女だらけの聖戦士伝説に召喚された 真・恋姫†有双……になるはずが(仮)番外編 作:生甘蕉
第3章に移ったせいか、強獣の森の様子が変わった。
出現する強獣の種類、レベルが今までと違うのだ。
ま、俺の聖戦士伝説の記憶と同じなので問題はない。これで華琳ちゃんたちのレベル爆上げができる。
「まずは華琳ちゃんからいくよ」
「ええ。お願いね」
ごちそうの下拵えをする俺。アルダムだと強すぎて一撃で倒してしまうこともあるので、P-ドラグーンに乗り換えている。
「ドラウゲンも出るようになっては、やりにくいのう」
「でもその分レベルは高いからさ」
祭の愚痴にフォローを入れてる間に準備は完了し、華琳ちゃんを呼んだ。
ドロではなくP-ドラグーンが近づいてくる。
春蘭と秋蘭がドロでいっしょにレベル上げしたがったが断ったのだ。理由は春蘭と秋蘭はレベルが華琳ちゃんよりも上になってしまっているから。前回のアッサラーブの森で2人ともレベルアップしてしまったのだ。
それなら、他のレベルの低い兵士や騎士と同乗すればいいと思うのだが、そんな弱いやつに華琳さまを任せられるかと、春蘭が駄々をこねた。きっと自分じゃないのが悔しいんだろう。
「あの飛竜を狙って」
「あれね」
華琳ちゃんの乗竜のブレスは準備された強獣4頭をあっさりと仕留める。
響き渡るレベルアップ音。
よかった。1頭でも外すと失敗で、やり直しは効かないから……。
「どう?」
残りの強獣も倒して戦闘終了。華琳ちゃんは上機嫌で俺にレベルを聞く。
「94レベル。すごいな、俺よりも上だ」
「そう……ふふ」
戦闘開始前は4レベルだった華琳ちゃんは9000もの経験値を得て、94レベルとなっている。
「でも、あなたはまだレベルアップするのでしょう?」
そう。カンスト
聖戦士伝説と仕様が違うのだろうか? でも不思議なことにこの現象は俺だけで、凪たち他のカンスト超の騎士たちは経験値が入らなくなってるんだよな。
このままレベルが上がり続けて、表示がおかしくなってマイナスになったらどうしよう……。
その後、春蘭と秋蘭の2人の将軍もレベル上げを行い、彼女たちは85レベルになった。やはり、レベル差がないと入手する経験値も減るな。
「うむ。これで強くなって気が大きくなっている騎士どもになめられないですむな」
「いや、春蘭をなめるとかないでしょ」
「たとえむこうにその気がなくとも、気になるものだ」
そんなものかね? 戦闘職のお偉いさんってのは大変だあ。
せっかくレベル上げたんだから、聖戦士伝説の騎士団長の息子みたいに裏切らないでくれよ。
……華琳ちゃんが生きてるからこの2人にその心配はないか。
政務の合間に強獣の森に通って資金と素材集め。
面倒なレベル上げ作業がなくなった分、執務室で書き物してるよりもオーラバトラーに乗ってる方が断然いい。
機械の館で生産した『強獣の剣』と『腕部強化マルス』でアルダム、ゲドはパワーアップしてるしね。
オーラマシンに乗ってない騎士が不憫?
いや、春蘭、秋蘭は基本華琳ちゃんと一緒で強獣の森にはいかないし、真桜は機械の館で今はリの国オリジナルのウィングキャリバー『ジームルグ』を桂花と開発中だ。
で、沙和はナムワンの艦長をやっている。おかげで倒した強獣の運搬が楽になった。
聖戦士伝説ではオーラシップも1人で動かせたけど、こっちではやはり無理。他の騎士や兵士も船員として乗っていて、沙和に従っている。
「早いとこ積み込むのなの!」
「サー、イエッサー!」
……なんで軍曹っぽいの?
ナムワンの武装は機関砲程度なので、実質戦うのは俺のアルダムと凪のゲドだけだが、強獣相手には余裕だったりする。
「強獣の森にドラウゲンが出てきたのは、空中戦の練習にはいいな」
もうすぐオーラバトラー同士の戦いもくる。それは空中戦になるから、もっと慣らしておきたい。
「では、沙和や真桜にもやらせますか?」
「そうだなあ」
まあ、竜騎士なリの騎士たちは俺なんかよりも空中戦に慣れてるから、必要ないかな。
そんなある意味のんびりとした時間がいつまでも続くわけもなく、すぐにイベントが発生する。
「聖戦士様、麗羽さんの使者がきてますよー」
書簡を持ってきてくれたのかな?
