女だらけの聖戦士伝説に召喚された  真・恋姫†有双……になるはずが(仮)番外編   作:生甘蕉

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7話

 ミの国。

 アの国の北、ラウの国との中間に位置する小国。軍備に力を入れてなかったためか麗羽軍の侵攻を許してしまっている。

 その王城、キロン城が落ちればミの国は滅亡し、麗羽のものとなってしまうだろう。

 

 俺たちは麗羽の侵略に手を貸してる側なんだけどね。

 

「おお、なかなかに数が多いのう」

 バハムウトのブリッジ、秋蘭の隣の席で美羽ちゃんがはしゃいでいる。

「美羽ちゃん、戦闘中はおとなしくするんだよ」

「了解なのじゃ、(ぬし)さま」

 華琳が復活して麗羽がどんな顔をするか見逃すわけにはいかない、と美羽ちゃんが駄々をこねたので、華琳ちゃんが特等席を用意したのだ。

 

 ちなみに今回は華琳ちゃんがオーラマシン戦の初陣ということもあり、春蘭と沙和の乗るフォウがサポートすることになっている。……というか合体している。そういやフォウって、聖戦士伝説ではビランビーもドッキングできたっけ。

 フォウの合体はトンボの交尾が参考になっているって俺の嘘情報を信じたのか、春蘭が合体を迫っていたもんなあ。

 

「うーん、こう数が多いとどれが流琉だかわからないよー」

「たぶん、青いドラムロだと思うけど、もしかしたら色が違うかもしれない」

 流琉ってのは典韋ちゃんのことらしい。真名みたいなんで俺が呼ぶわけにはいかない。ダンバインが青だったから、専用のドラムロもきっと青だと思う。

 季衣ちゃんは今度こそ典韋ちゃんに会って、自分の生存を知らせ、リの国に誘いたいようだ。……俺とのことも自慢すると言っているのはちょっと怖いが。

 

 敵のナムワンが城の上に展開してきた。ミの国王が乗るナムワン2だろう。

 敵戦力は、ナムワン2隻にダーナ・オシーとフォウ。それにゼラーナ隊だ。

 

「各騎、戦闘開始!」

 俺が麗羽との通信をおえ、それを聞いていた華琳ちゃんが号令した。

 俺と季衣ちゃんはゼラーナ隊を、残りはミのオーラマシンと戦い、最後にナムワンを、という作戦だ。

「ダンバインは俺がやる。季衣ちゃんはダーナ・オシーを!」

「了解っ!」

 聖戦士ダンバインだったらキロン城でショウとトッドの戦いがあったけど典韋ちゃんはくるかな……っと、北郷の白いダンバイン、また速くなった気がする。レベルが上がっているな。

 

「なんで侵略戦争に力を貸すんだっ!」

 北郷の声が聞こえる。これは、ロボものでお約束の、敵との会話! ……通信機からじゃないな。テレパシーっぽいのがここまで届いているのか? 北郷のオーラ力がそこまで高まっているのか。

「被害を減らすためだ!」

「勝手なことを!」

 勝手だから戦争になってるんですよ。

 

 怒りからか、鋭い剣筋で襲い掛かってくる白ダンバイン。

 季衣ちゃん情報では、北郷は剣道部員らしい。となると段持ちか。当然、俺は受けるので一杯一杯だ。

「剣はあちらの方が上じゃのう」

「わかってるって! でもこっちは祭の分、勝ってる!」

 ショウのチャム・ファウと同じく、北郷にもフェラリオがついている。……ついているのだが、あんなのはフェラリオじゃない、化け物だ。

 麗羽が白蓮を捜索中にゼラーナ隊の情報も写真とともに回ってきたのだが、その中にやつはいた。

 貂蝉。

 ハゲでおさげでムキムキマッチョなおっさん。の、ミ・フェラリオ。そいつが例の極薄フェラリオ服を着ているもんだから、不鮮明な写真でもおぞましくて仕方がなかった。あれと同乗しなければいけないという点だけは、北郷に同情してもいい。同乗に同情……くすっ。

 

