女だらけの聖戦士伝説に召喚された  真・恋姫†有双……になるはずが(仮)番外編   作:生甘蕉

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13話 最終話

 ヨルムーンガントに着艦し、艦橋(ブリッジ)へと急ぐ。巨大戦艦なだけあって、移動に時間がかかる。

 ブリッジには小蓮ちゃんたちもいた。一応、縛られてはいるけどここに連れてきちゃっていいの?

「雪蓮お姉ちゃん!」

「ごめーん、負けちゃったー」

 あんまり悲壮感がないな。それとも俺たちを油断させるためのブラフ?

 

「グラン・ガランは?」

「ラウ軍の生き残りと合流しつつオーラマシンを展開。関羽たちもグラン・ガランに行ったわ。あれは退くつもりはないわね」

「ゴラオンを引き換えに得たチャンス。今を逃したらむこうに勝機はないですからねー」

 たしかに麗羽軍は浮き足立っちゃっているかな? リ軍はそうでもないけど。

 

「クのゲア・ガリングもきたりはしてない?」

「その情報はきてません」

 あ、明命もブリッジにいてくれたのね。

 巨大戦艦大集合はならずか。見たかった気もするけど、現状でもカラカラがすごいことになっている。ここに全幅1.4キロメートルのゲア・ガリングなんてこられたら、ジャコバ担当もすぐにオーラマシン排除活動しちゃいそうだ。

 

「このままグラン・ガランを撃破するわ。ただし、その後に麗羽が仕掛けてくるでしょう。余力を残しておきなさい」

「ああ。グラン・ガランはそれほど怖くはない」

 オーラバトラーは強いけど、巨大戦艦自体はそれほどでもないのがナ軍だ。

 

「恋を数に入れてないないんてずいぶん余裕ね」

「レン?」

 雪蓮の言った名前を聞きなおす。

 聖戦士伝説のレンはリの騎士団長ザンの息子だ。当初は騎士見習いだったが主人公を除いたリの騎士では最強で、カオスルートに入るとドレイクに協力していることを嫌い、リの国から出て行ってしまう。その後、ナの騎士として再登場するのだ。

 春蘭がこのレン担当だと思っていたけど、違うのか?

「恋はナの最強騎士よ」

 レン担当と見て間違いはなさそうだ。それがわかったからってどうなるってわけでもないけどさ。

 

「……まあ、強い奴は俺が相手をするよ」

 俺のはヴェルビンだし、オフ・シュートも解禁した。なんとかなるだろう。

「ならばタータラの剣を使いなさい、聖戦士」

「姉様っ?」

 あ、蓮華も意識が戻っていたみたい。よかったね。

 

「蓮華、その方が被害が減るわ。私のようにね」

「ですが……」

「そうね。以前の酒代として受け取りなさい」

「酒代? ……姉様っ!」

 バツの悪そうな雪蓮を睨む蓮華。

 そういやあの時の酒代はまだ貰っていなかったっけ。

 タータラの剣の代金と思えば安い。

 

「コウイチ、できる限り捕獲なさい。特に関羽を!」

 まだ諦めてなかったのね。

 ビルバインか、しんどいなあ。聖戦士ダンバイン最終回で頭部を破壊された後、ショウはバーンを道連れにまで持っていった。それの再現はしたくない。

 

 ……再現か。

「ゼラーナは?」

「まだ出てきていませんね。馬超も鈴々も姿を見せません」

「修理が間に合わなかったのではなく、奇襲のタイミングを狙っているのでしょうねー」

 麗羽軍にもスプリガンが出てきていない。こっちは干吉が出し渋ってるんだろうけどさ。

 こうなると、代わりにヨルムーンガントがゼラーナの標的にされる気もする。

 

「上空からの攻撃に警戒してくれ。とくに乱戦時。ゼラーナも上からくるはずだ」

 上手くいけば、ゼラーナを撃墜できるだろう。スプリガンの代理は嫌だけど。

「わかったよ、おっちゃん。早く倒してお風呂に入ろうね」

「また……なんでそうコウイチさんとお風呂に入ろうとするの!」

「だって、いっちーがお風呂ですると気持ちよかったって自慢してたじゃないか。気が遠くなりそうなくらいによかったって。ボクもしてみたい!」

 あれは猪々子がのぼせただけだってば。あの時は焦ったなー。

 