電話や電子メールもないからそれに頼らなければいけないのは面倒だな。特に書簡、独特の表現を使われていたら、読むのが大変なんだよ……。
「新たな地上人を俺に紹介したい、か……。誰が召喚してるんだか」
エ・フェラリオだろうけど、やっぱり別人なんだろうなあ。
「明命が情報を入手したわ。コウイチの話と同じく、やはりエ・フェラリオを利用しているようね」
「エ・フェラリオの霊力は古来より有名です。ですが、エ・フェラリオと深い関わりを持つのは禁となっているのに……」
稟のため息は、禁忌を破ってと呆れているのだろうか。
「関羽殿、左慈殿を召喚したのが、卑弥呼。新たな地上人を召還したのが紫苑と呼ばれるエ・フェラリオです」
明命が報告する。
卑弥呼か。いかにも召喚しそうな名前だな。紫苑……シオン? ダンバインのOVA版となにか関係があるのか?
「干吉を召喚した者の情報はないのね」
「はい」
「……コウイチを召喚した者も」
「残念ながら」
えっ、俺のことも調べてたの?
「俺の知ってる物語だと、それは結局わからなかったよ」
あと、フィナの正体もね。そこら辺を掘り下げてリメイクしてくれないかな。……リメイクされても俺はもうできそうにないのか。はあ。インターネットが懐かしい。深夜アニメが見たいよ。
「卑弥呼は関羽殿たちを呼び出した直後に失踪した模様です」
「関羽は桃香の下で、麗羽と戦う意志を固めたらしいわね。惜しいことをしたわ」
やっぱりそうなったか。彼女の情報を先に知ってたら華琳ちゃん、敵に回るカオスルートをそれでも選んだろうか?
「紫苑はどうやら人質を取られて、やむなく麗羽の言うことを聞いているようです」
人質? ドレイクの娘のリムル担当だろうか。でも、麗羽もそこまで年がいっているようには見えなかったけど、年頃の娘がいるの?
「人質ね。麗羽らしいわ」
そういう手段をとるのはドレイクと同じなのか。
こないだ会った感じはあれだったけど、油断しないように心がけよう。
「で、華琳ちゃん、今度はどうする?」
「まだいいわ。新しい聖戦士たちをしっかり見てきなさい」
華琳ちゃんが言う面白いタイミングはまだなのか。……政務も溜まってるからそっちやりたいのかもしれないな。
ラース・ワウへの出発直前に明命からの情報。
「アの国との国境で白蓮のオーラバトラーを確認しました!」
俺の事前情報を有効活用したとしても、ちゃんと見つけてくる明命はさすがだ。
「ふむ。関羽がいるのだろう、相手にとって不足はないな」
華琳ちゃんが熱を上げている関羽が気にくわない春蘭、やる気だ。
むこうがオーラバトラーで春蘭がP-ドラグーンでも、レベルを上げたから不安はないけどさ。
「あちらさんのオーラマシン、隊長の情報通りだとしても、気になるわー」
ジームルグが完成し、その試乗も兼ねて真桜もちゃんときている。
ウィングキャリバーはオーラバトラーの輸送が目的の支援機だ。オーラバトラーとドッキングして長距離移動のパイロットの負担を減らすことができる。戦闘力もそれなりにあり、聖戦士ダンバインでは各国で量産された。
まあ、ウィングキャリバー自体が残念な扱いなのが聖戦士伝説だったけどね。
だからパイロットを乗せるなら強いオーラバトラーの方がいい。ジームルグが完成しても無線操縦か自動操縦が完成するまでは量産は見送る予定だ。けどあれって、無人で動かすのってオーラ力の供給はどうしてるんだろうね?
