ISN-インフィニット・ストラトス・ネクサスー 作:ノアJAM
それでは、最終話「絆-ネクサス-」お楽しみください。
ネクサスとイズマエルの戦いの後、姫矢一輝は帰って来た。
彼がIS学園に戻って早々、出迎えた千冬に殴られた。
「お前は……勝手にいなくなっておきながら、また勝手に戻りおって…私たちがその間、どんな気持ちだったか……‼」
「すみません、千冬さん」
「だが……よく戻った。流石、私の生徒だ」
「何言ってるんですか、それ以前に俺たちは家族でしょ?…姉さん」
そして、一輝は一夏の下に歩み寄って言った。
「……一夏…」
「一輝……」
二人の間に沈黙が流れる。
「一輝、俺は……」
「いいさ」
「え……」
「お前が俺を一度殺したおかげで、俺はまた新しい力を、皆を守る力を手にすることができた。……ありがとな、一夏」
一輝は、自分を殺した相手にも変わらぬ笑顔でいる。それが、「姫矢一輝」という人間だ。
一輝は、それからも一人一人と話をしていった。
やがて、一輝が最も愛する人に向き合う。
「……」
「……」
二人は何も喋らない。
「……ただいま」
一輝は口を開く。それに対し、更識簪は……
「…お帰り」
その瞬間、二人はどちらからともなく抱きしめ合った。
簪は、その目に涙を溢れさせながら言う。
「ずっと……ずっと一人だった…でも」
「でも今は、一人じゃない。……君には俺が」
「あなたには私が……」
この一時は、これから始まる本当の戦いのつかの間の休息に過ぎなかった。
一輝と簪が見つめ合い、全員の見ている前で唇を重ねようとした時……
「その心が……お前のその心が…俺を生んだのさ」
突然の声に全員が振り返る。するとそこには……
「俺が……もう一人⁉」
その姿はまさしく、姫矢一輝だった。
「お前は……誰だ?」
一輝は、もう一人の一輝に問う。
「俺はお前の影。光と闇、陰と陽……お前はノア、俺の名は……ダーク…ザギ」
もう一人の一輝=ダークザギは不敵な笑みを浮かべながら、右手を頭上に掲げる。
「20年前、俺はお前に…いや、ウルトラマンノアに負けた…だが今度は、俺が勝つ‼」
すると、ザギの背後に闇が現れる。その闇は、一輝が初めてメフィストに変身した時と同じものだった。そこから、見慣れたモノが現れた。
「IS……だと」
「驚くことはないだろう…ISは元々、来訪者によってもたらされたオーバーテクノロジーなのだから……奴らに出来て、俺に出来ない事などない。……お前たち人間は、俺とノアとの決着を彩るための……道具だ」
その瞬間、無人のISが人間の動体視力を越えるスピードで学園を襲う。一夏ら専用機持ちはISを展開する。
一方、一輝はザギと対峙する。
「今のお前の力では、俺を倒すことは出来ない。残念だよ……死ね」
ザギの格闘術の前に、一輝は防戦一方だった。
「姫矢一輝‼お前のその力、どこから得た力か分かるか⁉」
「分かるさ…この力はネクサスが与えてくれたもの。俺の親友がくれた……神の力だ‼」
一輝の身体が光輝き、ウルトラマンネクサス・アンファンス(人間大)に変身した。
ネクサスは、ザギにクロスレイ・シュトロームを放つ。
しかしザギは、攻撃を胸のエナジーコアで受け止めた。
「ISコアを使ったレーテ、この世界は再びビーストの恐怖に包まれた。……その結果、お前が放った光は闇に、変換される」
ザギは、「忘却の海レーテ」を小型化させ、それにクロスレイ・シュトロームの光を吸収させていた。
「……さあ、来い」
レーテによって変換された闇がザギの身体に流れ込む。
「復活の時だぁぁぁぁぁ‼」
その場に衝撃波が走る。その場にいた全員が、突如出現した巨人を見上げる。
それは、光の巨人と対を成す闇の巨人。
ウルトラマンになれなかった巨人。
今、「暗黒破壊神・ダークザギ」が復活した。
完全復活を遂げたダークザギは、全ての始まりの地、新宿に降臨する。
「ダークザギ……今、奴から地球いや、この宇宙を守れるのは」
「姫矢一輝……ですよね、姫矢准さん」
「憐か。そうだな、だが今のアイツでも倒せるかどうか」
「そんなことはありませんよ、姫矢さん」
「孤門……」
「一輝君は、絶対に諦めません。……だって、姫矢さんの自慢の息子さんじゃないですか」
姫矢准、千樹憐、孤門一輝。デュナミストたちがザギを見る。
すると、三人は光に包まれた。目を開くとそこには、溝呂木眞也が立っていた。
―――――一輝と共に戦ってくれ。かつて過ちを犯した俺は、アイツを支えてやることしか出来ない。姫矢…千樹…孤門、頼む
溝呂木の頼みに三人は…
「分かった。だが、お前も一緒だ、溝呂木」
「姫矢…」
