女だらけの聖戦士伝説に召喚された 真・恋姫†有双……になるはずが(仮)番外編 作:生甘蕉
俺は予定を変更し、麗羽の要請を受け入れた。
別にタダでナムワンを貰った借りを返そうというわけではない。他にちゃんとした理由がある。
「聖戦士たちの保護?」
「ああ、白蓮攻めの時に聖戦士の1人がやられてしまう。それを防ぎたい」
イヌチャンマウテンではトカマクが死亡する。ロウルートなら仲間にすることができるが、カオスルートではそれもない。俺がカオスルートへのシナリオを進めたせいで、トカマク担当の地上人が危険なのだ。
ショウは北郷君だとして、許緒ちゃんか典韋ちゃんのどちらかはわからないが、あんな小さい子が死ぬなんて見過ごせないでしょ。
「ふむ。まあ、そういうことなら華琳さまもそんなには怒らないだろう」
予定変更に戸惑っていた将軍たちも納得してくれた。
「ふん。次こそ関羽を仕留めてくれる!」
春蘭、よくあれと何度もやりたがるなあ。
「ともかく、ダンバインの護衛を優先してくれ」
「了解しました、隊長!」
うん。凪は頼りになるなあ。
「ウチのジームルグならピンチにも間に合うやろ」
その時は戦わないで、救助だけしてさっさと逃げてくれ真桜。ジームルグだと関羽はキツいから。
「まかせてなの!」
沙和、いざとなったらナムワンが活躍するかもしれないから落とされないでね。
白蓮領内の山岳地帯、イヌチャンマウンテンで猪々子の部隊と合流する。
地上人のダンバイン、猪々子のドラムロ、斗詩のドロが先行するというので俺たちは後詰めをまかされた。
聖戦士伝説と同じとはいえ、ダンバインから離れてしまうな……。
「きたぞ、ゼラーナのやつらじゃ!」
「ここまできたってことは……。早く倒すぞ! 真桜は救助に向かってくれ!」
「了解や!」
もうあの子たちのどちらかが死んでしまったんじゃないかと不安になりながら、俺は戦闘を開始した。
「コウイチ王か、前回とは気迫が違う?」
「関羽、今はお前に構っている暇はない!」
むこうの声が聞こえたが、かまわずに俺はダーナ・オシーを撃退。剣の腕では負けてても、力押しでまだなんとかなる、か。
「これ以上の戦闘は無理! 撤退します!」
俺たちにも聞こえるくらいの声でシュットの桃香が叫び、ゼラーナ隊は撤退していった。関羽の捕獲は惜しいが、ゼラーナは足が速く、ナムワンでは追いつけないし、今はそれどころじゃない。
戦闘終了を見計らって猪々子のドラムロが近づいてくる。
「さすがっした、コウイチ王。これで麗羽様におしおきされないですみます!」
「とすると……」
「きょっちーが……許緒が墜とされました」
くっ。わかってたはずなのに防げなかった……。
「けど、リの騎団のおかげでゼラーナを追い払えたぜ。きょっちーも浮かばれるよ」
「いや……、リとしても隣国の乱れは見過ごせないからね。それじゃ、部隊を回収したら俺たちは帰るよ」
部隊を回収したら、ね。
「隊長、見っけたで! 壊れたダンバイン2騎に地上人1人や。地上人の方は……生きてっけど重傷や。このままだと長くはないで」
「そうか。急いで運んできてくれ。大至急だ!」
ダンバインが2機? ……そうか、聖戦士ダンバインではここで撃墜されたのはトカマク機だけだったけど、聖戦士伝説ではトッド機もそんな扱いになっていたな。次のギブン家襲撃、
許緒ちゃんが死んじゃうんじゃないかという怖い考えを誤魔化すために、そんなことを思い出していたら、真桜のジームルグが到着した。
「将軍たちと凪はダンバインを回収しとる」
「そうか。なら、許緒ちゃんをそこへ寝かせてくれ」
「そこ……ってなんもないんやけど?」
「ナムワンの隣に適当に。そっとやさしくね」
俺は叫びながら、ナムワンのブリッジへと急いだ。
「沙和、やってくれ」
「う、うん、がんばるの!」
ナムワンにオーラの光が集中する。そして、すぐそばに寝かされている許緒ちゃんへとその光が移った。
「どうだ?」
「ここからだとよくわからないのー」
それもそうか。
「俺のオーラ力も使ってくれてかまわない! どんどんやってくれ!」
「わかったの! 隊長との共同作業なの!」
赤い顔で沙和が頷き、それは続けられた。そう、オーラシップによる『回復』が。
聖戦士伝説では、ユニットごとに特徴があり、オーラシップは戦闘中に
これは他のゲームのように艦に収納して修理、ではなく、隣接したユニットを艦長のオーラ力を消費して回復させるのだ。
なにやら不可思議ではあるが、バイストン・ウェルは強いオーラ力でたいていのことは説明できるらしい。プラズマと同じだ。だから深く考えてはいけない。
で、この回復なのだが、オーラマシンだけでなく、生き物であるP-ドラグーンにも使える。となれば、怪我人に使えてもおかしくはない!
