遊戯王TAKEⅡ   作:レイレナード

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後編です


Episode05 妖艶なる森 後編

 「私のターン、ドローですわ! ……ふふ」

 ドローしたカードを確認し、思わず笑みが漏れる。これでさらにあの糞野郎を地獄に落とすことができるというのだがから、抑えることなどできるはずもないし、抑える理由もどこにもない。さあ。

 「行きますわよ! 私は手札から魔法カード、孵化を発動! トリオンを生け贄とし、デッキよりアルティメット・インセクトLV5を特殊召喚します!」

 

孵化

魔法

自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動する。

リリースしたモンスターよりレベルが1つ高い昆虫族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

アルティメット・インセクト LV5

星5 風属性 昆虫族

攻撃力2300 守備力900

「アルティメット・インセクト LV3」の効果で特殊召喚した場合、このカードがフィールド上に存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。

自分のターンのスタンバイフェイズ時、表側表示のこのカードを墓地に送る事で「アルティメット・インセクト LV7」1体を手札またはデッキから特殊召喚する(召喚・特殊召喚・リバースしたターンを除く)。

 

 孵化によりトリオンの背中が割れ、そこから新たなモンスターがぬるりと出てくる。それはすぐにその身を固い甲羅で覆い、鋭い鎌のような爪を形成した。

 「アルティメット・インセクト……、また厄介なのが……っ!」

 どうやらこのクズはこの子の力を知っているようだ。まあレベルアップモンスターは生粋のレアカードで種類も少なく、同時にそれなりに知名度もある。知らない人の方が少ないだろう。なんにせよ、知っているのならば話は早い。次の地獄を見せるとしよう。

 「ふふ。まだまだ、こんなものじゃありませんわ! 手札よりゴブリンドバーグを召喚! その効果でチューナーモンスター、ナチュル・チェリーを手札より特殊召喚ですわ!」

 

ゴブリンドバーグ

星4 地属性 戦士族

攻撃力1400 守備力0

このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。

この効果を使用した場合、このカードは守備表示になる。

 

ナチュル・チェリー

星1 地属性 植物族 チューナー

攻撃力200 守備力200

このカードが相手によってフィールド上から墓地へ送られた場合、自分のデッキから「ナチュル・チェリー」を2体まで裏側守備表示で特殊召喚する事ができる。

 

 ラジコンのような飛行機に乗ったゴブリンが飛び立ち、吊るしていたコンテナをフィールドに置く。するとコンテナが自動で開き、中からサクランボのような可愛らしいモンスターが飛び出してきた。

 「チューナー……、シンクロ召喚か」

 流石にシンクロ召喚を狙っていることは分かるようだ。それくらいは当然か。一応はずっとお兄様の友としていたのだから。まあどうやらついに化けの皮が出たようだけど……っ!

 そんな毒虫はどこまでも冷静な顔をしてこちらの一挙一動を見逃すまいとしているようだが、はたして出てきた子を見てまだそんな顔でいられるか、楽しみで仕方がない。

 「レベル4のゴブリンドバーグに、レベル1のナチュル・チェリーをチューニング!」

 2体の僕に指示を出すと、チェリーが1つの輪となり、ゴブリンドバーグは4つの星となる。

 「平和なる森より姿を現し、その強靭なる牙ですべての魔を狩りなさい! シンクロ召喚! 我が忠実なる獣、ナチュル・ビースト!」

 輪を中心に4つの星が光の柱を生み出し、そこからまるで大木のような手足をした緑の虎が姿を現した。

 

ナチュル・ビースト

星5 地属性 獣族 シンクロ

攻撃力2200 守備力1700

地属性チューナー+チューナー以外の地属性モンスター1体以上

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、デッキの上からカードを2枚墓地へ送る事で、魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

 「ふふ、ナチュル・ビーストはデッキの上からカードを2枚墓地に送ることで、魔法カードの発動を無効にできますのよ」

 「っ!!」

 私を護るように立った忠実な獣を誇るようにその効果を説明してやる。するとこれまで冷静だった糞虫の表情がついに変わった。

 「さあ、平伏しなさい! ナチュル・ビーストで攻撃! ナチュラルクロー!」

 指示に従いナチュル・ビーストは飛び上がると伏せモンスターを押しつぶす。破壊される前に一瞬見えたのは黄金でできた鍵のようなモンスター、ヘカテリス。

 (あれはヴァルハラをサーチするモンスター……。つまりヒュペリオンを出した後にその効果を使い、ヒュペリオンの効果で奈落を破壊するつもりだったということですわね)

 まったく、甘すぎて逆に情けなくなる。この私がヒュペリオンの召喚を許すとでも思っていたのか。こんなのが今までお兄様の親友をやっていたのだと思うと……、本っっっっっっっ当に許せない!!

