ISN-インフィニット・ストラトス・ネクサスー   作:ノアJAM

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前回の予告通り、今回が今までで一番長いです
ゆったりと読んでいただけたら幸いです

それでは、第六話「英雄-ジュネッス-」お楽しみください


英雄-ジュネッス-

 織斑千冬と姫矢准は、更識簪を保護した後、姫矢一輝の変わり果てた姿を見る。

 

「……姫矢なのか?……アレは、まさか!?」

 

「アレは、20年前に俺が戦った…ダークメフィストだ」

 

「ですが、そのダークメフィストがなぜ…」

 

「恐らく…彼女を守れなかったからだろう。そのせいで、一輝の中の闇がメフィストとしての力を一輝に与えた」

 

 ダークメフィストの戦い方は、残虐極まりないものだった。

 

 ガルべロスの後ろに回り込み、尾を掴んで何度も地面に叩き付ける。そして、怯んだところで頭部を掴んでまず一つ目の頭をもぎ取り、更に二つ目の頭を手刀で切り落とした。

 

 その光景を目の当たりにした一夏は…

 

「アレが……一輝なのか?」

 

「……なんて酷い」

 

 今の一輝に理性はあるものの、それは一つの事しか考えておらず、(殺す)という行動原理だけで戦っていた。

 

 メフィストの残虐性は更に増していく。両手・両足をもぎ取り、身動きが取れなくなったところを馬乗りになって押さえつけ、本来頭がある傷口に手を突っ込み、ガルべロスの肉片を掻き出していった。

 

 その度にビーストの体液がメフィストの体を汚していく。それは、ビーストが絶命した後も続いた。

 

 

 

 ビーストの体が完全になくなった後、メフィストは魂の抜けた人形のように動かなくなった。

 

 周囲に沈黙が流れる。その時、簪が目を覚ました。

 

「……あ、織斑先生、姫矢さん。……一輝は?」

 

 簪はまず一輝を探した。その時に准は思った。

 

(この子は、一輝の事を……)

 

 准は何も言わずにメフィストを指さした。メフィストを見た簪は……

 

「一輝、私のせいで……」

 

 その時、簪の懐から何かが落ちた。それを准が拾う。

 

「これは!?…なぜ君がこれを持っているんだ?」

 

 それは、エボルトラスターだった。

 

「えっと、これは……一輝が部屋に置き忘れてて、それを届けようとしたら…その後の事は、分かりません」

 

「そうか……それはすまなかった」

 

 准は簪からエボルトラスターを受け取った。すると、本来反応するはずのないのに、准が手にした瞬間、エボルトラスターが反応を示した。

 

 

 

 その頃、一夏たちは一切動かないメフィストを観察していた。

 

「一輝、何で動かないんだよ」

 

 一夏はメフィストの顔まで接近し、一輝に呼びかけた。

 

「おい一輝!!もう終わったんだろ?早く元に戻ってくれよ!!」

 

 すると、メフィストは一夏を見つめている。一夏からは見えないが、箒・セシリア・リン・シャルロット・ラウラの五人には、メフィストが拳を握りしめているのが分かった。その瞬間、箒は一夏に叫んだ。

 

「一夏!!逃げろ!!」

 

「え?」

 

 その瞬間、一夏が数百m程吹き飛ばされた。それは、メフィストが一夏を拳で殴り飛ばしたからであった。

 

 その後、メフィストはゆっくり立ち上がり、まるでビーストのような咆哮を響かせながら、箒たちを次々と落としていく。

 

 その光景はまさに、「悪魔」そのものであった。

 

 最早、ISにメフィストを止めることは出来ない。

 

 

 

 状況は絶望的だった。ビーストは撃破したものの、一輝が怒りと憎しみに任せて変身したため、今のメフィストはビースト以上の脅威となっていた。

 

「何か……姫矢を止める術はないのか!?」

 

 千冬が珍しく声を荒げる。すると、准は言った。

 

「……俺が行く」

 

「しかし、あなたは!!」

 

「息子の不始末は、親である俺がなんとかしないといけない。そして何より、俺は一輝との絆を信じている」

 

 准はエボルトラスターを見た。すると、准の頭の中に声が聞こえてきた。

 

―――――一輝を、救ってくれ。私のかけがえのない友なのだ

 

 声が聞こえなくなると、准は簪に言った。

 

「大丈夫だ。一輝は俺が救い出す。……一輝を、支えてやってくれ」

 

 准はそう言って立ち上がり、メフィストを見る。そして再度エボルトラスターを見る。

 

「もう一度……もう一度だけ、君の力を貸してくれ。……一輝を救うために」

 

 准はエボルトラスターを引き抜いた。

 

 そして今、英雄(ジュネッス)が復活した。

 

 

 

 姫矢准は、20年振りに光になった。闇に呑まれた息子を救うために、もう一度英雄になる。

 

