦『アーク』に戻り、それまで自動で調べさせていたISに関する技術を開示。
現状第二世代に移行しつつあるIS技術。やろうと思えばいきなり第三世代とて不可能ではないのだが、正直ポッと出のISがいきなり第三世代では「どうぞ疑ってください」と手招きするようなもの。
そこで、俺が作るISは第一世代。
幸いと言うべきか、この母艦『アーク』には艦内整備用の工作ロボが大量に搭載されている。エクストラカーボンやスペースチタニウムを使用し、素材レベルでごり押ししつつ、同時に細かい技術レベルでもごり押し。
デザインは勿論祖たるバスターマシン、ガンバスターの物を拝借することに。
フルスキン……というか、全身を確りと覆うフルアーマー。額を覆うフェイスガードには、赤い単眼がキラリと光る。頭部のトサカはアンテナであると同時に、王冠を示すもの。
気付けば其処には、腕組み直立で佇む3メートル大のガンバスターが!!
……とはいえ、さすがに第一世代。戦闘能力こそ持たせているが、かなり加減をし、誘導兵器の類(バスターミサイルやホーミングレーザー)はオミット。それでもコレダーやビームは十分に一撃必殺の威力を持っているのだが。
こうして完成した機体を、プロトタイプ・ガンバスターと命名。
正式版は何時か第三世代技術が習熟したときにでも作り上げようと思う。
そして完成したIS「Pガンバスター」。完成させたは良いのだが、その完成させた機体をお披露目する為のパイロットがいなかった。
何せ今の今まで全くIS関連に手を伸ばしていなかったのだ。今さら急にパイロットを求めたところで、そう簡単にパイロットが、それも優秀なのが手に入るはずも無く。
――と、思っていたところに現れたのが、進藤縁。円婦人の妹にして、進藤社長の次女だ。
何でも彼女はIS操縦者を目指しIS学園に入学するか如何かで進藤社長と大喧嘩。家出の如くIS学園に入学してしまったのだとか。
ISパイロットの伝手を探す中で、ポロッとその事を零してしまった進藤社長。再び降臨した鬼神のフェニックススプラッシュで轟沈。
鬼神のOHANASHIにより、縁嬢を呼び出し、和解ついでにPガンバスターのテストパイロット契約を取り付けることに。
そうしてIS学園から帰宅した縁嬢。若干引きつった顔で円婦人を見ていたような気がしないでもないような事も無かった気がするのだが、まぁきっと気のせいだろう。
テストパイロットを手に入れれば、今度はPガンバスターのアピールを行なう必要が在る。
其処から一年、縁嬢にはPガンバスターに為れて貰うと同時に、様々なIS関連大会などに登場してもらい、帝国重工の名を広め、尚且つモンドグロッソへのチケットを手に入れてもらうことに成功した。
此処まではとんとん拍子。まさか俺も此処までうまく行くとは全く考えていなかった。あくまでPガンバスターで目立つのは広報の意味で、モンドグロッソへの切符を掴むとは。
これは縁嬢の近接格闘能力と、Pガンバスターの適性、相性が良かった、と言うことなのだろう。勿論、本人達の努力と根性を忘れる心算はないが。
因みにこの間俺はというと、Pガンバスターのセッティングを手伝ったり、無駄に保有する演算能力を駆使して株式を操作。配当で莫大な資産を築き、ソレを社に突っ込んだり、かとおもえば総一郎氏の愛娘である新谷光嬢の面倒を見て癒されたり。
「はちごーのおにーちゃん、公園いこっ!」
「うん、今行くよー」
そんなこんなで、ある程度の業績を残したところ、国からのIS開発に対する補助が出ることに。コレと株式市場で稼いだ資金を元手に、企業体力の回復を図る。
進藤社長の紹介で、帝国重工と同じく潰れ賭けで、尚且つ信用の置ける会社を幾つか紹介してもらう。中でも技術を持った中小はありがたく吸収させてもらうことに。
幾つかの吸収合併を繰り返し、なんとか平時レベルの企業体力を取り戻すことに成功。
尚、この吸収合併併合の際に、企業の名前を帝国重工から新帝国重工株式会社へと変更。社長も進藤社長から総一郎氏へ、つまり新谷社長へと引き継がれた。
こうして成立した新帝国重工なのだが、この時点になると若干のスパイがもぐりこみ始めた。まぁ此方のセキュリティーは電子装備が整えられれば整うほどに強固なものになっていく。つまり、大きくなれば大きくなるほどにセキュリティーは堅牢化していくのだ。まぁ、既に電脳上のセキュリティーは要塞化しているのだが。
さて、そうして成立した新帝国重工。主なスローガンと言うか目標は「宇宙開発」だ。
その手始めとして、旧帝国重工時代から開発していた(ということにしてある)宇宙ステーションを衛星軌道上に設置。
コレにはISにも用いられている慣性制御機能(実際は俺が供与した技術)を使い、化学反応ロケットを用いず、エネルギーさえあれば無限に動き続ける宇宙ステーションとして発表。
因みに建設はコア部分を地球上で行い、パーツは軌道上で建設した。
またコレに際して、大気圏外での作業用有人ロボットの存在を公開。