「笑っとる場合か!」

 その隙をついたのか、横に回りながら斬りつけてくる白バイン。剣を持ってない左手側にくるのがいやらしい。

「だけど!」

 その剣をダンバインの(あしゆび)で受け止める俺! ダンバインの得意技だ。

「なっ? 足で白刃取り?」

 足癖が悪いのがダンバインなのだよ。腕よりも筋力が強いんだから使わなきゃもったいない。

 そのまま剣を奪って、今度はこっちの番。

 

「はぁっ!」

「くっ!」

 赤バインの剣は白バインのオーラショットに命中し、少しのタイムラグの後、それが爆発。咄嗟にパージした白バインのダメージは少なかったようだが、武器を失い不利を悟った北郷は爆発を利用して去っていた。

 

「逃げ足の速い……」

 ダンバインの足技も見せちゃったし、なんか北郷に稽古をつけている気がしないでもない。このままやつが強くなっていったら……。

「……さ、みんなの援護にむかおう」

 嫌な考えを振り払い、戦闘を続行する。

 

「ミのダーナ・オシーとフォウは落ちたか。華琳ちゃん、頃合だ!」

 通信機に叫ぶ俺。

 まだ関羽のダーナ・オシーとゼラーナ隊のフォウは残っているが、そいつらを倒すと麗羽軍にいいところを持っていかれてしまう。

 

 すでにドッキングを解除していたブラウニーが春蘭たちの黒いフォウとともにキロン城の上空のナムワンを襲う。

 機関砲程度の武装しかないナムワンでは最新鋭のオーラバトラーを倒せるはずもない。

 

 そこへ、猪々子のビランビーがオーラランチャをナムワンに向けたので、その前に割り込んで止める

「ちょっ、聖戦士さま! どいてくださいって!」

「その必要はない。攻撃を止めろ」

 猪々子との通信中に横槍が入る。こちらを見ていたのか、ブル・ベガーの麗羽からだ。

「コウイチ王、猪々子さんの邪魔をして、どういうつもりなんですの!?」

 麗羽は、あのタイミングで猪々子のビランビーに攻撃しろって指示を出したんだろうな。敵将を倒すって一番おいしいとこは自分たちでもらうために。

 俺もビランビーの動きをマークしていたから止められたんだけどね。

 

「もう決着はついている。あと麗羽殿、前にも言いましたが俺は王代理ですから」

「……なにを仰って……?」

 ナムワンの方に目をやれば、砲撃は止み、ブリッジに剣を向けているブラウニーの姿があった。

「ミの国の王、小喬は降伏。リの国の王、華琳がこれを承諾した!」

 ナムワンからは白旗があがり、ブラウニーは剣を納め、通信機から華琳ちゃんの声が流れてくる。

 

 聖戦士伝説でもほとんどの場合、ミの国王ピネガン・ハンムは死んでしまう。もし運よく生き延びたとしても、その後は出番がないという不遇な扱いが待っている。

 美少女だと噂のミの国王を死なせるわけにはいかない、そう華琳ちゃんが張り切ったのだ。無論、麗羽への嫌がらせという意味も大きくあるんだろうけど。

 

 王座乗のナムワンが白旗を掲げたことで、城の兵も抗戦を停止、戦闘は終了した。

 ゼラーナ隊は華琳ちゃんの通信直後に撤退を開始。麗羽の混乱もあって上手く逃げ延びたようだ。

 

 

「華琳さん、いったいどういうことですの!」

 キロン城で合流した麗羽は怒り心頭だった。

「なんのことかしら? 私は療養のため、しばらくコウイチを代理とするとなっていたはずだけど」

「なっ……! どこも怪我をしてるように見えないですわよ!」

 そりゃ、俺が身を挺して庇ったからね。かわりに俺に火傷の痕が残ってるし。

 

「それはそうよ。悪阻が酷くて外に出られなかっただけだから」

「悪阻?」

「ええ。ね、コウイチ」

 俺に腕を絡めてくる華琳ちゃん。

 えっ、なにそれ? そんなの聞いてませんが……麗羽へのブラフか。そうだよね?