 ISを全て撃墜したメフィストの前に光の柱が現れ、中から光に巨人が現れた。

 

 その巨人の正体は、ダークメフィスト=姫矢一輝を救うために彼の父親=姫矢准が変身したウルトラマンネクサスだった。

 

 ネクサスの体を光が包む。すると、ネクサスの体の色が銀色から赤色が混じった「ウルトラマンネクサス・ジュネッス」へと形態変化した。そしてネクサスは右腕にエネルギーを収束させ、天高く掲げた。

 

 すると、ネクサスを中心に辺りが光に包まれ、景色が変わる。そこは、ネクサスが戦闘を行うための特殊空間「メタフィールド」だった。

 

 メタフィールドにはネクサスとメフィストしかいない。

 

「一輝!!お前は闇に心を呑まれているんだ。その闇から抜け出せ!!」

 

 父の言葉を「黙れ!!」とでも言うかのように、メフィストは咆哮を響かせ、ネクサスに襲い掛かる。

 

「俺はあの子を……簪ちゃんを守れなかった。…それも全部ビーストが悪い…だから、ビーストを殺す。……その邪魔をするなら、父さんも俺の敵だ!!」

 

 容赦なくネクサスに迫るメフィストには、戦わずに一輝を救うことは出来ない。

 

 そう思ったネクサスは、天高く飛び上がり、地上のメフィストへ向けて三日月型の光刃「ボードレイ・フェザー」を放った。メフィストはこれに対して、三日月型の光線

「ダークレイ・フェザー」を放ち、相殺させる。

 

 その時ネクサスは、メフィストの背後に何か巨大な力が存在しているのを感じた。

 

「一輝、お前が守ろうとした子なら無事だ。だからお前はもう、怒りや憎しみで戦う必要はない」

 

 ネクサスは力ではなく、言葉でメフィストを説得しようとした。

 

「本当なのか?本当に簪ちゃんは無事なんだね!?父さん」

 

 ネクサスは頷く。

 

「…よかった……本当によかった。…父さん、ごめんなさい。ネクサスも悪かったな」

 

 メフィストは、一輝本来の心を取り戻した。だが、突如として黒い闇がメフィストを包む。

 

「うわあああああああ!!…闇が……闇が俺の中に入ってくる!!……父さん、俺を殺してくれ!!俺の心が…闇に支配さる前に!!」

 

 姫矢一輝は、父親に「自分を殺せ」と頼んだ。だが、父・姫矢准にはそれが出来なかった。

 

 准は恐れていたのだ。息子・一輝も、かつて自分の目の前で死んでしまった少女・セラのように失うのではないかと。だが、准は気づいた。

 

(過去は変えられなくても、未来は変えられる……俺は…一輝を失う未来を変えてみせる!!)

 

 ネクサスは立ち上がり、両腕のアームドネクサスをL字型に組み、ジュネッスの必殺光線「オーバーレイ・シュトローム」を発射した。それはそのままメフィストの胸のコアに直撃し、コアを破壊した。

 

 動力源を失ったメフィストは、その場に崩れ落ち、元の「姫矢一輝」に戻っていた。

 

 それと同時に、ネクサスのメタフィールドも消滅し、その場には息子を抱きかかえた父親の姿があった。

 

 

 

 姫矢一輝が目を覚ますと、そこには准と千冬、なんとか生還した一夏、そして簪の姿があった。

 

「一輝!!気が付いたのか……よかったぁ」

 

「全く貴様は、自分の力も制御できんのか…だが、よく生きて戻った」

 

「はっ、千冬姉が一輝にデレた!!」

 

 千冬をからかった一夏に千冬が制裁を加え、一夏が崩れ落ちる。

 

「一輝、体は何ともないか?」

 

「うん。ありがとう父さん。俺を救ってくれて」

 

「当然のことだ。それよりもだ、もう二度と怒りに任せて変身するな。また、今度のようなことになってしまうからな」

 

 そう言って准は出て行き、千冬も一夏を連れて出て行く。部屋に残ったのは簪のみ。

 

 簪は下を向いたまま黙っている。一輝も何も言わない。

 

 二人の間に沈黙が流れる。

 

「「……あの」」

 

 二人同時に口を開く。

 

「先にいいよ、簪ちゃん」

 

「う、うん。……えっと…それ、もう忘れちゃダメだからね」

 

 簪は、エボルトラスターを指さして言った。

 

「うん、俺がこれを置いて行ったばっかりに……本当にごめんね」

 

「あ、謝らないで。それにほら、私はケガしてないから」

 

「本当によかった……にしても、とんでもない臨海学校になっちゃったね」

 

 一輝は話題を変えてみるが、このぎこちない空気は変わらない。

 

 更に話題を変えてみる。しかし、一輝は気づいた。自分の中にいるネクサスが一言も話していないことに。だがこれは簪に言うことではないと判断した。

 

