楽しみたいだけの転生者   作:黒色エンピツ

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今回は流れが早くになってます。

それでは、続きをどうぞ。


その14:車椅子少女、ゲットだぜ☆

side 黒

 

 

 

「新しくクラスに転校してきた夢現 幻君なのっ。」

 

俺は今とてつもなく酷い表情をしているんだろうな。

なんたって、なのはちゃんの今紹介してくれたこいつこそが、今回のターゲットなんだからよぉ。

とりあえず、こいつにだけ適当に殺気を飛ばしてやった。

 

「ひっ………!」

 

………………ああ、今回の依頼は楽に終わりそうだ。

少しの殺気でこうも怯えるとは。

でも、まあ、ターゲットには手を抜かない。慈悲も与えない。油断したらこっちがやられる。

 

「やあ、俺は楽島 黒だ。」

 

「ゆ、夢現…幻です………。」

 

さて……どう始末してくれようか。正直殺すだけなら簡単だ。だが、ここだと人目に付くから却下だ。なら、また日を改めればいいかもしれないが、それも却下。泳がせておくと後々厄介だ。と、いうことはだ。

 

「そ、そろそろ帰りますね……。」

 

「ああ、またおいで。」

 

帰宅途中を狙って仕留めるしかない。

夢現が外に出て少しした時に士郎さんに少し抜けると言いバリアジャケットに着替えて追った。

 

『ターゲット発見、封時結界を展開。』

 

「よし、それじゃあ、首を貰うか。」

 

いつもよりは少し遅めだが充分な速度で近付き非殺傷設定の風の刀身で首を斬った。

 

「任務完了。」

 

いつもの定型文を言い帰ろうとした。

 

「あれ?帰っちゃうんですかぁ?」

 

「なに…?……っ!?」

 

後ろを振り向いた瞬間に直感に任せて刀を持ってない左手で殴った。

俺はその場に留まったが相手は吹き飛んだ。

 

「痛いじゃないですか……まだ、この程度の想像ではダメでしたか…。」

 

「おいおい………夢を操って現実にって、こんなことも出来んのかよ…。」

 

もう『想像を反映する程度の能力』とかそんなのでいいんじゃねぇの?

夢現の体は小学生には見えず、筋肉隆々で俺よりも体は二回りは大きかった。

いや、それよりもだ。

 

「……お前、どうやって生きていた?確かに首を斬ったはずだ。」

 

「ああ、あれは僕の創った僕の偽者ですよ。僕は近くに気配を消して隠れてただけです。」

 

「自分を創ったのか…趣味が悪いな。」

 

「そういうあなたこそ。人の首を落とそうとするなんて酷いじゃないですか。」

 

「依頼だからな。仕方ない。」

 

「誰からとは聞いても?」

 

「ダメだ。依頼主の情報は漏らさないようにしてるからな。」

 

「そうですか……では、はあ!」

 

突進して殴ってきた。

 

「…………ふっ!」

 

俺はそのまま左手で相手の拳に合わせるように殴った。当然夢現の方が体格があるから吹っ飛ぶのは俺の方だと思って居るのか笑っている。

 

「さっきのがまぐれだと思ってるとは、力量が測れてないな!」

 

「なっ……!?」

 

腕が弾けて吹き飛ばされたのは夢現だった。

 

「うっ……ぐぅっ!!」

 

「それじゃあ、止めだ。時間かけさせやがって…。」

 

「…………この賭け、僕の勝ち…ですよ。」

 

その瞬間、夢現は自身の体を爆発させた。

 

「っ!?チィ!」

 

爆発を無視して煙を払うとそこにはもう居なかった。

 

『………ターゲットロスト。』

 

「最後に気を抜いてしまったか…。」

 

『次がありますよ。』

 

「いや、ダメだ。あいつを1日でも早く仕留めないといけない…。」

 

『……先程の爆発により多少ですが傷があります。先に治療しましょう。』

 

「ああ…悪いな。 」

 

今日はもう家に帰るか…。

 

 

 

 

家に帰るとポストに手紙が入っていた。

誰からだ?