「ダーナ・オシーはゲド以下だよ。乗ってるのが聖戦士だから油断は禁物だけど。ゼラーナはすごいんじゃないかな? このナムワンより小さいのに攻撃力があって速い。フォウは……合体が特殊だからジームルグの方がいいでしょ。っと、出たな」
話してる間にナムワンと同サイズのオーラシップが現れた。しかもオーラマシンを展開している。
「ゼラーナだ。あっちもやる気だ!」
「まかせろ!」
春蘭のP-ドラグーンがナムワンを飛び出した。格納庫にいる飛竜はなんとなく可哀想に見えるんで、早く全員オーラマシンにしてあげたい。
俺たちもそれに続いて出撃。戦闘開始だ。
敵はオーラシップ『ゼラーナ』にオーラバトラー『ダーナ・オシー』、ウィングキャリバー『フォウ』にグライウィング『シュット』の4機。
最後のグライウィングで急に格が落ちるが、乗っているのはリーダーであろう桃香である。
「あのおっとりした外見は仮面じゃったか」
「どうだろう? でも、用心するにこしたことはない」
桃香が担当しているニー・ギブンはシュットからのライフル射撃でダンバインを撃墜している。そう、あの悲劇のトカマク機撃墜の犯人だ。油断できる相手ではない。
「春蘭はダーナ・オシー……秋蘭もフォローにむかったか。凪はゼラーナ、真桜はフォウを!」
「了解!」
アルダムの通信機から返答が返ってくる。オーラマシンはこのへんも便利だ。P-ドラグーンだと手や竜で合図をしなきゃいけないもんなあ。
「さて、できれば殺したくないけど……」
「なんじゃ? コウイチはああいうのが好みか? たしかに華琳殿は少し胸が寂しいが」
「なんでそんな話になるの? 俺は華琳ちゃんの胸で十分に満足してます!」
戦闘中にそんなこと言うなんて、祭はやっぱりフェラリオだな。
シュットはちょこまかと飛び回りながら、こちらを狙ってくる。移動力はあっちの方があるんだよな。そのせいで捉えきれない。むこうの攻撃も当たらないけどさ。
「飛び道具は使わんのか?」
「補充に金が掛かる!」
聖戦士伝説の飛び道具は弾数制で、しかも補充しないと回復しない。もちろんこの世界も同じだ。
それだけじゃなくて、アルダムの持ってるミサイルランチャは特殊な射界で結構狙いにくい。これは同じ装備を持っているダーナ・オシーも一緒だ。ミサイルとは名ばかりで、誘導されず、真っ直ぐ飛ぶだけの噴進弾だから、この桃香には当たらない気がする。
「……逃げるのか?」
シュットが急に踵を返して、アルダムから遠ざかっていく。
俺が桃香を攻めあぐねている間に、他のみんなは敵機にダメージを与え、撤退を決意させたようだ。
「追いますか、隊長?」
「いや、深追いの必要はない」
逃げる敵は手負いの獣、怖いわよ。ってのはマーベルじゃなくてマーベットさんだったかな?
警戒しつつラース・ワウに向かいながら、デブリーフィング。ゼラーナの戦力を報告しあう。
「ダーナ・オシーはたしかに貧弱だが、関羽は違うな。戦慣れしている」
「それは私も感じた。あれは相当の場数を経験しているな」
2人の将軍がそう評価するなんてマジですか。まさか本当に三国志の関羽とか?
「フォウはなかなかええ機体やったな。運動性はジームルグより上かもしれへん」
そりゃ、反ドレイク陣営で量産するだけの価値がある機体だからね。ただ、フォウを正式採用したせいで、ラウ、ナの量産型オーラバトラーはフォウとドッキング可能なサイズという制限ができて大型化しなかったんだよなあ。
「ゼラーナはナムワンよりも速かったです。攻撃力もありそうでした」
うん。うちにもゼラーナほしいよ。ナムワンじゃ遅すぎる。
「シュットは折りたたみできる他は、ミューと大差なさそう。……やっぱり生身が見えてるとやりにくいなあ」
「腑抜けたことを!」
そりゃ騎士の春蘭から見たらそうなんだろうけどさ……。今のうちにバイストン・ウェル征服は俺には無理そうだ。
ラース・ワウに着くとさっそく麗羽に挨拶。
「ご足労かたじけないですわ、コウイチ王」
いや、俺は王代理だけどね。
「麗羽がくれたナムワンのおかげで、そんなに苦労はないよ。それより、また召喚したんだって?」
「ええ。強いオーラ力を持った聖戦士さんたちですわ! おーほっほっほ! 今晩、彼らのために宴席を設けさせましたの。ぜひともご出席なさって」
上機嫌の麗羽。でも、その宴会の最中にテロにあうんだよ。その時まで教えないけどさ。
その夜、宴会の中で俺は3人の地上人を紹介される。
「おーっほっほっほ! ご紹介しますわ。この3人が新たな聖戦士ですわ!」
そこにいるのは2人の少女と1人の少年。
「ボクは許緒だよ。よろしくね」
「典韋です」
2人ともちっこいな。ランドセルが似合うんじゃ……麗羽、こんな小さな子を本当に戦わせるつもり?
「北郷一刀」
こっちは普通に日本人っぽい名前だ。これがショウ・ザマ担当だろうか。
「リの国王代理、コウイチ。よろしく」
「おっちゃんも地上人なの?」
「季衣! ……す、すみません」
典韋ちゃんが許緒ちゃんに注意。季衣ってのはあだ名だろうか?