そう信じて俺は許緒ちゃんの治療を願い、沙和の回復を手伝い続けた。
「疲れたのー」
「俺もだ。でもほら、効果があったみたいだぞ。許緒ちゃんが起きたって真桜から通信があった」
半身を起こし、キョロキョロしてるのがジームルグからでも見て取れたらしい。
「よかったのー」
「ああ、沙和のおかげだ」
よかった。もし許緒ちゃんに死なれたらと思うと……。
……俺が身代わりになった時の華琳ちゃんもこんな気持ちだったんだろうか?
「麗羽のとこに戻らなくていいの?」
トルール城に戻った俺は、連れ帰った許緒ちゃんに確認する。怪我はもう完治しているようで傷跡すら残っていない。オーラシップ治療すげえ。
「うん。ボク、おっちゃんといっしょに戦う!」
「いっしょに召喚された典韋ちゃんはいいの? 仲よかったみたいだけど友達なんだよね?」
「あっ……流琉ならだいじょうぶだよ、きっと」
まあ、トッド担当なら仲間にできるけどさ。
「それに、ボクが無事なのを知らせたらこっちにきてくれるかも」
「なんでそこまでして、リの国に?」
「だって、おっちゃんは命の恩人だもん! ボクが大怪我で倒れてる時、なんか、おっちゃんの感じがして、気づいたら怪我が治ってたんだ」
回復に使った俺のオーラ力を感じたってことか? でも、メインは沙和だったはずだけど。
「コウイチのオーラ力が強すぎて沙和のオーラ力を塗り潰してしまったのね」
「隊長色に染められちゃったのー」
そんなことあるのか? あと沙和、なんでそんなに嬉しそうなの?
「あ、あの……っ?」
ああ、華琳ちゃんをまだ紹介してなかったっけ。
「名乗るのが遅れたわね。私は華琳、このリの国の王よ」
「リの国の王さま……あれ? おっちゃんも王さま……」
俺は代理だってば。
少し悩んだ許緒ちゃんは、やっとわかったらしい。
「……あの、華琳さまがおっちゃんの奥さんなんですか?」
王と女王って理解したのかな。嬉しいけど……俺と華琳ちゃんの関係ってどうなってるんだろ?
華琳ちゃんの気持ちがよくわからないんで、あまり深く考えないようにしてるんだよね。
「ふふっ、面白い子ね。名前は?」
「き……許緒と言います」
許緒ちゃんは華琳ちゃんを前に緊張してるみたいだ。
「そう。この国で働きたいのね」
「は、はい!」
「認めましょう。許緒、あなたの友人も受け入れるわ」
「ちょ、ちょっと華琳ちゃん、こんな小さな子を戦わせるつもり?」
そりゃ召喚されるぐらいだからオーラ力は強いんだろうけどさ、まだこんなに小さいんだよ。
「ちょっとおっちゃんっ! ボク、もう子供じゃないよっ!」
「……コウイチ、どういう意味なのかしらね?」
なんで華琳ちゃん俺を睨みますか。
「友よりもコウイチ殿を選んだということは……このような幼子に手を出すなんて」
稟までなに、その冷たい目。
「誤解だってば!」
「わかってるわ、冗談よ。許緒、春蘭と戦ってみなさい。コウイチ、それで実力を見てからならいいでしょう?」
「……うん」
いくら春蘭でもこんな子供相手なら手加減してくれるだろう。
そう思ってたらさ。
「やるではないか!」
許緒ちゃん、すごい怪力でしかもなかなかの戦闘力。
あんな巨大な鉄球振り回してさ、確実に俺より強いよね。
「これで文句はないわね?」
「う、うん」
「おっちゃん、ボクが守ってあげるからね!」
その台詞は俺の方が言いたいんだけど……。
なんでこんなに懐かれちゃったかなぁ?
回収したダンバインの解析と修理が終わったので、試乗してみた。
「どないな感じやった?」
「いい感じだ。アルダムより速いんじゃないか? パワーもありそうだし……」
ステータスを確認してみると、実際にアルダムよりもかなり強い。
あれ? 聖戦士伝説だとドラムロやアルダムよりダンバインは弱かったはずなんだけど……。
これもやっぱり聖戦士ダンバイン本来の設定が復活してるのか? ダンバインは相性問題があるっていう。それさえクリアできれば、無限の力を発揮するオーラバトラーって。
「それは隊長専用騎やな。聖戦士専用騎やから他には使えへんし」
「ダンバインに乗るのか」
いや、俺ABランキングでトップ3に入るオーラバトラーだけどさ。
「緑色はちょっとあれやから塗りなおそな」
やっぱりトカマク用が回されるのか。そっちは聖戦士伝説と同じなのね。
「もう1機の方は?」
「あっちはもう少し研究開発したいんや」
聖戦士伝説と同じなのかそれとも違うのかはよくわからないが、イヌチャンマウンテンで回収できたダンバインは2機。
青いからトッド用だろう。典韋ちゃんがトッド担当だとすると、北郷君がやはりショウ担当か。やっかいだな。
聖戦士伝説でもショウはトップクラスの強さを持っている。その彼担当が操るダンバインが本来の能力を発揮するとなると、非常に厄介だろう。
だからといって、ゼラーナ隊への裏切りを阻止するつもりは全くないが。
……だってさ、俺より強い聖戦士が味方にいるってことになったらさ、華琳ちゃんが俺じゃなくて、北郷君の子供をほしがるかもしれないじゃないか。
そんな展開にさせるわけにはいかないでしょ!