 「続いて、アルティメット・インセクトでダイレクトアタックですわ!!」

 先ほどの攻撃で何もなかった以上、もはや恐れるものは何もない。しかし――

 「リバースカード発動!」

 そこで寄生虫は動いた。

 「!? このタイミングで!?」

 さっきの攻撃で発動しなかった理由はいったいなんだったのか。それは起き上がってきたカードを見てすぐに理解することになった。

 「罠カード、奇跡の光臨! 除外された天使族モンスターを特殊召喚する!」

 「な! ということは……」

 除外された天使族モンスターなど、1枚しか存在しない。その答えに私がたどりついたのが分かったのか、害虫はフッと笑って見せる。

 「そう。奇跡によって導かれ、異次元の果てより光臨せよ! マスター・ヒュペリオン!」

 「……っ!」

 

奇跡の光臨

永続罠

ゲームから除外されている自分の天使族モンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 

 奈落に落ちははずの黄金の鎧を纏う炎の翼をはやした大天使が舞い戻り、細菌を護るように立ちはだかった。

 (してやられましたわ……っ!)

 攻撃力は向こうが上。現状、こちらに対処する手段はなく、効果の発動条件すら整ってしまった。これではただ破壊されるのを待つだけ。ヒュペリオンの除外から、防御態勢に入ったことで対処する手段がないと錯覚してしまったのが原因だ。そう思わなければもう少し慎重に動けた。そう、完全に毒物質の手のひらの上で踊らされたのだ。

 「…こ……の……っ」

 「なあ、君さっきから俺の事、心の中ですごい呼び方してるような気がするんだが……」

 「黙りなさい!! このっ、マスタードガスが!!」

 「化学兵器!?」

 「バトルを中断して、ターンエンドですわ!」

 

 

 「なるほど。さすが遊司だね」

 状況を見守っていた秀がポツリと呟く。それに俺は同意を示した。

 「奇跡の光臨か。確かにあれがあるなら躊躇いなくヒュペリオンを出せる」

 「しかもちゃんと効果を発動するためのコストを用意した」

 「相手を油断させる意図もあったんだろうな。アドの事だけ考えるならヘカテリスはサーチ効果使った方がいいし、あえて守備表示で出したんだ」

 ここまで、あの一瞬で考えたってのかよ。

 「ったく。よくやるよ、ほんと」

 期待以上の結果に、戦慄を通り越して笑えてくる。

 

 

 「お、俺のターンだな。ドロー」

 さっきから考えていることのほとんどが駄々漏れな目の前の残念金髪縦ロール美少女のおかげでようやく状況が読めてきたのはいいが、なんか俺の評価がすごいことになっていた。化学兵器ってなんだよ化学兵器って。

 (まあ、今はデュエルの方に集中するか)

 展開は概ね思惑通りだ。相手の手札を使わせたうえで、キーとなるだろう強力なモンスターも出てきた。これを破壊すれば一気に優位に立てる。しかし――

 (厄介な2体だが、どうする……)

 出てきたのはどちらも強力なモンスター、というよりも残したくないモンスターだ。魔法を封じるナチュル・ビーストに次のターンに厄介なことになるアルティメット・インセクトLV5。相手にはまだ伏せカードがある以上、このターンで確実に両方倒せるとは限らない。となればヒュペリオンでの破壊は慎重に選ぶ必要がある。

 (次のターンのことを考えると優先すべきはアルティメット・インセクトだ。だが、長期的に考えるなら、魔法を多用する俺のデッキとしてはナチュル・ビーストは確実に倒しておきたい。でも今の手札だとそもそも次のターンをしのいだ後の確実性がない。この状況で俺がするべき最良の選択は……)

 長々と見えて思考は一瞬。出すべき最良の選択を導き出す。

 「……マスター・ヒュペリオンの効果発動! 墓地の天使族・光属性モンスターであるヘカテリスを除外し、相手フィールドのカードを1枚破壊! 俺が破壊するのは……」

 マスター・ヒュペリオンが赤く発光しだす中、俺は対象を指した。

 「ナチュル・ビーストだ! 制裁のエクスキューション!」

 「っ、く!」

 太陽の化身たるマスター・ヒュペリオンの繰り出す裁きの光がナチュル・ビーストを吹き飛ばす。問題なく倒せた以上、迅速に次の行動に移った。

 「バトルだ! マスター・ヒュペリオンでアルティメット・インセクトLV5に攻撃! 執行のサンライトレイ!」

 ヒュペリオンが手をかざすと天空が光り、幾本もの光の柱がアルティメット・インセクトに降り注ぐ。耐えきれず、アルティメット・インセクトが苦悶の声を上げるが、そこで瑠奈が動いた。