「過去は水に流して、気持ち切り替えて行こうよ」
「千樹…」
「今のお前は、デュナミストだ」
「孤門……ありがとう。待っていろ…すぐに行くからな……一輝」
ダークザギの復活と共に、ザギが呼び出したISは機能を停止した。
ネクサスから元に戻った一輝は、ザギのいる新宿に向かおうとするが……
「もう、駄目だ。俺たちはもう…アレには勝てない」
一夏が弱音を吐く。それに続いて次々に負の感情が溢れる。
(確かに、今の俺じゃ奴には敵わない。でも……父さん、ネクサス。俺は、どうすればいいんだ)
一輝までもが諦めかけたその時、一輝の前に四つの光が現れる。
それは、姫矢准、千樹憐、孤門一輝そして、溝呂木眞也だった。
「立て一輝、お前は絶望に何度も立ち向かった。俺はお前を誇りに思う」
「負けるな一輝、君は生きてるんだ。生きてる限り、何度でもチャレンジすればいい」
「一輝君、君が光を得た事は、何か意味があるはずなんだ。それを見つけるんだ」
「一輝、俺はお前に人間として生きてほしかった。だがお前は、ウルトラマンとして生きる事を選んだ。今の俺に出来るのは、後へと続く者たちを、未来へ導く事だけ。だからお前と共に戦う。人類の未来を、希望を守るために」
すると、四人の手にエボルトラスターが現れた。
「溝呂木さん、憐さん、孤門さん、父さん……ネクサス。……行こう、最後の戦いだ‼」
一輝らデュナミストたちは、エボルトラスターを引き抜いた。
新宿はダークザギによって壊滅状態だった。それだけでなく、世界各地で一斉にスペースビーストが出現し、世界全体がザギへの恐怖で覆われていた。最早人類に希望はない。
だが、そこへ一つの光が現れた。銀色に輝く巨人、ウルトラマンネクサス・アンファンス。
ネクサスはザギへと向かう。しかしザギは手から放つ「ザギシュート」でネクサスを吹き飛ばす。
(クソッ……まだ本気じゃねぇな)
(一輝君、僕も一緒に‼)
(分かりました…覚悟はいいですね、孤門さん)
ネクサスは立ち上がり、「クロスレイ・シュトローム」を放つ。それをザギは円形の盾「ザギ・リフレクション」で防ぐ。更に追い打ちをかけるように、高速肘打ち「ザギ・エルボー」でネクサスにダメージを与えた。
(やっぱ強い……孤門さん、大丈夫ですか?)
(何とかね…でも、絶対に諦めないよ)
(孤門、俺に代われ)
(姫矢さん、頼みます)
(行くぞ、一輝)
(分かった、父さん)
ネクサスの身体が赤く変色し、ジュネッス形態となる。
ネクサスはすぐに「オーバーレイ・シュトローム」を放つ。ザギはそれを防ぎ、原子分解しかけたものの、耐えきりネクサスに強烈なキックをする。ネクサスは一旦距離をとり、体制を立て直す。
(どうする父さん、もう光線は撃てないよ)
(そうだな……何度倒れても、また立ち上がれば、必ず勝機は見える)
(一輝、今度は俺が行くよ‼)
(憐さん、よろしくです‼)
(何事も、死ぬ気でやればなんとかなる……さて、行こうか‼)
ネクサスは、ジュネッスブルーに変色し、特有のスピードでザギを翻弄する。
ザギの背後に回り込んだネクサスは、右腕を光の弓矢に変え、「オーバーアローレイ・シュトローム」を放つが、これもザギは簡単に弾く。
(何だよコイツ、マジモンのバケモンじゃないか‼)
(気合いだよ一輝、死ぬ気で行こう‼)
(そうは言っても、この強さはハンパないですよ‼)
(…俺も戦う)
(溝呂木さん‼)
(分かった、あとは頼んだよ)
(…一輝、俺はかつて道を踏み外した。お前には同じ思いをさせたくない。これからも、二度と俺のような存在を生み出さないために……)
(今ここで奴を潰す……行きましょう、溝呂木さん‼)
ネクサスは、ジュネッスルージュに変身し、「クロスオーバーレイ・シュトローム」を放つ。
しかしザギは、それを受け止め、更には光を闇へと変換させ、「グラビティ・ザギ」にして撃ち返す。
ネクサスは、サークルバリアで防ぐが、どれほど保つかは分からない。
ネクサスとザギの死闘は、IS学園に映像として流れていた。
「イズマエルを倒した技も通用しないとは……」
千冬が呟く。すると、簪が言った。
「大丈夫です、ウルトラマンは…一輝は負けません」
「そうだ…ウルトラマンは、俺たちが生まれるずっと前から、俺たち人類を助けてくれた」
一夏のその言葉を始め、全員がウルトラマンへの思いを口にする。
ネクサスのバリアは、今にも崩壊しそうなところまで来ていた。
(このままじゃ…皆を守り切れない……)
すると、一輝の中に人々のウルトラマンへの希望の声が響く。
(これが……皆の思い…)
―――――その通りだ
(ネクサス⁉)
(これが…光か)
(溝呂木さん?)