 

「そ、そんな……」

「あなたのおかげで、小喬も手に入れられた。感謝してるわ」

 いや、絶対に感謝なんてしてないでしょ?

「彼女を寄越すのですわ!」

「捕まえたのは私よ。人の手柄を横取りしたと言われたいのかしら? 彼女は美羽といっしょに城で可愛がってあげるわ。そうそう、夫に側室を紹介してくれたことも感謝してあげる」

 ああ、華琳ちゃん楽しそうだなあ。すっごいイキイキしてるよ。

「麗羽姉さま、わたくしは幸せになりますわ」

 美羽ちゃんも俺に腕を絡めてきた。それを見る麗羽の目が怖い。

 

「……事後処理があるのでこれで失礼しますわ!」

「待ちなさい。まだ話さなければならないことがあるのではなくて? ないのなら私たちは帰るわよ」

「……くっ。わかりましたわ」

「人払いが必要な話でしょう。コウイチ、美羽を連れてバハムウトに戻ってなさい」

 麗羽の下克上の話か。俺は知ってるから聞かせないでもいいってことなんだろう。

「わかった。美羽ちゃん行こう」

「うむ。それでは麗羽姉さま、御機嫌よう」

 美羽ちゃん、麗羽の前でだけ、いつもと態度違うよなあ。

 

 

 バハムウトの船室で虜囚の身となったミの元国王、小喬ちゃんが俺を睨む。やはり少女で、しかも小さい。季衣ちゃんと同じくらいのロリだ。つけられている首輪は華琳ちゃんが用意していたんだろうか?

「すぐに雪蓮さまが助け出してくれるんだから!」

「雪蓮?」

 誰だろうと思ったら、美羽ちゃんが教えてくれた。

「ラウの元国王じゃ。大喬と結婚するために家出同然に城を飛び出した愚か者じゃ。有名な話じゃぞ」

 家出を愚か者って、美羽ちゃんが言えた立場じゃないよね。

 でもそうか、雪蓮ってのが……フォイゾンとパットフットのどっち担当なんだろ?

 ミの国に来てたってのはパットフットっぽいけど……。

 いなかったってことは、ゼラーナが逃がしたんだろうな。

 

「あれ? 大喬? 小喬ちゃんじゃなくて?」

「お姉ちゃんよ」

「わ、わたしが大喬です……」

 名乗ったのは小喬ちゃんによく似た……ミ・フェラリオだった。

 

「あたしたちは前世で姉妹だったんだから!」

 いや、たしかに顔はそっくりだけどね。いくら死後の世界らしいバイストン・ウェルでもそんなことあるの?

「雪蓮って人、フェラリオと結婚しようとしてたのか……」

 そりゃいろいろ言われるかもしれないね。

 でも安心した。祭のような熟女フェラリオや貂蝉みたいな化け物じゃなくて、ちゃんとロリフェラリオもいるんだね!

 

 しばらく雪蓮にまつわる惚気というか、自慢話を聞かされていたら、華琳ちゃんが戻ってきたのでトルール城へと戻った。華琳ちゃんは終始、ご機嫌だった。

 

 

「エルフ城攻めのための砦の建設を手伝うことになったわ」

 城で作戦会議。

「となると、ラウの国への牽制を行う典韋ちゃんの回収が必要になるな。季衣ちゃん、さっきの戦では会えなかったんだよね」

「うん。関羽が強すぎてそれどころじゃなくて、戦闘が終わってからも見つけられなかった……」

 カオスルートのキロン城攻めだと、トッドが出てこないのでそのせいかもしれない。むう、聖戦士ダンバインよりなのか、聖戦士伝説よりなのかはっきりしてもらいたいなあ。微妙に違うから、前もってどっちにも対応できるように考えておかないと……。

 

「華琳ちゃん、明命を派遣してもらえるか? 戦闘には参加しないでいいから、典韋ちゃんを保護しないと」

「おっちゃん、それって」

「典韋が北郷に撃墜される可能性が高い」

 性別や性格その他が違うとはいえ、この世界は聖戦士伝説にほぼ沿って動いていると言っていい。

 俺やリの国が介入しなければ、ゲーム通りの展開になるはずだ。……まあ、典韋ちゃんが担当するトッドは死なないけど。でも、大怪我させてしまうのは回避したい。

 