 「甘いですわ! 罠カード、攻撃の無敵化発動! 1つ目の効果を選択し、アルティメット・インセクトLV5はこのバトルフェイズ中、バトルで破壊されません!」

 

攻撃の無敵化

バトルフェイズ時にのみ、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターはこのバトルフェイズ中、戦闘及びカードの効果では破壊されない。

●このバトルフェイズ中、自分への戦闘ダメージは0になる。

 

 アルティメット・インセクトを護るように展開された光の障壁が降り注ぐ執行の光を弾き飛ばした。

 

2700-2300=400

瑠奈LP4000-400=3600

 

 その光景に俺は歯噛みする。

 「っ! 護ったってことは、ちとやばいかもな。……カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 自分の判断が間違いとは思わない。しかしダメージを受けてまで護ったということは次のターン、ほぼ確実にあれが来る。まだ防御手段はあるとはいえ、不味い状況であるのは確かだった。

 彼女が次のターンにどこまでやるか。それにかかっている。

 

 

 「う~ん。今のは遊司のミスか?」

 遊司さんの今のターンについて真さんと秀さんが話し合っていた。どうやら真さんから見ると今のターンは間違いだと感じてるみたい。確かにあの場に立っているのが私だったらアルティメット・インセクトを破壊していたと思うし、そう考えてしまいそうになる。

 「どうだろうね。長期的に見て、魔法を封じるナチュル・ビーストを優先するべきだと判断したんじゃないかな」

 それに対し、秀さんも自分の意見を言う。秀さんの言う通り、どちらも厄介ではあるが、魔法カードを封じられた状態で逆転されてしまった場合、再び逆転するのはほぼ不可能に近い。それを危惧したと考えれば合点がいく。

 「だがこれで次のターンの破壊はまず確定と言えるしなあ」

 結局のところ、あの状況においてはきっとどちらの意見も正しいのだろう。たぶん使っているデッキの差で価値観も変わって、それで意見が違うのかもしれない。真さんのデッキはモンスター効果で展開してエクシーズできるけど、秀さんは魔法カードを使うこともよくあるし。

 でも、もし本当にあの場に立っていたとして、その場の空気、流れを感じていたとしたら。もしかしたら、遊司さんの正解は確かにこれだったのかもしれない。それはつまり、どっちを破壊しようが、このターンで逆転はされるということ。

 「……ねえ。私にもわかるように説明してほしいんだけど……」

 どうやら話について行けてないらしい龍可さんが真さんたちに不満を口にする。龍可さんってデュエルモンスターズは好きでも自分や友達以外の人の使うカードにあまり関心ないんですよね。アルティメット・インセクトについて知らないというのもそのせいだろう。

 「大丈夫ですよ、龍可さん」

 「光ちゃん?」

 でも、その疑問もすぐに解消されるだろう。だから私は龍可さんにそう言った。

 「すぐ、分かると思いますから」

 遊司さんが想定した逆転劇。このターンのそれがどれほどのものかで、先の行動が正しいかそうでないかが分かる。私は生唾を飲んで、二人のデュエルの続きを見守った。

 「私のターン! このスタンバイフェイズ、アルティメット・インセクトLV5の効果発動!」

 「く、やはり来たか!」

 遊司さんの言う通り、アルティメット・インセクトを護った理由が明らかになる。アルティメット・インセクトLV5が光を放ちその姿を徐々に変化させ、大きくなっていく。

 「さあ、今こそその雄々しき翅を広げ、フィールドを制圧しなさい! 最終進化! アルティメット・インセクトLV7!」

 変化が終わると光も収まり、その姿がはっきりする。それは成虫と化したアルティメット・インセクトの最終形態。巨大な翅を広げ宙を舞い、毒の鱗粉をまき散らす究極の蟲の完成形だ。

 

アルティメット・インセクト LV7

星7 風属性 昆虫族

攻撃力2600 守備力1200

「アルティメット・インセクト LV5」の効果で特殊召喚した場合、このカードが自分フィールド上に存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力・守備力は700ポイントダウンする。

 

 「っ、マスター・ヒュペリオン……っ!」

 まき散らされた鱗粉はマスター・ヒュペリオンの黄金の鎧すらも侵食する。その圧倒的な酸の威力の前には、太陽を司る代行者たちの主でさえ片膝をついた。

 

マスター・ヒュペリオン

攻撃力2700→2000

守備力2100→1400

 

 しかしまだ終わらない。瑠奈さんはドローしたカードを手札に加え、残るもう1枚を手に取った。

 「さらにティオの蠱惑魔を召喚! その効果により、墓地のトリオンの蠱惑魔を特殊召喚します!」

 