「えっ? 聖戦士、この子ともしちゃっているの? 華琳の夫なんだよね?」

 季衣ちゃんを指差す小蓮ちゃん。両手首を一つに縛られているけれど、そんなに動けないわけではないようだ。

「ボクたちみんなおっちゃんの女だもん!」

「種馬の性戦士って噂は本当だったのね!」

 ジロリと俺を見る蓮華。なんかすごい怒っているみたいだ。

 てかなにさ、その噂は?

 

「あなたもコウイチのオーラ力に包まれたのだから、その気持ちはわかるのではないかしら?」

 華琳ちゃんの質問で、蓮華の顔が赤く染まる。……やっぱりオーラシップ治療はおかしい。

「関羽たちも捕獲してあの治療を行う」

「洗脳みたいじゃないか! そんなのは嫌だからね。命を救うために使うならともかくさ。……少し休憩する。動きがあったらおこしてくれ」

 オーラシップ治療と雪蓮との戦いでの疲労を少しでも回復しないと。

 この後、さらにややこしくなりそうだからって逃げたわけじゃないからね。

 

 

 

 カラカラ上空で睨み合うリ軍・麗羽軍とナ軍・ラウ残党。再び戦端が開かれたのは暗くなってからだった。

「リのオーラマシンは夜は視認しにくい。同士討ちに気をつけて下さい」

 稟の言う通り、リ軍のカラーは黒。フレンドリーファイアは怖いけど、その分敵にも発見されにくくなるから有利ではある。

「夜戦か」

 気になるのはビルバイン。聖戦士ダンバイン最終話付近で塗り替えられたその塗装は夜間迷彩だったはず。

 聖戦士伝説でもその迷彩ビルバインは登場しており、しかもそれまでのビルバインとは別の機体として反ドレイク陣営はビルバイン2機となるのだ。

 華雄を倒したという関羽のビルバインは遠目に見ても尋常じゃない強さだった。オーラキャノンの一撃でブル・ベガー級を撃沈させるなんて聖戦士伝説のより確実に強い。聖戦士ダンバイン、いやスパロボのビルバイン並といっていいだろう。

 そんなのが2機? 出てきてほしくないなあ。

 

「ナの最強騎士、恋ってのもいるらしいし、サーバインも健在。あれ? グラン・ガラン戦は消化試合じゃなかったっけ?」

 ここで消耗してはウィル・ウィプスとの戦いにも影響するから軽く流しておきたいのに。

「はっはっは。最強騎士とやらはわたしに任せておけ」

 春蘭が強気だ。強化型ズワァースも強いし、なんとかなるかな?

 

「馬仮面はあたいたちがなんとかするぜ!」

 ズワァース2機ならサーバインも倒せるかな? 初登場時以外は仮面白馬もそんなに強いとは思えなくなってきたし、猪々子も斗詩もレベルカンスト超だ。

 

「グラン・ガランは私たちが」

「あの綺麗な巨大戦艦を壊すのはちょっと勿体無いのー」

「せやなあ。あとで直せるとええなあ」

 直衛機は月ちゃん親衛隊のボテューンだけど、この3人なら不安はない。月ちゃんも撃沈前に救助してほしいな。

 

「ボクと流琉はヨルムーンガントの護衛?」

「上空に特に警戒、でしたね」

 他にも直衛艦としてバハムウトやビヒモス、リ軍のオーラバトラーも多くが護衛にあたっているけど用心するにこしたことはない。妊婦さんは大事にしなきゃいけない。

 

「で、俺が関羽のビルバインの相手、か」

「ビルバインは強力です。もはや聖戦士殿しか相手をできないでしょう」

 たしかに。あの機体だけ別作品って感じだもんなあ。俺も油断してるとやばそうだ。

 