「お願いします。流琉を助けてください!」

「ええ。もちろんよ。明命、ジームルグを使っていいわ、典韋を保護なさい」

「はいっ!」

 そういや最近フォウばっかでジームルグ使ってなかったもんな。あれなら明命の任務に向いているのかも。

 

「それと、麗羽がまた新たに地上人を3人召喚させていたわ。名前は馬超、張遼、華雄」

 アレン・ブレディ、ジェリル・クチビ、フェイ・チェンカの担当のはずだけど、なんかますます三国志っぽい名前のような……。

「季衣ちゃん知ってる?」

「ごめんおっちゃん、ボク、小さな村の生まれで……」

「そうか……関羽なら知ってるかもしれないな」

 聞き出すわけにもいかないだろうけど。

 

 その後は桂花と真桜からの報告。

 ドラムロの開発が終了し、量産を開始したとのこと。

「性能はやっぱブラウニーの方が上や。けど、フレイボムやバルカンみたいな使いやすい火器がついてて、しかもコストが安い。兵士向けにはこっちの方がええやろ」

「ブラウニーは騎士向けに生産していく予定です」

「そうね。まずは騎団への配備を急がせなさい」

「了解しました」

 うん、俺の予定よりもリの騎団が強くなってる気がする。ドラムロとブラウニー、どっちも黒く塗られるんで多少悪役っぽいけどさ。……むしろ黒いドラムロって雌のカブト虫っぽい?

 

 

 キロン城攻めが終わり、第3章から第4章に移ったはずだが、騎士団長親子担当ということで、わずかにちょっとだけ不安だった春蘭、秋蘭の裏切りも発生せしなかった。よかった。

 彼女たちや3騎士にもブラウニーが配備され、リの騎団はますます強くなっていく。

「麗羽の砦に行く前に少し慣らしておきましょう」

 向かった先は国境近くのザラルの森。昔は鉱山があった場所。今は強獣の大量発生地点だ。

 

 今までなら強獣の森でテストや慣らしだったんだけど、現在強獣の森はリの国の兵士たちの訓練場と化している。

 量産が開始されたドラムロを回された兵たちが訓練を兼ねた素材集めをしているのだ。さすがに兵全員には例のレベル上げは使えないからね。ステータスが見えるのが俺以外にもいれば違うんだろうけど。

 集めた素材でさらにドラムロが量産され、急速にではないが兵が育っていく。

 乱獲によるガッターの減少が不安ではあるが、どの道、聖戦士伝説では第5章になれば強獣の森にガッターは出なくなるのだ。今のうちに素材を確保しておくべきだろう。

 

 

「俺以外はみんなブラウニーか」

 なんか仲間外れみたいでちょっと寂しい。一回りぐらい大きなブラウニーに囲まれて、ダンバインも肩身が狭そうだ……。

 移動はナース。オーラバトラーの搭載数から考えてこれしか無い。それでも、春蘭、秋蘭、季衣ちゃん、凪、沙和、真桜とブラウニーだけでも6機となっていまうので、俺のダンバインは収納できなかったり。

 新たに生産可能となったブル・ベガー級も搭載数はオーラバトラーが4機、ウィングキャリバーが2機だし、なにより足が遅い。まあブル・ベガー級はあとで量産していくことになるんだろうけど。

 艦長は今回は華琳ちゃん。秋蘭と沙和にもオーラバトラーの戦闘に慣れてもらって損はないだろう。

 

 出てきたのはガッターの群れだったので、ブラウニーの前では敵ではなかった。俺の出番がないほどだったよ。

「これで強獣は殲滅したわね。早速連絡して採掘を再開しましょう」

 鉄はオーラマシンの部品というよりはオーラバトラーの剣に使われることの方が多いのかな? 強獣素材は硬くて軽いけど、剣は重い方が強いしね。

 