ティオの蟲惑魔

星4 地属性 植物族

攻撃力1700 守備力1100

このカードは「ホール」または「落とし穴」と名のついた通常罠の効果を受けない。

このカードが召喚に成功した時、自分の墓地から「蟲惑魔」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。

また、このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地の「ホール」または「落とし穴」と名のついた通常罠カード1枚を選択して自分フィールド上にセットできる。

この効果でセットされたカードは、次の自分のターンのエンドフェイズ時に除外される。

「ティオの蟲惑魔」のこの効果は1ターンに1度しか発動できない。

 

 食虫植物、いや食獣植物たる女の子が瑠奈さんのフィールドに現れ、さらに墓地からトリオンまで特殊召喚される。そしてこの時トリオンが手を振り上げると、それに合わせるように地面から衝撃が起こり、遊司さんの伏せカードの1枚を破壊した。

 「!? ドレインシールドが!?」

 「トリオンは特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カードを1枚破壊する事ができますの」

 私は瑠奈さんの冷静さに息を飲む。この時、奇跡の光臨を破壊していれば、2体の攻撃で遊司さんのライフをゼロにできた。しかしそんな目先の欲にとらわれず、瑠奈さんは冷静にフィールドを見極め、伏せカードを破壊したのだ。

 さっきとは全然違う……!

 「そして、レベル4のティオとトリオンでオーバーレイ!」

 「エクシーズまで!」

 フィールドに同レベルモンスターが2体ならんでいたことから想定はしていたが、まさかエクシーズまで手に入れていたなんて!

 「王の名のもとに、わずかな可能性をも無に帰せ! エクシーズ召喚! 我が忠実なる家臣、妖精王 アルヴェルド!」

 

妖精王 アルヴェルド

ランク4 地属性 植物族

攻撃力2300 守備力1400

地属性レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。

地属性以外のフィールド上の全てのモンスターの攻撃力・守備力は500ポイントダウンする。

 

 フィールドに現れたのは白銀の衣を身に纏う妖精たちの王。防御カードも破壊された今、状況は完全に逆転された。

 「アルヴェルドにはオーバーレイユニットを1つ使うことでフィールドの地属性以外のモンスターの攻守を500下げる効果があるのですが、アルティメット・インセクトまで効果を受けてしまいますし、ここは使いませんわ」

 「! そりゃ残念」

 その効果を前に遊司さんが一瞬反応したのが分かった。そう、これでどちらにせよ逆転を許していたのが確定したのだ。

 「バトルですわ! アルヴェルドでマスター・ヒュペリオンに攻撃! スピリットルーラー!」

 「ぐあ!」

 アルヴェルドが手をかざすとそこから突風が吹き荒れ、弱ったマスター・ヒュペリオンを傷つけていき破壊した。

 

2300-2000=300

遊司LP4000-300=3700

 

 これで遊司さんのフィールドにモンスターはいない。

 「今度こそ食らいなさい! アルティメット・インセクトLV7でダイレクトアタック!  熔解のアルティメットアシッド!」

 「うお! っ、……!」

 「遊司さん!」

 続いてアルティメット・インセクトの放った酸の毒液が遊司さんを襲う。寸前で遊司さんは横に跳んでかわすが、当たった場所は一瞬で溶けていきその威力のすさまじさを物語っている。ソリッドビジョンによる演出だと分かってはいても、心臓に悪い。

 

遊司LP3700-2600=1100

 

 「ふふふ、追い詰めましたわよ! カードを1枚セットし、ターンエンドですわ!」

 最後の手札を伏せ、瑠奈さんはターンを終了する。

 「わお、不味いな」

 「状況は最悪だね」

 真さんと秀さんは状況をそう簡潔に語る。フィールドには攻撃力を700も下げるアルティメット・インセクトLV7と攻撃力2300を誇るアルヴェルド。伏せカードもある。遊司さんにはまだヴァルハラが残っているとはいえ、その手札は1枚。伏せカードも1枚あるけど、発動するそぶりはない。条件が整っていないのだ。

 まさに最悪の状況だった。

 「瑠奈ってこんなに強かったんだ」

 どうやら龍可さんも瑠奈さんの実力は把握していなかったようだ。遊司さん相手にこれだけやれるのだから相当強いと言えるだろう。

 「……でも、遊司さんなら」

 その言葉は無意識に発せられていた。応援したいとか、そう言う気持ちから出たのではなく、ただ当たり前のように。

 「こんな状況でも、なんとかしてしまいそうですよね」

 いつからそんな風に思えるようになったのか。まだ数えるくらいしか遊司さんのデュエルは見ていないというのに。でもいつの間にか、それだけの信頼を私は遊司さんに抱いていた。

 「……そうかもな」

 「うん。遊司ならきっと」

 「そうだね。だからこその遊司さ」

 そしてそれは、みんなも同じようだ。そして遊司さんにはそれだけの期待に応えるだけの力がある。

 次のターンの逆転劇に備え、私たちはそれぞれの気持ちを胸にデュエルに目を向ける。それを予感させるように、遊司さんは笑っていた(・・・・・)

 

 

 (……なんですの)

 私には理解できなかった。

 (この圧倒的な状況で、どうして笑っていられますの?)