 

 

『明日の夜にこの地図の所に来てください。

決着を着けましょう。

 

夢現 幻』

 

 

「罠の可能性もあるかもな……。」

 

まあ、最大限警戒していくか…。

 

 

 

 

「ここか……。」

 

目的の場所は意外にも住宅地だった。

戦いに一般人を巻き込むわけにはいかないな…。

 

『マスター、100m先より転移反応アリ。』

 

「ああ、俺も気配を感じた。でも…この気配は……?」

 

俺の直感が警鐘を鳴らしている。この場所に来てからずっとだ。直感に合わせて動こうにも何に直感が反応してるかがわからない。

 

「敵が複数人…?他の転生者…いや、そんな情報はない。」

 

ゆっくりと相手の姿が見え始めた。夢現の姿は普通に見えるが、他に居る6人は身に付けたフード付きマントで気配や魔力も感じにくい。

 

「ああ、来てくれたんですね。ありがとうございます。」

 

「……まさか、仲間が居るとは思わなかったがな。

お前を殺す機会を逃す手はないだろう。」

 

「あははっ。じゃあ、この顔を見ても同じことが言えますか?」

 

6人がマントを外した。

 

「は……?なのはちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃん、アルフちゃん、プレシアさん……?後…猫耳の……使い魔?」

 

全員が虚ろな目をしている。

何があった…?

 

「ええ、そうですよ。驚いたでしょう?」

 

「おい……何をした…?」

 

「おお、怖い怖い。

簡単なことですよ。夢に入れば好きに洗脳や催眠を掛けたんですよ。それを現実に反映させただけですよ。」

 

「洗脳…催眠だと…?何のために?」

 

「そんなの決まってるじゃないですか。カノジョ達を僕の物にするためですよ。

それと……。」

 

夢現はフェイトちゃんの前に立つと腹を殴った。フェイトちゃんは顔を歪めて蹲った。

 

「てめぇ!?」

 

「ああ…いいですよねぇ、綺麗な人が顔を歪めて苦しんでるところを見るのは。そうは思いませんか?」

 

『頭がおかしいようで。』

 

「そのデバイスもあなたを殺したら貰いますよ。」

 

そんな話はどうでもよく、俺はフェイトちゃん注視していた。そして、蹲ったフェイトちゃんから涙が零れた。

 

「ぶち殺す…塵も残さねぇぞ……!」

 

「出来ますか?あなたの知人が僕を守ってるのに。更にっ!」

 

あいつが口を開けると周りの家から黒いもやのようなものが出てきて口に入っていった。

すると姿がどんどん変わっていき、人の原型を留めていない何かになった。

 

「グゴゴゴゴゴ……これであなたに勝ちはありませんよ。」

 

あいつを殺すにはもっと冷静になれ…気を静めろ……。

そして、絶対許さないという気持ちを込めて、あのセリフでも言おうじゃないか。

 

「来い、黒纏、アロンダイト。

風、セットアップ。

風は俺の身体に電気を流せ。

さて…それじゃあ……宣戦布告だぜっ!」

 

準備は完璧。後はあのクソ野郎を消す、それだけだ。

 

「あはははっ!死んでしまえ!全員あの男にこうげきゅっ………。」

 

高笑いしてるあいつに電気信号で身体の動作を速くし、脳のリミッターを外して動体視力等を上げる。

今の俺はスター〇ラチナ・ザ・ワー〇と同じような状態だ。……やや、劣化かもしれないから、クロッ〇アップかア〇セルフォームの方が近いかもしれない。

 

「ふんっ!オラァ!はっ!」

 

「グオォッ!?」

 

相手に攻撃が当たり吹き飛ぶようになっても吹き飛ぶまでの間に両手に持った剣で斬っていく。斬り下ろし、横薙ぎ、袈裟斬り、逆袈裟、斬り上げ。もう斬るところが無くなっても斬り続け、叩き落とした。

動きを止めた瞬間後ろから魔力弾が飛んできたから避けて全員当て身で気絶させた。正直やりたくなかったが…。

気絶させたあいつを見るとまだ倒れていた。

おいおい…。

 

「…いつまで寝てんだっ!」

 

踏み付けからの振り上げで打ち上げた。

もう呻き声すら聞こえない。

 

「風、銃だ。」

 

『デュアルガンモード』

 

自分の魔力を圧縮させて砲撃魔法の準備始める。

 

『30%…50%…60%…80%…90%…100%

チャージ完了』

 

「消え失せろ!ブラックルインブレイカー!」

 

『ブラックルインブレイカー』

 

あいつは黒い魔力の奔流に飲まれて消えていった。

 