「グラン・ガランを墜としたら麗羽軍が敵に回るわ。忘れないように」

「最初っからそのつもりなら、もっと早く麗羽を倒しなさいよっ!」

 小蓮ちゃんが頬を膨らませる。

「悪いけど、そうもいかない事情があってね」

 カオスルートじゃないと、万が一地上に出た場合に全滅エンドしかないからね。

 季衣ちゃんと流琉ちゃんが確実に仲間になるってわかっていれば、ロウルートで早期クリアエンドをしたんだけどさ。

 ……いや、ズワァースとか欲しかったからこのルート選んだわけじゃないから。ちゃんと華琳ちゃんたちと相談して決めたんだよ。

 

 ともかく、ここで負けてはその選択も無駄になってしまう。早いとこ終わらせて浮上を阻止しよう。

 

 

 ヨルムーンガントから発進した俺たちは、目標と交戦を開始する。

「そこをどけっ!」

 関羽のビルバインは、獲物が剣ではなく青龍偃月刀なのが聖戦士伝説との外見の違いだ。

 そのビルバインの普段は背中にあるオーラキャノンが肩の上を通してこちらへ向けられている。当たったらこのヴェルビンでもただでは済まないだろう。

 

「決着をつけさせてもらう」

「ならば、貴様からだっ!」

 放たれたオーラキャノンを回避すると、待ち構えていた青龍偃月刀がヴェルビンを襲う。先回りしてるとか、なんつうスピードだよ。オフ・シュートを使ってなんとかやり過ごすことしかできない。

 

「これを捕獲しろって?」

「やるしかあるまい。どの道、殺すつもりはないんじゃろ?」

「それはそうだけど、さっ!」

 雪蓮から譲られたタータラの剣を斬りつけるタイミングを探すが、そんなものは見当たらない。

「長くなりそうじゃの」

 おっさんの集中力、持つかなぁ。

 

「ちょーっっと待ちやー!! ウチも混ぜてんか?」

 現れたのは張遼のビランビー。いまだにその機体に乗り続けているとはやはりアレン担当なんだろう。

 

「貴様……っ! 張遼かっ!」

「おーっ。オーラバトラー見ただけでわかってくれるとは光栄やな」

 いやアンタ、コクピットハッチ開けてるでしょ。兜も着けてないから顔もよくわかるし。

「ホンマなら一騎討ちしたいとこなんやけどな、そうも言ってられへん」

「コウイチだけでも厄介だというのに!」

 張遼のビランビーが手にしていた偃月刀で攻撃を開始する。ビルバインの青龍偃月刀によく似た武器だ。なに? どっかの機械の館で販売でもしてるの?

 

 これでなんとか勝てるかと思ったら、2人の斬り合いが凄まじ過ぎて、逆に俺がちょっかいをかける隙がない。近づけないってば。

「ゼラーナが出てきおったぞ!」

 祭に言われてヨルムーンガントの方を確認すれば、季衣ちゃんが青黒いビルバインと戦っていた。迷彩ビルバインだ。やはり出てきたか。たぶん地上人の馬超が乗っているのだろう。

 

 ヨルムーンガントは急降下してくるゼラーナに攻撃を集中している。うん、俺の情報が役に立っているようだ。

 心配なのはゼラーナの乗組員。聖戦士ダンバインでの撃沈時の海上と違って下は山。無事では済みそうにないから、ちゃんと脱出してほしいけど。

 

「桃香さまっ!」

 関羽の悲鳴に似た声。それと同時に発生した隙を見逃すわけにはいかない。

 ビルバインにオーラライフルを発射。左脚に命中する。頭部には当たらなかったか。

 すかさずビランビーがビルバインの右腕を斬り落とす。ビランビーの方はキャノピーを破壊されているが、張遼は無事のようだ。

 ……この破壊箇所って聖戦士ダンバインの最終回と同じ? マズイなと思いつつも、今度こそ頭部にオーラライフルの弾を命中させると、やはりというべきか、関羽が剣を手にビルバインの操縦席から空中へと飛び出した。