 フィールドは完全に逆転した。伏せカードも強力だし、もはやこの状況からの逆転などあり得ない。それくらいは目の前のサリンにもわかっているはずだ。だというのに、どうしてこんなにも楽しそうに笑っていられる?

 「……っ、サレンダーするなら今のうちですわよ!」

 背筋に冷たいものを感じ、私は平静を取り戻そうと挑発する。しかしVXガスはそんな無理やり出した言葉などものともしない。

 「サレンダー? そんなことする分けないだろ!」

 そんな明るく挑戦的な言葉に、私はついつい焦ってしまいそうになる。それを隠すように言葉を発し続けた。

 「まだ勝てる気でいますの? もう勝ち目などありませんわよ」

 「かもな。でも、それがサレンダーする理由になるか?」

 「!?」

 まったく想定していなかった言葉。それに思わず固まってしまう。

 「勝ち負けなんて関係ない! 今俺はこの勝負が楽しくて楽しくて仕方がないんだよ! こんな楽しいデュエル止められるか!」

 負けることが、やめる理由にならない。そんなことはありえない。そんな当たり前のように返された言葉に反応すらできなかった。

 「それに、まだ可能性はあるさ」

 「! なんですって?」

 しかし、まだ勝てるなどと言われては反応せざるを得ない。そしてそれは少しずつ、いやもはや初めからそうであったかのように。

 「だって、デュエルは最後まで何が起こるかわかんねえだろ! 行くぜ!」

 「っ!」

 デュエルの流れが変わっている事を感じざるを得なかった。

 「俺のターン、ドロー!!」

 「………」

 「………」

 ドローした体制のまま、一瞬動きを止める。それは恐怖からのものではないのは明白だ。危険物質Yはゆっくりと手札を確認し、デュエルディスクに手をかざした。

 「ヴァルハラの効果を発動! 手札よりヘカテリスを特殊召喚する!」

 ヴァルハラの光に導かれて現れたのは4ターン目にヒュペリオンのコストとなっていたモンスター。決して強力なものではなく。所詮はヴァルハラをサーチするためのカードだ。

 (ヘカテリス? それでどうするつもりですの? ……いや、手札にはもう1枚ある。あれがモンスターだとして、召喚してエクシーズするのか、それとも別の何かの布石か。いずれにしても、これを潰せば終わりですわ!)

 決断を下し、ゲームエンドへ導く最後の罠を発動する。

 「罠カード、時空の落とし穴を発動しますわ! ヘカテリスはデッキへ戻る! これで決まりですわ!」

 

時空の落とし穴

相手が手札・エクストラデッキからモンスターを特殊召喚した時に発動できる。

手札・エクストラデッキから特殊召喚されたそのモンスターを持ち主のデッキに戻す。

その後、自分は戻したモンスターの数×1000LPを失う

 

 突如空間が歪み、ヘカテリスがそこへ吸い込まれそうになる。しかし――

 「まだだ! リバースカード発動! ディメンション・ゲード! ヘカテリスを除外する!」

 

ディメンション・ゲート

永続罠

このカードの発動時に、自分フィールド上のモンスター1体を選択し、表側表示でゲームから除外する。

また、相手のモンスター直接攻撃宣言時、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送ることができる。

このカードが墓地へ送られた場合、このカードの効果で除外したモンスターを特殊召喚できる。

 

 それよりも先にディメンション・ゲートによって異次元へ格納されてしまった。結果は罠カードの無駄撃ち。

 「っ、でもこれであなたは何もできない!」

 もはや見せていないのは手札1枚のみ。それだけで何かできるはずもない。

 「それはどうかな。まだ俺には希望がある! 手札から魔法カード、マジック・プランター発動!」

 「な!?」

 最後の手札が、マジック・プランター!? つまりこれは、ヘカテリスをわざと特殊召喚することで、エクシーズやシンクロ、アドバンス召喚などのさらなる召喚やそのほか何らかの動きをするためのカードだと錯覚させられ、最後のカードを切らされたということ。それにもしこちらが罠カードを発動していなかったとしても、ディメンション・ゲートは発動されていた。

 (また、してやられた……っ!!)