「そういえばさ、簪ちゃんって専用機持ってるんだよね」

 

「え!?うん。……でも、まだ完成してなくて」

 

「そうなんだ……よかったら、学園に戻ったら手伝わせてもらえないかなぁ?」

 

 思わぬ一輝の提案に、簪は目を丸くした。

 

「え……えっと、一輝ってISあまり乗ったことないんじゃ…」

 

「まぁ、そうなんだけどね。初乗りのときにウルトラマンになったから。…それで、千冬さ…織斑先生に相談して、整備科に転科したんだ。丁度、ISの整備に興味があって少し勉強してたから」

 

「じゃあ、本当に手伝ってくれるの?」

 

 一輝は頷いて答える。簪には、それが嬉しくてたまらなかった。

 

「簪ちゃん」

 

「・・・?何?」

 

「何か可愛いね」

 

 不意を突かれた簪は、あたふたした。

 

「な、なななななな何言い出すの!?……それは嬉しいけど、そんな急に言われても……」

 

「え、どうしたの?顔赤いよ」

 

「そ、そんなことない!!夕陽のせいだよ!!」

 

「……そっか、何もないならよかった」

 

「……一輝の、他の子にも簡単に可愛いとか言うの?」

 

「あぁ、えっと…昔はね。…でも、中学の頃に、織斑先生に言ったら殺されかけて、それ以来から本当にそう思った相手じゃないと言わないようにしてるよ」

 

「じゃあ、本当にそう思ってくれたんだ…ありがとう」

 

 簪はそう言って立ち上がり、部屋を出る前に一輝に言った。

 

「じゃあ、またね」

 

 簪が出て行った後、一輝は一人になり、自分の中にいるネクサスを呼んだ。

 

(ネクサス……ネクサス、聞こえてるか?)

 

―――――何だ?

 

(何だじゃない。どうしてさっきから黙ったままなんだよ)

 

―――――……君が無事だったことは素直に喜ばしい。だが、君は心の闇でメフィストに変身してしまった。私は君が心配なんだ

 

(俺なら大丈夫だ。ネクサスが心配するようなことはなんも……)

 

―――――私が心配しているのは一輝、君の心なのだ

 

(俺の心?)

 

―――――そうだ。君は怒りと憎しみで変身した。今回は父親が救ったからいいとしても、

本来ならば、心が闇に囚われていたかもしれなかったのだぞ

 

(もし、心が闇に囚われていたら、どうなってたんだ?)

 

―――――もしそうなったら、それはスペースビーストと同じ存在になってしまう

 

 一輝は背筋が凍るような思いだった。自分がスペースビーストと同じ存在になるということは、一夏たちIS操縦者、千冬、そして簪も殺してしまう可能性があると思うと、一輝には耐えられなかった。

 

(分かった。もう怒りや憎しみに心を囚われたりしない。俺は決めたんだ…君と、このメフィストの力を、皆が安心して暮らせる世界のために使う)

 

―――――そう、ウルトラマンの願いは、全ての世界が平和になること。私は様々な世界を見てきたからな

 

(なぁネクサス、…いつか君が見てきた世界のこと、教えてくれよな)

 

―――――あぁ、もちろんだとも

 

 

 

 とある国、とある施設……そこに一つの影が降り立った。

 

 その影の目的は一体何なのかはわからない。ただ、一つ言えることは、その影は人間ではなかった。

 

 その影は、暗い通路を足音を響かせながら歩いていく。すると、突然灯りかつき、辺りをISに囲まれる。

 

「何者だ!?……貴様の所属国を言え!!」

 

「この施設に保管されているIS、インフィニット・ストラトスを、渡してもらおう」

 

「何だと、構わん撃て!!」

 

 囲っているISの銃口が火を吹き、影に迫る。だが、銃弾は全て弾かれてしまう。

 

「甘い……甘すぎる」

 

 影は腕をISに向け、言い放った。

 

「俺の名を教えてやろう。俺はアンノウンハンド、またの名を……ダーク…ザギ」

 

 ダークザギ……伝説の超人ウルトラマンノアを元に造られた人造ウルトラマン、別名ウルティノイド・ザギ。

 

 20年前の戦いで倒されたはずのザギが復活したことは、この時の姫矢一輝には知る由もなかった。




第六話「英雄-ジュネッス-」いかがでしたか?
前回の予告にある「???」は、気高き紳士ダークザギ様でした
とりあえず、前半はここで終了いたします
今後の展開としては、次回のオリキャラ紹介から始まり、ゲストのウルトラマンを交えての学園祭を舞台とした番外編、そして後半の物語へと続いていきます

下部に私のTwitterのタグ?パス?を書いておきますので、フォローいただけたら幸いです
@YF30CHRONOS

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それでは、この辺りで失礼します
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