 

「俺は人を殺さないっ!」

 あちらさんの言うべき台詞を叫びながらオフ・シュートで高速移動して、自由落下中の関羽をヴェルビンの両腕で受け止める。

 ふう。これで任務はこなせたか。……ビルバインは勿体無かったな。

 

「……関羽と相打ちっつーのも(わる)ないけど、まあ助かったわ」

 抜いていた剣をしまいながらの張遼。俺が手を出さなかったら本当に相打ちだったかもしれない。

「そりゃどうも」

「で、なんや今のは? 分身したんか?」

 ちゃんと分身に見えたみたい。

「あれはね、っと、関羽もおとなしくしててね。ここで張遼と心中する必要なんてないでしょ」

「……言われてみれば確かに。張遼1人を倒したところで帰趨は変わらない、か。ゼラーナはどうなった?」

「ゼラーナは……沈んだ」

「桃香さま……」

 関羽がおとなしいうちにヨルムーンガントに置いてこよう。ゼラーナ乗組員も気になるし。

 

「俺は巨大戦艦に戻る。張遼もそのままじゃ戦えないだろ、戻った方がいい」

「せやな。ウチのことは霞でええで」

「それって真名ってやつか? いいのか?」

「あんたならな。ほな、また会おな」

 張遼……霞のビランビーはウィル・ウィプスへと飛んで行った。まずいなあ、真名なんて貰ったら、この後戦いにくいんだけど。

 説得したら仲間になってくれないかな?

 

 ヨルムーンガント付近では、馬超の迷彩ビルバインと鈴々のボチューンがまだ戦っていた。

「ゼラーナ乗員の救助に向かってないのか?」

「うちの連中が先に捕獲したんじゃろ」

 ああ、なるほどね。そうだといいなあ。

 ビルバインとボチューンの相手をしているのは季衣ちゃんと流琉ちゃんのダンバインだ。

 ほぼ互角か。早いとこ関羽を置いてきて援護に回らないと。

 

 着艦すると格納庫に風が待ち構えていた。

「ちょうどいいタイミングなのですよ」

「もしかして……」

 格納庫のナースの横には簡易ベッドとそれに寝かされた桃香。

「桃香さまっ!」

 ヴェルビンの腕から飛び降りる関羽。そこそこ高いところからの落下もものともせずにベッドにかけよる。

 

「他に怪我人は?」

「連れてくる最中なのですよ」

「まだいるのか……」

 やはりというべきか、救助されたゼラーナの乗組員も少女たちばかりで、怪我人も多い。

 

 桃香はその中でも重傷のようだった。破片かなにかで傷ついたのだろう、出血が酷いようだ。

「早く治療するのですよ」

「桃香さまを助けてくれっ!」

「副作用が心配なんだけど……命には代えられないか」

 俺はナースのブリッジへと急ぐ。治療を済ませてみんなの援護に向かわないといけない。

 

 

 何度か『回復』を行ってから、風たちのところへ行くと、怪我人のほとんどが治っていた。複数人同時も問題なく治療できるようだ。範囲がどれくらいか、調べておけばよかったな。

「……桃香さまの怪我を治してくれて感謝する」

「あ、ありがとうございますっ!」

 頭を下げる桃香と関羽。それに、この子は蒲公英ちゃんか? ドワ担当のゼラーナの操舵手。眉毛のせいで俺がキーン担当と勘違いしそうになった子。

「ありがとうね、おじさん」

 そこはおじ様って言ってほしいなあ。

 他にも数名いるけど、みんな赤い顔で俺を見ている。……やっぱり副作用が問題だ。時間の経過で忘れてくれないかな?

 

 関羽も頬を染めているのは、桃香に付き添っていて一緒に俺のオーラ力の影響を受けてしまったのだろうか。

「愛紗。私の真名だ、受け取ってくれ。本来なら主の命を救ってもらった恩を返したいところだが、捕虜となった以上それはかなわないだろう。これぐらいしかできん」

「……十分だよ、ありがとう、愛紗」

 愛紗が生きてておとなしく捕虜になってくれれば、華琳ちゃんの機嫌もいいだろうから、他に望むことなんてそうはない。いや、ビルバインが貰えればそれが一番だったけどさ。

 

「風、ゼラーナ隊のことは任せていいか? 俺はみんなの援護にいってくる」

「了解ですよ。次は治療しないで済むといいですねー」

 やめて、なんかフラグっぽいから!