 悔しさを通り越して感嘆すらしてしまう。この暗黒物質はいったいどこまで計算して動いているのか。

 「ディメンション・ゲートを墓地へ送る事で発動。デッキから、カードを2枚ドローする!」

 引いたカードを確認し、さらに動く。

 「この瞬間、ディメンション・ゲートの効果により、ヘカテリスが帰還する。そして、 発動せよ! 地獄の暴走召喚!!」

 「なん、ですって……!?」

 「うそお!?」

 「マジすか……」

 観客席からも驚嘆の声が聞こえる。当然だろう。ディメンション・ゲートからマジック・プランターでのドロー。そして帰還したモンスターを対象に地獄の暴走召喚。一連の動きに無駄がなく、そしてそれはたった今ドローしたカードによってもたらされた事実。まるでそうなるべくして必要なカードを引いたかのような流れ。これで驚くなと言うほうが無理だ。

 「地獄の暴走召喚の効果により、瑠奈もモンスターを特殊召喚できるが……」

 「くっ、私のデッキにアルティメット・インセクトLV7はこの1体だけですわ」

 念のために、というように確認してくる声に歯噛みするしかない。もともとレアカードなこともあって1枚しか持っていないし、もしあったとしてもこれを中心に構築しているわけでもないから複数枚入れても事故要因にしかならない。

 そしてアルヴェルドはエクシーズモンスター。墓地に同名カードがない以上、特殊召喚は不能。

 「なら特殊召喚されるのは俺のモンスターだけだな。デッキに残る最後のヘカテリスを特殊召喚!」

 3体目のヘカテリスは除外されているため、出てくるのはデッキに残っていた1体だけのようだ。しかしこれでフィールドにはレベル4のモンスターが2体揃ったということでもある。

 「行くぞ! レベル4のヘカテリス2体で、オーバーレイ!」

 予想通り2体のモンスターは光球となってフィールドに現れた渦に飛び込んでいく。もし時空の落とし穴を温存していればここで使うことができたと思うと、何とも歯がゆい。

 「重なれ星々よ! その光を天空に響かせろ! エクシーズ召喚! 踊れ、フェアリー・チア・ガール!」

 

フェアリー・チア・ガール

ランク4 光属性 天使族 エクシーズ

攻撃力1900 守備力1500

天使族レベル4モンスター×2

このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。

デッキからカードを1枚ドローする。

「フェアリー・チア・ガール」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

フェアリー・チア・ガール

攻撃力1900→1200

守備力1500→800

 

フィールドに現れたのは両手にポンポンを持った青い髪の可愛らしい妖精。素材指定が厳しい割に思ったよりも攻撃力も低い。しかもアルティメット・インセクトの毒鱗粉によりさらに攻撃力が下がっていく。

 「フェアリー・チア・ガール? いったいどんな効果が……」

 こういったモンスターは総じて強力な効果を持っているものだ。いったいどんな方法で来るというのか警戒を強める。しかしその効果はこちらの予想の斜め上を行った。

 「フェアリー・チア・ガールの効果は、オーバーレイユニットを1つ使うことでデッキからカードを1枚ドローできる」

 「な!?」

 「ちょ、それって!」

 確かに強力な効果だ。エクシーズ召喚によって消費したアドをすぐに回復できるのだから。だが、しかし。

 「まだ逆転できる手札じゃない。この効果が、俺の最後の希望だ」

 「っ、そう何度も奇跡は起きませんわ!」

 強気な言葉に惑わされはしない。そう、結局は何もできてないのだ。ここまで動けていること自体がすでに奇跡。この上さらに奇跡を呼び込もうというのか。そんなことあり得るはずがない。

 「かもな! でも、それがどうした!」

 しかし先と同じ言葉でそんな希望すら打ち砕かれる。そこには絶対に引けるという確信しかない。それはもはや奇跡などではない。

 「行くぞ! これが、最後のドローだ! フェアリー・チア・ガールの効果発動! オーバーレイユニットを1つ使い、ドロー!!」

 もはや、必然だ。

 「………」

 「………」

 しばしの沈黙。ゆっくりとカード確認し、私を見た。

 「……来たぜ」

 「な!?」

 一層笑みを強くし、彼はドローしたそのカードをデュエルディスクに差し込む。

 「手札から魔法カード発動! 死者蘇生!」

 「!! そん、な……」

 それは私にとって最悪のカード。蘇るモンスターなど決まっている。

 「墓地より、マスター・ヒュペリオンを特殊召喚! そして効果発動! 墓地のヘカテリスを除外し、アルティメット・インセクトLV7を破壊する! 制裁のエクスキューション!」

 「く、ああ!」

 流れるような動作で再三にわたって現れたヒュペリオンの2度目の効果によりアルティメット・インセクトが燃やし尽くされてしまった。

 「アルティメット・インセクトが消えたことで、俺のモンスターたちの攻撃力は元に戻る!」

 

マスター・ヒュペリオン

攻撃力2700→2000→2700

守備力2100→1400→2100

 

フェアリー・チア・ガール

攻撃力1200→1900

守備力800→1500

 

 体中についていた酸を吹き飛ばし、2体の天使はその力を取り戻す。

 (でも、私のライフはまだ残る。まだ……!)