「では、アルダムには季衣、あなたが乗りなさい」
「はい!」
元気よく返事をする季衣ちゃん。
季衣、というのは許緒ちゃんの真名だ。真名とは神聖な名前で、本人から呼んでもいいと許された者しか、使うことはできないらしい。
俺や華琳ちゃん、リの騎団のメンバーは真名で呼ぶことを許されたんで、季衣ちゃんって呼んでいい。
「兄ちゃんのおさがりだね」
おさがりというか、季衣ちゃんのダンバインを貰うから、ある意味スワッ……。
バカなことを考えてきたらデータを記帳し終えた桂花が言う。
「精戦士が使っていたのよ、妊娠しないように操縦席は総とっかえね」
「そんなことで妊娠するか!」
桂花は華琳ちゃんが大好きなようで、俺への当たりが強い。
「するわよ! 華琳さまだけじゃ飽き足らず、こんな子にまで妊娠させるつもり!」
桂花の中では華琳ちゃんの妊娠は確定らしい。……その可能性は高いけどさ。
強獣の森で季衣ちゃんのレベル上げを行った数日後、猪々子が使者としてトルール城に訪ねてきた。
白蓮が麗羽に会談を持ちかけてきて、その護衛の依頼だ。
俺は、今度こそ予定通りにそれを断った。
「ナムワンのお礼は前回のイヌチャンマウンテンの戦いで十分でしょ。季衣ちゃんも保護できたし、会談に参加する必要はないよ」
「それだけかしら?」
ぎくっ! 華琳ちゃんに俺の企みがバレた?
「白蓮と会えば、コウイチ、あなたは彼女をも死の運命から助けようとするかもしれない。私や季衣のように。それが怖かったのではないの?」
「そんなことはないよ」
白蓮もやっぱり女なのね。確かに、死ぬのがわかっている人に会えば、そんな気にもなるかもしれないけどさ、それを恐れてはいない。
俺が断った一番の理由。それは、ここで断らないと北郷君はゼラーナに行かなくなるからだ。北郷君の寝返りフラグを折るわけにはいかない。
「まあ、いいわ。明命、会談の情報を集めなさい」
「はいっ!」
明命、あちこちの情報を集めているけど、どうやって移動しているんだろう? ミューかシュットかな? でもあれ、航続距離はそれほどでもないし……。明命にもオーラバトラーを用意した方がいいかもしれない。
会談はやはり穏便にはすまなかった。
白蓮の屋敷が焼き討ちに遭ったのだ。聖戦士伝説と同じ展開だけど、これを猪々子が? なんか違う気もする。
あの娘だと白蓮が潜ませていたはずの語り部にも気づかないような……。
まだ誰かそういう裏の仕事を行うやつがいるのかもしれない。
反逆者白蓮との戦に勝ったと、ラース・ワウでは戦勝祝いの祭りが行われている。
俺たちも向かった。祭りも気になったし、もちろん他の目的もある。
「派手にやっておるのう」
「あの屋台、あとで行ってみたい!」
「華琳さまのお土産を買うのが先だ!」
いや、本当に他に理由があるんだよ。
だから、騎団のみんなには祭りを楽しみつつも、いつでも出撃できるように準備はしてもらっている。
季衣ちゃんは典韋ちゃんに会いたかったらしいけど、麗羽軍の主力は白蓮を捜索中で留守なはずだ。その内に会わせてあげるから待っててね。
「お久しぶりです、麗羽殿」
「コウイチ王、私の勝利をお祝いしにきてくださったのですね!」
「え、ええ、まあ」
「おーっほっほっほ! お祝いのために2人もの王がきてくれるなんて、さすがは私ですわ!」
だから本当は別の理由があるんだってば。
あと、2人ってことは、ビショット・ハッタ担当もきているのか。
「ご紹介いたしますわ、クの国の王、美以さんですわ。美以さん、こちらはリの国の王で聖戦士のコウイチさんでしてよ」
「我こそはクの国の王美以なのにゃ! 聖戦士よ、よろしくにゃ!」
「……俺はリのコウイチ、よろしく」
紹介されたのはやはり女性で、しかも少女。さらにネコミミ、尻尾という予想のななめ上をいく存在だった。
え? なに? バイストン・ウェルって獣人いたっけ?
混乱している俺に麗羽が得意気に情報を披露する。
「コウイチ王。白蓮さんがアカシャの森に秘密工場を建設しているという噂はご存知?」
知っているよ。ギブン家は各地に秘密工場を持っているんだ。白蓮もきっと同じ。そのどれかに白蓮が潜伏してるって探させているんでしょ。
「ふむ……」
聖戦士伝説では、アカシャの森の秘密工場で回収したダンバインを修復していたけれど、ダンバインは2機ともリが確保した。とすると、こっちでは、なにをしてるんだろう?
