ISN-インフィニット・ストラトス・ネクサスー 作:ノアJAM
それでは、第10話「赤く熱い鼓動―ジュネッス・ルージュ―」お楽しみください
姫矢一輝の死から早一月……
大型のビーストの襲来はなく、ISで対抗できる程度に落ち着いていたが、学園生徒たちの心が休まることはなかった。
更識簪もその一人。簪は、一輝と共に過ごした自室のベッドに横たわっていた。
「……一輝……」
その時、一輝の最期を思い出してしまった。
「もう……一輝とは会えないんだ……私はまた、一人ぼっち……」
簪はふと、一輝からの最初で最後のプレゼントの事を思い出す。
簪はポケットからその端末を取り出してスイッチを入れる。
すると、端末から今は亡き恋人の映像が流れた。
『簪ちゃん……これが再生されてるって事は、俺はもういないんだね。でも、悲しんじゃだめだよ。君には、笑っていてほしいから……そうだ、前に聞いた簪ちゃんの専用機「打鉄弐式」、なんとか完成したよ。空いた時間を使って一人で組んでたから、今まで一緒にいられる時間がなくって、本当にごめん。……この打鉄弐式には、リミッターがかかってて、それを完全開放するためにはキーワードを打ち込む必要があるんだ。そのキーワードは、「N・E・X・U・S」“ネクサス”……俺の名前に設定してある。それと、動力源のISコアに少しだけウルトラマンのエネルギーを分けてある。そのエネルギーを攻撃に変換すれば、最強武器“ウルティメイトバニッシャー”が撃てる。でも、これは最大三発しか撃てないんだ。だから、リミッター解除は本当に危ない時だけにしてほしい。最後に、俺がいつ・どこで・何にやられて死ぬのかは分からない。だけど、どんな相手だったとしても、怒りや憎しみで闘っちゃいけない。君の剣は、皆を守るために使うんだ。……簪ちゃん、君と過ごした時間は、俺にとって忘れられない時間だった。本当に、ありがとう……』
映像は終わり、端末の画面には、認証コード「NEXUS」だけが残った。
一輝が所属していたクラス一年一組では、通夜の状態だった。その中で最も沈んでいたのは、一輝が自分の命と引き換えに救った織斑一夏だった。
「一輝……俺のせいだ、俺が弱かったから……」
クラスの面々も、一輝がいなくなったことで不安や恐怖に包まれていた。
「姫矢君がいなくなったってことは、ウルトラマンも現れないんじゃないの?」
「そしたら、どうやってビーストと戦えばいいの?」
「ISじゃ、大型ビーストを倒せないのは分かってる…ということは」
「戦えば…私たちが……食べられる」
そんな不安や恐怖に追い討ちをかけるように無情にもビースト出現の警報が鳴り響く。
『ビースト振動波確認、各IS専用機持ちは速やかにビーストを撃退せよ。尚、出現した個体は、メガフラシと判明、遠距離による攻撃に注意されたし』
「こんな時にビーストだと!?……一夏、お前は残れ!!」
「でも箒、俺は…」
「今のお前では、行っても無駄死にするだけだ!!」
箒・セシリア・シャルロット・ラウラ・リンは格納庫に向かい、ISを展開して現場に向かった。
どこかの森の中……そこを抜けると、とある遺跡がある。
その遺跡の中に、光り輝く石碑がある。その中にウルトラマン=姫矢一輝が眠っていた。
(……俺は、死んだんじゃなかったのか?)
―――――一輝…
(ネクサス…か?)
―――――全く、君は……自分の命を何とも思っていないのか?
(悪かったな…俺は一つの事になると、周りが見えなくなるんだよ)
―――――私は、君を死なせるわけにはいかなかった。だからまだ、君は死んではいない。君の命を救うため、力をかなり消耗してしまった。私は、眠りにつかなければならない
(そのために、俺と分離するのか?)
―――――その通りだ。君は人間としての生活を…
(ふざけんな、前にも言ったろ?俺はお前に付き合うって。お前の力が足りないなら、俺の体を使えばいい)
―――――そんな事…分かっているのか?そんな事をすれば、もう人間には戻れないんだぞ
(覚悟はある。俺はこの世界を…大切な人を守りたいだけだ)
―――――……分かった…私の全てを、君に授けよう
その時、一輝の視界に、市街地を襲うビースト=メガフラシと、それに立ち向かうISが映る。
(皆……死ぬ気でやればなんとやらってね…さぁて、気合入れていくか!!)