 「そして、これで俺の墓地にモンスターなくなった」

 「え?」

 「まさか!?」

 最後の手札を手に取り、遊司はそのカードをフィードに降臨させる。

 「天空を翔る一筋の風よ。導きに応え、今舞い降りろ! ガーディアン・エアトス!」

 攻撃力2500を誇る風の女神が舞い降りる。それはこのデュエルを終わらせるに足る十分な力を持っていた。

 「うそ、でしょ……?」

 (こんな、こんなこと……!)

 フィールドは整った。一切の無駄なく、全てのカードを十全に使い切り、絵に描いたかのような逆転劇を見せつけられたのだ。

 そしてその攻撃がついに始まる。

 「行くぞ! マスター・ヒュペリオンで妖精王 アルヴェルドに攻撃! 執行のサンライトレイ!」

 裁きの光が降り注ぎ、断末魔の叫びとともにアルヴェルドが破壊される。

 「ああ…っ!」

 

2700-2300=400

瑠奈LP3600-400=3200

 

 「そしてこれで終わりだ! フェアリー・チア・ガールとガーディアン・エアトスでダイレクトアタック! 精霊のデュエット!」

 「くっ、ああああああ!!」

 フェアリー・チア・ガールの光とエアトスの放つ波動が1つとなって私に届く。綺麗で力強い響きが私を包み込んだ。

 

瑠奈LP3200-(1900+2500)=-1200

 

 

 「……勝った、か」

 デュエルが終わり、ソリッドビジョンが消える。モンスターたちの消えたフィールドを眺めた後、自分のデュエルディスクを見た。自分を支えてくれて、勝利へ導いてくれたカードたちを。

 「……ありがとうな。俺のデッキ」

 終盤に行った計4枚のドロー。すべてが噛み合っていたから起こった奇跡の逆転劇だ。これが俺の力だけで起こったなんて思うほど、俺は馬鹿ではない。全部、デッキが俺の声に応えてくれたからだ。

 「さて、と」

 気持ちを切り替えて、とりあえず瑠奈の誤解を解かないとな。なんで俺が秀を騙してたり裏切ってたりしたことになってんのか詳しく聞かないと。あと俺が化学兵器から最終的に暗黒物質にまで進化してたことについて。

 未だフィールドに座り込んで下を向く瑠奈のもとに向かう。

 「遊司ー!」

 「ん?」

 その途中、観客席にいたみんなが下りてきた。なんかみんな随分と興奮してるみたいだが。

 「遊司最後のすごかったよ!」

 「まったく。なんであんなことができんだよ。積み込んでんじゃねえだろうな」

 「遊司さん。流石です!」

 「あ、ああ。サンキュー、龍可、光。そして真。ちょっと後で話そうか」

 1人だけ失礼なこと言いやがって。誰がそんなことするか!

 俺たちがそうやって馬鹿やってる中、秀は瑠奈に近づき、そっとその頬に触れた。

 「よく頑張ったね、瑠奈。いいデュエルだったよ」

 「う、お兄様……っ、うわあああん!!」

 兄に飛びついて泣きだす瑠奈。最初の超絶ダークな部分を見ているだけに、そんな様子に苦笑するしかない俺だった。

 「あー、遊司泣かせたー」

 「え!?」

 「女の子を泣かせるなんて……、最低だな」

 「え、ちょ!?」

 「ゆ、遊司さん……」

 「ま、待て光! 誤解するな! そしてお前らわかってて言ってるだろう!」

 「「………」」

 「無言で視線を逸らしてんじゃねええええええ!!」

 

 「その……。遊司、さん」

 「え?」

 しばらく2+α対1でコントをしていたら、泣いたせいで目を赤くした瑠奈が秀に連れられて傍まで来ていた。

 「今回は誤解からご迷惑をかけてしまってすみませんでしたわ」

 「……、っ、……あ、ああ。別に気にしてないから。大丈夫だ」

 お前誰だ? という言葉を必死に呑み込み、そう答える。実際気にしてないし、呼び方も直ってるし、デュエルも楽しかった。何にも問題なんてない。

 「しっかし、なんでそんな誤解が?」

 ピクリ、と真が反応した気がした。

 「ああ。それはこの新聞のせいだよ」

 「新聞?」

 そう言えば最近読んでなかったな。デュエルアカデミアの話題が基本だから、ぶっちゃけ代わり映えしなくてつまんなかったからなあ。

 秀から新聞を受け取り、その表紙を確認する。

 「なになに。『かの庭の皇太子、庭瀬秀敗れる!? 相手は我が友。まさかの裏切り!?』……って、はい?」

 意味不明な見出しに頭の中がはてなマークで埋め尽くされる。どういうことだ?