(もう、俺がいる必要もないか。一輝……今のお前なら、皆の希望の光になれる。後は、お前自身の道を行け)
(また、会えますよね?)
(フッ……そうだな。また会えることを、楽しみにしているよ)
溝呂木は光となって、一輝の前から姿を消した。
(ネクサス……ようやく分かったよ。俺が光を得た理由……俺は今まで、自分に何が出来るのか、何をしたいのか…それが分からなかった。でも、ウルトラマンになって、ビーストとの戦いの中で俺は、この手で何かを守れるってことに気づいた。俺はこれからも戦い続ける。これが、俺が光を得た理由だ)
―――――一輝、今の君なら奴を倒せるはずだ。今こそ私の…いや、君の力を取り戻す時だ。名乗るのだ、真実の名を…
(真実の名……俺はウルトラマン……ノアァァァァ‼)
グラビティ・ザギを耐えきったネクサスが光輝く。
今、「光の守護神・ウルトラマンノア」再び降り立った。
ウルトラマンノアが復活した。ノアとザギが向かい合う。
「ようやくだ……ようやくお前を殺せる……ノアァァァァァ‼」
「無駄口はなしだ、今ここで潰す……ザギィィィィィ‼」
ノアとザギが一斉に走り出す。ノアはザギのパンチを躱し、反撃のキックを叩き込む。
するとザギは、数百メートル吹き飛ぶ。それでも再度ザギはノアへ突進し、キックを叩き込むが、ノアは軽々と防ぎ、ザギの腹に「ノア・エルボー」を打つ。ザギが怯んだところに「ノア・スパーク」で追い打ちをかけ、そして左手に炎を纏いザギに叩き込んだ。
「空の果てまで、吹き飛べぇぇぇぇぇぇ‼」
ノアのパンチ「ノア・インフェルノ」でザギは大気圏外まで吹き飛ぶ。
「これで終わらせる……ライトニング…ノアァァァァァ‼」
「勝つのは……俺だぁぁぁぁぁ‼」
ノアの「ライトニング・ノア」、ザギの「ライトニング・ザギ」の撃ち合いで宇宙に激しい爆発が起こる。
光線の撃ち合いを制したのは……ノアだった。ライトニング・ノアがライトニング・ザギを押し戻し、ザギのエナジーコアに直撃する。
「見事だ……だが覚えておけ……これは始まりに過ぎない。いくらお前でも、あの方には……敵うものか」
「それでも俺は戦う……ウルトラマンノアとして……だから、消えろ‼」
「ルシフェル……様…」
ザギは、宇宙の彼方で爆散した。
ダークザギを倒したウルトラマンノアは、IS学園前に降り立ち、姫矢一輝の姿に戻った。
既に学園には、ノアとザギの戦いを見ていた一夏たち、共に戦った孤門や准たち、そして一輝にとって最も大切な人……簪が戦いを終えた英雄を出迎える。
「お帰り……一輝」
「ただいま、簪ちゃん。……今度こそ、ちゃんと戻って来たよ」
「……うん……」
「今度は、誰にも邪魔させないから」
「…うん……」
一輝と簪は、唇を重ね合わせる。それを邪魔するものは誰もいなかった。
唇を離すと、簪はある事に気づいた。
「…?一輝、その胸……」
一輝は無言で頷く。一輝はその場で自身の胸部をその場全員に見せる。
それを見た全員が驚きを隠せなかった。それも当然の事、一輝の胸にノアと同じエナジーコアが浮かび上がっていた。
「俺はもう、完全に人間じゃなくなった。今までは、俺とウルトラマン、二つの存在だったけど、今はもう俺とウルトラマンは一つの存在になった。このエナジーコアは、その証なんだ」
一輝は完全にウルトラマンになっている。それでも……
「それでも私は、一輝の事が好き。一輝がどんな姿になっても、私はあなたを愛し続ける」
「ありがとう、簪ちゃん。……でも、俺は行かなくちゃならない」
「え?」
「アイツが…ザギが言っていた」
―――――これは……始まりに過ぎない。……ルシフェル…様……
「ルシフェル……そいつがすべての始まり。奴を探し出して倒す。それが俺の、ウルトラマンノアの役目だから」
一輝は簪を抱きしめて言った。
「こんな身勝手な奴で……本当にごめん」
「好きでやるんでしょ?……なら、止められないよ」
「……ありがとう」
一輝は全員から離れる。
「俺はいつか必ず戻る‼それまで、この世界を頼んだ‼」
一輝はエボルトラスターを引き抜き、ウルトラマンノアになった。
ノアはそのまま、時空の彼方へと旅立っていった。
「一輝……いつまでも、待ってるから」
簪が空を見上げると、一つの星がいつまでも光輝いていた。
最終話「絆-ネクサス-」いかがでしたでしょうか。
主人公・姫矢一輝の物語は、まだ続きます。今度は、こちらの世界でまた新たな戦いが幕を開けます。
スーパーヒーロー大戦Noahシリーズ第二作「魔法少女リリカルなのはNEXUS」
二人目のウルトラマンも登場しますので、お楽しみに
最後に、ここまで読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました。
また次回作でお会いしましょう。
それでは。