『ターゲットロスト。前回のようなことはないようです。』

 

「……呆気ない終わりだったな。」

 

さて、洗脳も解けたr………。

俺の目の前を桃色の魔力弾が通り過ぎた。飛んできた方を見るとさっきの6人がこっちを向いて戦う気が満々だった。

 

「嘘だろ…。死んでもまだ俺に迷惑をかけるのか…。

……風、なんかないか?洗脳の解除的なやつ。」

 

『少々時間をください。』

 

「はいはい…。」

 

んじゃ、どうしようか…。

あ、そういえば、あれが使えるか。

 

「こんなことで初使用したく無かったな…。捕らえろ、天叢雲。」

 

天叢雲を取り出して地面に刺すと地面が蛇のように動いて全員を縛った。

天叢雲は物質を蛇のようにして動かすことが出来る、だが射程は不明だ。それでも結構伸ばせると思う。

全員が脱出しようとするがヘビが逃がさない。

 

『マスター、術式が完成しました。』

 

「相変わらず早いな、流石だ。どうすればいい?」

 

『ふふふっ……。』

 

「風?」

 

『はいっ?あっ、えっと、対象の頭に触れて「ディスペル」と言ってください。』

 

また、それっぽい名前だな。

それから解除していき全員の洗脳が解けると家の広間に転移させて親族に連絡を取った。

 

「風…タバコ、今日くらいは良いだろ……?」

 

『…仕方ないですねぇ。』

 

その後酒を浴びる程飲んで、タバコを2箱も使ってしまい風に怒られたのは想像に難くない。

 

 

 

 

次の日、音が聞こえてボーッとする頭で体を起こした

 

「ん……くぁぁあああっ…ふぅっ。」

 

………ここは…ああ、ソファで寝ちゃったのか…。

 

「風……今何時…?」

 

『……15時です。寝過ぎですよ…。』

 

「ああ…悪いな…。」

 

「あ、起こしてしまいましたか…?」

 

声のした方を向くと美人さんが居た。昨日の6人の中の知らない人だ、あの時は帽子を被ってなかったな。

 

「あー……その、あんたは?昨日は猫耳があったように見えたけど、使い魔か?」

 

「み、見たんですか…?///」

 

どこか恥ずかしそうに俯いた。

 

「あ、ああ、まあな。それで、あんたの名前は?」

 

「うぅ……こほん、私はリニスと申します。プレシアの使い魔です。風さんとは先程自己紹介しましたね。」

 

リニス…そういえば、居たな。

 

「俺は楽島 黒だ。」

 

「ええ、知ってますよ。プレシアとアリシアとフェイトに聞きました。随分とお世話になったようで…。今回は私も………。」

 

「いや、まあ、気にするな。悪いのはあいつなんだから。ところで、みんなは?」

 

「全員広間で頭を抱えて落ち込んでますよ。」

 

そう言われて広間に行くと、確かに落ち込んでいた。

 

「あ〜……。」

 

「今はそっとしてあげてください…。」

 

そうだな、と思ったが。

 

「あ、そういえばフェイトちゃんは…。」

 

「私が治療しておきましたよ。」

 

「ん、そうか。任せっ放しで悪いな。」

 

「いえいえ、こちらもお世話になったので。」

 

話しながらリビングに入ると。

 

「……?酒瓶とタバコの空箱がないな。灰皿も吸殻が無くなってる…。」

 

昨日はイライラして部屋の所々に酒瓶が転がっていて、空箱も散乱してて、吸殻も大量にあったはずだが…。

 

「あっ、お世話になったお礼にと私がやっておきましたよ。勝手にしてしまいすみません……。」

 

「ん、いいよ。俺の方こそ助かった。」

 

む……昨日は飲み過ぎたか…少し頭痛がするな…。

 

「あ、お水があるので持ってきますね。」

 

「えっ?」

 

……表情に出てたか…?多少顰めたくらいなんだけど…。

 

「はい、どうぞ。」

 

「あ、おう…。」

 

腹も減ってきたな…後で何か買って食うか。

 

「そうだ、お腹が空いてると思って軽食を作ったので持ってきますね。」

 

…………腹が減ったんくらいだと表情は変わらないよな……?あれ?なんか特殊能力でもあったっけ?