LEV(Laborious-Extra-OrbitalVehicle)、元ネタはとあるゲームに登場した味方の雑魚メカから。まぁ、単純に日本産なのに「マシーン兵器」って名称は如何よ、と思ったからなのだが。
で、最初のLEVがシャトル型のNE-01『厳馬』。愛称(ペットネーム)は社長。
汎用性が非常に高い、単独でも大気圏離脱・再突入の可能なシャトルだ。推進機関は光子力推進とレーザーカタパルト。主機は新型バッテリーを採用。単独での超長距離航行はさすがに不可能だが、レーザー推進加速装置により地球―月間なら一日で往復が可能、さらにレーザーからエネルギーを充填することも可能と、シャトルとしては十分な性能を持つ。
コレに加えNE-02『ボール』、愛称は動くカンオケ。元ネタは……言わずもがな。
二本のマニュピレーターによる精密動作と、球体モノコック構造による強靭性、何よりも一機辺り軽乗用車よりも安いというのがこの機体の最大の魅力だろう。
本当はEVO-3を此方の技術で再現できるようになるための技術的習熟の為として設計したのだが、コレの所為でEVO-3の出番がなくなってしまいそうだ。
まぁ、あちらは重力圏下でも活動可能だし、月に行くときには用意する心算なんだけど。
この二つのLEVと宇宙ステーションの発表により、新帝国重工の名は一躍世界に轟く事となり、そのまま調子に乗って海外進出も行なおうか! という話に成ったのだが。
「正直、大きくなりすぎると制御が利かなくなる。程々で行こう」
俺、新谷社長、進藤前社長の三人の意見により、海外進出は見送られることとなった。
何しろ亡国機業なんかの存在が恐い。別に連中の直接戦力と会い撃ったところで、問題なく撃破する自信はある。が、誰も好き好んで危機的状況に足を突っ込みたいとは思わない。
取り敢えずはこの宇宙開発事業を独自に進めつつ、同時に日本や資金提供を行なってくれる国家の募集を行なうことに。
この資金提供のメリットとして、資金提供を行なってくれた国家・企業に対して、宇宙開発の為の技術的支援や、シャトル売買の価格割引なんかを提示するのだ。
こうする事で、金づrゲフン、もとい、資金提供者を得ることで、安定した開発資金を得ると同時に、この資金提供のメリットとしてのLEV購入が確実と成るのだ。
コレこそ当にお金の錬金術! なんて馬鹿な事を呟きつつ。
ただ実際、宇宙開発事業を在る程度独占してしまうと、本当に金のなる木を得てしまったかのように資金が潤沢に手に入るようになってくる。
当然汚職なんかも発生するのだが、その時点で既にバカみたいに高度な情報管理システムが形成され、高度電脳知性体(スーパーAI)により管理されていた新帝国重工では、そういう不正が殆ど不可能。
もう少し電脳上の保安が安定すれば、今度こそ海外進出を考えるのもいい。
少しずつ侵攻し始めた女権主義。不当解雇の始まった男性を我々で雇いこみ、宇宙開拓に雇いこむ、何て計画も在るのだ。
と、そんな感じで、新帝国重工としての経営はソコソコいい感じに進んでいた。
また宇宙開発だよorz
・新谷家
家主新谷総一郎、配偶者に新谷円、長女に新谷光を持つ。
総一郎と円は高校→大学の同窓生で、駆け落ち同然に結婚。その後小さな企業を設立。IS関連事業にいち早く手を伸ばし、国内では少し名の知れた存在。
バスターマシン8号と接触後、帝国重工と併合、新帝国重工社長となる。
・進藤家
帝国重工株式会社の社長一族にして最大株主の家系。
家長に厳馬、長女に円(駆け落ち)と縁(IS学園に家出)を持つ。
IS事業に乗り遅れ危機的状況にあったところ、8号技術を得た新谷家により再興。新谷家に後を任せ、前線から引退する。
・LEV Laborious-Extra-OrbitalVehicle
機動外作業機械のこと。名称の元ネタはZ.O.Eシリーズ。但し名前だけ。
・NE-01 厳馬
大規模バッテリーとAICにより単独での大気圏離脱・再突入を可能とする汎用シャトル。ペットネームは旧帝国重工社長、進藤厳馬。開発コードの『社長』から。
単独での大気圏内外に対する高い航行能力に加え、外部からのレーザー推進により、燃料を必要とせずに大気圏内外での加速が可能となる。
・NE-02 ボール
元ネタは機動戦士ガンダム、作業用モビルポッド「ボール」から。
現地技術でEVO-03を再現する為に必要な技術的習熟の為に設計された機体。
EVO03に比べとてもシンプルな構造の為、コスト・生産性が洒落にならないレベル。
現在各国の宇宙ステーションに多数配備されている。
・NE-03 ダンボール
EVO-3の現地コピー機。EVO-3の操縦性、量産性などを受け継いだ見事なコピー品なのだが、ボールに比べればコストが高いのが難点(とはいえ中古のバイクレベル)。
現在は主に月面開発の為に用いられているが、各国の宇宙ステーションにも少数配備されている。
・8号技術
バスターマシン8号によって齎されたトップ世界の超技術。