 

 

「馬超、鈴々、ゼラーナ乗員と関羽は捕虜になったぞ。おとなしく投降してくれ」

 迷彩ビルバインたちにむかって告げるが戦いを止める気はないようだ。

 

「流琉ちゃん、季衣ちゃんのサポートにむかってくれ。そいつの相手は俺がする」

「はい、お願いします!」

 機体性能を考えれば、ビルバインの相手は2機で当たりたい。そうなると、季衣ちゃんと流琉ちゃんの組み合わせの方がコンビネーションがいいだろう。

 

「愛紗の仇は鈴々が討つのだ!」

 さっきの俺の話、聞いてなかったのかな? 愛紗のお下がりであろうボチューンから、強いオーラ力を感じる。これは怒りのオーラ力?

「愛紗は生きてるってば!」

 返事の代わりにバルカンが火を噴く。だからそれ嫌なんだよ。

 オフ・シュートで回避して後ろに回りこむ。

 

「また消えたのだ!」

 即座に振り向こうとしたのは、こちらのパターンが読まれ始めてるってことか。キーン担当だってなめてたけど、この子も強敵だ。……季衣ちゃんがライバルだって言ってたっけ。

 だが、方向転換は間に合わず、タータラの剣によってボチューンの首が胴体から離れていく。切れ味いいな、さすがだ。

 

「愛紗も桃香も無事だから、おとなしくしてね」

「本当なのだ?」

「うん……あっちももうそろそろか?」

 季衣ちゃんと流琉ちゃんのコンビネーションアタックによって、迷彩ビルバインがおされている。

 あの動きは聖戦士ダンバインのハイパージェリルの時を思い出すな。馬超機がハイパー化しなきゃいいけど……。

 

 俺の心配は杞憂だったらしく、迷彩ビルバインが両腕を失った時点で馬超は負けを認めてくれた。

「勝ったよ、おっちゃん!」

「2対1なんて卑怯なのだ!」

「1対1でも勝てたけど、時間がかかり過ぎるから流琉に手伝ってもらっただけだよ!」

 季衣ちゃんと鈴々ちゃんが言い合いを始めてしまった。

 

「……あのオーラキャノンが当たらなかった時点で あたしらの負けだ」

「おっちゃんのあどばいす通りにフォウを用意しといたからね!」

 得意そうな声の季衣ちゃん。地上土産の資料に三国志関連の本も少し持ってきたんだけど、許緒が馬の鞍で馬超たちの矢を防いだってあったからね。それに合わせてフォウを無線操縦で飛ばしておくように言っといたんだけど、正解だったみたいだ。

 真桜に頼んで装甲を強化しておいたフォウが、ヨルムーンガントブリッジへの直撃を身を挺して防いだらしい。

 

「本当にありがとう、季衣ちゃん」

 もしブリッジが直撃されて、華琳ちゃんにもしものことがあったら俺は怒りのオーラでハイパー化しちゃうかもしれない。春蘭もそうだろう。

 そうならなくて、本当によかった。

 

「残るはグラン・ガランと恋か」

「そっちはボクたちでなんとかするから、おっちゃんは休んでてよ」

「そうです、治療で疲れてるんですから」

「なんか年寄り扱いされてる気もするけど、麗羽との戦いもあるし、そうさせてもらうよ」

 実際、みんなより年いってるしね。オフ・シュートも集中力使うから疲れてるし……聖戦士伝説のシステムにない行動だから疲れるんだろうか?

 

 

 

 水分と栄養を補給して祭と一休みしていたら、グラン・ガランが降伏したと明命が教えてくれた。

 そうか、月ちゃんはシーラと違って最後までは戦わないか。あの時の話を信じてくれたのかな?