 

「冷蔵庫にあった物で作ったので口に合うか分かりませんが…。」

 

サンドイッチが出てきた。

何これ滅茶苦茶美味そう。見た目で分かる。これは絶対に美味い!家にこんな料理が作れるような食材ってあったっけ!?皿もこれ見たことないんだけど!?

これを……食っても良いのか?

無意識にリニスを見ていたようで苦笑いしながら。

 

「どうぞ。」

 

って言われたからかぶりついた。

 

「………うまっ…!」

 

プレシアさんや桃子さんのも美味いけどそれとはまた違った美味さがっ…!

 

「ああ、そんなに急がなくても誰も取りませんよ。」

 

「んぐっ…悪いな…。」

 

この歳になって窘められるとは……。

 

「でも、こんなに美味しそうに食べてもらえるのはとても嬉しいですね。」

 

「そうなのか?」

 

「ええ、そうですよ。」

 

よくテレビとかではそんな話は聞くけど実際にそうなんだな。

 

「ご馳走様。美味かったよ、ありがとな。」

 

「はい、どういたしまして。」

 

美味いものを食べると気分がいいな。

そろそろ、みんなの様子でも見に行くか。

 

「おーい、気分はどうダバッ!?」

 

「「「「ご、ごめんなさ〜い!」」」」

 

「ごめんなさいね、黒。」

 

子供3人とアルフちゃんが飛び着いてきた。プレシアさんは後ろで笑っていた。……割と痛い。

 

「何をしているんですか…。黒が痛そうにしてるでしょう?」

 

「あら、いいじゃない。黒もまんざらでもなさそうにしてるわよ?でしょう?」

 

「まあ、悪い気はしない、ってだけ言っとく。

ほら、めそめそしてないでシャキッとしろよ。」

 

「うぅ…だってぇ……。」

 

「黒に攻撃しちゃったし…。」

 

「私だって…。」

 

「ごめんよ〜、黒〜…。」

 

「あれは仕方の無いことだったろ?気にすることないって。」

 

洗脳されてたんだから。

 

「あ、そういえば、リニスはどうしてあいつの所に居たんだ?」

 

「あ、それはですね。プレシアとの契約が終了して海鳴に来たのですが、あの子供に捕まって洗脳されてしまい。昨日のことで洗脳が解けました。洗脳されてた間はあの子共と契約していたようです。」

 

「今は?」

 

「プレシアと再契約したので大丈夫ですよ。」

 

「ええ、前よりも魔力に余裕があるからね。」

 

まあ、それもそうか。

 

「そうだ。テスタロッサ家は大丈夫だろうけど、なのはちゃんは士郎さん達が心配してたから早く帰ってあげろよ?」

 

「にゃっ!?そ、そうだった!またね、黒お兄ちゃん!」

 

「はいはい、気を付けて帰るんだぞ?」

 

「は〜いっ!」

 

なのはちゃんがバタバタと帰っていった。

 

「私達もそろそろ帰るわよ。」

 

「うんっ!」

 

「うん、わかった。」

 

今度はテスタロッサ家も帰った。

俺と風を残した家は静まり返った。

 

「……寝るか。」

 

『たまには、良いでしょうね。』

 

その後ぐっすり眠った。

 

 

 

 

「…………………。」

 

「あ、おはようございます。」

 

なんでリニスが家に居るんだ?

時間は……10時…。

 

「…なんで居る?」

 

「えっと、プレシアが『どうせ黒は1人だと外食か出来合い品で済ませるから行ってあげて』と言ったので。」

 

「………今日くらいは家族団欒をしてたらいいだろうに…。」

 

「それだけプレシアも心配しているんじゃないでしょうか?」

 

それはそれで嬉しいと言えばいいのか…?

 

「あ〜…今日はいいから、家でみんなで過ごせよ?」

 

「大丈夫ですよ。フェイトとアリシアはもう寝ましたし。」

 

「いや、プレシアさんと積もる話もあるだろう?」

 

「それもそうですが……その話はいつでも出来るので…。」

 

「でも、そういう話は早い方…が……。」

 

言葉が詰まる。だってさ…。

 

「あの…お邪魔、でしょうか…?」

 

涙目になって来てるんだぜ?言えねぇよ……。

 

「あ、ああ、それじゃあ、頼もうかな…。

 

「はいっ、わかりましたっ。あ、ですが、食材が無いので買ってきます。」

 

時間的に店は開いてるんだろうか?