 トルール城に倒したガッターを運ぶ。素材はムダにできないのだ。

 そのせいで、帰りはナムワンにオーラバトラーを収納できず、一緒に飛んで帰ることになったんだけど、これは強獣狩りの時も同じだ。オーラバトラーやP-ドラグーンで強獣を運ばないですむだけでもかなりマシだったりする。

 ……俺は行きも帰りもお船の外だったけどね。

 

 ブラウニーに慣れた俺たちはバハムウトとブル・ベガーに分乗し、ドレイク軍砦へ。今度は秋蘭と沙和が艦長になっている。ちなみにブル・ベガーの艦名はビヒモス。バハムウトとカブってるけど咄嗟に思いついたのがこれだったんだよぅ。

 

「助かりますよー、華琳さま」

「進捗は?」

 監督しているのは猪々子か。……人選ミスなんじゃないのか?

 

「コウイチの前情報通り、強獣のせいで作業が遅れている場所があるわ」

「そこの強獣を狩るんですね!」

「ええ。素材も持ち帰れるように足の遅いビヒモスを連れてきたかいがあるわね」

 リの戦力強化のためと、麗羽にはオーラマシンの素材はくれてやらんってことなんだろうな。

 

 出てきた強獣はドラウゲン。もはや敵ではなく、あっさりと素材と化してしまう。……ドラウゲンってどこ使うのかね? 筋肉は使えそうだけど、皮膚は鱗だし……ブレスを発射できる喉が火炎放射器の材料にでもなるんだろうか?

 

 猪々子への報告もそこそこに、トルール城へ戻る俺たち。

 典韋ちゃんがどうなったか心配だ。

 明命ならきっと上手くやってくれるだろうけど。

 

「ちょうどいいところへ!」

 出迎えてくれたのは明命だ。彼女はすぐに俺の腕を引っ張って、ナースへと連れて行く。

「すみません、典韋さんの撃墜を防げませんでした」

「そう……それで、典韋ちゃんの容態は?」

 さすがにジームルグでは北郷のダンバインの相手は無理……しまった、明命のレベル上げしてなかった。

 

「命の危険はありません。ですが、現在行っているナース治療でもなかなか完治しなくて……」

 それで俺を引っ張っているのか。本来の使用法ではない人間の回復はオーラ力の消耗が激しいもんな。

 

「代わってくれ、あとは俺がやる。明命は季衣ちゃんに典韋ちゃんのことを伝えてくれ」

「はいっ」

 ブリッジで治療にあたっていた騎士と交代し、ナースの舵を握る。そして、回復。ナムワンが輝き、そしてその光が典韋ちゃんがいると思われる場所に移っていく。頼む、治ってくれ!

 それを何度か繰り返すと、華琳ちゃんがナースのブリッジに現れた。

「もういいわよ。典韋は治ったわ」

「そうか。よかった……」

 かなり疲弊したが、典韋ちゃんが治ったのなら、この疲れも無駄じゃない。

 

 ナースを降りて、典韋ちゃんのとこへ向かう。

「季衣、生きてるならなんで連絡をくれないのよーっ!」

「ボクだってずーっと流琉を探したのに、戦場にいなかったんじゃないかっ!」

 あれ? 感動の再会のはずなのに、なんでいきなりケンカしてるの?

 

「仲がいいのね」

「ちょっと華琳ちゃん、のんびり見てる場合?」

「可愛らしいじゃれ合いじゃない」

 そんなものかね。取っ組み合いになってきてるんだけど……季衣ちゃんの怪力とひょっとして互角? あんなに可愛いのに典韋ちゃんもなかなかの力持ちなのか。

 

「季衣ちゃん、そろそろストップ。典韋ちゃん病み上がりなんだからさ」

「あ……ごめん、流琉」

「ううん……心配してくれてありがとう、季衣」

 ふう。やっと止まってくれたか。

 せっかく治ったのにまた怪我される心配より、巻き込まれて俺が大怪我する心配の方が大きかったのは秘密だ。

 

