ISN-インフィニット・ストラトス・ネクサスー 作:ノアJAM
今回、ヒロインとなるキャラクターが登場します
それでは、第三話「適能者-デュナミスト-」お楽しみください
更識簪はヒーローに憧れていた。彼女はスペースビーストの出現からシェルターに避難していたが、シェルター内のモニターで屋外の様子を見ていた簪は、ビーストと戦う銀色の巨人に釘付けになった。
その巨人は簪にとって、彼女の信じるヒーローそのものだった。
自らの命を懸けて何かを守り抜こうとする巨人は、人々の希望になるだろうと信じて疑わなかった。
そして、ビーストによってシェルターの壁が破壊され、簪自身も「このまま死ぬ」と思ったとき、巨人は銀色から赤色混じりの姿になり、更に巨大化してシェルターを守った。簪は巨人を見上げると、巨人と目が合い、「大丈夫だ」と言われた気がした。簪は巨人を見て、その巨人は人々に希望を与える存在として、こう呼んだ。
「……ジュネッス」
姫矢一輝はウルトラマンが立っていた場所に立っていた。周りを見ると、一夏・箒・セシリア・リン・シャルロット・ラウラが各々のISで一輝を包囲していた。
「……ばれちゃったか」
一輝はそう呟くと、一夏を見上げる。一夏はISを降下させ、一輝の前に立つ。
「一輝、その……お前がウルトラマンなのか?」
一夏の問いに一輝は……
「そうだ。俺がウルトラマン……ウルトラマンザ・ネクストだ」
「ネクスト?……さっき倒したビーストがザ・ワンだから、その次ってことでネクストか?」
「まぁ、そんなとこ」
一輝と一夏が話していると、箒たちも降下し、一輝に詰め寄る。
「一体どういうことだ!?」
「一輝さん!!きちんと説明してくださいますわね?」
「アンタ、化け物だったわけ!?」
「皆が納得いく説明してくれるよね?」
「貴様、どういうことだ!?」
無論、五人一斉の問いに答えられる一輝ではなく、あたふたしていると、そこに千冬と山田が歩み寄って来た。
「姫矢は六人目だ」
一夏らは千冬が言った「六人目」に検討がつかなかった。
「なぁ千冬姉、六人目ってどういう意味だ?」
「……そうだな、お前たちには話しておいたほうがいいな。……よし、一緒に来い。姫矢、
お前もだ」
一輝・一夏たちは千冬と山田に連れられ、ある場所へと向かった。
「ではまず、六人目という意味を説明しよう。……六人目とは、ウルトラマンに変身することが出来る人間が、姫矢で六人目ということだ」
現在使われていない空き教室で、千冬が教壇に、一輝ら生徒は席に着いていた。
「それってどういうことですか?千冬さん。俺が六人目ってことは、他にもいるってことですよね?」
「いや、(いる)ではなく(いた)だ。……ウルトラマンに変身することが出来る人間のことを適能者(デュナミスト)と呼ぶ。まずはこれを見ろ」
すると、前のスクリーンに一人の男性の写真が写し出された。
「一人目のデュナミスト、真木舜一。彼は25年前、偶然にも選ばれ、世界最初のスペースビースト・ザ・ワンと戦った。この戦いは後に、新宿大災害と呼ばれている」
千冬は続いて、違う男性の写真を写し出した。その人物は、一輝・織斑姉弟がよく知る人物だった。
「続いて、二人目のデュナミスト、姫矢准」
「ちょっと待ってください!姫矢ということは、一輝さんの……」
「そうだ。姫矢准は、姫矢一輝の父親だ。彼は、新宿大災害の五年後、今から20年前にウルトラマンになった。その名は現在では、ウルトラマンネクサスと呼ばれている」
千冬の説明に一輝が付け加える。
「姫矢准・・・俺の父さんは、千冬さんと一夏の親代わりでもあるんだ。二人の両親は、ビーストに殺され、自分たちも殺されそうになったところを父さんが助けたんだ。それらずっと一緒に暮らしてきた。父さんは、千冬さんと一夏のことを自分の子供のように育ててくれて、俺も本当の姉弟のように接してきた」
一輝の父・姫矢准は、千冬と一夏にとっても父親という存在だった。
「本当に、感謝してもしきれない。……続けよう。三人目は千樹憐。四人目は西条凪。そして最後の五人目だが……」
五人目の名前を言おうとした千冬だったが、思わぬ来訪者が現れた。その人物は、IS学園の学園長だった。
「五人目は、僕だ」
「そう、五人目のデュナミストは、この学園の学園長・孤門一輝」
「そこから先は自分で話すよ織斑先生。……その前に、久しぶりだね一輝君。姫矢さん……お父さんは元気?」
「はい、お久しぶりです孤門さん」