 

「俺も一緒に行くぞ。」

 

「いえ、寝起きなのでいいですよ?」

 

「いいんだよ。今日は外に出てないしな。それに、荷物持ちくらいはさせてくれよ。」

 

全部任せっきりは嫌だし。

 

「………わかりました。では、お願いします。」

 

「ああ。」

 

出かける前に着替えないとな。

 

 

 

 

「晩ご飯は何がいいですか?」

 

談笑しながらスーパーに向かって着いてからの一言だ。

晩飯は……そうだな。

 

「肉がいいな。」

 

「わかりました。

肉なら何が良いでしょうか……。」

 

なにやら悩み始めたがここからは料理人の仕事だ。俺は買い物籠を持って選ばれた食材を運ぶだけ。

待っている間は悩んでるリニスを見ながら、今日飲む酒を考えていた。

 

〔控えめに飲んでくださいよ…?〕

 

〔分かってるよ。

後、良かったらタバコも……。〕

 

〔ダ メ で す。〕

 

〔………はい。〕

 

風め…俺には関係無いって分かってるくせに……。

 

「よしっ。決まったので、帰りましょうか?」

 

「ん、分かった。楽しみにしてるぜ?」

 

「任せてくださいっ。」

 

ふと、思った。テレビとかでやってるラブストーリーでこんな状況があったが、主人公はどんな心境なんだろうか?

まあ、いいか。特に気にすることでもないか。

 

「今日はちょっと良さそうなお肉があったんですよ。」

 

「そうなのか?肉の違いなんて精々鮮度くらいしか分からないんだけどな。」

 

「ええ、違いますよ。……あら?」

 

「ん?どうした?」

 

リニスの視線を追うと車椅子に乗った女の子が倒れていた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「風、あの子の体の状態をチェックしろ。」

 

『了解しました。』

 

見たところ車椅子からこけたみたいだな。側溝に車輪が引っ掛かったのか。

 

『マスター…。』

 

「ん?どうした?」

 

『あの少女は、闇の書の影響を受けているようです。つまり、八神 はやてさんですね。』

 

「ああ、うん。顔見たら分かった。」

 

まさか、こんな所で会うとはなぁ。別にいつ会おうが構わないんだが、予想外だな。

 

「あの…この子、気絶してるみたいです。頭を強く打ってますね。」

 

額にでっかいたんこぶが出来てる。

………痛そうだ。

 

「どうしましょう…。この子の家も分かりませんし、こんな道端に放ってはおけませんし……。」

 

「俺の家で良いんじゃないか?丁度リニスも居るんだ。それに、家には治療道具もあるしな。」

 

「でも、勝手に連れていく訳には…いえ、仕方ありませんね。暖かくなってきたとはいえまだ少し冷えますから。」

 

「んじゃ、決定だな。」

 

それからリニスに女の子を背負ってもらい、俺は車椅子を運んだ。

 

 

 

 

飯(滅茶苦茶美味かった)を食って風呂から上がるとまだ女の子は寝ていた。

 

「どうだ?」

 

「額の腫れは引いてきましたが意識はまだ戻りませんね。」

 

「そうか……。」

 

いつから気絶してたかは知らないが、心配だな…。

 

「ん……。」

 

「あっ、起きました。」

 

「おお…良かった良かった。」

 

「あれ…?私なんでこんなとこおるん…?ここどこ…?」

 

「起きたかい。」

 

「うひゃっ!?」

 

女の子が目を見開いてこっちを向いた……その過程でリニスの後ろに移動しながら。

いや、あの、いきなり声掛けられて驚いたのは分かるけどさ。なんで車椅子無しの這ってそんな速く動けるんだ?

 

「だ、誰ですか…?」

 

「あ〜…その、だな……。」

 

「もう、怖がらせたらダメじゃないですか!」

 

「……悪い。」

 

こんなに怖がられると思ってなかったからな…。

 

「あ、いえ、その…驚いただけなんで……。」

 

怖がられた訳じゃないのか……ほっとした。

 

「いや、俺の方こそ悪かったな。

俺は楽島 黒だ。黒って呼んでくれ。」

 

「あ、はい。知ってます、前の見てたんで。凄かったですっ!」

 

「おお、そうかそうか。」

 

こんな反応をしてくれると嬉しいなぁ…。

 

「私はリニスといいます。あなたは?」

 

「えっと…八神 はやてと言います。はやてでいいです。」

 

ん〜、やっぱり喋りにくそうだな。

 