アカシャの森の調査を決めた時、爆音と衝撃がドレイクの館を襲った。
「て、敵襲! 白蓮の軍勢ですっ!!」
きたか。これで予定がこなせるな。
「麗羽殿、リの騎団も出撃しましょう」
本当はもっと美以ちゃんと話がしたかった。できれば肉球に触らせてもらいたかった。後ろ髪を引かれつつ、俺はナムワンへと急いだ。
襲ってきたのは当然のごとくゼラーナ隊。
リの騎団と麗羽軍のわずかなオーラマシンが迎え撃つ。
その戦闘の最中、北郷君の白いダンバインがダーナ・オシーのミサイルをくらい、麗羽の館へと落ちていく。
「うまいこと、墜落に見せかけるなあ」
「なんじゃ、あれはやはり演技か?」
「そう。あのダンバインを追うよ」
関羽のダーナ・オシーは凪のゲドと季衣ちゃんのアルダムが相手をしてくれている。季衣ちゃんが撃墜されたのはオーラバトラーの操縦に慣れてなかっただけだろう。もうアルダムの操縦にも慣れたし、なによりレベルカンスト超だ。きっとだいじょうぶだ。
白いダンバインを追って館のそばに近づく。ちなみに俺のダンバインは「せっかくやから」と、赤く塗装されていた。……違うんだ真桜、その台詞の時は選ぶのは赤じゃないんだ。
赤いダンバイン……ビルバインのプラモデルが買えなくて、ダンバインを赤く塗って、これは違うと嘆いた子供時代を思い出したよ。
「北郷君、誰を握っている?」
「コウイチか! くそっ!」
あれ? いきなりおっさんを呼び捨てですか?
現代日本の教育はなっとらん。これだから若いもんは……ってなんか自分が余計に年くったような気がしてくるから止めておこう。
「コウイチ王、妾は美羽じゃ! 妾たちを見逃すのじゃ!」
白バインが握っていた美羽ちゃんは幼女だった。金髪で麗羽に似ている。彼女がドレイクの娘、リムル・ルフト担当と見て間違いない。
「北郷君、幼女誘拐とは見損なったぞ!」
紳士失格だよ、まったく。もちろん俺は見逃すつもりはない。
「誰が誘拐犯だ! 俺は……」
「とにかく、その娘を離しなさい!」
あんなにちっこいんだから、ダンバインに乗せてあげればいいのになんで手に持つのを選んだんだか。
美羽ちゃんを持っているせいか、北郷君、いや、北郷は戦いにくそうだった。だけど遠慮するつもりはない。背後に回りこんで、コンバーターを攻撃、その損害にひるんだのか、美羽ちゃんを落とす北郷バイン。
「ふう。危なかった。……狭いけど、おとなしくしててくれ」
落下中になんとか美羽ちゃんを受け止め、コクピットに引きずり込む。
「落ちるのじゃー!」
いや、もう落ちてないから、目を開けてじっとしててってば。
「美羽姫は返してもらった。同じ地上人のよしみだ。見逃してあげるよ」
「落ちるー。助けてたもー」
「……ゼラーナぐらいしか、行くところはないだろうけどね……そろそろ麗羽軍が気づく、行きなさい」
北郷は無言で去っていった。
……うん。これでミッションコンプリートだ。北郷をゼラーナに押し付けるためにラース・ワウにきたんだよ、俺は。
「……やや? どうなっておるのじゃ? 妾は助かったのかの?」
「うん。なんで北郷と一緒に行こうとしたんだ? 知らない人についていっちゃいけないって教わらなかったの?」
「お祭りが見たかったのじゃ!」
あれ? ニー担当の桃香に会いにってわけじゃないの?
……どっちも女の子だからそれはないのか。
「美羽さん、ご無事でしたか、よかったですわ」
「れ、麗羽姉さま……わたくしはリの国へ留学しとうございますわ」
姉さまということは娘じゃなくて妹だったのか。けど、いきなりなにを言ってるの、この幼女?
「美羽さん……そう、聖戦士であるコウイチさんが気に入ったのですのね。わかりましたわ、コウイチさんを美羽さんの婚約者と認めますわ! おーっほっほっほ!」
「なにがわかったの!?」
思わず声に出してしまった。なんでそうなるのさ。
クの国の王と婚約してるんじゃ……あのネコミミ美以ちゃんも女の子だからそれは無理か。となると俺が政略結婚の相手として選ばれたってこと?
「ちょっと、どういうことか俺にはわからないんだけど?」
高笑いを続ける麗羽から隠れるように美羽ちゃんとひそひそ話。
「妾の脱出を邪魔したのじゃから、責任をとるのは当然であろう」
「俺のせいなの?」
「無論じゃ。妾の幼い肢体をあんな狭い密室で弄んだ責任をとってもらうのじゃ」
「なんて人聞きの悪い……」
だから北郷はコクピットに入れなかったのだろうか?
結局、麗羽に押し付けられる形で美羽ちゃんを任され、トルール城にお持ち帰りする破目になってしまった。
今は、家出未遂の事情を聞いている。
「麗羽から逃げたかったのじゃ。七乃もおらんで退屈じゃったしの」
「七乃?」
「彼女の教育係です。有能ですが、性格が悪いことで有名です。白蓮の捜索にかり出されていたのでしょう」
ミュージィ・ポー担当なのか。性格が悪いのが有名ってどんだけ……。
「でも美羽ちゃん家出なんかしちゃ駄目だよ。北郷と一緒だったとしても、彼はこっちのお金なんか持ってないだろうから苦労したと思うよ」
北郷もなぜ美羽ちゃんを連れていこうとしたんだか。まさかやつも聖戦士ダンバインか聖戦士伝説の知識持ち?