メガフラシの能力「特殊位相フィールド」で、ISによる攻撃は全て無効化されていた。
メガフラシは進行を止めることなく、IS学園に向かっている。すると、学園から一機のISが出撃した。
それは、簪の機体「打鉄弐式」だった。
「(一輝……私、やってみせる。一輝がくれた力で、絶対守ってみせるから……だからお願い、私に力を貸して……打鉄弐式!!)認証コード、NEXUS!!……打鉄弐式、ウルティメイトモード…発動!!」
簪のISが、水色から赤色に変色する。それはまるで、ウルトラマンネクサス・ジュネッスのようだった。
ウルティメイトモードになった打鉄弐式は、通常の何倍ものスピードでメガフラシに突撃する。
簪は、ウルティメイトモード専用の槍「エルボースピア」で何度もメガフラシを切り裂く。
簪の連撃に怯んだメガフラシは、飛行能力を失い地上に落下した。
「今のうちに!!」
簪は砲撃態勢に入る。打鉄弐式の銃口にエネルギーが集中する。
「これで終わらせる……ウルティメイトバニッシャー、シュート!!」
打鉄弐式から最強武器「ウルティメイトバニッシャー」が放たれる。
直撃を受けたメガフラシは、原子分解によって消滅した。
「やった…やったよ、一輝……」
簪の瞳から涙がこぼれる。簪が学園に戻ろうとした時、突然空に暗雲が立ち込めた。
突如として空に暗雲が出現したのを学園長室から見ていた弧門は…
「あの闇…まさか、アンノウンハンド!?……もしかして、復活したのか!?」
弧門は学園長室を飛び出して、アレのある場所に向かった。
「まさか、本当に使う事になるなんて……でも、TLTに託されたんだ。僕はIS学園長である前に…ナイトレイダーなんだ!!」
弧門は、最後の剣を振るう決意した。
「各部機関正常動作、確認……弧門一輝、クロムチェスターδ…出動!!」
暗雲の中から、何かのシルエットが見える。それは、以前倒したはずのザ・ワンとよく似ているが細部が異なっており、各部分にこれまで倒してきたビーストたちの顔が見える。
頭から胴体にかけてザ・ワン、左肩にグランテラとリザリアスグローラー、右肩にメガフラシとノスフェル、尾の先端がグランテラの尾、背中がガルベロス、腹部にクトゥーラ、右腕にノスフェルの腕とラフレイアの花弁、左腕にゴルゴレム、右足膝にペドレオン、左足膝にバグバズンで構成されている。
それは、限りなくザ・ワンに戻ろうとした姿であり、これまでのどのスペースビーストよりも強く、そして凶暴であった。
最強のスペースビースト……その名は、「イズマエル」
最強のビースト「イズマエル」が地上に降り立ち、各部分にあるビーストの顔から、様々な方向へビームを放つ。
恐怖に怯え、人々が逃げ惑う中に一人、イズマエルを見上げる男がいる。
「一輝……お前の代わりに俺が……俺がこの世界を守ってみせる!!」
男=織斑一夏は、独断で学園の外へ出ていた。一夏は一輝がやったように右手に意識を集中させる。
一夏の体が光輝いて……
「うおおおおおおおお!!」
一夏は「ダークメフィストツヴァイ」へ光の力で変身した。
メガフラシとの戦いでのダメージが残っている箒たちは、現れたツヴァイを見て……
「一夏!?…あのバカ者が」
「一夏さん…自分の罪滅ぼしのために……」
「僕たちを、守ろうとしてる」
「ホンットにバカなんだから……」
「しかし、それでこそ私の嫁だ」
箒たちのISは最早ボロボロだった。そんな中、簪だけはウルティメイトバニッシャーでイズマエルを狙っていた。
(アレさえ倒せば…ターゲット・ロック)
「ウルティメイトバニッシャー、シュート!!」
ウルティメイトバニッシャーがイズマエルを襲う。だがそれだけではイズマエルを倒すことは出来なかった。
そればかりか、イズマエルは体中の武器を使ってツヴァイを圧倒していく。
その圧倒的な力に敵わなかったツヴァイは、一夏の姿に戻ってしまう。
更に、頭部から火球を放ち、簪を襲う。回避しようとしたが、ウルティメイトモードの活動限界時間に到達し、通常モードに戻ってしまったため、直撃を受けてしまった。