「流琉だいじょうぶー? どっか痛いとこない?」

「平気よ。調子がいいくらい」

「そりゃそうだよ。だっておっちゃんの治療を受けたんだもん!」

 え? って顔でこっちを見る典韋ちゃん。その頬が赤く染まっている。

 

「あれっておっちゃんに抱っこされてる時みたいな感じがするんだよねー。流琉も気持ちよかったでしょ?」

「季衣!」

 季衣ちゃん、なにが気に入ったのかよく俺の膝の上に乗ってくるもんな。時々美羽ちゃんとケンカするぐらい。

 

「それは初耳ね。今度私も試してみようかしら?」

「怪我なんてしないでくれよ」

「そうです。もしもの時はまたこやつを身代わりにすればいいのです!」

 春蘭、そりゃそうなったら俺もそうするけどさ……。

 

「あ、ありがとうございました!」

「よかったね、流琉」

 頭を下げてお礼をする典韋ちゃんにべったりひっついている季衣ちゃん。よほど会いたかったんだろうね。

 

 落ち着いたところで、典韋ちゃんが改めて自己紹介。流琉という真名も教えてくれた。

「わたしも季衣と一緒に戦わせてください!」

「ええ。こちらからお願いするわ、流琉」

 ついに流琉ちゃんも仲間になったか。追加されるメンバーはこれでおわりかな?

 

「あれ? おっちゃん、流琉にはないの?」

「えっ?」

「ほら、小さな子を戦わせるつもり? ってやつ」

 ああ、季衣ちゃんにはそんなこと言ったっけ。まさかこんなに強いとはなあ。

 

「流琉ちゃんはだいじょうぶでしょ。季衣ちゃんと同じくらい強いみたいだしさ」

 レベルは違うけどね。あとで明命と一緒にレベル上げしないと。

 もうドラムロがあるから、レベル上げは格段に楽になったんだよね。

「えっ! 流琉も大人になっちゃったの?」

「いやあのね」

「季衣、流琉もって、あなたまさか……」

「うん。ボクも大人だよー。おっちゃんに大人の女にしてもらったんだよ!」

 ちょっと、なにバラしちゃってるんですか。

 いくら仲良しさんでも、それはトップシークレットでしょうに。……そういうのを自慢したい年頃なのか?

 

「今夜は明命もだったわね。流琉もこないかしら?」

「いいんですか!? ……い、いえ! あの! そうじゃなくて!」

 流琉ちゃんが真っ赤になってわたわたしている。

 

「隊長のオーラ力治療の効果は絶大なのー」

 なにをわけ知り顔でうんうん頷いてるんだよ沙和。

「やはり今度試してみようかしら。……桂花で実験してみるのも……」

 やめてください。俺が殺されます。

 前回、王族の大事なお仕事に桂花が参加したあと、ダンバインのコクピットに見慣れないスイッチが増えててさ。それがなにか聞いたら、自爆スイッチって説明されたよ。冗談だとは思うけど、怖くて押せない……。

 

「明命」

「はいっ! 楽しみにしています!」

「そうではなくて、報告は?」

 今度は明命が真っ赤になっちゃった。

 それでもちゃんと集めた情報を伝えてくれるのはさすがだけど。

 

「麗羽軍のラウ攻めは失敗に終わりました。ラウのオーラバトラーはそれほどでもなかったのですが、ゼラーナ隊の活躍が大きかったです」

「わたしも北郷さんに墜とされてしまって……」

 やっぱりか。こんな少女の乗ったオーラバトラーを……むこうはとっくに覚悟ができてるってわけか。

 

「関羽も新しいオーラバトラーに乗り換えていました。剣ではなく、大きな武器でかなりの数の麗羽軍のオーラマシンを墜としています」

 ボゾンだな。ラウの国の主力オーラバトラーだ。だいたいドラムと同じくらいの性能を持っている。ただ、聖戦士伝説では機動性が低い。

 問題は武器か。関羽の武器……まさか青龍偃月刀? マジに三国志の関羽なの?

 

 ゼラーナ、予定以上に脅威かも。

 こっちのオーラバトラーが強化されたからって、油断はできそうにないな。

 

 

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