……いや、聖戦士伝説プレイ済みならリの国の王と接触しようとするはずか。
「問題はないのじゃ。金ならこれを売り払って手に入れるつもりじゃったのじゃ!」
「これは……オーラ増幅器?」
美羽ちゃんが懐から取り出したのは、聖戦士ダンバインでリムルが持ち出したオーラ増幅器の設計図?
そんなとこはちゃんと再現してるのね。
設計図を覗き込んだ桂花と真桜が唸る。
「これを使えば、ダンバインをコモン用にできるやろ。ドラムロなんか買うてコピーせんでもそれを量産化すればええやんか!」
「ダンバインを量産するのは無理ね。ゲドやダンバインに使用されている強獣キマイ・ラグは乱獲によって数が減少しているわ。今では見つけるのも難しいわよ」
「麗羽がたくさん倒して、ゲドをたくさん売って儲けたのじゃ」
聖戦士伝説ではキマイ・ラグなんて出てこないけど、そんな話もあったりする。
それがなければ、ダンバイン量産してもいいんだよね。リの1軍の騎士たちのオーラ力なんてヘタな聖戦士を超えてるから、オーラ増幅器なんてなくたって動かせるんだ。適正はわからないけどさ。
「ガッターやドラウゲンを素材にするしかないだろうね。それなら、強獣の森で補充できる」
ドラムロの装甲はたしかガッターだったはず。
「せやなあ……」
「それよりも隊長、美羽ちゃんと婚約したって聞いたのー!」
沙和、なんでここでそんなこと言い出すかな?
「誤解だ。麗羽がそんなこと言ったけど、俺は了承してないぞ」
「あら、かまわないわよ。聖戦士ですもの、側室がいてもおかしくはないわ」
華琳ちゃん、そんなの初耳なんですけど。
「なんじゃ? 聖戦士さまはすでに正室がいるのかの?」
「私よ」
それも初耳……ってええええ?
「そうだったの!?」
「なんであなたが驚くのよ」
「……ごめんなさい。謝るから睨まないで」
だって、そんなこと一言も言ってくれなかったじゃないか。
「お主がか? 何者なのじゃ?」
「あら? 美羽とは会ったことがあるはずだけど忘れたのかしら? 私は華琳。リの国の王よ」
「バカなことを言う女じゃ。華琳は死んだのじゃ。それで麗羽がいつも楽しそうにバカ笑いしておるのじゃ」
まだ喜んでるのか。
「美羽ちゃん。華琳ちゃんの顔をよーく見てね」
「だから華琳は死んだのじゃと……か、華琳? な、なぜじゃ? お主は死んだのであろう?」
美羽ちゃんがこちらに走ってきて俺の影に隠れてガタガタブルブルと震え出した。
「せ、聖戦士さま、助けてたも! 妾は華琳が死んだのには関係ないのじゃ! やったのは麗羽なのじゃ! 華琳、祟らないでほしいのじゃ!」
華琳ちゃんを幽霊だと思ってるの? ……死後の世界なはずのバイストン・ウェルにも幽霊って出るんだろうか?
「美羽ちゃん、華琳ちゃんは幽霊じゃないから安心して。ちゃんと生きてるから」
「な、なんじゃと?」
「本当よ。私は死んでないわ」
恐る恐る俺の背後から顔を出す美羽ちゃん。
「……足があるのじゃ」
バイストン・ウェルの幽霊も足がないの? それともテレパシーっぽいものによる意訳?
「うむ。華琳は死んでおらんのじゃ! ……となると、これを知った麗羽がどんな顔をするか楽しみじゃのう」
「気が合うわね」
「同じ男を夫にするのじゃ。気も合うであろう!」
いや、あのね。このままいくと美羽ちゃんの夫になるのって決定事項にされそうなんですが。
「ふふふ。麗羽は美羽を使って苦もなくリの国王と親戚となるつもりでしょうけど、それが側室で、しかも王である私が健在と知ったら……」
「楽しみじゃのう」
うわ、2人してなんか悪い顔をしてる。俺や季衣ちゃん、3騎士はドン引きだよ。
「コウイチはもっと妻を増やすから、麗羽が悔しがるわ」
「え? なにそれ?」
「それなら、可愛い子を合法的に閨に連れ込めるわ!」
「合法的にって……」
それ、俺じゃなくて、華琳ちゃんがってこと?