「麗羽軍の様子は?」

「いまだオーラバトラーを展開中です」

「やはりやる気か」

 まあ、そうしてもらわないと困るんだけどね。ここで決着つけとかないとさ。

 

 俺が格納庫に着く前に、麗羽軍の攻撃が始まる。もうちょい待ってよ。

「補給は済んでるわ。さっさと麗羽と心中してきなさい!」

「ありがとう桂花。ヴェルビン、出る!」

 礼を言って出撃する。桂花は相変わらずキツイな。

 

「敵戦力は?」

「干吉さんの新型戦艦が出てきたようですね。他に数機、見たことのないオーラマシンが混じっています」

 スプリガンは聖戦士伝説のこのルートの最終戦で出てきたからおかしくはない。あとはブブリィだったっけ?

 戦場に目をやれば多数のオーラバトラーに混じって巨大な機体が見える。

 ……あれはガラバ? ここで出てきたっけ?

 

 ガラバは黒騎士の最終機としても有名だ。オーラバトラーとウィングキャリバーの特徴を持つ、オーラマシン版モビルアーマーといった機体だ。

 聖戦士伝説では、巨大さが再現されてなくて変に小さかったり、性能が低かったりと残念な扱いだったが、ここからでもわかるあの大きさ。聖戦士ダンバイン準拠の強さを持ってるとみていいだろう。

 

 それと他には……リ軍でもないのに黒く、大きなオーラバトラー。あれはまさか、ズワウス?

 妖精の翅ではなく、あの飛竜(ドウラウゲン)のような翼は間違いない。 あれ? ロウルートのラスボスだよね? なんでいるのさ。

 

 さらに、よく見慣れた機体も混じっている。

 ああ、こっちは聖戦士伝説でもいたからおかしくはないか。いや、おかしいんだけどね。

 なんでいるのさ、ダンバイン!

 

 聖戦士伝説、このルートではビルバインのショウを前のマップで倒しているはずなのに、ダンバインに乗ったショウが出てくるのだ。しかも、ドレイク陣営として。

 ……ぶっちゃけ、バグなんだけどね。レベルも下がってるし。

 そんなところまで再現されちゃってるの?

 

「なんかやばそうなのが結構いるからみんな用心してくれ」

「敵ばかりではないわ。恋のボテューンが味方として戦ってくれることになったから」

 麗羽軍と戦うならと協力してくれるようだ。春蘭や季衣ちゃん、流琉ちゃんと戦っても無事なんて、ナの最強騎士の名は伊達じゃないな。

「それとトリオ・コンビネーションを解禁する」

 トリオ・コンビネーションはドラムロ3機による合体攻撃だ。空中で陣形を組んで3機分のフレイボムを1つに合わせて発射する。飛距離、威力ともに上がっており、必殺技といってもいいだろう。

 麗羽軍に真似されないように秘匿してきた隠し玉だが、訓練はたっぷりしている。

 

「まずはダンバインからか……」

 数を減らすのが先決。そうなると耐久力が低いやつからになる。ズワウスなんて耐久力、巨大戦艦並だもんなあ、最後だ最後。

 ダンバインの方も真っ直ぐこっちに向かってきた。

 

 正体を確認するのが嫌だったので、背後からのクリティカルヒットを数回くらわせてサクッと撃墜する。

 あのオーラ力は間違いなく北郷のはずだが、麗羽軍にいるのが気持ちが悪い。会話したらきっとろくでもない答えが返ってきそうだった。

「せめて修羅になっていればズワウスに乗れただろうに」

 そうなったら確実に俺を恨んでそうだから、余計に会話なんてしないけどね。

 

「次はウチの番や!」

「その声は霞?」

「せや、偃月刀持てへんからがっかりしとったけど、このガラバいけるで!」

 ガラバは霞か! となるとズワウスは……左慈?

 

 っと、余計なことを考えている暇はないか。

 ガラバのオーラショットアームの弾の回避のためにオフ・シュートを連発させられる。あの武器、聖戦士伝説じゃ使用できないのに。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 気合入れすぎだ、霞。巨大化するんじゃないだろうな?