「ああ、いいよ2人から見たら俺はおっさんだろうから」
実際そうなので気にはならない。これが北郷君なら生意気な、って思ったかもしれないけど。
「俺も君たちと同じようにバイストン・ウェルに召喚されたんだ」
「王様、なんですよね?」
「代理だけどね」
トッドのようにジャパニーズがってつっかかってくる子はいないので、少しほっとする。
「北郷君は制服ってことは学生?」
「ええ」
「許緒ちゃんと典韋ちゃんは……」
いくつ? って聞きたいけど聞けない。
「許緒と典韋、まるで三国志だ」
2人を見ながら北郷君がそう呟いた。
えっ、今なんて? もう関羽と会っているの?
「コウイチ王、こちらにいらして。面白いものをお見せしますわ。新型のオーラバトラー『ドラムロ』ですの! おーっほっほっほっほ!」
麗羽の示す先にはガッターと戦うドラムロ。聖戦士ダンバインではドラムロが一番格好いいシーンとして有名だ。
「ドラムロ……乗ってるのは猪々子? やっぱりいいな」
ゲドよりは大きいが、薄く小さな頭がほぼ胴体に埋まった重装甲の丸っこい機体。手には太い爪状の指が3本。その指で剣を使うんだからたいしたものだ。
うん、ほしい。早くうちでも量産したい。
ただ……こんな金ピカだったっけ? これが麗羽軍仕様のカラーなんだろうか。赤だとカニっぽく思えてたドラムロだけど、これはまさしく
「わかるんですの? まだ調整段階で猪々子さんしか乗りこなせませんでしてよ」
軽快に飛び回りガッターを倒すドラムロ。
「この力、全て麗羽様と嫁のために!」
はい? そんな台詞だったっけ?
「嫁?」
「猪々子さんたらまったく……」
その続きが気になったが、残念ながら爆発音に邪魔されてしまった。
「何事ですのっ?」
「敵襲です!」
桃香たちがきたか。猪々子の嫁が気になるけど、仕方がない。
「麗羽殿、騎団を出します! そちらも!」
「わかりましたわ! 猪々子さん、やっておしまいなさい!」
俺はナムワンへと走り出す。ゼラーナがくるのがわかってたから、アルコール摂取しなくてよかった。……高そうなお酒だったから撃退後にちょっと飲ませてくれないかな?
「あやつら、正義を名乗るわりに姑息じゃのう」
「ニーのやり口ってほとんどがテロなんだよ……戦力的にそれしか方法がないのかもしれないけどさ」
祭とアルダムに乗り込んで準備完了。すぐに発進する。
飛び上がってすぐにダーナ・オシーと遭遇した。
「関羽、か」
もしかしたら本当に三国志の関羽なんだろうか。オーラ力とは別の迫力を確かに感じてしまう。
風防を開けて顔をさらす彼女に返すように、こちらもアルダムの風防を開ける。
「麗羽につくのなら貴様も敵! 敵ならば……墜とすっ!」
むう、すごいプレッシャーだ。レベル上げてなかったら確実に気圧されていたな。
ダーナ・オシーと一騎討ちになったアルダム。同じ系統の機体同士の戦いは装備も似てて、乗り手の技量での勝負となる。
まあ、オーラ力の差でごり押ししたけどね。
「くっ」
何度か切り結ぶも、アルダムの剣は、ことごとくダーナ・オシーの剣で受け止められてしまった。
剣の腕はあちらが上と悟った俺は、鍔迫り合いのままアルダムのコンバーターを吹かして圧していく。
咄嗟にミサイルランチャをこちらに向けたのはさすがだが、俺はそのダーナ・オシーの左腕を切り落とした。
「やるっ……」
切断した腕が持つミサイルランチャが発射され、当たりはしなかったがアルダムの背後で爆発。それに気を取られた隙にダーナ・オシーははるか遠くへと離れていた。
「退き際を心得ておるのう」
「退けたって言っていいのかな、これ。ふぅっ、強獣とは全然違うな……」
「コウイチ、汗ビッショリじゃぞ」
そりゃそうでしょ。すごい緊張感だったんだから。
うわ、マジだ。また革鎧のニオイがキツくなりそうだ。
「コウイチ王、お見事でしたわ!」
「いや、取り逃がした……」
華琳ちゃんに関羽を捕まえるように言われてたけど、無理だよ、あんなの。
これからもっとレベルも上がって、オーラバトラーも乗り換えるだろうし、強敵だな。
「お気になさらずともかまいませんわ。おかげでこの程度の被害ですんでおりますもの。ですが、これではっきりしましたわ! 白蓮さんは世を乱す逆賊ですわ」
逆賊っつうか、テロリストだよね。
「コウイチ王、逆賊白蓮さんを討つため、お力添えをお願いしますわ」
むう。どうしたもんだろうか?
華琳ちゃんたちとの会議では、協力を拒否することになっていたんだけど……。