「迂闊に手を出すと王族は面倒ですから」
「華琳さまは女の子が大好きなのですが、国のためを思って自重なさってたのですよー」
稟と風が大きなため息をつく。
「あなた達が邪魔をしていただけじゃない」
「家老の務めです」
「別に稟でもよいのだけど?」
「わ、私が? ……ぶはっ」
うわ、噴き出した鼻血が見事なアーチを描いた。どんだけの勢い? 稟、倒れちゃったけど……。
「だ、だいじょうぶなのか?」
「いつものことよ。もし危険なようなら、『ナース』で治療なさい」
ナースというのは、うちのナムワンの艦名だ。各国にナムワンが出回ってるんで、区別のために名前が必要となって名づけられた。由来は円盤に変形する宇宙竜……ではなく、もちろん看護婦さんからである。
「ふが……らいりょうふれふ」
鼻にティッシュを詰めて稟が起き上がった。
「本当につらかったら、遠慮せずに言ってくれよ」
「……ほのとひはおねらいひまふ」
いつもはキツイ感じの稟が……これはこれで可愛いな。
「ただし、誰でもというわけにはいかないわコウイチ。可愛い娘、美しい娘限定よ!」
「まだその話続けるんですか……」
いい加減、おっさんイジるの勘弁してほしいんですが。
華琳ちゃん、退屈なんだろうか? そろそろ生きてることをちゃんと公表して表に出た方がいいのかもしれない。
「なら、沙和たちにもチャンスあるのー」
「沙和まで……」
「なん、隊長狙いやったん?」
「隊長のオーラ力感じちゃった時、この人だってわかったのー」
「あ、それボクもわかるー」
季衣ちゃんまで悪ノリしないでくれ……。
「ふふっ、楽しみね」
「はいはい。そうですねー。それよりもアカシャの森の調査なんだけど」
「なにその棒読み? ……調査は行いましょう。もし工場があるなら接収するわ。リの領土なのだから」
工場あっても、ダンバインはないだろうけど、なにやってるかは気になるし、この話題からも逃げたい。さっさと調査に出発しよう。
「本当に工場があったのう」
「まったく、よその国に勝手に造らないでほしいよ」
おかげで、ついに人殺しをする破目になっちゃったじゃないか。
工場を護衛していたオーラマシンを倒した時、敵のオーラ力が消えていくのがはっきりと認識できて、殺してしまったというのがわかった。今までは俺が殺した死体が見つからなかったので、俺内部では生死不明ですませられたのに、これで確定。オーラ力に敏感になるのも考え物だ。
空き巣が居座ったようなものだから……工場をほっといたら、ここで造られたオーラマシンでリの国民に被害が出たかもしれないし……うう……吐きそう。これも慣れるんだろうか?
吐き気をこらえながら工場内を調べる。
オーラマシン以外の抵抗はなかったのがせめてもの救いか。
剣と銃は持っているけど、生身の人間を殺せる自信はない。精神状態的にも技量的にもね。
「思ったよりも大きな工場みたいだけど、なにを造ってた?」
「それがな、ゼラーナみたいなんや」
「ゼラーナ?」
調べてみると、本当にこの工場に建造中のゼラーナ級オーラシップがあった。
「ゼラーナの2番艦か?」
「みたいやな。せっかくやから貰うてこ。かなりできとるみたいやし」
「あ、うん」
聖戦士伝説にこんなのはなかったはずだけど……連中、ダンバインの残骸が回収できなかったからゼラーナなのか?
「どうしたのコウイチ? すごい顔色よ」
「なに。新兵がよくかかる病気じゃ」
城に帰った俺を出迎えてくれた華琳ちゃんに祭が俺の状態を説明してくれた。
もしかして俺、アムロみたいに白目になってるんだろうか?
「すぐに慣れ……いえ、そうも言ってられないわね」
なにかを思いついたのか、楽しそうにニヤリ。騎団のみんなを見回してから手招きして、俺には聞こえないように内緒話。
「これから……参加……」
何を話しているんだろう?
なんだかみんなの顔が赤い気がするけど。
「はっ、はい!」
真っ先に返事をしたのは凪だった。さすがリ騎士最速のナラシ担当だな。
「ボクも!」
「妾もじゃ!」
ちびっ子たちが続く。お菓子でも作ってくれるんだろうか?
疲れた時は甘いもんがいいもんなあ。
「華琳ちゃん、俺もう疲れたから休んでていい? あとでちゃんと仕事するから」
「ええ。寝るなら風呂に入ってからにしなさい。支度は済んでいるわ」
「そうか。ありがとう」
寝るつもりはなかったんだけどなあ。寝たらうなされそうな気もするし。……そんなことを考えるってことは、俺はもう、ここが夢じゃないのがわかってるんってことなんだよな。
夢じゃないのに人殺しか……ふぅ。風呂入って寝よ。
「……夢じゃなかったのか」
目覚めた俺はベッドの状況を確認して、
いつも華琳ちゃんと寝ているベッドは大きすぎると思っていたが、今は狭いぐらいになっている。
「春蘭、秋蘭、凪、沙和、真桜……季衣ちゃんと美羽ちゃんまで」
華琳ちゃんはまあいいとして、他にも満ち足りた顔で寝ている少女たちを確認しながら軽くため息。
「やっちゃった……」
風呂から上がった俺を彼女たちがむかえてくれて、俺を慰めるって、そのままなし崩しに……。
よく体力、というか精力もったな。レベルカンスト超のおかげ?
それとも、最近よく食事に出されるガッターのピーの料理のせい? 精がつくからって、わざわざ華琳ちゃんが作ってくれるから残せないんだよね。味はいいんだけど、素材を知ってるとちょっと躊躇する。
「よかったわね。次は風と稟、桂花と明命も呼びましょう」
「起きてたのか華琳ちゃん……」
いや、よかったのは確かだけど! 最高でしたけど! それを認めていいのだろうか?