「はやて…ちゃんは関西出身か?訛りがあるけど。」

 

「そうですよ。」

 

「なら、関西弁で良いぞ。後、敬語も無しだ。そんなのは後々覚えりゃいい。」

 

「う、うん、分かった。そ、それで、なんで私は寝てたん?」

 

「………リニス。」

 

「黒が説明してください。ずっと話してたんですから。」

 

「分かったよ…。」

 

説明苦手なんだがな…。

 

「リニスと俺が買い物から帰っててる途中でぶっ倒れてたからお持ち帰りした。理解したか?」

 

「ちょっと、それじゃあ不充分では…。」

 

「うんっ、バッチリやで!」

 

「え……?」

 

よしよし。

 

「それで、はやてちゃんはどうする?

家の人に連絡とかするか?」

 

まあ、結果は分かってるが、少しくらい希望的な考えをしてもいいだろう?

 

「……私、家族がおらん…。」

 

「あ……。」

 

やっぱりこうなったか……。

はやてちゃんとリニスには悪いことをしたな。

 

「まあ、なんだ、今日は泊まっていきな。もう遅いからな。」

 

「うん…。」

 

「あ、えっと、私も今日は残りますね?」

 

「頼む。」

 

流石に初対面の女の子とひとつ屋根の下はマズイだろうしな。

 

「それじゃ、俺は寝るから、2人共ゆっくりしていってくれよ。」

 

「あ、はい。おやすみなさい」

 

「お、おやすみ…!」

 

?はやてちゃんが一瞬驚いてたが…まあ、いいか。

 

 

 

 

「………あん?」

 

上に…誰か乗ってんな………。横にも誰か居やがる…。

 

「ねむ…だれだぁ?」

 

「んっ……えへへっ…。」

 

なぜ、はやてちゃんが、俺の上に、居るん、ですかねぇ?

つまり、隣は…。

 

「くぅ……。」

 

やはりリニス、貴様か。

 

「…風、今何時?」

 

『7時前です。』

 

はえぇよ…。

それから2時間経ってからはやてちゃんとリニスが起きた。

 

「それで…なんでここで寝てたんだ?布団なら他の部屋にもあったろ?」

 

「え、ええ、それはそうなんですけど…。」

 

「え、えっとな…私が一緒に寝たいって言ったんよ……。今まで誰かと一緒に寝た覚えが無かったから…。」

 

そんなことか…。

 

「全く…それなら言ってくれればいくらでも一緒に寝てやってたのに。」

 

「えっ?ほ、ほんとに?」

 

「ああ、もちろん。」

 

「寝る前に本読んでくれる?」

 

「持ってきてくれたら寝るまで読んでやるよ。」

 

「………う、ううぅ…。」

 

あっれぇ?泣き始めたぞ!?なぜこうなった!?

 

「ち、違うんよ…う、嬉しくて……。今までそんな人居なかったから…。」

 

「全く…ほら、こっち来い。」

 

「ふぇ?うん…。」

 

やはり女の子が泣いてるのを見るのは嫌だ。

だから、いつもなのはちゃん達にしてるように頭を撫でてやった。

 

「子供なのに無理に我慢すること無いんだよ。我が儘言って好き勝手してりゃいいんだ。」

 

これは昔にアニメを見た時から思ってたことだ。

だが、実際に現実に見ると無理をしているのがよく分かる。

 

「…うわぁぁぁん!!」

 

撫でていた手をそのままに抱き着いてきた。

俺の鳩尾に入れるとは……なのはちゃんといい勝負じゃねぇか。

 

「うっ…!?よ、よしよし…。寂しかったんだな。」

 

〔マスター。苦しそうですよ?〕

 

〔大丈夫だ、問題ない。〕

 

〔顔が青い状態で言っても信用できませんね。〕

 

うるせぇやい。

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫大丈夫、俺のチートボディならまだまだいける。」

 

「そ、そうですか。」

 

「んで?はやてちゃんはいつまでそこに居るんだ?もう泣き止んでるだろ?」

 

そう言って上を向かせると、まだ目は泣き腫らしていたが、涙は止まっていた。

 

「む〜、もうちょっとだけええやろっ!」

 

「……もうちょっとな。」

 

「やった〜!」

 

全く…。

 

「子供には甘いですね…。」

 

「そりゃあ、当たり前だろ?」

 

初対面でも女子供には割りと甘いぞ。ただし、敵になったらいつも通りだ。

 

〔みなさん!至急アースラに来てください!〕

 

異常事態か…?