地上に落下していく簪に、火球が迫る。
(もう…ダメだ。どんなにがんばっても、私は一輝のようにはなれなかった……今、逝くからね)
イズマエルの火球は簪に……届かなかった。
簪の前に光が現れる。その光は、少しずつ人の形になっていく。
銀色と青の巨人「ウルトラマンネクサス・ジュネッスブルー」=姫矢一輝が復活した。
ウルトラマンネクサス・ジュネッスブルーは、イズマエルの火球から簪を守ると、イズマエルに向き直り、右腕のアームドネクサスから、光の剣「シュトロームソード」を出現させると、全速力でイズマエルへ突進した。
イズマエルは、ノスフェルの爪でシュトロームソードを受け止める。
ネクサスとイズマエルの間を、弧門の操るクロムチェスターδが通過する。
「一輝君……なのか?…よし、ウルトラマンを援護する!!スパイダーミサイル、クアドラブラスター…ファイア!!」
イズマエルの後ろに回りこんだクロムチェスターからミサイルとビームが放たれる。
ミサイルとビームが直撃したイズマエルが怯んだその一瞬に、ネクサスはイズマエルと距離をとった。
ネクサスは「クロスレイ・シュトローム」を放つが、イズマエルはそれに耐え切った。
反撃に出たイズマエルは、グランテラの尾を伸ばし、ネクサスを捕らえて引き寄せ、ノスフェルの爪でネクサスを切りつけた。
本調子でなかったのか、ネクサスのエナジーコアが点滅を始め、立つことすら危うかった。
再び復活した一輝が最初に目にしたのは、自分の恋人が今にもビーストに殺される所であった。
(復活早々ピンチかよ!!…しかもアレは、ザ・ワンじゃねぇか!!)
―――――いや、アレは別個体だ。しかし、限りなく戻りつつある
(簪ちゃんに……手を出すなぁぁぁぁぁ!!)
一輝は間一髪のところでイズマエルの火球を受け止めた。
(簪ちゃん……無事か、良かった)
一輝はイズマエルに向き直り、身構える。
(俺はもう、人間ではなくなった……なら俺は、今度はウルトラマンとして、この世界を守ってみせる!!)
―――――私の導きはここまでだ…もう、力が尽きた
(ネクサス?)
―――――あとは、君の光で導くのだ。……任せたぞ、私の友……光の、戦士よ
(ネクサス……お前がくれたこの力、無駄にはしない……俺がお前の代わりに世界いや、全宇宙を守ってやる…だから、今は眠れ……俺の永遠の親友…ウルトラマンノア)
エナジーコアが点滅を始め、立つことも危ういネクサス。勝利宣言をするように、イズマエルは全方向へビームを放つ。それは、IS学園にまで迫っていた。
学園には大勢の生徒や千冬もいる。なんとしてもネクサスは守らなければならなかった。
ネクサスは決死の覚悟で学園をビームから守り、自らが直撃を受けてしまう。
(ぐああああああああ!!……学園には、大事な仲間や、家族がいるんだ…ここは、俺の居場所なんだよ……お前ごときに、俺の居場所を消させはしない!!)
すると、ネクサスの体が輝きだす。
輝きが消えると、そこには新たなネクサスが立っていた。
銀と黒の戦士「ウルトラマンネクサス・ジュネッスルージュ」である。
ネクサスの新形態「ジュネッスルージュ」は、光線の発射態勢に入る。
(これが、俺の力だ……クロスオーバーレイ・シュトローム!!…ぶち抜けぇぇぇ!!)
ネクサス渾身の一撃がイズマエルを原子分解させ、最強のビーストは消滅した。
戦いを終えたネクサスは光に包まれ、姫矢一輝の姿に戻った。
ネクサスとイズマエルの戦いを、誰もいない場所で見ていた男がいた。
その男は、不適な笑みを浮かべて……
「もうすぐだ…もうすぐお前を殺せる……今度こそお前を殺して、俺が神になる……ノアァァァ!!」
第10話「赤く熱い鼓動―ジュネッス・ルージュ―」いかがでしたでしょうか
とうとう次回で、この作品は最終話になってしまいました。
次回、最終話「絆―ネクサス―」
登場ウルトラマン ウルトラマンネクサス、ウルトラマンノア
登場怪獣 暗黒破壊神ダークザギ