 その霞のガラバへの銃撃。俺ではなく横からだ。当たりこそしなかったが霞の集中が俺からそれた。

 

「誰や!」

 その攻撃はオーラバルカン。撃ったのはボテューンだった。

「恋か?」

「恋? ……そうか、そういうことかい。あんたがウチとやろ言うんやな」

「そう。おまえ、おもしろそう」

 そして、2人の戦いが始まる。俺を置いて。

 最強騎士、マジに速い。ボテューンが元から速いってのもあるけどこれはパイロットのおかげだろう。

 って!

 

「ちょっと恋さん、オフ・シュート使ってません?」

「いまおぼえた」

「……マジ? もしかして俺、邪魔?」

「おまえはあの黒いやつを倒す。あいつ、きもちわるい」

 そりゃ俺もわかってるけどさ、ズワウスは……なにやってんの、あいつ。

 

 ズワウスがウィル・ウィプスを攻撃していた。

 仲間割れ? いや、リ軍もさっきまでウィル・ウィプスと共同戦線はってたけどさ。

「……我慢できませんでしたか」

 突然、通信が割り込んでくる。

「干吉?」

「ええ。さっさと左慈と戦ってあげてください。あなたを待ちきれないんですよ」

「俺、そんなに恨まれてるの? なんかしたっけ?」

「それは秘密です」

 くっ。最終面のはずだというのに、べらべら謎解きをしたりしないとはなんて嫌なやつだ。

 

「左慈の為にあなたを用意したんですから」

 いや、なんか秘密は最後まで黙っててくれた方がいい気がしてきた。

「まあ、面白くもないデータはとれたので、もういいんですけどね」

 決めた。ズワウスよりもスプリガンを落とすのが先だ!

 

 スプリガン。ショットが開発したオーラクルザー。オーラシップとは比べ物にならない高速艦で機動性だけではなく、攻撃力も高い。聖戦士ダンバインではこの艦にゼラーナが撃沈された。

「やれやれ。左慈はあちらですというのに」

 オーラライフルの攻撃に横にスライドするように回避するスプリガン。いや、シューティングゲームじゃないんだから艦がそんな動きしないでよ。

 

「隊長、援護します」

「お手伝いするのー」

「噴射暴風攻撃の出番や!」

 トリプラーじゃないの?

 ガドラムを先頭に隊列をなして飛ぶ3機のオーラバトラー。戦艦相手なら踏まれることもないから大丈夫か。

 ガドラムのクロー、ズワァースのオーラショットがスプリガンを襲う。

 

「今度はわたしだ!」

 飛び込んできたのは真っ赤なズワァース。春蘭だ。右手の曲刀がオーラ力によって光り輝き、光が大きな刀身を形作っていく。

「うぉぉぉぉーーーーっ!」

 その光の剣でスプリガンを斬りつける春蘭機。スプリガンはかわしそこねて、着陸脚(ランディングギア)の1つを切り落とされる。

 

「オーラ斬り?」

「関羽が使っているのを見て覚えたのだ!」

 恋といい、こっちのコモンって地上人より強いのか?

 

「はあ。まあいいや」

 俺も使えるし。ゼルバインベースのこのヴェルビンは元々、オーラ力を剣に集める機能が備わっている。ズワァースよりもやりやすい。

「いけっ、オーラ斬りじゃ!」

 ……祭にスパロボやらせたっけなあ?

 

 その後はスプリガンをみんなで刻んだ。浮上してないから、干吉もOVAみたいにアンデッド化しないできっと成仏してくれるだろう。

「スプリガンの撃沈を確認」

「残るは、あれか……」

 ズワウス。OVA版の敵機。

 ズワァースによく似た機体だが6割ぐらい大型化、飛竜の翼に長い尻尾とオーラバトラーというよりは怪獣である。

 聖戦士伝説でもその性能は高く、しかもプレイヤーが使うことができない敵専用機だ。

 

 そのズワウスがウィル・ウィプスを撃沈してしまった。

 え? たった1機で? ウィル・ウィプス硬いのにもう?