みんなの責任、どうやってとればいいんだよ。
「戦乱が収まったら、きちんと側室にとればいいわ」
「いいのか、こんなおっさんに何人も……」
「手を出しておいて、今さらなにを言うのかしら?」
うっ。言われてみればたしかに……。
殺しちゃった兵士さん、そしてこれから俺のせいで死ぬ人たち、ごめんなさい。俺は責任とらなきゃいけない娘が多いんで、そっちの責任までとれません。
そのうち、お線香ぐらいはあげるからね。……こっちは線香ないか。まあ、供養の方法ぐらいはあるだろ。
接収し、トルール城になんとか持ち帰ったゼラーナ2番艦は修理、改修がされた。色もリ軍のカラーである黒に塗り替えられている。
……リ軍色って青じゃなかったっけ?
麗羽軍の金色みたいにこっちは色も違うのかもしれない。
「防御力の向上したった。一番の変更点は格納庫やな。
ゼラーナの大きなデザインポイントだけど、あれはたしかに危険だよな。
「それにともなって、重量が増したわ。ゼラーナは機動性を上げるためにかなり軽量化していたようね」
「えっ、ゼラーナの売りの速度が殺されちゃったの?」
「そんな失敗をするわけないでしょう! コンバーターをより強力なものに変更したわよ!」
桂花に怒られてしまった。まあ、そりゃそうか。せっかくゼラーナが手に入ったのにドン亀にしちゃもったいないもんな。
「おかげで、動かすんに必要なオーラ力は跳ね上がっとるんや。まあ、ウチらには関係ないけどな」
リの騎士たちはレベル上げをすまして、ほとんどがカンスト
「欠点があるとすれば、搭載できるオーラバトラーは4騎までで、艦首に接続できるのはフォウだけってことぐらいね。これ以上は艦の大きさを変更することになるわ」
「フォウも工場にあったんだっけ」
「ええ。開発もできるわよ」
フォウか。今うちにあるダンバイン、アルダム、ゲドは全てドッキングできるけど、今後量産
「それ以上のオーラバトラーはナースかジームルグで運ぶしかないか」
ジームルグの無線操縦化と量産化、急がないといけないね。
「せやな。あとは名前やな」
「リィゼナーじゃ撃沈されそうだし……」
なにか強そうな名前……聖戦士ダンバインは神話や物語由来のファンタジー系の名前が多いんだよな。
「じゃあ、バハムートで」
「いいでしょう。艦名はバハムウト」
華琳ちゃん、微妙に違うよ。まあ、その方が聖戦士ダンバインらしいかもしれんかな?
こうして俺たちはゼラーナ級バハムウトを手に入れた。
明命が麗羽のゼラーナ狩りの情報を入手したが、それには参加せず情報収集を続けてもらうことに。
「バハムウトが完成したばかりで、もう少し慣れてからじゃないと、ゼラーナとは戦えないでしょ」
「そうね。秋蘭もオーラシップの艦長になったばかり。麗羽を喜ばせている余裕はないわね」
その後、アのマウンテンボンレスで白蓮が怪しい動きをしていると追加情報が入る。
「たしかこれはゼラーナじゃなかったはず。慣らしの相手にはちょうどいいかな」
今度はバハムウトで出撃する俺たち。
俺、凪、季衣ちゃんがオーラバトラーで、バハムウトの艦長は秋蘭で、春蘭もそろそろオーラマシンに慣れないとと沙和と共にフォウに乗っている。なお、真桜はオーラ増幅器の研究を手伝うためにトルール城に残った。
「ずいぶんとあっけなかったな」
「ゼラーナと勘違いしたのではないか?」
「こんなに黒いのに? ……いや、まだバハムウトの情報がむこうに広がってないのか」
聖戦士伝説になかった艦なので、そこまで気が回らなかった。もっと大事な場面まで秘匿しておくべきだったか?
「隊長、こんなの見つけたのー」
「新しいパーツの設計図か」
これは聖戦士伝説と同じなんだな。貰っておくけど、あまり使えるパーツのじゃない。……今回はこれよりも、みんながバハムウトでの戦闘に慣れるってことが大きかったからいいか。
トルール城に戻ってきた明命からの報告。白蓮が麗羽軍に討たれたらしい。死体は見つかってないが、ほぼ確実とのこと。
もしも俺が白蓮に会ってたら助けようとしたんだろうか?
「ゼラーナ隊は健在なのね」
「はい。いまだ協力者を集めているようです」
「そう。情報収集を続けなさい」
関羽や北郷が無事だと聞いて少しほっとしている俺はやはりまだ覚悟が足りないんだろうか?