 「いや実は、真を早く学園に馴染ませようと思ってね。僕が負けたという噂を流したのさ。でもどうやら彼のことを我が友、と言ったことが原因で勘違いされてしまったようでね」

 秀の言葉を頭の中でまとめる。そして合点がいった。

 「ああ。みんなからすればお前の友って言ったら俺の事らしいからな」

 つまり、まだ秀の友として学園に知られていない真ではなく俺が秀を倒したとして噂が広まり、そして話が飛躍して裏切ったということになり、それを見た兄を溺愛している瑠奈が俺に制裁を加えようと動いた、と。

 「……理不尽だ」

 俺、今回完全にただの被害者じゃん。……はっ!

 「龍可! お前この新聞知ってたな!?」

 「あははー。面白そうだから黙ってた!」

 「そうだろうな!!」

 友達なんてこんなものだった。……ん? そう言えば。

 「……おい、真」

 「! な、なんだ」

 こっそりデュエル場から逃げようとしていた真の肩を掴んで止める。

 「お前、確か忘れてたとか言って走り去ってたよな。もしかして瑠奈が誤解して俺にデュエルを申し込んでくること知ってたのか?」

 「え、し、知らないなー」

 「しかもドローパン奢ってやるとか言ってたよな」

 「え、えーと……」

 「………」

 「………」

 「黄金の卵パンが当たるまで奢ってもらうぞ」

 「ファ!?」

 ドローパンとは即ち何が入っているかわからないパン。1個100DPで1人1日1個まで。1日限定100個で売られている。そのほとんどが外れで不味いが、うち10個があたりで非常においしい。そして黄金の卵パンとはドローパンの中でも最強の当たりなのだ。それが当たる確率は100分の1。100個の中で1つしか入ってない。なお、俺は今まで当てたことはない。

 「待て遊司! 慈悲を! 俺が破産してしまう!」

 「別に高くないんだから大丈夫だ。諦めろ」

 そう簡単に許しはせん。つまりこいつは誤解を解くことができる立場にありながら面倒だとそれをやめ、全て俺に押し付けていたのだから。

 「くっ、この人でなし!」

 「お前にだけは言われたくないわ!」

 その後、しばらく俺と真の醜い言い争いが続き、教頭先生に見つかって危うく恐怖の20ターンを受けるところだった。しかもいつの間にか他のみんなは帰ってやがった。

 ああ、俺は今心の底からこの一言を言おう。

 「……不幸だ」

 

 後日、さっそく真の奢りでドローパンを購入したら黄金の卵パンだった。

 いや、嬉しいけどさ。なんで……っ、不幸だああああ!!

 

 

 

 1週間後のある日の夜、デュエルアカデミアのヘリポートに1人の女性が立った。

 「ふふ、ここにあの人がいるのね。待っていて、真」

 




今回のNGシーン
 「よく頑張ったね、瑠奈。いいデュエルだったよ」
 「う、お兄様……っ、うわあああん!!」
 兄に飛びついて泣きだす瑠奈。最初の超絶ダークな部分を見ているだけに、そんな様子に苦笑するしかない俺だった。
 「あー、遊司泣かせたー」
 「え!?」
 「女の子を泣かせるなんて……、最低だな」
 「え、ちょ!?」
 「ゆ、遊司さん……」
 「ま、待て光! 誤解するな! そしてお前らわかってて言ってるだろう!」
 「うわああああん!」(チラ
 「ん?」
 「(ニヤリ)うわああああああん!!」
 「ファ!? ちょ瑠奈お前――」
 「遊司。流石にここまでとなるとちょっと僕も怒ってきちゃったよ?」
 「な、ち、ちょっと待て秀! 誤解だ! お前の妹をよく見――」
 「うわ遊司お前……」
 「え!?」
 「流石に酷いよ」
 「――空羽さん……」
 「苗字呼び!? いや待て、待て待て待て待て待て待て待て!?」
 「さあ遊司。僕とデュエルだ!!」
 「秀やっちまえ!」
 「敵を討つのよ!」
 「……空羽遊司さん」
 「すごい他人行儀!? というか光以外、いや絶対光も含めて気付いててやってるだろお前らあああああ嗚呼嗚呼!!」
 「――クス」
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