 間違いなく最強の敵。乗ってるのは左慈。絶対にゼット担当なんかじゃなさそうだ。

「待ちかねたぞ」

「そりゃ悪かった」

 いきなり撃ってきたりはしない、か。ウィル・ウィプス墜として落ち着いたのかな。

 

「始めるぞ」

 青龍刀を構えたズワウスが突撃してくる。聖戦士伝説では足が遅いという欠点があったが、こっちはそれとは違うようだ。

 その鋭い斬撃をオフ・シュートで回避。1発でも貰ったらまずそう。

「そうこなくては!」

 お返しにオーラライフルで攻撃。だが、命中したと思ったのにかわされていた。まさかオフ・シュート? むこうも使えるのか?

 

 それからはみんなで囲んで、正面の俺がむこうの攻撃を引き受け、残りのオーラバトラーが特殊攻撃を使ってズワウスのDPを削る。

 聖戦士伝説の特殊攻撃はオーラ力を消費するが絶対命中。今まで使う相手やタイミングがなかったけど、ここは使うしかないだろう。

 ……急に聖戦士伝説らしくなってきた気がする。これが最終戦だからか?

 

 オーラ力が少なくなったら別のオーラバトラーと交代させて、フルボッコ戦闘を続ける。

「なんだかかったるいのう」

 そこも聖戦士伝説らしいといえば、らしいか。オフ・シュートを使いまくっている俺はそれどころじゃないけどさ。

 

「みんなオーラ力が減ってきてるな」

 聖戦士伝説では戦闘中にもオーラ力は回復できるけど、それを待つつもりはない。集中力が持たん! 俺が特殊攻撃をする番がきたようだ。

「凪、剣を借りる」

 クローで攻撃することが多いが、一応、剣を装備している聖戦士伝説準拠なガドラム。その剣を借りて二刀流となる愛機(ヴェルビン)

 

 タータラの剣とガドラムの剣にオーラ力をこめ、そして2刀をヴェルビンの正面でX字にクロスさせる。

 剣に流しているオーラ力がその交差地点から、ズワウスにむかって飛んでいく。オーラビーム? その直撃を確認もせずにそのまま突っ込んでいく。ビルバインがトッドのハイパーライネックを倒した攻撃だ。

 ズワウスを貫通して、そして振り向くと開けた大穴から左慈が跳びおりようとしていた。

 大穴ですんでいるズワウスもおかしいけど、操縦席がほぼなくなった状況なのに無傷で生きている左慈も異常だ。

 

「ふん。やはり貴様はやつではない」

 落下する左慈を受けとめようとヴェルビンをむかわせるが、空中でふっと左慈は消えた。背後で爆発するズワウス。

 爆風に煽られながら左慈や干吉が何者だったのか少し悩んだ。答えは出なかった。

 

 

 

 数日後、クの王城ケミの空をリの部隊が覆い尽くす。

 

 目指したエンディングと同じ状況なんだけどさ、俺は出撃を許されなかった。

 オーラ力の使い過ぎからか寝込んでいたせいだ。起きれるようにはなっていたのにさ。まったく、最後の最後でしまらないね。

 

 美羽ちゃんの説得でク王の美以ちゃんも降伏して、あっさりとバイストン・ウェル統一。……まだ小国が幾つか残ってるけど大きな戦闘はないだろう。

 聖戦士伝説でも「永きにわたる平和な時を迎える」ってなってたし。

 

「それはどうかしら? 聖戦士コウイチの次の子種を求める争いが近そうよ」

 ……ズワウスに墜とされたウィル・ウィプスから猪々子と斗詩が麗羽を救出、月ちゃんたちもやっぱり怪我してて、それの治療が俺のオーラ力使い過ぎのトドメになったんだよなあ。

 

 これでクリアでいいのかな?

 ……コモンの歴史に精戦士って名を残すことにならないといいなあ……。

 

 

 

 




お疲れさまでした

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