去り際の明命のお願いで、そんなことはすぐにどうでもよくなったけどさ。
「あ、あの、次は私も参加させて下さい!」
人数が多かったのと、稟の鼻血の介抱で参加できなかったと、風も次回を希望しているし、そっちの方が問題だよ。
白蓮の死で事態は急速に動き出す。
見つかってないはずの白蓮の死体から、ミの国王宛の密書が発見されたというのだ。
「でっち上げね」
麗羽がミの国ほしさに、ありもしない密書を捏造しただけだ。
「うん。でもアの国王はそれを信じてしまい、麗羽に出兵の許可を与えるよ」
ミの国の次は自分だって気づかないのかな? うちはいつ狙われてもいいように気をつけているのに。
麗羽からミの国のレッド・バーの砦を攻める協力要請。
しかし、リはこれを断る。予定通りに。
レッド・バー……赤壁っぽいけど、関羽が勝ったりしないよね?
俺の心配は外れ、麗羽軍はレッド・バーの砦を陥落させる。
ラース・ワウにきてくれという麗羽の要請。直接会って、ミの王城、キロン城攻めの協力を依頼するつもりだろう。
「やっと来たか」
「待ちわびたわね」
「うん。さっそく行ってくるよ」
これもまた予定通りに、俺たちはバハムウトでラース・ワウに向かった。ちょっと騎士多めに乗せてね。
「お待ちしてましたわ、コウイチ王。美羽さんは元気かしら?」
「……うん。美羽ちゃんは元気ですよ」
手を出しちゃったなんて言えないよな。麗羽にとっては望むところなんだろうけど。
いきなり出鼻をくじかれたが、麗羽の要求はやはり、キロン城攻めの協力。
要請を受けるのは決まってるんだけど、ここで悩まないとドレイク値――麗羽値と言うと麗羽の好感度みたいで嫌だと、ドレイク値で通すことにされている――が上がっちゃうから、即答はできない。
「コウイチ王?」
「わかりました。キロン攻め、引き受けるよ。先陣は任せてくれ」
「私もキロン攻めに参戦いたします。リの聖戦士が先陣、頼もしいですわ。おーっほっほっほ!」
さて。面倒な用事も済んだし、それでは本題に入りますかね。
「では、補給の後、一度トルールに戻って出陣の準備をしてくるよ」
そう。補給してからね。
「相変わらず大きいのう」
「また広がったんじゃないか?」
補給のためにラース・ワウの機械の館にいる俺たち。
「せっかくだから、新製品を購入しておこう」
いや、もちろんそれが目的でここにきたんだけどね。偶然見つけた感を装う。……ちょっとわざとらしかったかな?
「ドラムロとバラウとブル・ベガーをそれぞれ、1ですね」
応対してくれたのは干吉じゃなかったけど、ほしい物は買えた。干吉は新しいオーラバトラーの開発中かな?
「ああ、また直接乗って帰るから」
そのために騎士を多めに連れてきたんだしね。
補給を済ませたらすぐにトルール城に帰り、購入したオーラマシンを機械の館へ。
「これがドラムロ?」
「見た目はちょっとあれだけど性能はいいから。安くて頑丈で使いやすい」
「さっそく
まあ、それはしょうがない。キロン攻めはターン数制限のある戦闘ではあるけれど、オーラバトラーが3機もあればなんとかなるだろう。
「問題ないわ。私も出るから」
「華琳ちゃん……ということは、完成したのか?」
「ええ。わがリの国オリジナルのオーラバトラーよ」
出てきたのは1機のオーラバトラー。リの国オリジナルといいながら、アルダムよりもダンバインに似ている。
聖戦士ダンバインにも、聖戦士伝説にも、こんなオーラバトラーは登場しなかった。しかし、俺はこのオーラバトラーを知っている。
「ブラウニー
オーラファンタズムという模型誌の企画に出てきたオーラバトラーで、ブラウニーがビランビーの前身。ブラウニーIIがビランビーとビアレスの中間に位置するオーラバトラーだ。
「でもなんで、ブラウニーじゃなくてブラウニーII?」
あの魚のヒレっぽいトサカはブラウニーにはなかったはず。
「そう、このオーラバトラーはブラウニーというのね」
ツーが無くなりました。……できたばかりのがいきなり2じゃおかしいか。
「妾がもたらした設計図の部品が使われておるのじゃぞ!」
美羽ちゃんまできたのか。
「せや。それとダンバインのデータを元に造ったんが、このブラウニーや!」
むう。ブラウニーとビランビーをすっとばしていきなりこれとは、技術の前倒しが起きてない? 誰かタイムマシンで来てるのか?
これも俺がいろいろ話を改変してしまったせい?
「内蔵されている武器はダンバインと同じく、ワイヤークローです。爪の数は少なくなっておりますが、威力は増しているはずです」
こちらを向かず、華琳ちゃんにのみ説明している桂花ちゃん。
「飛び道具はまだ開発中なんや」
高機動型は武装は後回しか。
「後で俺が知ってる武装を教えとく」
4連オーラショットと、5連オーラランチャ。ビランビーのだけど、そっちの方がいいでしょ。それともオーラバトラー戦記のガベットゲンガーのオーラライフルか。いや、フレイランチャーだったかな?
「とりあえずはゲドと同じく剣のみか。けどなんか、ドラムロよりこっちの方が強そうだな」
「当たり前でしょう! 華琳さまのために造ったんだから!」
「ふふっ。これはご褒美が必要のようね」
「華琳さまぁ」
……ご褒美ってまさか閨に呼ぶんじゃないよね?
服の色で合わせると斗詩がトッド機、猪々子がトカマク機なダンバイン