 

「……リニス。」

 

「分かってますよ。」

 

「?どないしたん?」

 

「いや、なんでもないぞ。

少し目を瞑ってくれるかい?」

 

「は〜い。」

 

素直に目を瞑ったはやてちゃんに素直過ぎると思って苦笑いをして人差し指を額に当てた。すると、はやてちゃんが規則正しい呼吸で寝た。

 

「…すまないな。」

 

「黒、転移します。」

 

「ああ、頼むよ。」

 

転移はいつも自分でしてるから他の人にしてもらうのは初めてかもな。

 

 

 

 

アースラに着くとみんな一様に焦っていた。

 

「リンディさん、何があったんですか?」

 

「あ、黒さん!とりあえずこの映像を見てください!」

 

言われて映し出された映像を見ると天地が俺の持つジュエルシードを除いた20個を地面に置いて立っていた。

 

「………おいおい、なんであいつがあんなジュエルシードを持ってるんだ…?」

 

どういうことなのかと理由を聞いてみると。

 

「……予想外に早く事件が終わりそうだったからアースラのみんなで焼肉に言ってたんです…。」

 

「こんな人材が居ても大丈夫なのか管理局!?」

 

『もうダメな気がします。』

 

所属はしてないが心配になってきたぜ…。

 

「そ、そんなことよりも止めないといけないのっ!リンディさん、私達をあそこに送ってください!」

 

「わ、私も行くっ!」

 

「…俺も行く、同じクラスの人間としてケジメを着けないとな。」

 

こんなめんどそうなことに自分から首を突っ込むのか…。まあ、なのはちゃん達らしいとは言えるか。あ、衛宮は除く。

 

「おー、頑張れよ。応援してるからな。」

 

「あなたも行くのよ!」

 

後頭部にフォトンランサーがっ…!?

 

「いきなり何すんだ!?」

 

「あら?この中で1番あなたが強いんだから一緒に行ってあげるのは当たり前でしょ?」

 

当たり前なのか、初めて知ったけどな。

しかも、今の言葉でなのはちゃんとフェイトちゃんがすごい期待の眼差しを向けてくるんだけどなぁ!?

 

「……あ〜、分かったよ。行けば良いんだろ?」

 

「それでいいのよ。」

 

「黒っ!頑張ってね、私も応援してるから!」

 

アリシアまで…。

 

「やるだけのことはやる。」

 

何も起きなければいいんだが、と思いながらなのはちゃん達を追って転移した。

 

 

 

 

「よっす、状況は? 」

 

転移して近くにいた衛宮に聞いてみた。

 

「現状は変わりないですね。」

 

「そうか。なら、不審な動きをされる前にやるか。」

 

そして、一歩踏み出すと天地は俺に気付いて顔を歪ませた。

 

「貴様は……あの時のォ!」

 

「ああ、黒さんだぜ?覚えてるだろ、サンタさん?」

 

「こ、殺す…殺してやるっ……ジュエルシードォ!」

 

マジかよ……さっさと決めようと思い、近付いて天地の首を斬ろうとするが………弾かれた。

 

「何っ!?」

 

「あいつを殺せるだけの力を寄越せぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

魔力が爆発して周りを吹き飛ばし始めた。

 

「きゃああぁぁぁ!?」

 

「う、うぅ……ああっ!?」

 

「くっ…!アリア、もっと障壁を強くしろ!」

 

これは流石にキツイか…。

 

「おい、風!あいつらをアースラに転移させろ!急げ!」

 

『了解!』

 

これで大丈夫だ。次だ。

 

「この魔力を………斬るっ!」

 

いつも以上の魔力と力を込めて刀を振る。すると魔力は霧散して消えた。

 

『マスター。気を緩めないでください。まだ敵が居ます。』

 

「ああ、わかってる。」

 

そして、ゆっくりと姿が見えてきた。

 

「……?あれはっ!」

 

1人だったはずの敵が8人に増えていた。

しかもあれは…。

 

「アルトリア・ペンドラゴン、エミヤ シロウ、クー・フーリン、イスカンダル、佐々木 小次郎、ジル・ド・レェ、……………ランスロット。」

 

 

side out




そろそろ無印が終わりますね。
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