「えっと、ウルトラマンの話だったね。……僕は元々、TLTの実働部隊・ナイトレイダーに所属していたんだ。そして石堀さん……ダークザギとの戦いでウルトラマンに変身して、ビーストから人々を守りたかった。姫矢さんや憐を見ていたから、僕も戦えた。人々の思いが僕の中に集まってきて、ウルトラマンの本来の姿を取り戻した。全ての宇宙を守るもの……ウルトラマンノアになって、ザギを倒すことは出来たけど、ビーストは現れ続けた。ナイトレイダーだけでは限界があった。ナイトレイダーに代わる力として、ISが開発されてから丁度10年になる」
孤門が説明を終えると、千冬が言った。
「ということだ。……今日のところはこれで終わりだ。各自部屋で体を休めるように。では、解散」
千冬の合図で各々は自分たちの部屋に戻ろうとしていた。
「それと、姫矢の件については我々だけのことにしておくように。……姫矢、お前の部屋だが、申請に手違いがあったようで、同居人が他クラスの者になってしまったが」
「あぁ、そうなんですか……俺は構いませんよ」
一輝は千冬に教えられた部屋に向かった。
一輝は部屋のドアの前に立っていた。
(他クラスってことは、同居人は女の子……だよなぁ)
―――――何を迷っているんだ?一輝
(あ、ネクスト。やっぱ、初めましてだから、笑顔で接した方がいいのかな?)
――――――一輝、君は君のままでいればいいのではないか?
(そっか、そうだよな。俺のままで……よし、行くか!!)
一輝は深呼吸すると、ドアをノックした。
「……はい」
か細い声と共にドアが開き、中から水色の髪にメガネをかけた少女が姿を見せた。
「……あ、あなたは、確か一組に転校してきた……」
「あぁ、俺は姫矢一輝。えっと、学園の手違いで君と同室になったんだ。よろしく」
「わ、私は更識簪、四組。よろしく……とりあえず入って」
簪は一輝を招き入れた。
「お、奥のベッドは私。姫矢君は手前のを使って」
「うん、分かった……ん?」
一輝は簪のベッドの上にある端末が視界に入ってしまい、そこに映し出されている映
像を見て声をかけた。
「あの、それって昼間の……」
「え?……あ、えっと…その、つい録画しちゃって」
その映像は、ウルトラマンとザ・ワンとの戦いの様子だった。
丁度ウルトラマンがザ・ワンを撃破し、光に消える瞬間で映像は止まったが、少々動揺してしまった一輝は、懐に入れていたエボルトラスターを落としてしまった。
「あの、コレ落とした」
「あ、ありがとう(…ヤベェ、怪しまれちゃったかなぁ)」
「コレ、大事なものなの?」
「あ、あぁ、コレがないとダメなんだ」
「で、でもコレ、ウルトラマンの胸の部分に似てる」
一輝は、もう隠しきれる自信はなく、全てを打ち明けようとした。
―――――待て、一輝。いいのか?
(いつまでも隠し通せるとは思ってないよ。いいよな?ネクスト)
―――――……君が決めることだ
(ありがとう、ネクスト)
一輝は覚悟を決めた。
「あ、あのな、こんなこと信じてもらえるか分からないけど打ち明けるよ……俺がウルトラマンだ」
突然の告白に簪は混乱してしまうが、次第に落ち着きを取り戻し、一輝の話に耳を傾けた。
「…えっと、つまり簡単に言うと、俺は一度死んで、ネクストと一体化することによって生き返って……このエボルトラスターでウルトラマンザ・ネクストに変身して戦ってたんだ。……ここまで大丈夫?」
「……」
簪は何も答えない。だが、話すことは決めていた。
「……姫矢君は、何のために戦うの?」
「……家族の、父さんのためだ。父さんが命を懸けて戦い抜いて、守ってくれた皆の未来を、今度は俺が守りたいんだ」
「そう……じゃあ、誰かが助けてほしい時には、すぐに駆けつけてくれるの?」
「あぁ、どんな人でも、その人に未来がある限り、俺は助けるよ」
簪はそれ以上何も聞かなかった。彼女は、一輝のことを話すつもりもないと心に決めた。
この日、一輝の理解者となった簪は、少しだけ一輝に心を惹かれていったのだった。
今回も読んでいただいて、ありがとうございます。
後々の話でも、孤門君は登場します。
この作品のベースとなる世界観は、ウルトラマンネクサスですが、そこにISが混ざると、ネクサスの特徴のダークな雰囲気が緩和されてる気がするのは私だけでしょうか?
次回では、姫矢君のお父さんが登場します。そして、ウルトラマンもネクストから…
第四話「進化-アンファンス-」
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それではこの辺で、失礼いたします